erwin Data Modeler (旧名称:CA ERwin Data Modeler ) は、情報システム 開発のデータモデリング (データ要件分析、データベース設計 など) を行うためのCA が開発・販売しているCASEツール である。
開発対象となる情報システムには、トランザクション処理 システムで処理されるデータベース およびデータマート が含まれる。
erwin のデータモデリングエンジンは、IDEF1X の方法と記法 (実体関連図 、ER図の一種) に基づいている。
IDEF1Xに加えて現在では、インフォメーションエンジニアリングの記法もサポートしている。
日本では、富士通エンジニアリングテクノロジーズ が販売・サポートを行っている。
日本CAによると現在、全世界で1万社以上、10万人以上の利用者に使われており、日本国内では10000ライセンス以上の導入実績があるデータベース設計とデータベース管理を支援する AllFusion ERwin Data Modeler - コンピュータ・アソシエイツ株式会社 。
世界各地にERwinユーザ会があり、日本にも日本erwinユーザー会(JEMUG) が存在する。
歴史
ERwin は、もともとはロジック・ワークスという企業が開発した。
1998年 :ロジック・ワークスは、プラティナム・テクノロジーに買収された。
1999年5月:プラティナム・テクノロジーは、コンピュータ・アソシエイツ (現在の社名はCA ) に買収された。コンピュータ・アソシエイツは、ERwinを自社のAllFusionブランドの製品群に AllFusion ERwin Data Modeler という製品名称で加えた。
ERwinの製品名称は後に CA ERwin Data Modeler に変更された。
なお、コンピュータ・アソシエイツによって買収されたロジック・ワークス製品としては、IDEF0 に基づいたプロセスモデリングツールであるBPwin、およびデータモデルとプロセスモデルの双方をチームで開発するためのツールである erwin Mart Server(旧名称:Model Mart)がある。
2016年3月:CA Technologies の erwin 事業は、Parallax Capital Partners ,LLC (本社:アメリカ カリフォルニア州)に買収され、新会社として Erwin, Inc. が設立した。製品名称は erwin Data Modeler に変更された。
2021年5月:erwin 事業は、Quest Software社(本社:アメリカ)に買収された。
機能
論理データモデリング
データベース設計 者は、erwin を使って論理データモデルのみを実体関連図 (ER図) で作成することができる。作成された論理データモデルから物理データモデルを生成 (導出) することもできる。論理データモデルと物理データモデルを組み合わせることもできる。実体型と属性の論理名・説明文・論理定義域・データ型、および関連名を扱うことができる。
物理データモデリング
データベース設計者は、erwin を使って物理データモデルのみを実体関連図 (ER図) で作成することができる。表 (テーブル) と列 (カラム) の名称・説明文、およびユーザ定義データ型、主キー 、外部キー 、代理キー 、CHECK制約 の定義と命名を、扱うことができる。索引 (インデクス) 、ビュー 、ストアドプロシージャ 、トリガも、扱うことができる。
論理データモデルから物理データモデルへの変換の支援
データベース設計者は、省略名称と正式名称の辞書である "Naming Standards Editor" (名前付け基準エディタ) 、論理データモデルから関係データベース管理システム (RDBMS) のデータ型への対応づけをする機能である "Datatype Standards Editor" (データ型基準エディタ) などのツールを使うことができる。
フォワードエンジニアリング
データベース設計者が物理データモデルを十分な水準に達していると認識しているのであれば、erwin は、自動的に SQL データ定義言語 (DDL) を生成し、RDBMS環境に対して直接にそれらのDDLを実行する、あるいはスクリプトファイルとして保存することができる。
リバースエンジニアリング
データベースの分析を担当する人が、既に存在するデータベースのデータ構造を調査し理解する必要がある場合、erwin は、物理的なデータベースオブジェクトの実装内容を解析し、erwin モデルファイルに保存することができる。
モデル同士の比較
データベースの分析者や設計者が2つのモデルファイル (現在のデータベースから erwin でリバースエンジニアリングして生成されたファイルである場合を含む) の間にどんな相違があるかを理解する必要がある場合、その目的のためにERwinの「完全比較」の機能を使うことができる。
元に戻す 、やり直し
「元に戻す」「やり直し」の機能がバージョン7から使えるようになった。
過去バージョン
erwin 12.1 SP1 (2022/10/25 リリース)
erwin 12.1 (2022/06/07 リリース)
erwin 12.0 (2022/03/09 リリース)
erwin 2021 R1 (2021/04/01 リリース)
erwin 2020 R2 SP2 (2021/03/03 リリース)
erwin 2020 R2 SP1 (2020/11/16 リリース)
erwin 2020 R2 (2020/06/01 リリース)
ERwin 2019 (2019/07/12 リリース)
ERwin 2018 (2018/0?/?? リリース)
ERwin r9.8 (201?/0?/?? リリース)
ERwin r9.7 (201?/0?/?? リリース)
ERwin r9.5 (2013/11/04 リリース)
ERwin r9.0 (2013/05/17 リリース)インターナショナル版のみ。64bit OS へ対応。リリース発表情報はこちら
ERwin r8.0 (2011/03/24 リリース)インターナショナル版(GUIは英語、モデル内のデータは日本語対応)のみ。
ERwin r7.2 (2010/03/11 リリース)ERwin r7.2.12.2517 日本語版。メディア配布なしのバグフィックス版。ダウンロードはこちら 。r7.2.10のライセンスキーで動く。
ERwin r7.2 (2008/12/?? リリース)ERwin r7.2.10.2501 日本語版。
ERwin r7.0 (2006/06/?? リリース)日本語版。
ERwin 4.1.4 (2004/07/?? リリース)SP1 Build 3907。日本語版。
ERwin 4.1.4 (2004/03/?? リリース)Build 3643。日本語版。
ERwin 4.1.2 (200?/??/?? リリース)Build 2937。日本語版。
ERwin 4.1 (2003/02/?? リリース)Build 2614。日本語版。
ERwin 4.0 (2002/05/30 リリース)日本語版。
ERwin 3.5.2 (1999/11/?? リリース)SP2 Build 443。日本語版。
ERwin 3.5.2 (1998/11/?? リリース)
ERwin 3.5 (1998/08/?? リリース)Build 418。ERwin OpenとERwin ERXを販売。ERwin Openは3.5.xまでで終了。
ERwin 2.6 (1997/06/?? リリース)日本語版。このバージョンから、すべて32bit。 ERwin Open(ERwin for XXが統合されたもの)とERwin ERXを販売。
ERwin 2.5 (199?/??/?? リリース)リリース時期不明。ERwin ERX、ERwin for PowerBuilder、ERwin for SQL Windows、ERwin for Visual Basic(32 bit、これ以外はすべて16bit)を販売。
ERwin 2.1J (1995/夏/?? リリース)初めて完全日本語化されたバージョン。ERwin ERX、ERwin for PowerBuilderを販売
ERwin 1.2J (1994/04/?? リリース)1994年4月リリース。画面は英語のまま。日本語版の簡易マニュアルが付いていた。フロッピー2枚で販売していた。当時の評価版は、クイックスタートという名称でフロッピー1枚で提供していた。作成できるエンティティは10個までだった。
※erwin には、上位互換 はあるが下位互換 は基本的にサポートされていない。よって、erwin をバージョンアップする際や、erwin のバージョンが違うマシン間でデータモデルのファイル移動を行う際には、バックアップを取るなどの対策が必要である。
(古い下位のバージョンで作成・更新されたモデルのデータは、上位の新しいバージョンで開く事は出来るが、
上位の新しいバージョンで作成・更新されたモデルのデータは、古い下位のバージョンで開く事は出来ない。)
競合製品
ERwinには、いくつかの競合製品が存在する。
競合製品の一部を示す。
関連項目
書籍
DeAngelis, Carla (2000). Data Modeling with ERwin . Sams. ISBN 0672318687
脚注
外部リンク