神の子どもたちはみな踊る
『神の子どもたちはみな踊る』(かみのこどもたちはみなおどる)は、村上春樹の連作短編小説集。2000年2月に新潮社より刊行された。『新潮』に「地震のあとで」という副題付きで連載された、表題作『神の子どもたちはみな踊る』をはじめ5編の短編と、書き下ろし短編1編を収録する。2002年2月に新潮文庫として文庫化された。 本書の登場人物は皆、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災に間接的に関わっている。また村上は「解題」において、同年3月にオウム真理教が引き起こした地下鉄サリン事件との関連にも触れており、この短編集では以後の作品に出てくる「ある種の圧倒的な暴力」の片鱗を描いているという。 映画化、舞台化、テレビドラマ化がされている。 収録作品
装画![]() 単行本の装画(表紙、裏表紙、扉絵)には、北脇昇の「空港」(1937年)が使用された。また各短編のタイトルに付けられた挿絵も北脇の作品である。文庫化された際も「空港」が表紙に使用された。1997年に東京国立近代美術館で開かれた特集展示「北脇昇展」を見たときに村上は「とても心が惹かれ」たという。村上は次のように述べている。「東京の近代美術館で北脇昇さんの特集展示をやっていて、それを見てとても心を惹かれました。戦前のシュールレアリスト風の絵画から、戦争中のいささか国家主義的色彩をふくんだ作品、そして深く沈潜した戦後の作品へとスタイルは大きく変化するものの、彼の絵の中に一貫して含まれている『異様な個人的風景』は、僕の作品のある部分に通底しているような気がしたのです」[1]。なお、現在の新潮文庫版は英訳版と同じもの(カエルが3匹立ち並んでいるイラスト)を使用している。 ゴダールの影響ドストエフスキーの『悪霊』の一節(江川卓訳)と、ジャン=リュック・ゴダールの映画『気狂いピエロ』の一節がエピグラフに引用されている。『村上朝日堂ホームページ』上で「ゴダールの影響は?」という読者からの質問に対し、村上は「はっきり言って、僕はゴダールの映画に強い影響を受けています」と答えている[2]。『村上朝日堂ホームページ』の別の箇所では「高校時代、神戸のアートシアターでヌーヴェルバーグものを見まくったんですが、(中略)あの当時、神戸の街で僕くらい深くジャン・リュック・ゴダールを愛していた人間はそんなにいなかったと思います」と述べている[3]。 また、佐々木マキを論じた文章の中で村上はこう述べている。「『このマンガはいったい何を表現しようといているのか?』と僕は考えてみた。もちろんそれは何も表現してはいなかった。(中略) 問題はスタイルであるという気がした。佐々木マキは彼独自の強固なスタイルを所有しており、そのスタイル=文体そがすべてを統轄しているのだ。(中略) はじめてジャン=リュック・ゴダールの映画を観た時にも僕は同じようなことを感じた」[4]。 翻訳2002年8月、本書の英訳版『after the quake』がクノップフ社より刊行された。訳者はジェイ・ルービン。ルービンによれば、英語版のタイトルを『after the quake』とし、文字をすべて小文字にすることを提案したのは村上自身だという[5]。 その他、以下の各国語版が翻訳され出版されている。
映画→詳細は「神の子どもたちはみな踊る (小説) § 映画」を参照
表題作「神の子どもたちはみな踊る」が2008年にアメリカ合衆国で映画化された。 舞台『神の子どもたちはみな踊る after the quake』のタイトルで舞台化され、2019年7月31日から8月16日まで東京公演が行われた。「かえるくん、東京を救う」「蜂蜜パイ」の2つを取り上げて舞台化したフランク・ギャラティの脚本(2005年米国にて上演)を倉持裕が演出。蜷川幸雄が演出した舞台『海辺のカフカ』に続くコラボレーション「Ninagawa × Murakami」の第2弾として構想されながら、蜷川の逝去で中断していた企画だった。
テレビドラマ
『地震のあとで』(じしんのあとで)のタイトルで、2025年4月5日から26日までNHK総合の「土曜ドラマ」枠でテレビドラマ化された。本作を原作とした1話完結のオムニバス方式で、原作の舞台を1995年だけでなく、2025年にいたる設定に置き換えることで、「今」に続く「地震のあと」の30年の時間を描く[6]。第4話『続・かえるくん、東京を救う』は原作『かえるくん、東京を救う』の続編であり、ほぼオリジナルの物語となっている[7]。 ストーリー
第1話『UFOが釧路に降りる』→「UFOが釧路に降りる」も参照
第2話『アイロンのある風景』→「アイロンのある風景」も参照
2011年1月から3月11日未明。 第3話『神の子どもたちはみな踊る』→「神の子どもたちはみな踊る (小説)」も参照
第4話『続・かえるくん、東京を救う』キャスト★=各話主演。 第1話『UFOが釧路に降りる』
第2話『アイロンのある風景』
第3話『神の子どもたちはみな踊る』
第4話『続・かえるくん、東京を救う』
スタッフ
放送日程
映画化
テレビドラマを再編集した映画『アフター・ザ・クエイク』が2025年10月3日に公開される。テレビドラマと物語を共有しながら岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市が演じる4⼈を結ぶ新たなシーンを加えた映画版ならではの編集での劇場公開となる[14]。
脚注注釈出典
関連項目
外部リンク
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