マッシュル-MASHLE- (アニメ)
『マッシュル-MASHLE-』は、甲本一による同名の漫画を原作としたアニメ作品。第1期は2023年4月から7月までTOKYO MXほかにて放送された[1][2]。ナレーションは平田広明[1][2]。 第2期『神覚者候補選抜試験編』は2024年1月から3月まで放送された[3]。 また、続編の制作が決定している[4]。 登場人物→詳細は「マッシュル-MASHLE- § 登場人物」を参照
制作経緯・スタッフィング本作のアニメの話が原作者である甲本に寄せられたのは単行本6巻前後のことであり、アニメを作るのには時間がかかると思ったと、甲本はマッシュ役の小林とフィン役の川島との鼎談で振り返っている[5]。 本作のアニメーションはA-1 Picturesが手掛けた。アニメーションプロデューサーは同社の『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ-』シリーズの制作デスクだった中村将太が担当した[6]。また、同作に参加していた東島久志は中村からの推薦で、本作のキャラクターデザインを担当したほか、オープニングの作画監督や一部の話の総作画監督も兼任した[6]。東島はキャラクターデザインが初めてだからかあまり実感がなく、自分が描いた後に様々な人々の協力でキャラクターを完成させていくと感じたとニュースサイト「Febri」とのインタビューの中で話している[6]。 シナリオ・セッティングシリーズ構成および全話を手掛けた脚本家の黒田洋介は原作を読む中でマッシュの痛快さを気に入り、テレビアニメ版の脚本の依頼を受けた際は素直にうれしく即答で引き受けたとニュースサイト「Febri」とのインタビューの中で明かしている[7]。 まず黒田は最終回までの道筋を示した構成案を提示し、スタッフの総意を受けて脚本を書き始めたのであまり苦労はなかったと話しており、自分一人で脚本を書いていた分、各話の修正も迅速にできたと話している[7]。また、プロデューサーからの意向もあって、執筆に当たっては原作へ最大限の敬意を払っていたため、脚本打ち合わせの際には大きないざこざはなかったという[7]。なお、執筆に当たり、キャラクターの移動線や立ち位置の明確化を意識したという[7]。また、黒田は原作におけるマッシュとアビスの戦いが好きであり、それをもとにした第1期第9話の執筆にも気合が入ったという。 黒田は脚本を構築する上でありがたい存在としてフィンを挙げており、その理由として自分が付け足したギャグであってもフィンが突っ込みを入れれば『マッシュル-MASHLE-』らしくなると説明している[7]。フィン役の川島も、視聴者に近い視点を持つフィンが繰り出す常識的なツッコミによって作品内の異常性があぶりだされるため、本作にとって重要な存在だとキャストによる座談会の中で語っている[7]。 映像・作画テレビアニメ版の監督を務めた田中智也は「Febri」とのインタビューの中で、アニメ化に際しては独特な雰囲気を持つマッシュを表現するのに試行錯誤を重ねたと話しており、会話を普通よりもワンテンポ遅らせたり、瞬きを見せないといった細やかな表現を通じてつかみどころのなさを表現したりすることを意識したと語っている[8]。 田中は楽しかったエピソードとして、第5話でマンドラゴラを調理する場面と、ドットがマッシュたちと出会う場面を挙げており、いずれキャストには楽しく演技してもらったので、それに負けないように作画も頑張らなければならないのが大変な分面白かったと振り返っている[8]。また、第9話は2組の戦いが展開されるだけでなく、戦う相手の過去も絡むため、いかにして20分に収めようか悩んだと振り返っている[8]。 キャラクターデザインキャラクターデザインにあたり、東島はとにかくかっこよくするという目標を立てたと「Febri」とのインタビューの中で話しており、とりわけ立ち姿のシルエットがかっこよく見えるようにしたという[6]。甲本や田中から細かい注文はなかった一方、甲本からはマッシュの筋肉に関する資料として複数の写真が送られており、こだわりを感じたと東島は振り返っている[6]。東島は印象に残った人物としてマッシュを挙げており、シンプルな分バランスが難しく、何かを足したり引いたりするだけでマッシュらしさが失われてしまうため、調整に苦労したと振り返っている[6]。 音響音響監督を務めた本山哲は、音響周りの方針として、幅広い層が見ることを想定し、なるべく見ていて理解しやすいようにしたと「Febri」とのインタビューの中で話している[9]。また、収録においては多くの視聴者に笑いをもたらせるように意識しているとしつつも、本作は大爆笑というよりくすっと笑わせる方が向いているため、加減が難しいと話している[9]。本山は演出において苦労した点として、傍目に見るとギャグだが、当の本人たちは真剣に戦っているという場面を挙げており、BGMをどちらに合わせるべきか悩んでしまうと話している[9]。 なお、第1期はコロナウイルスの感染防止の観点から分散収録が行われていたが、第2期では従来の方法による収録が行われた[10]。一方、マッシュ役の小林が2024年の座談会の中で語ったところによると、分散収録期間中でも掛け合えるようにしてもらったという[11][注 1]。 キャスティングキャスティングにおいても、キャラクターの特徴を明確に表現できる者が選定された[9]。 主人公のマッシュ役にはオーディションで小林千晃が選ばれた[13]。小林はもともと原作を読み込んでいたことに加え、普段の話す際のテンション間で演技したらしっくりきたため、オーディションではあまり考えずに演じたと振り返っている[13]。当初は感情を出さない演技をするつもりだったが、監督の田中から「戦闘シーンをかっこよく演出したいので、マッシュらしさに収まる範囲でかっこよく演じてほしい」という注文があり、バランスを見極めながら演じるのが楽しかったと小林は語っている[13][14]。小林は第1期の第1話において、マッシュの一投足に細かなニュアンスがついており、作品に対する愛を感じたと話している[13]。また、アフレコ時はレグロ役のチョーとの掛け合いでセリフが被る場面が多かったため、一部は個別収録となったが、完成した映像を見てテンポの良さに笑ってしまったと振り返っている[13]。 レイン役の梶裕貴は小林の演技を「引き算の芝居」と表現し、緩急を大切にし、決めるところを決める繊細な技術が見事だと評価している[12]。また、小林は梶との対談の中で、ウォールバーグ校長役の麦人と無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)役の三木眞一郎というベテラン声優と共演した際も新鮮で楽しかったと振り返っている[15]。 ヒロインであるレモン役にはオーディションで上田麗奈が選ばれた[16]。テープオーディションの時点では一度スイッチが入ると暴走するタイプだと思っていたが、アフレコの際に「常にスイッチが入っている」ことを知って驚いたと上田は「Febri」とのインタビューの中で振り返っている[16]。また、アフレコ中に頻繁に出されていた「より盲目的に」といったディレクションから、レモンは自分以上にマイペースな人物だと知ることができたと上田は「Febri」とのインタビューの中で話している[16]。他方で、「よりかわいく」というディレクションも多く出されており、清楚な時と暴走しているときのギャップが明確になるように導かれたと感じていると上田は振り返っている[16]。 フィン役の川島零士は、原作の時点でも顔芸がすごかったので、オーディションで彼が困っている場面の突込みは、ひたすらに全力で彼の嘆きを代弁することを意識していた[17]。その際、音響監督の本山から、フィンがそこまで成績が良くないことを意識してほしいと言われ、フィンのキャラクターを理解できたという[17]。また、川島は甲本と小林との鼎談の中で、地声に近い演技だったためやりやすかったと話している[5]。 ランス役の石川界人は、現場でキャラクターに関するディレクションがあまりなかったため、かなり自由に演じたと「Febri」とのインタビューの中で話している[18]。一方、妹への愛を語る場面では、もっとはっちゃけてくれというディレクションを4度もらった[18]。実際の放送では適切なものが採用されたが、没テイクの中にはより振り切ったものもあったという[18]。 ドット役の江口拓也は、彼の表情にどんな感情を乗せられるのかか投げるのが楽しいと「Febri」とのインタビューの中で話しており、演じる際には「いかにフルマックスでボールを投げ続けられるか」ということを意識していると語っている[19]。 原作4巻発売PVでマッシュを演じた花江夏樹は、テレビアニメ版においてセル・ウォーを演じた[20]。小林は花江の演技について、様々な芝居の引き出しを駆使して見事にセル・ウォーを演じていたと梶との対談の中で話している[15]。 アベル役の梅原裕一郎はもともと別の役でオーディションを受けていたため、オーディションに向けて原作を読んだ際はアベルを全く意識していなかったとアビス役の七海ひろきとの対談の中で明かしている[21][22]。梅原はもともと読者としても演じる立場としても敵役が好きだったため、アベル役に決まった際はうれしかったと振り返っている[21][22]。アベルは過去の出来事から弱肉強食を掲げるようになったという設定であり、自らの信念に沿って行動している分、演技に当たっては堂々とした様子を意識したと梅原は対談の中で語っている[21][22]。前述の経緯からキャラクターの方向性をつかみかねていたため、最初、梅原はより頑固で会話もままならなさそうなキャラクターを想定して演じていたところ、より会話ができる感じで演じてほしいというディレクションをもらったという[21][22]。なお、大きく方向性を変えるようなディレクションはなかった[21][22]。 一方、七海はもともとジャンプ作品に出たいという思いがあり、最初からアビス役のオーディションを受けていた[21]。七海は演技で意識したことについて、ミステリアスな部分や、悲しい生い立ちによる寂しさや切なさをにじませることを挙げている[21]。初登場回は顔見せ程度であり、2度目のアフレコで悪役をイメージして演じたところ、「そこまで悪いイメージを出さないで」というディレクションをもらい納得したという[21]。マッシュとの出会いにより固くなっていた心が解きほぐされるところもあるため、悪役とは違う方向性であることを理解してからは、自分でもイメージを変えるようになったという[21]。 レイン役を演じた梶裕貴は、これまで様々な経験を通じて成長するタイプのキャラクターを演じてきた中で、「主人公の憧れの存在」という立ち位置にいるレインを演じたことが感慨深くてうれしかったと小林との対談の中で振り返っている[23]。一方で、登場人物や視聴者に、レインが圧倒的存在であることを示す必要があるため、責任やプレッシャーを感じたとも話しており、特に本格的な登場を果たした第1期第10話はかなりのインパクトがあったと梶は話している[23]。他方、梶はレインが学校や魔法界について真剣に考えるなどおちゃめな一面もあり、どこかマッシュに近いところがあると思いながら演じてきたとも対談の中で話している[23]。最初のテストの際、梶はそこまで低くしないようにという指示を受け、制作チームのイメージをすり合わせながら調整を重ねたものの、以降は大きな改善点もなくスムーズに進んだと振り返っている[23]。マッシュ役の小林は梶との対談の中で、この配役で正解だったと話している[24]。 第1期から登場するサブキャラクターのうち、マッシュの養父レグロ役はチョーが演じた[25]。チョーは演技に際し「モノローグをシックでエレガントに、ツッコミは思い切りやる」という方針を立て、一度は親しみやすいおじいちゃんというイメージで演じたこともあったが、最終的には最初の方針で進められた[25]。また、小林がイベントで語ったところによると、第1話でマッシュと初めて出会う場面では、15、6歳ほど若返った声を出していたという[25]。また、警官ブラッドがマッシュの家を訪ねてくる以降の場面の裏で聞こえるセリフは、台本にはないチョーのアドリブだと小林は話している[25]。 ブラッド役の小西克幸はアフレコの際、小西は「ナルコムパス」を唱える際のアクセントについて悩み、最初は技らしさを出すために力のこもったアクセントで演じたが、普段から唱えている呪文であればもう少し力を抜いているだろうと考え、今の形になったという[25]。 演技においては変わったアプローチが求められることもあった[14]。原作のとある場面においては、歯をかち合わせながらしゃべる場面があり、テレビアニメ版でこの場面を演じたドット役の江口は座談会の中で非常に難しい演技だったと振り返り、同時に2つの音を出すのは自分の声優人生の中でも初めてだったと語っている[14]。また、マッシュ役の小林も、マッシュが泳ぐ場面の台本のセリフには「ブクブクブク……」とだけある一方、その横のト書きにセリフがかかれていたことに気づき、「ブクブクしながら喋る」と解釈して演技をしたと話している[26]。 第2期では、さらなる神覚者役として、諏訪部順一(ライオ・グランツ役)や、小野友樹(オーター・マドル役)らが起用された[27]。 また、第2期に神覚者候補生役で出演していたキャストのうち、オルカ寮の監督生でもあるマーガレット役の子安武人は、放送前に寄せたキャストコメントの中で、このようなキャラクターを演じられることは光栄だとしつつも、非常にバランスをとるのが難しい役だが、ごく自然に当たり前に存在しているよう演じていこうと思うと話している[28]。また、カルパッチョ役の内山昂輝は、放送前のキャストコメントの中で、原作で受けた印象をもとに自由に演じたり、スタッフから違うパターンを提案されて試したりと、試行錯誤を重ねたこと明かしている[28]。 音楽音楽を手掛けた横山克は、田中から「ただの魔法世界だけの音楽にしたくない」「ギャグもしっかり表現したい」という要望があったと、「Febri」とのインタビューの中で明かしている[29]。横山はラッパーには筋肉質な者が多いという印象から、本作の音楽にヒップホップやラップの要素を持ち込んだと話しており、ギャグシーンにヒップホップを用いる手法はお笑い番組などでも採用されていたためわりとすんなり受け入れられたと振り返っている[29]。また、テレビアニメ版第1期の音楽はノリ優先で作ることも多かったが、ラップの表現が好評だったことから、楽しく作ることができたと話している[29]。一方、横山は、ラップに使う言語が作品の世界を壊したり、歌の表現がセリフを妨害しないように計算したりする必要があって大変だったとも話している[29]。 スタッフ
主題歌
反響![]() 第2期のオープニングテーマ『Bling-Bang-Bang-Born』は日本国内外で大きな反響を呼んだ[36][37]。また、オープニング映像でキャラクターが踊る様子は曲名を略して「BBBBダンス」と呼ばれ、YouTubeやTikTokでは「踊ってみた」動画の投稿が相次いだほか、アニプレックスの公式YouTubeでも出演声優による「踊ってみた」動画が投稿された[36][37]。 評価
各話リスト
放送局
BD / DVD
WebラジオWEBラジオ『MASH RADIO』が音泉およびYouTube「アニプレックス チャンネル」にて、2023年3月22日より毎週水曜に配信中[49][50][51]。パーソナリティはマッシュ・バーンデッド役の小林千晃[49][50][51]。 脚注注釈出典
外部リンク
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