『いただき勘兵衛 旅を行く』(いただきかんべえ たびをいく)は、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列にて1973年10月4日から1974年3月28日まで毎週木曜夜8時からの1時間枠で放映された東映制作のテレビ時代劇[1]。全24話。
概要
『素浪人 月影兵庫』(1965年〜1968年)、『素浪人 花山大吉』(1969年〜1970年)、『素浪人 天下太平』(1973年4月〜9月)に続く、近衛十四郎主演シリーズ第4作目にして最終作。
元・直参の大番組頭でありながら大酒飲みで喧嘩好きのはみだし者・月田勘兵衛(近衛十四郎)が、江戸幕府大目付の土井正篤(山形勲)より諸国を廻る隠密巡察使に任命される。その勘兵衛の酒好きと勤務態度に不安を感じた土井は目黒祐樹演じる与力の有賀透三(読みは「ありが・とうぞう」)に勘兵衛の監視役を命じ、有賀は『旅がらすの仙太』と名乗り、渡世人に変装して自分の素性を隠しながら勘兵衛の旅に同行する。同時に土井は勘兵衛の金使いを監視させる目的で町娘・お紺(江夏夕子)も同行させ、三人は旅をしながら諸国の悪を退治していく。ボロボロの僧の身なりで三人からは『貧乏神』と呼ばれ、三人の勤務態度と成果を江戸の土井に手紙で知らせる監視役の公儀お庭番・真庭仙太(吉田義夫)が、勘兵衛たちの後を尾行する。
近衛十四郎とその次男・目黒祐樹の親子共演が話題となり、第12話には近衛の長男・松方弘樹もゲスト出演、親子3人のテレビ共演が実現した。また今作で共演した目黒祐樹と江夏夕子は、1979年に結婚した。
前作『素浪人 天下太平』で再開となった素浪人シリーズだったが、品川隆二との絶妙な掛け合いが人気だった全盛期の勢いを取り戻す事はできず、近衛自身も「愛着はあるが進歩が無い」とコミカルな路線からの卒業を申し入れたことから、『天下太平』同様、予定通りの2クールで終了し最終作となった。
なお本作を以てNET木曜夜8時枠の時代劇は一旦中断、次にこの枠で時代劇が放送されるのは、1年半後の1975年10月2日開始の『遠山の金さん』(杉良太郎主演版第1シリーズ)からである[2]。
近畿広域圏では、当時系列局だった毎日放送が本番組の時間帯で東京12チャンネルからのネットにより『日米対抗ローラーゲーム』を放送したため、独立局のサンテレビ・近畿放送で放送された。
広島ホームテレビでは、本来の時間帯に日本テレビから『木曜スペシャル』を同時ネットしていたため、金曜16:05 - 17:00に遅れネットで放送していた[3]。
宮城県では、宮城テレビがNET系と日本テレビ系とのクロスネット局だった関係で編成から外れ、フジテレビ系列の仙台放送にて1年遅れで月曜23:20 - 24:15に放送していた[4]。
キャスト
- 通称「はみだし勘兵衛」。撫で付け髪に、三日月模様と勘の字を合わせた紋のグレーの着物に茶色の袴、手には扇と胡桃を持っている。江戸で酒と喧嘩に明け暮れる毎日を送っていたが、土井正篤から隠密巡察使に任命される。禁酒と聞かされ、断ろうとするも逆に甲府勤番勤めを選ばなければならず、しぶしぶ隠密巡察使として旅に出る。筋金入りの酒好きで、仙太・お紺からは酒のある所に転がることから「酒樽」と揶揄される。酒に毒が盛られたことに気づくほど、嗅覚が敏感。幼少期に、黒い袈裟の坊主に誘拐されたトラウマから坊主恐怖症で、見れば酒を呑んでいようと一目散に逃げ出してしまう。
- 渡世人。その正体は、宗門改方与力・有賀透三。勘兵衛がすぐに禁酒を破り、「酒を呑まない真面目で品行方正」と評判で採用されるが、実は筋金入りの女たらしであることが旅立ってすぐに発覚する。美女を見ると、すぐに鼻の下を伸ばしてデレデレするのが毎回のお約束(たまに妄想したりもする)。本人は、勘兵衛にバレないつもりで渡世人として近づいたが、あっさりと土井正篤の使者だと見破られてしまう。酒を呑まない、というより呑めないに近く、甘党で団子や饅頭を好む。戦法は、始めに石を包んだ手ぬぐいで殴り、後から鞘に巻きつけてから長ドスで斬るのがパターン。
- 財布を管理する町娘。「まぁ、どぉ~だろう」が口癖。仙太同様、酒は呑めない。
- 旅の僧侶。穴だらけの饅頭傘に黒い袈裟、手には錫杖を持ち、ボロボロの汚れた身なりをしているが、その正体は公儀お庭番・真庭仙太。仙太(有賀透三)が筋金入りの女たらしと発覚し、すぐに土井正篤の命を受け一行の後を追う。以後、お目付役として勘兵衛・仙太・お紺の活躍を報告書に書いて、エンディングを閉めるのが毎回のお約束。神出鬼没で、勘兵衛が酒を呑もうものなら、何処からともなく青い顔をして現れる。報告書を書く時以外は、基本的に一切話さない。坊主恐怖症の勘兵衛にとって、酒を呑ませない最も効果があるが、女たらしの仙太にはまったく効果がない。
スタッフ
- プロデューサー:上月信二(NET)、杉井進(東映)、宮川輝水(東映)
- 脚本:森田新、松村正温、飛鳥ひろし、高橋稔
- 音楽:秋元薫 ※1964年生まれの同姓同名の音楽家・秋元薫とは別人
- 演奏:M.C.S
- 撮影:平山善樹、柾木兵一、木村誠司、安達重穂、鈴木重平、森常次、羽田辰治
- 録音:田中峯生、高井唯夫、墨関治、諸熊秀喜
- 照明:佐々木政一、松井薫、椹木儀一、佐々木政一、林春海、宇野増太郎、藤井光春
- 美術:塚本隆治、中島哲二、寺島孝男、宇佐美亮
- 編集:島村智之、鳥居勉
- 整音:草川石文、山根定男
- 計測:佐賀彰、長谷川武次、宮川俊夫、山元豊、水島淳一、山口鉄雄
- 記録:平井宇津江、竹田ひろ子、篠敦子、満尾敦子、牛田二三子、長岡君枝、野崎八重子、石田芳子
- 衣裳:上野徳三郎、工藤昭
- 美粧:林三郎、河田福司、杉本勢一
- 結髪:浜崎喜美江、河野節子、水巻春江
- 装置:曽根美装
- 装飾:清原和雄
- 助監督:岡本静雄、古市真也、久郷久雄、内沢豊、福井司、太田雅章、上杉尚祺、尾田耕太郎、津島勝、西垣吉春、曽根勇
- 擬斗:土井淳之祐(東映剣会)
- 演技事務:川高敏夫、中久保昇三、上ノ山敏
- 進行主任:藤野清
- 現像:東洋現像所
- 監督:井沢雅彦、倉田準二、小野登
- 制作:NET、東映
放映リスト(サブタイトルリスト)
主題歌
- オープニング曲:『はみだし野郎の唄』(作詞:川野知介、作曲:秋元薫、編曲:広瀬雅一、唄:目黒祐樹)
- エンディング曲:『仙太まつり旅』(作詞:川野知介、作曲:秋元薫、編曲:高田弘、唄:目黒祐樹)
以上は、番組のオープニングに映るクレジット。
CBSソニーから発売されたシングルレコード『はみだし野郎の唄/仙太まつり旅』では、『はみだし野郎の唄』の作曲は「秋本薫」、『仙太まつり旅』の作曲は「佐伯一郎」になっている。
再放送
放送局は多数あり、2023年現在初放映から50年になります。
再放送を全部書くのは不可能を思われるので、ここには書かないものとします。
ネット配信
脚注
- ^ “いただき勘兵衛旅を行く - ドラマ詳細データ -”. テレビドラマデータベース. 2014年5月22日閲覧。
- ^ ただしこの間、1975年4月の腸捻転解消によって、近畿広域圏のネットがサンテレビ・近畿放送(本来の系列局は毎日放送だが、編成の都合による)から朝日放送に変わったので、サンテレビ・近畿放送へのネットは本作が最後となった。
- ^ 1974年1月16日、読売新聞・岡山版、16ページ、テレビ・ラジオ欄。
- ^ 河北新報1975年4月のテレビ欄。
関連項目
外部リンク
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22時台 |
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20時台 |
1967年(NET・第1期) |
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1973年(NET・第2期) |
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1975年 - 1977年3月 (NET・第3期) |
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1977年4月 - 1985年 (テレビ朝日・第1期) |
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1987年 - 1998年 (テレビ朝日・第2期) |
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2014年(テレビ朝日・第6期) |
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19時台 |
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関連項目 |
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