スーパーマン (架空の人物)
スーパーマン(Superman)は、DCコミックスの出版するアメリカン・コミック『スーパーマン』に登場する架空のスーパーヒーロー。ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターによって創造され、1938年に登場した。 概要スーパーマンはジェリー・シーゲルとジョー・シャスターによって創造され、アクション・コミックス誌第1号(1938年6月30日)で初登場した[1]。ラジオ番組、コミック・ストリップ、テレビ番組、映画、コンピュータゲームなど様々なメディアに登場し、アメリカンコミックにおけるスーパーヒーローの典型となった。「Big Blue Boy Scout(大きい青いボーイスカウト)」「Man of Steel(鋼の男)」「Man of Tomorrow(明日の男)」などの異名を持つ[2]。 スーパーマンの容姿を特徴付ける要素として青いコスチューム、胸部の「S」のシンボルマーク、赤いケープが挙げられる。これらはコミック作品への影響だけでなく、大衆文化のアイコンとして様々な形でモチーフとされている。 クラーク・ケントというアイデンティティーは、1938年の初登場から1980年中頃まで「スーパーマン(カル゠エル)が一般人として生活するため変装した姿」と位置付けられていた。1986年のジョン・バーンによる『マン・オブ・スティール (コミック)』以降は、「地球の文化で育った個人」という人間性が強調されるようになる[3][4]。 創造経緯1933年1月、オハイオ州クリーブランドのグレンビル高校の生徒であるジェリー・シーゲルが物語を書き、同級生のジョー・シャスターが挿絵を描き、「The Reign of the Superman」というタイトルのファンジンを制作した[5]。これはマッドサイエンティストによって超能力を与えられた男が、最終的に超能力を悪用せんと目論む科学者を殺し、能力を失ってもとの浮浪者に戻って行くというストーリーだった。 2人はプロの作家になることを夢見ながら、パルプ・マガジンよりも新聞に掲載される新聞漫画の方が安定していると考え、コミック・ストリップの制作に移行する。1934年頃にシーゲルは英雄的なキャラクターの方が売れるだろうと考え「スーパーマン」の原型を考案した。幾つかの出版社に持ち込むが拒絶され、その過程で少しずつ今日知られているクリプトン星や「S」のマーク、気弱な新聞記者クラーク・ケント、同僚のロイス・レインの設定が形になっていった[6]。 1935年になるとシーゲルとシャスターはプロとしてコミック業界と関わりはじめ、ナショナル・アライドから出版される探偵や冒険の物語を制作する。ナショナル・アライドにも「スーパーマン」を売り込むが通信社から拒否されてしまう。1938年3月、シーゲルとシャスターはもはや「スーパーマン」は成功しないだろうと考え、ディテクティブ・コミックスに当時の130ドルでキャラクターの権利を売り、そうしてついに「スーパーマン」は出版された[7]。 影響スーパーマンの怪力やビルを飛び越える跳躍力といった能力はエドガー・ライス・バローズの『火星シリーズ』やフィリップ・ワイリーの『闘士(1930年)』の主人公ヒューゴ・ダナーから影響を受けている[8]。危険をかえりみない姿勢はダグラス・フェアバンクスが演じた『奇傑ゾロ(1920年)』や『ロビン・フッド(1922年)』の影響を受け、スーパーマンの活動拠点であるメトロポリスは同名の映画『メトロポリス(1927年)』から取られた[9]。クラーク・ケントの「眼鏡をかけ紳士的に振る舞い、後になって反撃する」という要素はコメディアンのハロルド・ロイドを参考にしている。職業が新聞記者であることやロイス・レインにぎこちなく振る舞うといった部分はジェリー・シーゲル本人の経験からだという[9]。またジョー・シャスターも1920年代にトロント・デイリー・スターで働いていたことがある。 ジョー・シャスターは自身の作風の影響としてウィンザー・マッケイの『リトル・ニモ』、バーン・ホガース、アレックス・レイモンド、ミルトン・カニフ、ハル・フォスター、ロイ・クレインを挙げている[7]。スーパーマンのコスチュームはレスラーやボクサー、ストロングマンなどからインスピレーションを受け、シャスターは当初はスーパーマンに古典的なヒーローのように編み上げのサンダルを履かせることを考えていた[9]。ケープは当時のパルプ・マガジンの冒険活劇のヒーローの多くが身につけていたため。 人物本名:カル゠エル (Kal-El) 地球名:クラーク・ケント (Clark Kent) 高度な文明を誇りながらも太陽が寿命を迎え、滅亡の危機に瀕していたクリプトン星。科学者のジョー゠エル夫妻は、まだ赤ん坊の息子カル゠エルを救うため、彼を小型のロケットに乗せ地球へ向けて発射した。直後に太陽が爆発してクリプトン星は崩壊し、赤ん坊は惑星の遺児となった。 ロケットはアメリカ合衆国カンザス州のスモールヴィルに飛来、そこで暮らしていたジョナサン・ケントとマーサ・ケント夫妻に拾われ、カル゠エルは「クラーク・ジョセフ・ケント」と名付けられる。スモールヴィルではラナ・ラングやピート・ロスといった生涯の友人を得て、成長したクラークは自分の能力を世の為に役立てる事を誓い、大都会メトロポリス(州は不明、ゴッサムシティ近郊)へ移住する。デイリー・プラネット新聞社[注釈 1]に入社し、スーパーマンとクラーク・ケントとしての二重生活を送る。 デイリー・プラネットではロイス・レイン、ジミー・オルセン、ペリー・ホワイトと出会った。ロイスとはしばらくの間は同僚記者としての関係が続いたが、交際を経てプロポーズをする[10]。その後さらに紆余曲折を経て結婚、クラークとロイスとの間に息子のジョナサン・サミュエル・ケントが誕生した[11]。クラークは一度は姿勢の違いからデイリー・プラネット社と袂を分かちフリージャーナリストとなり、ケント一家は息子のジョンを育てるために安全な場所を求めてカリフォルニア州へ移住する。子育てをしている間、スーパーマンは黒いコスチュームに変えて人知れず活動し、ジョンの成長後にニューヨーク州へ戻りデイリー・プラネットへ復帰する[12]。 髪型は変身前のクラーク・ケントの時は右分け、変身後のスーパーマンの時は左分けになっている。 能力と弱点主な能力スーパーマンを特徴付ける設定として原作コミック、アニメ、ゲーム、実写作品などで共通している能力。ただし、能力の数値は時期やメディアによって変わる。また、初期は空を飛ぶことが出来なかった。「走れば弾丸より速く、力は機関車よりも強く、高いビルディングもひとっ跳び」というフレーズは、飛行能力がなくジャンプで跳び越えていたことに由来する。飛行能力は第10話のエピソードを担当した作家がスーパーマンの能力を把握しておらず飛ぶことができたと勘違いして描いたのがそもそもの始まりである。※能力値は、エピソードにより下記より遥かに大きい。
その他の能力1930年代~1980年代に原作コミックで使われていた能力[13]。その珍妙さから徐々に使われなくなったが、アニメやスピンオフ作品などでは度々スポットが当てられる。
弱点
「S」の意味![]() スーパーマンの胸にある特徴的なシンボルマークには複数の意味付けがされている。初期は「SupermanのS」という単純な意味合いしかなかった。 1978年の映画『スーパーマン』でこのマークがアルファベットの「S」ではなく「エル家の紋章(House of El)」であるという設定が加わった。2013年の映画『マン・オブ・スティール』でラッセル・クロウ演じるジョー゠エルが身に着けているものはエスカッシャンやクレストで装飾され、より紋章としてデザインされている。 また、2004年に出版されたマーク・ウェイドによる『Superman: Birthright』でこの紋章がクリプトンでは「希望」を意味するという設定が加えられた。この設定は映画『マン・オブ・スティール』にも採用され、映画予告編で象徴的に取り上げられている。「Man of Steel - Official Trailer 3」 - YouTube さらにテレビドラマ『SUPERGIRL/スーパーガール』やゲーム『インジャスティス2』でも同様にこのシンボルマークが「希望」を意味するという設定が受け継がれている。バットマンがコウモリを恐怖の象徴としていることもあり、両者はたびたび「希望と恐怖(Hope and Fear)」という立ち位置で描かれる[15]。 他のバージョン
脚注注釈
出典
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