ゼルダの伝説 知恵のかりもの
『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』(ゼルダのでんせつ ちえのかりもの、英題:The Legend of Zelda: Echoes of Wisdom)は、任天堂より2024年9月26日に発売されたNintendo Switch用ゲームソフト。 本タイトルの発売と同日に、特別仕様となるNintendo Switch Lite本体「Nintendo Switch Lite ハイラルエディション」も発売された。 ゲーム内容Nintendo Switch版『ゼルダの伝説 夢をみる島』に近いビジュアルスタイルを採用した、見下ろし視点のアクションアドベンチャー[5][6]。本作ではゼルダが操作キャラクターとなる。新アイテム「トリィロッド」を用い、町やフィールドにある物体を「借り」、任意のタイミングで出現させることで冒険を進めていく。フィールド内に点在する「裂け目」は「無の世界」への入り口となっており、その中にいるトリィの仲間を解放させることで「裂け目」をふさぐことができる[7]。物語にかかわる裂け目にはハイラル王国に元から存在した遺跡やダンジョンがそのまま飲み込まれており、その最深層にいるボスを倒すことで飲み込まれていた区域が「無の世界」から解放され、ストーリーが進む[7]。 基本システム
あらすじハイラルの王女ゼルダは、魔物ガノンによってクリスタルに閉じ込められていた。リンクがガノンを倒してゼルダを助けようとした直後、リンクは謎の裂け目に飲み込まれてしまう[5]。最後にリンクが矢を放ったことで、ゼルダは解放されるも、謎の裂け目はハイラル中に発生しており、彼女の父・ハイラル王や、ウギ将軍とサダリ大臣もそこに飲み込まれてしまう[5]。裂け目から戻って来た3人は偽物とすり替わっており、ゼルダ姫を裂け目を発生させている張本人と糾弾して投獄する[5]。そこへ妖精のトリィが現れ、モノ(魔物含む)をお借りしてコピーする力を持った杖「トリィロッド」を授かる[5]。乳母のインパの助けでゼルダは脱出に成功するが、お尋ね者として手配されていたため、変装して冒険に出た。 その後、ゼルダはハイラル城を裂け目から解放し、本物の王を救出する。その際、彼女が「大いなる力」を狙う悪しき者に対抗する「知恵の姫巫女」であることが判明し、王家に伝わる旅装束を纏い、姫巫女として「大いなる力」を巡る戦いに身を投じる。 主なキャラクター
主要キャラクター
サブキャラクターハイリア人
ゲルド族ハイラルの南西にあるゲルド砂漠に集落を持つ女性だけの民族。本作ではガノンとの関連性はない。
ゾーラ族ジャブール水域に住まう半魚人種族。本作では海ゾーラと川ゾーラの2種族が別々の集落で暮らしている。
ゴロン族オルディン火山に住まう種族。
デクナッツ族フィローネ湿原に住まう半植物種族。 ラネール地方
ボスモンスター本作のボスは無の世界に飲まれたダンジョンに潜んでおり、トリィの仲間たちを体内に封印している。倒してトリィの仲間を解放することで、裂け目を消すことができる。
開発開発はグレッゾ。プロデューサーの青沼は3Dの『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』等とは別に2Dのトップビュー型のゼルダをシリーズとして確立したいと考えており、グレッゾが開発したSwitch版『ゼルダの伝説 夢をみる島』がSwitch世代への新たなアプローチとなったことから2Dゼルダ完全新作の開発に至った[10]。グレッゾ内でコンペを行い「コピー&ペーストでオリジナルのダンジョンをつくるエディットダンジョン」[注釈 1]を1年くらい試作していたが、青沼はこのシステムで普通にフィールドで敵と戦うのも悪くないと考え、これが「カリモノ」の原型となった[11][注釈 2][12]。 フィールド内のものをコピー&ペーストという遊び方故、あらゆる場所に出現させてもゲームとして破綻が起きないようにすること[注釈 3]や、魔物を味方としても運用できる必要があったことに加え、サイドビューのフィールドも混在していたことから、「カリモノ」のアイディア出しには時間がかかった[13]。特に開発者を悩ませたカリモノが「水のかたまり」であり、サイドビューでは平面的な水の表現が通用するが、トップビューでは水が立体構造になる分、立方体の水を登場させる必要があったことに加え、プレイヤーがその中で泳げる必要があった[13]。「水のかたまり」同士をブロックとしてつなげる仕組みを作ったところ、継ぎ目からプレイヤーが飛び出してしまうこともあった[13]。 さらに、カリモノの数が多いことから、プレイヤーがそれを忘れてしまわぬよう、一つ一つの機能を整理して、プレイヤーが選びやすくする配慮が取られた[13]。 当初は従来通り主人公がリンクと考えていたが、「剣と盾があるとカリモノを使わなくなる」という懸念があり、剣も盾も使わないゼルダを主人公に据えることとなった[14]。そうなると、王族かつ、周囲に戦闘要員がいるゼルダがなぜ旅に出なくてはならないのかという理由を丁寧に作りこむ必要があった[14]。単にモンスターがハイラルを徘徊しているだけでは動機としては不十分であるため、様々な案が出され、時にはスタッフから「ゼルダを冒険に出せない」といった意見が寄せられることもあった[14]。最終的には、ハイラル中に多数の裂け目が現れ、国の変容を防ぐためにゼルダが奔走するという案が採用された[14]。すると今度は裂け目をどう表現するかという課題が持ち上がった。しかも裂け目はあちこちに現れるという設定のため、場所を問わずに設置できる必要があるなど、様々な条件が課された[14]。青沼も普段戦わない人物が主役の世界で残酷な表現は避けたかったが、ハイラルに迫る危機を表現するのに悩んだと振り返っている[14]。また、開発スタッフはゼルダの衣装のデザインに悩んだ[14]。普通の冒険服も考えられたが、最初からそれが用意されているのはおかしいということで却下された[14]。かといって既存の衣装ではなかなかしっくりくるものが見当たらなかった[14]。折しも、寺田は冒険を重ねて強くなったことを表現するため、フードをかぶったリンクのデザインを青沼に提出したところ、青沼からゼルダにもそれをかぶせてはどうかと提言がよせられ、最終的にはそれが採用された[14]。青沼はこのデザインについてリンクを探すという本作のテーマを常に感じられるようになって良かったと述懐している[14]。さらにそこから発展して、「剣士モード」もできた[14]。 評価高橋祐介は、「4Gamer.net」に寄せた記事の中で、Switch版『ゼルダの伝説 夢をみる島』の流れをくむ、ジオラマのような箱庭世界や人形のようなキャラクターデザインがかわいらしかったと評価している[5]。システム面について、高橋は予想外のハプニングが起きやすい点から『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』その続編『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に通ずるとし、試行錯誤するだけでも楽しく、それが謎解きにつながるところも面白いと評価しており、シンクは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のマグネキャッチをより遊びやすくした感じだったと述べている[5]。以上のことから、高橋は本作をゼルダシリーズの入門編と称している[5]。 稲元徹也は「Game Watch」に寄せた記事の中で、グラフィックがSwitch版『ゼルダの伝説 夢をみる島』のそれだったため、さくっと遊べる小品かと思いきや、とんでもないボリュームと手ごたえを感じたと評しており、剣と盾による爽快なアクションが減った分、知恵を駆使した戦略性の高い攻防が新たなファンを引き付けるだろうと期待を述べている[7]。 脚注注釈出典
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