『おいち不思議がたり』(おいちふしぎがたり)はあさのあつこの時代推理小説のシリーズである。
2008年7月号から2009年6月号までPHP研究所の月刊文芸誌『文蔵』に「当世侠娘物語 - ガールズ・ストーリー」の題名で連載され、2009年12月14日に『ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり』がPHP研究所から単行本が刊行された[1]。2011年11月15日に『おいち不思議がたり』に改題してPHP文芸文庫版が発売された。
2010年9・10月号から2012年1月号まで、同じく月刊文芸誌『文蔵』に「当世侠娘物語 - ガールズ・ストーリー 自立篇」の題名で連載され、2012年3月29日にPHP研究所から単行本『桜舞う おいち不思議がたり』が刊行された[1]。その後も月刊文芸誌『文蔵』に連載ののち、単行本が刊行されている[2]。
2024年9月からNHK「BS時代劇」でテレビドラマ化された[3][4]。
あらすじ
おいちは、町医者の父・松庵の手伝いをしながら、いつか自分も医者になりたいと思っている16歳だ。そんなおいちをいつも心配している伯母のおうたが、おいちに縁談を持ってきた。その縁談の相手の生薬屋「鵜野屋」の若旦那・直介(なおすけ)が、突然松庵を訪ねて来た。おいちは、その直介の背後に女の姿を見る。
女が誰なのかを探るために「鵜野屋」を訪れたおいちは、そこの女中・お絹から直介は鬼だと聞かされる。そして、直介の背後にいた女・お梅からは直介を助けてほしいと懇願されるのだった。
さまざまな謎を解くため岡っ引きの仙五朗の助けを借りて、おいちは奔走する。
登場人物
- おいち
- 訪ねて来る前の患者の、見えるはずのない苦しむ姿が見えたり、亡くなった人の声や姿が見える不思議な力がある。
- 5歳の春に流行病で母・お里(おさと)を亡くしている。
- 藍野松庵(あいの しょうあん)
- おいちの父。長崎帰りの蘭方医で腕は確かな町医者。
- 10年近く深川六間掘町の菖蒲長屋(しょうぶながや)で暮らす。
- おうた
- おいちの伯母。おいちの母・お里の2歳年上の姉で、八名川町の紙問屋「香西屋(こうさいや)」の内儀。
- 両親を早く亡くしお里と2人親戚に預けられたのち、「香西屋」に嫁いで20年になる。
- 子がないこともあり、姪のおいちを実の娘のように慈しんでいる。勝気で明るい性格。
- 藤兵衛(とうべえ)
- 「香西屋」の主人で、おうたの亭主。
- 仙五朗(せんごろう)
- 剃刀の仙(かみそりのせん)と呼ばれる腕利きの岡っ引き。
- 相生町の髪結床の主でもある。
- 新吉(しんきち)
- 腕のいい飾り職人。喧嘩で大怪我を負い、松庵の治療を受けた。
- 生まれてすぐ養子に出されて実の親の顔も知らずに育ったが、真直ぐな性格。
- 田澄十斗(たずみ じっと)
- 医者。おいちの実の兄。
- 石渡明乃(いしわた あきの)
- 石渡乃武夫(いしわた のぶお)の妻。医塾・石渡塾を開く。
シリーズ一覧
単行本は全てPHP研究所、文庫本は全てPHP文芸文庫
- ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり
- 桜舞う おいち不思議がたり
- 闇に咲く おいち不思議がたり
- 火花散る おいち不思議がたり
- 星に祈る おいち不思議がたり
- 渦の中へ おいち不思議がたり
テレビドラマ
『おいち不思議がたり』のタイトルで2024年9月1日から10月20日までNHK BSプレミアム4KとNHK BSの「BS時代劇」枠で放送された[5][6]。主演は葵わかな。玉木宏が共演。
4月6日に制作が発表され、同月から6月にかけて収録された[3][4]。
キャスト
- おいち
- 演 - 葵わかな
- 父のような医者を目指す。亡くなった人の影が見える能力を持つ。
- 藍野松庵
- 演 - 玉木宏
- おいちの父。今は長屋住まいの町医者。元蘭方医。
- 仙五朗
- 演 - 髙嶋政宏
- 腕利きの岡っ引き。
- おまき
- 演 - 小林涼子
- 仙五朗の女房。
- 長治(ちょうじ)
- 演 - 足立智充
- 仙五朗の手下。
- 太一(たいち)
- 演 - 松永拓野
- 仙五朗の手下。
- おうた
- 演 - 財前直見
- おいちの伯母。
- 新吉
- 演 - 工藤阿須加
- かざり職人。おいちに想いを寄せている。
- 田澄十斗
- 演 - 葉山奨之
- 医師・山賀貝弦の元で働いていたが、松庵の診療所で働くことになる。
- おしま
- 演 - 山田キヌヲ
- おいちの長屋の住人。病で亡くなる。
第1話・第2話
- 鵜野屋直右衛門
- 演 - 榎木孝明
- 常磐町の生薬屋「鵜野屋」の大旦那。
- 鵜野屋直助
- 演 - 阿部進之介
- 「鵜野屋」の若旦那。
- お梅
- 演 - 松本妃代
- 「鵜野屋」の女中。
- お絹
- 演 - 黒沢あすか
- お梅の母。
- 佐助
- 演 - 六角慎司
- 「鵜野屋」の番頭。
- お加世
- 演 - 中村映里子
- 直助の先妻。
第3話・第4話
- 山賀貝弦(やまが かいげん)
- 演 - 尾美としのり
- 金持ちだけを診察する医者。
- おふね
- 演 - 水谷果穂
- おいちの幼なじみ。
- お松
- 演 - 芋生悠
- おいちの幼なじみ。
- 江上
- 演 - 渡辺邦斗
- 山賀の門弟。
第5話・第6話
- 吉兵衛
- 演 - 升毅
- 小間物問屋「いさご屋」の大旦那。二人の息子がいる。
- 庄助
- 演 - 平埜生成(少年時代:岩川晴[7])
- 「いさご屋」の若旦那。
- およし
- 演 - 穂志もえか
- 「いさご屋」の元女中。
- お久
- 演 - 荻野友里
- お京の乳母。
- お富
- 演 - 黒田こらん
- 吉兵衛の妻。
- 弐助
- 演 - 脇知弘
- 番頭。
- お京
- 演 - 兒島百那[8]
- 幼くして亡くなった庄助の姉。
第7話・最終話
- おきく
- 演 - 銀粉蝶
- 薪炭屋「吾妻屋」のご隠居。
- 藤吉
- 演 - 吉田ウーロン太
- 「吾妻屋」の主人。
- お稲
- 演 - 中島亜梨沙
- 藤吉の妻。
- 杉野小十郎
- 演 - 須賀健太
- 滝代を探す侍。
- 滝代(たきよ)
- 演 - 湯川ひな
- 十助を産んだのち殺される。
- おすえ
- 演 - 三谷悦代[9]
- 十助のとりあげ婆。
- お蔦
- 演 - 枝元萌[10]
- おいちの長屋の住人。
- 巳助
- 演 - 瀬口寛之
- おいちの長屋の住人で、おしまの亭主。
- 杉野小十郎の兄
- 演 - 佐織迅
スタッフ
放送日程
話数 |
放送日 |
サブタイトル |
演出
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第1話 |
09月01日 |
医者見習い |
岡田健
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第2話 |
09月08日 |
鬼
|
第3話 |
09月15日 |
秘密 |
船谷純矢
|
第4話 |
09月22日 |
父、松庵
|
第5話 |
09月29日 |
姉 |
西谷真一
|
第6話 |
10月06日 |
こころの奥
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第7話 |
10月13日 |
消えた母親 |
岡田健
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最終話 |
10月20日 |
命をつなぐ
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2010年代前半 (2011年 - 2014年) |
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2010年代後半 (2015年 - 2019年) |
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2020年代前半 (2020年 - 2024年) |
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2020年代後半 (2025年 - ) |
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(*1) 後に地上波で放送。 (*2) アンコール放送。(*3) 一部アンコール放送
カテゴリ |
脚注
外部リンク