雲取山(くもとりやま)は、東京都・埼玉県・山梨県の境界にある標高2,017.13 m[1]の山。東京都の最高峰であり、都内で標高2,000 mを越えるのはこの山のみである[2]。また奥多摩で「日本百名山」に名を連ねる唯一の山である[2]。雲表にそびえ雲も取れそうな高峰からその名が付いた(『奥多摩町誌』[3])。
概要
秩父多摩甲斐国立公園の代表的な山の一つで、日本百名山、多摩百山に選ばれている。1都2県にまたがるとともに、東京都の最高峰かつ最西端の山でもある。山頂には一等三角点が設置されている。また、2016年(平成28年)には山の日の制定を記念して山頂に標石が設置された[4]。
見晴らしが良く、周辺の山々のほか富士山、南アルプス、関東平野方面なども見ることができる。妙法が岳、白岩山とともに三峰山の三山の一つである。山頂の北西は埼玉県、南西は山梨県と3都県の都県境をなしている[2]。
水源林
1901年(明治34年)、東京府東京市(現在の東京都)は、水源地保全のため、多摩川を囲む山地4万8千ha余りを山梨県から購入した[5]。
大正末から昭和6年(1931年)にかけて、ススキの原だった雲取山周辺の稜線に、唐松の苗木を植えた[5]。
現在は東京都側と山梨県側の山林が、東京都水道局の水源林(東京都水源林)となっている。
登山
主なコース
山梨県・東京都側(多摩川流域)と埼玉県側(荒川流域)に大別される。山梨県丹波山村の鴨沢、埼玉県秩父市の三峯神社からのコースをはじめ、様々なコースで登ることができる。
- 山梨県丹波山村からのコース(バスは奥多摩駅より)[6]
- 鴨沢バス停 - 小袖乗越 - 七ツ石山 - 雲取山。登り5時間30分・下り3時間30分[7]。小袖乗越に駐車場あり。
- お祭バス停 - 後山林道 - 三条の湯 - 雲取山。登り6時間30分・下り5時間[7]。土日は午前バス1本。行程の半分が後山林道。後山林道の部分は三条の湯が宿泊客のための迎車を行っている[8]。三条の湯からは登り3時間・下り2時間15分。
- 東京都奥多摩町からのコース(バスは奥多摩駅より)[9]
- 東日原バス停 - 日原林道 - 雲取山。登り6時間55分・下り5時間25分[7]。2時間以上林道歩き。
- 東日原バス停 - 鷹ノ巣山 - 七ツ石山 - 雲取山。登り7時間5分・下り5時間25分[7]。
- 峰谷バス停 - 赤指尾根 - 七ツ石山 - 雲取山。登り5時間45分・下り4時間5分[7]。土日は午前バス1本。
- 峰谷バス停 - 鷹ノ巣山 - 七ツ石山 - 雲取山。登り6時間5分・下り4時間35分[7]。土日は午前バス1本。
- 石尾根:奥多摩駅 - 六ツ石山 - 鷹ノ巣山 - 七ツ石山 - 雲取山。登り10時間15分・下り8時間[7]。
- 埼玉県秩父市からのコース(バスは西武秩父駅・三峰口駅より)
- 三峯神社バス停 - 霧藻ヶ峰 - 白岩山 - 芋ノ木ドッケ - 雲取山。登り5時間20分・下り4時間25分[10]。
- 大陽寺入口バス停 - 大陽寺 - 白岩山 - 芋ノ木ドッケ - 雲取山。
- 縦走コース
- 奥秩父主脈縦走路の縦走コース
- 長沢背稜の縦走コース
備考
- 以前は山頂の標識が2か所あった。2016年に「山の日」施行記念や老朽化に伴う更新のため、東京都と埼玉県が標識を統一した[11]。
- 2017年は西暦年数と、標高のメートル数が同じであることから、記念登山への人気が高まった。2016年末には周辺3都県の山岳連盟により、山頂付近に1年間限定の記念碑「雲取山西暦二千十七年」が建てられた[12]。
- 雲取山は通常は2日行程で登山する[9]が、健脚ならばコースによっては日帰りも可能である。ただし、日帰り登山は早朝に登り始めないと下山時には日が落ちる。
- 日原林道は車両通行止めのことがある。地元では林道をマイカーで走るのは自重するように促している。
- 後山林道は一般車両やタクシーは通行禁止。日原林道終点 - 大ダワ間は登山道としても完全通行止め。
- 登山計画書は、駅や登山口などに設置された登山届ポストや、警察署・交番・駐在所で受け付けている。警察署には郵送も可能である。埼玉県・山梨県はインターネットでも受け付けている[13][14]。
- 冬期に滑落する事故が発生しており、秩父環境管理事務所は『雲取山安全登山マップ』を配布し、注意を呼びかけている[15][16]。
- 奥多摩小屋近くの東側斜面で大量のごみが2016年に見つかった。多くは1960年代から1970年代頃に不法投棄されたとみられる空き缶や空き瓶、食品の袋などで、クマザサが枯れたことで露出し、撤去が進められた[17]。
周辺の山小屋
山小屋
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名称
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所在地
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収容 人数
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キャンプ 指定地
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水場
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営業
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備考
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出典
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雲取山荘
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山頂北側直下
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200人
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テント50張
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あり
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通年
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[18]
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三条の湯
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後山林道終点付近
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80人
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テント15張
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あり
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迎車あり[8]
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[19]
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雲取山避難小屋
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山頂
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約20人
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なし
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なし
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避難小屋
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[注釈 1]
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五十人平野営場
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小雲取山下(奥多摩小屋跡)
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-
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テント70張
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あり
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事前予約制 2025年4月29日より利用開始
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[21]
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七ツ石小屋
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七ツ石山
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15人
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テント10張
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あり
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自炊
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[22]
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霧藻ヶ峰休憩所
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霧藻ヶ峰
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10人
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なし
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なし
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土日
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自炊
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この他に白岩山北側に白岩小屋、雲取山荘北側に雲取ヒュッテもあるが、いずれも廃墟化している。また、山頂南側には奥多摩小屋もあったが、2019年(平成31年)3月31日をもって閉鎖され[23]、跡地には2025年(令和7年)4月29日に五十人平野営場がオープンした[24]。
2017年(平成29年)6月1日現在の日本郵便「交通困難地・速達取扱地域外一覧」には、秩父市大滝字の雲取小屋および雲取ヒュッテが掲載されていた。また2022年(令和4年)時点では雲取避難小屋が同一覧に掲載され、交通困難地に指定されていた。しかし2023年(令和5年)9月1日時点での同一覧には掲載はなく、埼玉県内から人が居住する交通困難地は消滅している[25]。
隣接する山
関連画像
交通アクセス
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雲取山が登場する作品等
- ヤマノススメ - 体力作りの為に三峯神社から登り、山頂でテント泊して鴨沢バス停に下る。
- 鬼滅の刃 - 物語開始以前に、主人公は当山の東京側の山麓で炭焼をしながら生計を立てていた。
- 雲取賞 - 南関東大井競馬場で開催される地方競馬の重賞競走(ダートグレード競走、JpnIII)。三冠レース初戦、羽田盃(中央競馬の皐月賞に相当)のステップレースである。
注釈
出典
関連項目
外部リンク
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