ストリートピアノ
![]() ストリートピアノ(英: street piano)とは街中・街角などの公共の場所に設置された誰でもが自由に弾ける状態のピアノの通称。「街角ピアノ」ともいう[1]。音楽を通じて人と人のつながりを生み出すといった趣旨を込めて設置されている。鉄道駅に設置されるものは「駅ピアノ」、空港に設置されるものは「空港ピアノ」とも称される[2]。ストリート(街角)とあるが、建物のロビースペースなど、設置される場所はそれより幅広い。公共の場所に設置されていても、演奏するために許可が必要な物はストリートピアノとは呼ばれない。誰でも演奏は出来るが、設置された区画に公共性が無い場合はストリートピアノとは呼ばれない。 発祥![]() 「ストリートピアノ」の発祥については諸説あり、2003年(平成15年)にイギリスのシェフィールド(Sheffield)で引っ越し時に新居の階段を運び上げることができず、家の通りのシェフィールドのシャロウ・ベール・ロードの歩道に一時的に野外に放置されていたピアノに由来するという説[2]がある。ピアノ所有者が道行く人々に無料で自由にピアノを弾くように看板を取り付けたところ、多くの人たちに受け入れられ、ピアノは地域社会の交流で評判を呼んだと言う.他にもイギリスのバーミンガムが発祥とする説[1]もある。イギリスのバーミンガムのストリートピアノ説は2007年(平成19年)にイギリスのアーティストのルーク・ジェラム(Luke Jerram)が一番最初の「Play Me, I'm Yours」活動で15台のピアノを公共の場所に設置したのが始まりである。 2008年(平成20年)、イギリスのアーティストのルーク・ジェラム(Luke Jerram)がアートインスタレーションの一環として「Play Me, I'm Yours」という世界中の様々な都市を訪れ、2018年までに世界中の街中にストリートピアノを設置するアート活動を開始した[2]。彼のこの活動は、公共スペースでの特別な取り決めなしに音楽を演奏する事のルールや規制による禁止や所有権に対し疑問を呈し、一般の人々が自由に音楽演奏が出来るようにし、一般市民が都市環境に関与し活性化して所有権を取得する事を目的にしているとい言う。そして演奏のスキルや人気があるなし関係なく道行く一般の誰もが、ピアノを使用出来てピアノを通して人と人、人と街のコミュニケーションとしての繋がりが出来る様にと言う意味が込められていると言う。ルーク・ジェラムのこの活動に賛同する地元のアーティストや組織や個人の人たちのボランティアにより、ニューヨークや東京など世界60以上の都市の公共の場所に2000台近くのカラフルにペイントされた様々なピアノが置かれ大反響を呼んだ。 日本以外
日本歴史日本におけるストリートピアノの始まりは、2011年(平成23年)3月12日の九州新幹線全線開業を間近に控えた鹿児島市の鹿児島中央駅前の商店街に設置された2台の「ラッキー・ピアノ」である。設置に至った背景としてまちづくり団体「鹿児島まち自慢快発考舎」が毎月1回実施していた物産展において、ストリート・オルガンを置いたところ、予想以上の盛り上がったことと、イギリスにて「Play Me, I'm Yours」というストリートピアノのツアーが行われていることをインターネットで知ったことで、商店街にもストリート・ピアノを常設しようというアイディアが生まれた。ピアノを求める同団体の呼び掛けに引っ越し予定の家庭が応じ、2010年(平成22年)12月26日に行われた寄贈式後に修理やタラデザイン専門学校の生徒によりカラフルな彩色が施され、2011年2月26日に日本も含めたアジアで初めてのストリートピアノ「ラッキーピアノ」2台が、同団体による「Lucky Piano 家庭で使われなくなったピアノをはじめ、公共施設や教育施設の統廃合、あるいは更新のため余剰となった古いピアノをボランティア団体や学校法人などが寄贈し、駅や公共施設などの屋内や、アーケードなどの屋外に設置する場合や、民間企業が広報活動の一環として設置する場合がある[9]。あるいは映画のキャンペーンに既設や新設のストリートピアノが活用されることもある[注釈 2]。設置にあたっては、ピアノ本来の色のまま或いは若干の装飾のみで設置されるほか、近隣の学生・生徒・児童などによる彩色が施されることもある。設置されているピアノは一般的な物で有るため、定期的な調律やメンテナンスが必要であるが、設置場所の管理者あるいはボランティアの協力により行われている事が多い。 2019年(平成31年)からはNHKにおいて、「駅ピアノ」「空港ピアノ」「街角ピアノ」といった番組名で、世界各地の空港や鉄道駅や街角にあるストリートピアノを定点カメラで収録した映像による番組が放送されている。 2023年8月時点で全国で600ヶ所以上設置されている。2018年以降設置数急増の背景としてハラミちゃんやよみぃなどのストリートピアノを弾いてみたなどの動画を投稿しているYouTuberによる影響で、ストリートピアノの存在が広く認知され、活性化などを目的として全国的に設置数が増えたと思われる[10]。 禁止・制限行為ピアノの有無にかかわらず、一般的にその場所での規則が適用される。チラシ配布、宣伝告知/勧誘、販売、ドネーション(投げ銭)、ライブ配信などの営利行為は原則禁止。新型コロナウイルス感染症の流行前後には飛沫の飛散防止目的で歌唱行為(弾き語り)そのものも禁じているところが多かった。写真および動画の撮影も設置された区画の規則に準ずるが、ピアノ演奏の様子に限り許可されている場合もある[11]。撮影の際は見学者や通行人が映らないように配慮を求められるが、演奏者の関係者があえて通行人映そうとした例も見受けられため設置者が自撮り用スマホスタンドを用意した場所もある[10]。 ピアノの連弾や持ち込み楽器による合奏および合唱もピアノが設置された区画では、禁止または管理者による許可制とされている事が多いので、これらを希望するの場合は事前に確認が必要である。 強く弾いたり同じ曲を繰り返し弾くなどは迷惑行為としているところもある[12]。運用時間を超えての演奏や飲酒しての演奏、合唱しながらの演奏などマナー違反が相次いだ加古川駅のストリートピアノは2022年11月の設置から約半年で撤去された。マナー違反の苦情対応策として、ピアノに音量を抑える器具の設置や、市職員が利用者に直接注意することもあったが、改善されなかった[13]。 さらに、運営者によっては中上級者のみを想定しているなどの制限が設けられている場合がある。2025年3月22日、大阪市住之江区の大型商業施設ATCシーサイドテラス内に設置の南港ストリートピアノ運営者より「こんな掲示はしたくなかった、、というのが正直な気持ちです、、『練習は家でしてください』 こんなこと書かなきゃいけないなんて想定外でした。このままだとこのピアノを撤収せざるを得ない状況です」といった声明文をSNSにて公表し、ネット上では賛否両論分かれる事態となった[14]。GACKTなど著名人も抗議を表明する事態になり、ピアノは撤去された[15]。 設置場所
脚注注釈
出典
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia