足の不自由な男を癒す聖ペテロと聖ヨハネ
『足の不自由な男を癒す聖ペテロと聖ヨハネ』(あしのふじゆうなおとこをいやすせいペテロとせいヨハネ、仏: Saint Pierre et saint Jean guérissant le boiteux、英: Saints Peter and John Healing the Lame Man)は、17世紀フランスの巨匠ニコラ・プッサンが1655年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。『新約聖書』の「使徒言行録」に題材を得て、聖ペテロと福音書記者聖ヨハネが起こした奇跡を主題としている[1][2]。作品は、1924年にマークワンド基金 (Marquand Fund) により購入されて以来[1]、ニューヨークのメトロポリタン美術館に所蔵されている[1][2]。 作品おそらくプッサンは、1515-1516年にイタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロが工房の助手たちと制作した、10点の連作タピスリーのための巨大なカルトン (原寸大下絵) から着想を得たのであろう[2]。「使徒言行録」を主題にしたこれらのカルトンの1点には、本作と同じ主題が描かれていた[2]。 「使徒言行録」 (3:2-4, 6-7) によれば、聖ペテロと聖ヨハネは歩行のできない男を治癒する[1][2]。
![]() ![]() このように聖書の記述には、物語の舞台であるエルサレムの神殿の門と3人の人物しか登場しない。しかし、ラファエロもプッサンも、多数の人物を組み合わせながら画面を構成している[2]。プッサンの本作の構図には、ヴァチカン宮殿のラファエロのフレスコ画『アテナイの学堂』 (1509-1511年) の影響が認められる[1][2]。両作品とも、神殿の階段上に計測されたピラミッド型構図を用いているのである。また、人物の手の動きには、システィーナ礼拝堂の天井画としてミケランジェロが描いた『アダムの創造』(1508-1512年) の神とアダムの手のポーズが反映されている[1][2]。さらに、人物の顔貌、とりわけアーモンド形の目と直線的な鼻は古代の彫刻を模している[1]。 脚注参考文献
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