ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜
『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』(ルパンさんせい ちのこくいん えいえんのマーメイド)は、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTVスペシャルシリーズ第22作で、アニメ化40周年記念作品。2011年12月2日に日本テレビ系の『金曜特別ロードショー』にて放送された。視聴率は14.0%。 ソフト作品はDVDとBlu-ray Disc版で2012年2月22日に発売された。BDでの発売は本作が初めてである。 概要不老不死伝説がある八百比丘尼伝説をモチーフとした作品であり、2007年に放送されたTVスペシャル『ルパン三世 霧のエリューシヴ』以来、4年ぶりに日本(前半・東京、後半・日本海の海鳴島)が舞台となっている(現代日本に限れば、1998年に放送されたTVスペシャル『ルパン三世 炎の記憶〜TOKYO CRISIS〜』以来、13年ぶり)[注 1]。 メインキャラクター声優の変更本作では大掛かりな主要キャスト変更が行われ、他に適任者が居らず続投となった[1]ルパン三世(声:栗田貫一)、次元大介(声:小林清志)を除いて、石川五ェ門、峰不二子、銭形警部役がそれぞれ浪川大輔、沢城みゆき、山寺宏一に交代した[2]。主要キャストの変更は、1995年に山田康雄の死去に伴い、栗田がルパン三世になって以来である。交代にあたっては1年以上にわたるオーディションが行われ、栗田の例のように先代のモノマネも含まれていた[3]。 なお、1971年放送の『TV第1シリーズ』以来、本作以降も引き続き次元役を務めた小林は、本作放送10年後の2021年10月から放送された『PART6』第0話をもって勇退した。 製作『ルパン三世』単独のテレビ作品としてはシリーズ初の完全ハイビジョン制作となった(ただし、クロスオーバー作品を含めれば2009年放送の『ルパン三世VS名探偵コナン』が先であり、画面比率4:3サイズでは2007年放送のTVスペシャル『ルパン三世 霧のエリューシヴ』がある)。 スタッフ監督には2007年放送の『ルパン三世 霧のエリューシヴ』やスタジオジブリの『耳をすませば』、『猫の恩返し』等の幅広い作品に携わってきた滝口禎一、総作画監督・キャラクターデザイン担当に『世界名作劇場』、『となりのトトロ』の作画監督やスタジオジブリアニメの原画などで知られる佐藤好春を迎え、キャラクターデザインもスタジオジブリを設立した宮崎駿が監督した劇場映画第2作『ルパン三世 カリオストロの城』や、ジブリ作品に近くなっている。 アニメーション制作もトムス自社ではなく、『カリオストロの城』や『霧のエリューシヴ』と同じく、トムス子会社のテレコム・アニメーションフィルムが担当し、制作協力として世界名作劇場や、こちらも宮崎駿が監督した『未来少年コナン』などで知られる日本アニメーションも参加している。音響監督は前年度に降板した加藤敏に代わって清水洋史が以降の作品を担当している。 服装デザイン本作では、ルパンは赤ジャケットの下に今までのテレビスペシャルにおいて着用していた青色系のワイシャツは本作では黒色に変更されており、ジャケット(赤ジャケット)、ズボン(白いズボン)、ネクタイ(黄色)は変更されていない。これは1996年公開の劇場版『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』と同じ服装である。翌年放送のテレビスペシャル『ルパン三世 東方見聞録 〜アナザーページ〜』では従来のテレビスペシャルの基本服装デザインに戻されている。 次元、五エ門はそれぞれ『TV第2シリーズ』、『TV第1シリーズ』とほぼ同じ衣装デザインとなっており、銭形は『TV第2シリーズ』と同様の衣装デザイン(茶色のコートとスーツに青のネクタイ)である。 その他双葉社から出版されている「ルパン三世officialマガジン」12夏号と12秋号に、早川ナオヤによるコミカライズ版が掲載された(『ルパン三世H 血の刻印 〜永遠のmermaid〜編』全1巻、2013年11月、双葉社、ISBN 978-4575843125)。 あらすじルパン、次元、五ェ門の3人は、不二子と日本の暗黒街の顔役・藤堂昌江の策謀により、東京・お台場で開催されていた闇オークションに出品された「人魚の鱗」を盗み出す。 ところが、オークション会場の控室では客の1人で「人魚の鱗」を出品していた医療機器メーカーの若き社長・氷室が、藤堂とその秘書・美沙を殺害していた。その頃、ルパン一味はオークション会場に張り込んでいた銭形率いる機動隊に追跡されていたが、その時、オークション会場がある博物館が爆発したのだった。 今回の一件は藤堂を誘い出すために氷室が仕組んだものであり、ルパンもまた盗み出した「人魚の鱗」が偽物だと気付く。不二子と合流したルパンは、彼女から今回の狙いは人魚の肉を食べて不老不死になったという伝説が残る八百比丘尼の財宝であることを教えられる。また一方で、ルパンは盗みの際に出会った少女・麻紀に弟子入りを懇願され、煙に巻く。 八百比丘尼財宝を示すとされる古文書の文言からお宝を手に入れるには2つの鱗が必要であり、本物の「人魚の鱗」以外に必要な「龍鱗石」をルパンは颯爽と盗み出す。そして、本物の「人魚の鱗」は氷室が所有していること、また彼の正体はバイオ関連の国際的な武器商人だとわかる。そこでルパンは氷室のオフィス(研究施設)に、次元と五ェ門は氷室の和風の豪邸に潜入することを決める。ルパンは同じく潜入していた麻紀と再会し、なりゆきから共に本物の「人魚の鱗」を盗み出す。一方、氷室の自宅に潜入中の次元と五ェ門はそこで軟禁状態にある若い女性を発見する。彼女こそ冒頭で殺されたはずの美沙であったが、実は彼女はどんな傷を受けても瞬時に回復する不死のような特異体質の持ち主であった。そこまでわかったところで、次元と五ェ門は氷室の用心棒・影浦に襲われて退散する。アジトにてルパン一味が情報のすり合わせをする中で、麻紀は自分の目的が彼女が育った児童養護施設で姉のように慕った美沙を助け出すことだと明かす。そしてルパンは、財宝を手に入れるためには鱗以外に「人魚を食らいし者」にあたる美沙が必要だと気づき、麻紀に彼女の身柄を氷室から盗み出すことを宣言する。 一方の氷室は美沙を八百比丘尼の子孫だとして、その特異体質を知っており、また、不老不死をもたらす「活性細胞」が真の狙いであった。しかし、現状の美沙の身体は「不完全な活性細胞」であり、彼女の血を輸血しても対象者は死んでしまい、本物の八百比丘尼の身体が必要であった。その中で不二子は財宝のため今度は氷室にすり寄り、手土産としてルパンが盗み出した鱗を持っていく。しかし、それを見越していたルパンに偽物にすり替えられており、氷室にもバレ、見限られる。氷室の部下に狙われる中で、不二子は脱走した美沙を連れて逃げ出すことに成功する。一方で、不二子を怪しんで追跡していた麻紀が氷室に捕まってしまう。 2枚の鱗から財宝の隠し場所は日本海の孤島・海鳴島だと判明し、ルパンは島へと向かう。氷室もまた部下を率いて島に向かい、ルパンと犯罪が判明して逮捕状が出た氷室を逮捕するため、銭形警部も警官隊を率いて島に向かう。その中で銭形は部下より、かつてルパン三世の祖父・ルパン一世も2枚の鱗を盗んだことがあったと伝えられる。実はルパンもかつて祖父が八百比丘尼の財宝を狙ったこと、そして最終的に諦めたことを知っており、「盗まなかった」のか「盗めなかった」のか真相を知りたがっていた。 ルパン達は財宝がある洞窟の入り口「死の門」に到着するが、そこに麻紀を人質にとった氷室らが現れる。「死の門」は不死者のみが通過できるよう命の危険がある罠が仕掛けられており、氷室はルパンに解くように命じる。ルパンが罠を解除し、美沙の血が最後の門を開けると、洞窟の奥には自ら精神を封印した八百比丘尼の身体が安置されていた。財宝の正体は八百比丘尼の不老不死の肉体そのものだったのである。なおも麻紀を人質にとる氷室が有利であったものの、別ルートから部屋に入ってきた銭形によって形勢逆転し、氷室はルパンに撃たれて致命傷を負う。しかし、氷室は即座に特殊な器具で八百比丘尼の血液を自分に輸血すると、身体が膨張して筋肉質の不老不死の肉体を手に入れ、八百比丘尼の肉体から吸血して再びルパン達を追い詰める。しかし、不老不死となった氷室は八百比丘尼の血を求めるようになり、八百比丘尼の肉体から血を吸い尽くした上、美沙にも襲い掛かって吸血する。それでもなお氷室が八百比丘尼の血を求めたその時、美沙に八百比丘尼の魂が乗り移った。美沙に乗り移った八百比丘尼の言葉で氷室は苦しみだし、やがて理性すら失った異形の怪物になり果てる。一方、八百比丘尼の肉体から血が抜かれたことで最後の罠が発動し、島の地下の溶岩帯が活性化してマグマが湧き始める。怪物と化した氷室はなお美沙に襲い掛かろうとするが、五ェ門に首を刎ね飛ばされる。刎ね飛ばされた首は次元に銃弾を撃ち込まれてマグマの中に没し、残った肉体もルパンに銃弾を撃ち込まれ、マグマの中に崩れ落ちて焼き尽くされた。 一方、八百比丘尼の魂が入り込んだ美沙は洞窟の奥へ向かい、それをルパンが追う。そこでルパンは祖父の手記を発見、彼が八百比丘尼に一目惚れし、諦めたことを知る。実は八百比丘尼の方もルパン一世に惚れており、ルパン三世を彼と同一視し、感謝の言葉を述べると人魚の封印を解いて成仏する。麻紀への約束通り、ルパンは美沙を助け出す(盗み出す)。 崩壊する海鳴島からルパン一味はボートで逃亡、それを銭形が追う。救命ボートに保護された麻紀と美沙は、美沙の手のひらの傷が消えず、不老不死の封印が解けたことに気づく。普通の身体になれたことを喜ぶ美沙は「泥棒さん」のおかげだと述べ、2人はルパンに感謝し、喜び合う。 登場人物メインキャラクター
ゲストキャラクター
関連用語
声の出演
スタッフ
脚注注釈出典
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia