「H.I.S. 」や「H.I.S 」はこの項目へ転送 されています。その他の用法については「HIS 」をご覧ください。
株式会社エイチ・アイ・エス (英 : H.I.S. Co., Ltd. )は、東京都 港区 虎ノ門 に本社を置く、旅行業法 に基づく大手旅行業者 である。
概説
代表取締役会長 兼社長 (CEO )は澤田秀雄 。
「ツーリズム を通じて、世界の人々の見識を高め、国籍 ・人種 ・文化 ・宗教 などを超え、世界平和 ・相互理解の促進に貢献する」という企業理念のもと、海外旅行 および国内旅行 の企画・販売・手配を行う総合旅行会社 。
旅行業界のベンチャー として、格安航空券 をはじめ、オーストラリア でのホテル 事業、また1996年 には航空会社 ・スカイマークエアラインズの設立 を発表(1998年 定期運航開始。その後グループ外となり「スカイマーク 株式会社」に社名変更)するなど、新たなチャレンジを繰り返してきた。
日本 国外への格安航空券の販売が主であるが、現社名に変更された1990年 ごろから自社企画の海外パッケージツアー 商品も販売するようになり、グループのホテル なども持つようになる。
2009年 時点では格安航空券のほか、日本国外を主体とした比較的価格の安いパッケージツアー 商品、フリープラン 商品 を中心に発売している。国外への格安航空券の販売で拡大してきた背景上、国内旅行の取扱いが極端に少なく、また国内旅行の取扱いが可能な営業所も少ない。
日本の大手旅行会社の中では、このH.I.S.と農協観光 、JTB は鉄道会社系ではない(JTBはその設立に国鉄が深くかかわった経緯があるためJR各社が株主であるが、当初より国鉄とは別法人であることから、系列やグループ企業にはあたらない)。
2015年4月現在、日本国内には北海道から沖縄まで計305店舗の営業所(直営ではない「特約代理店」を含む)があるが、山陰地方 には営業所は存在しない。
日本国外には128都市187拠点のネットワークを有しており(2015年4月現在)、6大陸すべてに拠点を構える数少ない旅行会社である。
バリ島 (インドネシア )やプーケット島 (タイ )といった新興リゾート地のシェアはJTBを含め、日系旅行会社の中で群を抜いてトップである。ハワイ などの伝統的な観光地のシェアも近年では高いシェアを誇る。
なお、社名のH.I.Sについては諸説があり、主に以下の説が有力説となっている。
チケットのブランド名が当時、「Hide International Service」であったから。なお、「Hide」とは、創業者である澤田秀雄の「秀」を意味する。
スローガンが当時、「Highest International Standards」「最も優れた世界標準」であったから。
航空会社
2012年12月4日、タイ に国際チャーター便専用の航空会社を設立したと発表した[ 2] 。社名は当初、アジア・パシフィック・エアラインズを予定していたが、アジア・アトランティック・エアラインズ として設立された。2013年 7月 から、中型機であるボーイング767-300ER 2機で運航する。2017年にアジア・アトランティック・エアラインズが第三者割当増資を行ったことにより、連結の対象から外れている[ 広報 1] 。
ブランド
秀インター - 同社の一番の強みである、航空券 単体での販売ブランド。「秀」は現会長・澤田秀雄の名に由来する。
Ciao(チャオ) - 航空券と宿泊および現地送迎など、旅の基本パーツがセットになったパッケージツアーブランド。自由旅行が主体で、一番の売れ筋商品。キャッチフレーズ は「我がまま、気まま、チャオな旅」。
Ciaopresso(チャオプレッソ) - 2009年から新たに登場したブランド。Ciaoの中でも観光や食事が組み込まれた充実コースを分離・単体化させた。後述するimpresso同様、価格保証を敷いている点に特徴がある。
Premium Ciao(プレミアム・チャオ) - Ciaopressoとともに登場した新ブランド。ゆとりやこだわりを重視し、値段設定が高めに設定されている。
impresso(インプレッソ) - 添乗員 が同行するツアー。あらかじめ食事や観光が組み込まれている。ホテルのランクアップなど、ほとんどのプランでアレンジが可能であるほか、価格保証を敷いている。2007年には、ゆとりとこだわりを重視した"impresso PREMIUM(インプレッソ プレミアム)"を販売開始。
Extage(エクステージ) - 全コースビジネスクラス ・ファーストクラス 利用、プライベート感を重視した専用車送迎、ラグジュアリーホテルを厳選した、ワンランク上のパッケージツアーブランド。格安旅行のイメージの強いH.I.S.にあって異色のブランドといえるが、こちらの人気も根強い。プライベートジェット なども取り扱っている。
Worldwide Hotels(ワールドワイドホテルズ) - ホテル単体での販売ブランド。「秀インター」と合わせて手配することも可能で、自由な組み合わせが可能。ツアーの送迎は要らないといった顧客からのニーズも高い。公式サイトからは、24時間オンライン予約が可能。
かいと - 国内旅行のツアーブランド。航空機またはバスを利用したプランが中心。人気アーティストのコンサートイベントと観光を合わせたプランなども積極的に展開。JR利用プランは近畿日本ツーリストグループ の「メイト」との共同商品が多く、当該プランでの契約乗車票(いわゆる「マル契」)はH.I.S.では基本的にJRの乗車券類を取り扱っていない[ 注釈 1] ため、近畿日本ツーリストのマルス 端末で発券されることから、受取に日数がかかる。また、国内旅行を取り扱っているのは大型店舗に限られている。
No.1 TRAVEL(ナンバーワントラベル) - 日本在住の外国人向け海外航空券ブランド。新宿・池袋・横浜・大阪・名古屋・福岡の店舗は原則「ACROSS No.1 TRAVEL」ブランド(H.I.S.が吸収合併した旧エーティービー の店舗)でH.I.S.直営、渋谷・関内の店舗は「No.1 TRAVEL」ブランドで子会社のナンバーワントラベル渋谷が運営。
沿革
2019年10月31日までのコーポレートロゴ 出典:第38期有価証券報告書 (2018年10月31日現在)
営業所・支店
グループ会社
2021年 10月31日 現在でグループ会社数:全204社である。
旅行事業
テーマパーク事業
ホテル事業
地域事業
九州産業交通ホールディングス株式会社 - 九州産交グループの統括
株式会社オー・ティー・ビー - HISグループ初の貸切バス部門。2013年7月の「新高速バス制度」施行に伴い高速バス事業に参入、オリオンバスより乗合移行した「O.T.Bライナー」(後に旧ツアーバス時代の名称である「オリオンバス」に改称)の運行事業者となる。
ロボット事業
エネルギー事業
H.I.Sエネルギーホールディングス株式会社 - エネルギー事業を統括
H.I.S SUPER電力株式会社 - 再生可能エネルギーを用いた発電・電力供給
保険事業
他事業
変な商社株式会社 - H.I.S.グループ内全事業へのサポート
株式会社エス・ワイ・エス - 宿泊施設の直販支援サービス
H.I.S.Mobile 株式会社 - 通信事業
ほか
かつての子会社
かつての持分法適用関連会社
不祥事
トルコツアーバス事故
労働問題
2017年 に、従業員に違法な長時間労働をさせ、労働局による再三の是正勧告にも従わなかったとして、書類送検される。2018年 6月に、労働基準法 違反の罪で有罪判決。
ハワイ挙式260組が中止
2018年 9月28日 、H.I.S.が企画したハワイでの挙式プランやツアーについて式場の建設工事遅れで急遽中止したことを明らかにした。2018年9月から2019年 9月までの予約分260組が対象。代金を全額払い戻し、代替プランを提案。H.I.S.は観光庁 に事実関係を報告。H.I.S.は返金とともに見舞金を支払う。利用客の大半は別の式場で挙式に変更したという[ 11] 。
リクルート株投資50億円詐欺事件
2019年3月14日、同社会長兼社長澤田秀雄 の金庫番の「リクルート株投資」をめぐる民事訴訟 の初公判 が開かれた。澤田秀雄 の「リクルート株投資」は、2018年5月から取引が始まり、50億円が同社が筆頭株主のハウステンボス から振り込まれた。澤田秀雄 は2019年3月1日、同社株を120万株売却、約53億円を得て[ 12] ハウステンボス との債権債務を解消した。上場を公表しているハウステンボス [ 13] との利益相反取引を疑わせる部分もある。
子会社2社がGo To トラベルで不正受給
2021年12月、子会社であるジャパンホリデートラベル とミキ・ツーリスト が2020年10月ごろに社員などの名前を無断使用して約60〜70連泊前後の契約をホテルとの間で行い、当時日本政府 が行っていたGo To トラベル の給付金を不正に受給していたことがTBSテレビ によるスクープで判明した[ 14] [ 15] 。このことを受けて、H.I.S.は調査委員会を設置すると共に同年12月13日に予定していた同年10月期の決算発表を延期した[ 15] 。
その後、2021年12月24日に社内調査委員会は報告書を発表し、ホテル運営会社のJHAT が主導する形で実態のない宿泊を申請し、最大で6億8000万円分を不正受給していた可能性があると発表した。これを受けて、H.I.S.はミキ・ツーリストの社長を解任するほか、Go To トラベル事業が再開しても子会社2社は参画させない方針を明らかにした。また、国土交通大臣 の斉藤鉄夫 もH.I.S.子会社2社とJHATに対し、給付金の返還請求を行うことを表明した[ 16] [ 17] [ 18] 。
雇用調整助成金の不適正受給
2025年1月27日、雇用調整助成金 を不適切に受給していたとして、約62.5億円を国に返還すると発表した。新型コロナの感染拡大に伴い2020年3月から2022年12月に約242億円を受給したが、社員の一部は休業中に自宅から顧客にメールを送信するなど業務を行っていた。2024年4月に会計監査人に情報提供があり、不適切な受給が発覚したという。矢田素史社長は「メール1通でも勤務にあたるという認識を持っていた者は多くなく、経営陣の指導や助成金制度の理解が足らなかったと反省している」と謝罪した[ 19] 。
同年3月31日、矢田素史社長の報酬を5か月間、50%減額するなど、役員4人の報酬を減額する処分を発表した[ 20] [ 21] 。
テレビ番組
日経スペシャル カンブリア宮殿 (テレビ東京)
あくなき挑戦と突破力 ~壁を破る快感~(2006年8月14日)[ 22] 。
700回記念SP 絶体絶命のピンチに挑む"逆境のプロ" 最大の危機は最大のチャンスだ!(2020年9月10日)[ 23] 。
その他
海外旅行経験が入社の条件の一つとなっている。
国内のJRや私鉄の乗車券類は取り扱っていないが、JR利用パッケージツアーは取り扱っている。
毎年1月に開催される「初夢フェア」をはじめとしてフェアやセールなどが多い。小規模なものを含めると月2回ほどのペースで行われている。
2009年 7月にフジテレビ系列 で放送された『FNSの日26時間テレビ 2009 超笑顔パレード 爆笑!お台場合宿!! 』では、恒例イベントとして開催しているFNS局対抗戦の2009年版として開催した「FNS27局対抗!三輪車12時間耐久レース」の優勝賞品としてH.I.S.が贈るイタリア旅行が懸けられていた。正式名は「海外旅行業者のH.I.Sが贈る日本で唯一のオフィシャル権公認ツアー『映画・アマルフィ のロケ地と4つの世界遺産 を回るイタリア周遊8日間の旅』」であった。一部の視聴者からはRoad to ITALY と言われるほどに大会は人気を博して翌年の2010年 も開催が決定した。
2007年 3月20日 には、スルガ銀行 と共同で「ワールドキャビット」を発行開始。これは、スルガ銀行で既に発行している「SURUGA VISAデビットカード 」がベースとなっており、申込は、エイチ・アイ・エス側に対して行う(同時にスルガ銀行マイ支店 の口座開設手続きを行う)。ただし、商品性は大きく変わらない[ 広報 14] 。
自社発行の「スカイウォーカーカード」で支払うと、ポイントが貯まり、一定ポイントでH.I.S.商品券と交換できるほか、一般クレジットカード に関しては、従来オンラインでしか取扱いができなかったが、2008年 6月から予約センター、大型店舗など、オンライン以外でも順次取り扱いを開始している。
千葉商科大学 サービス創造学部の公式サポーター企業
2019年8月、ホテルへの集客などでシナジー効果を見込み、不動産業やホテル業を手掛けるユニゾホールディングス に対してTOB (株式公開買い付け)を表明するも、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ からの対抗TOB 表明を受けたことから、不成立に終わる。
脚注
注釈
^ JRの乗車券類委託販売基準規程にH.I.S.は記載されていない [要出典 ] 。
出典
広報資料
関連項目
外部リンク