頸部血管超音波検査頸部血管超音波検査(けいぶけっかんちょうおんぱけんさ)とは、頸動脈に対して行う超音波検査のことである。糖尿病、高血圧症、肥満、脂質異常症や脳血管障害、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症などの診断において重要な検査であり、これらの相対的危険度を評価できる。甲状腺や唾液腺、副甲状腺を観察するのは頸部超音波検査である。 頸動脈の解剖頸動脈の評価内中膜厚(IMT)外膜と血管内腔との間に層状にみえる部分が内中膜複合体であり、この厚みをIMTという。IMTは早期の粥腫硬化の指標と考えられている。高周波のリニアプローベの分解能は0.1mm程度である。深度設定を3cmほどにすると1ピクセルが0.1mm程度になる。 プラークプラークとは1.1mm以上の厚みを持つ部分を意味することが多い。これは健常者のIMTを計測すると加齢とともに肥厚するが1.0mmを超えることはなかったというデータから定義された。プラークの評価としてはプラークの大きさと数が考えられる。これを定量化したものがプラークスコアである。また性状診断としてエコー輝度、表面性状、均一性、可動性の評価を行うことができる。
狭窄率面積狭窄率(area法)ECST法、NASCET法の3つが知られている。狭窄率はarea法、ECST法、NASCET法の順に小さくなる傾向がある。TOAST分類による脳梗塞の病型診断をする際に重要である。日本人では頸動脈分支部が高い位置にあり、内頸動脈遠位部が見えにくい症例が多い。 血流速度血流速度で求めるのは収縮期最高血流速度(PSV)、拡張末期血流速度(EDV)、平均血流速度(TAMV)、pulsatility index(PI)である。日本人ではPSVが200cm/secを超えるとNASCETで70%以上の狭窄が存在するとされている。また150cm/secを超えるとNASCET法で50%以上の狭窄が存在するとされている。血流速度の左右差について臨床的に意義があるのは総頸動脈と椎骨動脈のみである。内頸動脈の血流速度はばらつきが大きく、左右差の病的意義は乏しい。総頸動脈の拡張末期血流速度(EDV)の左右比であるED ratioを計測し1.4以上の場合は一側の内頸動脈閉塞を疑う。 椎骨動脈の評価血流の有無、血流速度、血流速度の左右差、血管径の左右差からいくつかの病変診断が可能である。正常、起始部閉塞、PICA前閉塞、PICA後閉塞、PICA endの診断ができる。また椎骨動脈に血流の逆流が見える場合は鎖骨下動脈盗血現象が疑われる。PICA endとは一側の椎骨動脈の低形成によりPICAに分枝した後に脳底動脈につながらないことであり病的なものではない。 その他の評価
関連項目参考文献
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