00000JAPAN![]() 00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)とは、日本における大規模災害や通信障害時に、情報収集や安否確認などを支援するために無料で提供される公衆無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイントのサービスセット識別子(SSID)[1][2]。日本国内の無線LANに関係する企業で構成される「無線LANビジネス推進連絡会」が主導となってサービスを提供している。キャッチフレーズは「いのちをつなぐ 00000JAPAN」。 概要東日本大震災発生時、4Gを始めとする通信回線の復旧が遅れたことを契機に取り組みが始まった[3]。原則としてdocomo Wi-Fiやau Wi-Fi SPOT、ソフトバンクWi-Fiスポットといった通常時は利用者が契約者に限定されるアクセスポイントを臨時で認証なしに利用可能にするものである[3]が、必要に応じて避難所などに臨時で設置されるアクセスポイントもこのSSIDにて接続可能となる。 2016年4月に発生した熊本地震で初めて実運用され、九州全域で55,000箇所のアクセスポイントが提供された[4]。 名称の先頭に「00000」が付いているのは、SSID一覧の中で探しやすいようにするためである[1]。また、「JAPAN」は海外からの救援者にも理解しやすいように配慮したものである[5]。 アルファベットのJと電波をかたどったロゴマークが用意されており、無線LANビジネス推進連絡会の会員のみ利用できる[6]。 当初は大規模災害時にのみこの無料Wi-Fiが開放されてきたが、キャッシュレス決済やSNSの利用が普及してきたことから、2023年5月から通信障害時でも利用できるようになった[2]。 利用方法スマートフォンやパソコンなどの無線LAN接続画面から「00000JAPAN」を選択するだけで利用できる[7]。利用登録は必要なく、IDやパスワードの入力も不要である[7]。 利用時におけるセキュリティ上の注意点
緊急時の利便性確保を優先しており、暗号化を施されずに無料開放されているため、接続しやすい反面で第三者に通信内容を傍受される恐れがある[5]。そのため、ログインIDやパスワード、個人情報などを含む通信は控えるか、HTTPS通信やVPNなどを利用してセキュリティを確保する必要があるとされている[8][1]。 ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が提供するアプリ「ギガぞう」には、00000JAPAN利用時に無償でVPN接続を利用できる機能が存在する[9]。 ただし、2024年現在では多くのWebサイトやアプリケーションでHTTPS通信が導入されている。そのため、情報セキュリティ研究者の高木浩光は「10年前と違い、WebのHTTPS化がほぼ完了し、アプリのHTTPS通信もマストになっている現在、それ(クレジットカード情報やパスワードなどの入力)を避ける必要はありません」と見解を述べている[10]。
「00000JAPAN」を騙る偽のアクセスポイントが登場する可能性を指摘する声もあり、利用者が注意する必要がある[11]。対策として、避難所運営者による告知の有無や周囲にキャリア3社のWi-Fiスポット(d Wi-Fi、au Wi-Fi SPOT、ソフトバンクWi-Fiスポット)のステッカーなどが掲示されているか確認することが挙げられる[11]。また、偽のアクセスポイントに意図せず接続してしまうことを避けるため、00000JAPANへの自動接続をオフにすることも推奨されている[7]。 提供方法(設置方法)「00000JAPAN」の開放を計画する事業者等は、あらかじめ申請書を無線LANビジネス推進連絡会に提出し、そのチェックを受けなければならない[12]とされている。 また、公衆無線LANを00000JAPANとして一般開放する事業者や個人等に向けて、公衆無線LANの無料開放に関するガイドラインや災害用統一 SSID「00000JAPAN」参加資格などが公開されている。参加(提供)基準は、連絡会の会員と非会員によって基準が異なる。 アクセスポイントの技術要件参加資格(第2.2版)では、技術要件が以下のように定められている[13]。無線LANビジネス推進連絡会の会員については「努力」レベルの事項も適用することが望ましいとされている。
技術以外の要件参加資格(第2.2版)では、無線LANビジネス推進連絡会の会員以外が提供する場合に関して、以下のような要件が定められている[13]。
アクセスポイントを提供する際の注意点バッファローのAirStation Proシリーズ[14]など、一部のWi-Fiアクセスポイント製品では緊急時にパスワードなしでアクセスポイントを開放する機能を備えた製品もあるが、この機能を利用して開放する際には、開放された無線LANからはインターネット(WAN)のみが利用可能であり社内LANへの部外者のアクセスができないことを事前に確認しておく必要がある。 認定事業者2024年8月現在、以下の事業者が参加している[15][16]。 サービス提供事業者通信キャリア
自治体等
機器装置提供事業者メーカー等認定事業者(非会員)エリアオーナー脚注
外部リンク
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