この日のチャイムを忘れない
『この日のチャイムを忘れない』(このひのチャイムをわすれない)は、SKE48の1枚目のオリジナル・アルバム。2012年9月19日にavex traxから発売された。 SKE48としては、各チームが行う劇場公演での楽曲を収録したアルバムを2010年2月 - 2012年3月にかけて計4枚リリースしていたが、グループ全体としてのアルバムは結成4年目にして初となった[3]。 背景このタイトルには、「チャイムが始まりと終わりを知らせるように、このアルバムが一つの集大成であり、ここからまた始まるという節目の時間を忘れないようにしよう」という思いが込められている[4][5][6]。 「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」と称するDVD・ブックレット付きの盤と「通常盤」の2種類がリリースされた。収録曲数は前者が14曲、後者が15曲である。そのうち13曲は両盤で重複し、残りは前者に1曲、後者に2曲それぞれ異なるカバー曲が収録されており、全部で16の楽曲が収録されていることになる[1]。 まず、2009年8月のデビュー・シングル「強き者よ」から2012年1月の「片想いFinally」までの8つのシングル表題曲が、リマスタリングを施した上、収録されているが[1]、「強き者よ」は原盤権をランティスが所持していることから、歌詞カードに「Licensed by Lantis Inc.」の表記が、「青空片想い」から「バンザイVenus」までの4曲については原盤権を日本クラウンが所持していることから、歌詞カードに「Licensed by Nippon Crown Co., Ltd.」の表記がある。2012年5月16日発売の「アイシテラブル!」と、このアルバムと同日発売の「キスだって左利き」は未収録。ただし、ミュージック・ビデオには「アイシテラブル!」から2作品が収録されている。 5つのアルバム曲は、SKE48を構成する「チームS」「チームKII」「チームE」「研究生」の4組に1曲ずつ、そしてこれまでシングルのカップリング曲で採用されてきた8人選抜の「セレクション8」に1曲が充てられた[1]。チームEが歌う「みつばちガール」は、チームE名義としては初のオリジナル曲となった。「セレクション8」のメンバーは、6th - 8thシングルカップリング曲の「セレクション8」と類似した構成となっている。なお、発売前に卒業を発表していたチームSの平田璃香子と、2012年8月24日にAKB48との兼任を開始したチーム未定の北原里英を除いて、SKE48の全メンバーが5つのアルバム曲のどれかに参加している。 そして、AKB48の「ポニーテールとシュシュ」「ヘビーローテーション」「Beginner」の3曲をカバー。これは「AKB48の有名曲を歌うことで、より一層多くの方にSKE48のアルバムを聴いてほしい」というファン拡大の狙いだという[7]。なお、「Beginner」はカバー曲だが松井珠理奈、松井玲奈の2人はオリジナル版にも参加している。 このように、発売済みの楽曲が大半を占めることから、公式サイトやレーベルの解説は、オリジナルアルバムだが「ベスト・アルバム的な内容」と紹介している。このアルバムは、総合的にはポップソング、音楽誌Allmusicによるとポップ・ロックに分類されている[8]。 また、「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」のDVDには、63種類のミュージック・ビデオが収録されている。これは、制作時のメンバー63人が1人1曲ずつ担当し、それぞれ別の楽曲・別の監督で独自に制作されたものである[1]。ミュージック・ビデオに使用されている楽曲は、発売までに発表済みのSKE48の楽曲または、SKE48がAKB48の演目を用いて行ったことがある劇場公演の楽曲で、全てSKE48にゆかりのある楽曲である。 なお、CDの特典として、2版それぞれの初回生産分に限り『この日のチャイムを忘れない』発売記念イベント応募券と生写真(全63種類から1枚)が、また「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」の初回生産分に限りブックレット(68頁)が、それぞれ添付された[9][10][11]。 リリースアルバムのリリースは、2012年7月31日のチームEの劇場公演にて初めて発表された[12]。同日、「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」に収録されるミュージック・ビデオのうち松井珠理奈、松井玲奈、高柳明音の3人の曲名とともに、その概要が発表された。10thシングル「キスだって左利き」との同時発売であり、「より多くの人にSKE48を知ってもらえれば」という意図があったと報じられている[7][13][14]。メンバーはこれと別に、ミュージック・ビデオの撮影中にアルバムの発売を知らされたという[15]。アルバムのタイトルと収録曲は8月28日に発表された[16][17][18]。 初収録曲の配信についてもCDリリースと同日に開始されているほか、63種類のミュージック・ビデオについても配信が行われている[19]。 プロモーションキャッチコピーは「学校のチャイムを聴くと、キュンとするのはなぜだろう?」[10]。 発売に際して、地元名古屋の主要駅の名古屋駅やSKE48劇場の最寄り駅である栄駅にて、ジャケット写真や各メンバーの手書きメッセージ・サインを用いたポスターが柱面や壁面に掲示されたほか、街頭でも掲示されるなど、広告展開が行われた[20]。 SKE48がレギュラー出演している東海ラジオの番組「SKE48 1+1は2じゃないよ!」ではシングル発売後、日替わりで出演する2人のメンバーがアルバムのキャッチコピーを考える企画「キャッチーなキャッチコピーをつけちゃうぞ大作戦」を10月中旬から12月上旬まで行った[21]。 このアルバムと10thシングルの「同時発売を記念する」形で、音楽専門チャンネルスペースシャワーTVプラスは「2時間まるごとSKE48!スペシャル」と題し、収録曲のミュージック・ビデオ、インタビュー、対談、リリース日のキャンペーン密着などで構成される特別番組を制作、2012年11月に放送し数回のアンコール放送を行った[22]。また同様にMUSIC ON! TVのM-ON! MONTHLY ICONでも2012年9月の月間特集アーティストとしてSKE48を取り上げ、特別番組やアルバムリリース記念のミュージック・ビデオ特集などを放送した[23]。 特典企画アルバムの特典企画として、「SKE48 特別授業」と称するファン向けの応募イベントが行われた。「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」と「通常盤」それぞれの初回生産分に封入されている応募券を用いて抽選を行い、当選者は希望するメンバーの隣の席に座りミュージック・ビデオを鑑賞、終了後にメンバーとの写真とサインを添えた「卒業証書」を受け取るもので、それぞれメンバー1名につきファン1名として、名古屋・東京・大阪の3か所で開催した。また、前記イベントに当選しなかったときのダブル・トリプルチャンスとして、色紙やフォトブック、写真撮影会招待券のくじ付きクリスマスカードが当たる企画が実施された[24][10]。 アートワーク「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」と「通常盤」の2つのジャケット写真があるが、これは63人のメンバー全員を写したものである。「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」はメンバー全員が1カットに収まった写真で、「通常盤」は細かくモザイク状に分けたジャケット上にメンバー一人ずつの顔のカットを全員集めた形となっている。テーマは「ネオ80年代」のファッションで、当時のファッションを「今風にアレンジ」した「往年のアイドルのような」色彩豊富な衣装が用いられている[16][17][18][9]。 「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」付属のブックレットも、表紙は「往年のアイドル雑誌」をモチーフにしたもので、松井珠理奈、松井玲奈、高柳明音の3人が担当している。ブックレットには各メンバーのミュージック・ビデオ撮影時に撮られた写真などが収録されている[4][5][16][17][18][9]。 音楽性と批評オリコン、ジョイサウンドおよびリッスンジャパンが掲載したメンバーへのインタビュー(※一部語尾・語体を修正)では、シングル収録曲について「曲ごとに、…(略)いろんな思い出がよみがえってきた」(松井玲奈)、「歴史を感じられて、メンバーもこれまでの出来事を思い出す」(古川愛李)、「苦しい思いもたくさんしてきたが、そのひとつひとつが今振り返ると大切な思い出で、そういう思いが詰まったアルバムになった」(小木曽汐莉)など、多くはこれまでの活動などの追憶を通して語られているほか、「ずっと応援してくださってる皆さんはきっと、…(握手会の事などを)思い出してもらったり、私たちの成長を感じてもらえると思う」(松井珠理奈)とも語られている。また「拗ねながら、雨」は「今までにない新しいタイプで、新たなSKE48の一面を感じてもらえる」(高柳明音)一方、「ポニーテールとシュシュ」「みつばちガール」など「思い切りアイドルアイドルした曲」(松井玲奈)も入っているといい、「いろんな要素がこのアルバムには入っているし、それがそのままSKE48の魅力だと思う」(小木曽汐莉)など収録曲の多様さも語られている。また個々の収録曲では、「叱ってよ、ダーリン!」の歌詞について、女の子の彼への気持ちを歌った「ちょっと小悪魔チックな歌」(高柳明音)と語られている[15][25][26]。 専門家によるレビューでは、CD収録曲を総括して、「SKE48入門編としても十分に機能する」(杉岡祐樹)、収録曲の多様性から「ファンのみならずライトなリスナーにも満足のいく内容」(南波一海)、「入門編的な色合いが強い」(北野創)など、SKE48の曲をあまり聞かないリスナーに(も)向いているとの意見が多く見られる[2][27][28]。ビルボード(Billboard JAPAN)の杉岡祐樹は、全体として「ファンが活動を思い出して懐かしんだり」「初期作の性急な4つ打ちが変化していく過程も垣間見れたり」すると評している。楽曲では「叱ってよ、ダーリン!」「みつばちガール」については作曲・編曲の後藤次利のイメージを挙げて「求心力の高いメロディの破壊力は健在」とも評している[27]。ローリング・ストーンの南波一海は、改めて聴くと「徐々にかわいらしい歌い方を獲得していく以前の、初期の曲のヴォーカルが個性的で面白い」と評している[2]。タワーレコードの北野創は、楽曲では「叱ってよ、ダーリン!」は「おニャン子チックな」曲、「拗ねながら、雨…」は「チョッパーベースがブイブイ唸る」曲と評している[28]。 チャート成績『この日のチャイムを忘れない』は、発売前日(集計初日)の2012年9月18日付オリコンデイリーアルバムチャートで推定売上枚数約5万2000枚を記録し、初登場で1位にランクインした[29]。また、同日付のオリコンデイリーシングルチャートでは本アルバムと同日に発売された「キスだって左利き」が初登場で1位となり、SKE48の作品が両チャートで同時に1位にランクインしている[30]。 その後、2012年10月1日付オリコン週間アルバムチャートでSuperfly『Force』に次ぐ初登場2位にランクインした。初動売上は約11万1000枚であった[31]。また同チャートへのランクイン回数は通算17回となっている[32]。 2012年のオリコン年間アルバムチャートでは推定売上枚数約14万4000枚を記録し、40位にランクインした[33]。オリコンのレポートによると、2012年度中の売上は6億9000万円であった[34]。 Billboard JAPANのチャートにおいては、2012年10月1日付のTop Albumsで2位にランクインした[35]。 サウンドスキャンジャパンのチャートにおいては、2012年9月17日 - 23日調査分の週間CDソフト アルバムランキング TOP20で「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」が推定売上枚数8万9000枚を記録し、『Force』の初回盤を上回って1位にランクインした[36]。 週間チャート
月間チャート
年間チャート
受賞記録ミュージック・ビデオ初収録の5曲はミュージック・ビデオが制作されていない。一方、「63人それぞれの想い 〜Short music video of 63 members〜」と題してメンバー毎の計63種類のミュージック・ビデオが制作され、「初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)」に特典のDVDとして付属している。63種類ものミュージック・ビデオ制作は前代未聞とも報じられ、その経緯については、「メンバーそれぞれの顔と名前、魅力をより知って欲しい」という制作側の意図があった[7][6]。楽曲は、メンバーに対して行われた「思い入れのある曲」に関するアンケートを基に重複しないよう選定され[25]、それぞれのメンバーにちなんだものが多い[14]。またそれぞれのミュージック・ビデオの趣向も、コメディタッチ、物語風、メンバーのイメージビデオなど、多様である[25]。 なお、『この日のチャイムを忘れない』は「最もミュージック・ビデオが多く入ったアルバム」として2012年にギネス世界記録に認定された[24]。 また、63種類のミュージック・ビデオにあわせてそれぞれのパターンのコマーシャルも制作され、通常の2パターンと合わせて、計65パターンのコマーシャルが制作された[40]。 ライブ・パフォーマンス初収録のアルバム曲5つのうち、「フラフープでGO!GO!GO!」「叱ってよ、ダーリン!」「みつばちガール」「その先に君がいた」の4曲は、2012年10月5日に行われたZepp Nagoyaでのコンサート「劇場デビュー4周年記念公演」で初めて披露された。このコンサートでは、SKE48のこれまでを振り返るような構成曲の前半に続けて、中盤に「明日からの5年目に向けて決意を現した曲」(運営会社AKSの公式レポートによる)として4曲続ける形で披露された[41][42]。 また、もう1つのアルバム曲「拗ねながら、雨…」は、同年11月11日 - 12日にZepp Nagoyaで行われたコンサート「SKE48リクエストアワー セットリストベスト50 2012〜神曲かもしれない〜」の1日目で、ファン投票45位にランクインした曲として、初めて披露された。なお、このコンサートではアンコールで先述のアルバム曲4曲も披露された[43][44]。 収録曲初回限定フォトブック仕様(Album+DVD)
通常盤
歌唱メンバー
脚注注釈出典
参考文献
外部リンク
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