しょうなん (海洋観測艦)
しょうなん(ローマ字:JS Syonan, AGS-5106)は、海上自衛隊の海洋観測艦[1]。艦名は湘南(景勝地)に由来する。建造費は約188億円[2]。 設計本艦は、2000年代末の除籍が予定されていた「ふたみ」(51AGS)の代替艦として建造された。設計面では、先行する「にちなん」(08AGS)の改型とされ、船型も同じ長船首楼型であるが、建造コストの低減が重視された結果として、あらゆる面で大幅な再検討が行われた。この結果、船体設計は商船構造とされている[3]。 外見上の最大の変化としては、艦首のバウ・シーブの廃止がある。これは、水中音響機器やケーブルの敷設・保守を目的として、ふたみ型で採用されて以後、「にちなん」でも踏襲されてきたものであるが、ケーブル・エンジンやケーブル庫、艦首側クレーンなどもあわせて廃止されたことで、かなりの構造・艤装の簡略化につながった。バウ・シーブの廃止に伴って艦橋高さの要求が緩和され、上部構造物は「にちなん」よりも1層低い2層とされている。また上部構造物後部両舷には、「にちなん」と同様に大型の減揺タンクが設置されている。一方、艦尾甲板は「にちなん」と同様に観測甲板とされており、左舷中部には中折式クレーンを、艦尾にはAフレーム・クレーンを備えている[3]。 主機関は「にちなん」と同様にディーゼル・エレクトリック方式、また艦内サービス用発電機とも共用化した統合電気推進とされている。一方、推進器は360度旋回可能なポッド式のアジマススラスターに変更された[1]が、これは海上自衛隊の艦船の主推進器としては初の採用であった。これとバウスラスターをあわせて、優れた艦位保持能力を備えている[4]。 装備海洋観測装置一般海洋観測のため、自記表層水温塩分計、海底設置型超音波多層流向流速計、水温記録装置、CTD観測装置、係留式自記流向流速計などを装備している。また海中音響観測のため、音響環境測定システム、曳航式音源装置、観測用測位装置などを装備している[1]。 海洋測量装置としては、艦橋下方の艦底に設置されたマルチビーム式測深儀をはじめとして、採泥器等を装備している[1]。 これらの観測データおよび採取標本の処理・分析のため、03甲板レベルの艦橋後方に第1観測室を、また第1甲板後部に第2観測室を設けている。このうち、第2観測室は海中・海底から採取したサンプルを扱う、いわゆるウエット・ラボラトリーとされている[1]。 搭載艇煙突両脇の船楼甲板上に搭載艇用のダビットを備えており、左舷側に11メートル作業艇を、右舷側に複合型作業艇を搭載している[1]。 艦歴「しょうなん」は、中期防衛力整備計画に基づく平成19年度計画3,200トン型海洋観測艦5106号艦として、三井造船玉野事業所で2008年12月16日に起工され、2009年6月29日に三井造船玉野事業所艦船工場5号船台にて挙行された命名・進水式において防衛大臣政務官岸信夫により「しょうなん」と命名され[5]進水した[6]。同年12月2日、公試開始。2010年3月17日に就役し[7]、海洋業務群に直轄艦として編入された。定係港は横須賀。 2015年12月1日、海洋業務群が海洋業務・対潜支援群に改編され、同群隷下に新編された第1海洋観測隊に編入された。定係港は変わらず。 2016年4月23日午前3時頃、仲ノ神島南南西65kmと与那国島南南東74kmを太平洋から東シナ海に向け北に航行する中国海軍の江衛Ⅱ型フリゲート「嘉興」、「連雲港」、福池型補給艦「高郵湖」を発見、監視した。その後午前7時30分頃に与那国島北北東45kmで接続水域外に出た。
登場作品漫画
脚注
外部リンク |
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