ルーシー・ヴァン・ペルト

ルーシー・ヴァン・ペルト
ピーナッツのキャラクター
初登場 1952年3月3日
最後の登場 1999年12月13日(コミック・ストリップ
作者 チャールズ・M・シュルツ
詳細情報
種族 ヒト
性別 女性
家族 ライナス・ヴァン・ペルト、リラン・ヴァン・ペルト(弟)
無名の毛布嫌いの祖母
無名の両親
マリオン(叔母)
フェリックス・ヴァン・ペルト(祖父)
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ルーシー・ヴァン・ペルト: Lucy van Pelt)は、チャールズ・M・シュルツコミック・ストリップピーナッツ』に登場するキャラクターである。ライナスとリランの姉であり、作中では多くのキャラクター、特にライナスやチャーリー・ブラウンに対して強い態度を取ることが多い[1][2][3]

人物

ルーシーは、チャーリー・ブラウンや弟のライナスをはじめ、周囲の人をからかったり威圧的な態度を取ったりすることが多く、多くのストリップで敵役として描かれる。また、シュローダーに対して強い片思いを抱いている[4]

評論家のクリストファー・コールドウェル英語版は、ルーシーについて「彼女は大金持ちではないが、アメリカの悪夢そのものだ。頭脳はゼロ、欲望は無限、自尊心も限りなく高い。だからこそ、すべての遊び相手を蹂躙することができ、コミック史上最も恐ろしいキャラクターの一人になっている」と評している[5]

チャーリー・ブラウンをからかい、侮辱することが多いものの、彼に対して友情を感じていることも作中で描かれている。少なくとも1つのストリップでは、チャーリー・ブラウンがルーシーに勝る場面がある。ポップコーンを分け合っている際、ルーシーが指を舐めながらボウルに手を入れた後、彼に説教を始める。しかし最後のコマでは、ルーシーがポップコーンのボウルを頭に乗せたまま驚いた表情で座っており、一方でチャーリー・ブラウンは彼女を無視して立ち去る姿が描かれている。

精神科ブース

ルーシーは「精神科ブース」を運営しており、これはアメリカの子どもたちがよく開くレモネードスタンドパロディとなっている。ここで彼女は5セント(約5円)でアドバイスや精神分析を提供するが、主な顧客は心配性のチャーリー・ブラウンである。そのアドバイスは的外れなものが多い[6]

しかし、ルーシーの発言は通俗的な心理学の知識や、明白な真実、時には鋭い洞察を含むこともある。例えば、スヌーピーの相談を受ける場面では、子ども時代に家族の中の「他の犬」とどのように関わっていたかを尋ねるが、スヌーピーはこの表現を即座に否定する。

ブースの正面には「The Doctor is」と書かれたプラカードがあり、「In」または「Out」の表示でルーシーが診療中かどうかを示している。

野球

ルーシーは、チャーリー・ブラウンの野球チームで右翼手(時々中堅手)を務めているが、プレーは決して上手くない。チームを一時的に追い出されることもあり、その際には試合中に野次を飛ばすこともある。

彼女はフライを捕り損ねるたびに、「土星の衛星が目に入った」「グローブから有害物質が出て目が回った」など、奇妙な言い訳をするのが特徴的である。また、マウンド上のチャーリー・ブラウンに向かって一方的に話し続けることも多い。彼女の話に気を取られたチャーリー・ブラウンが「お前は右翼に戻れ!」と怒鳴る場面もしばしば見られる。

歴史

ルーシーは、『ピーナッツ』に登場した3番目の新キャラクターであり、ヴァイオレットやシュローダーに続いて1952年3月3日にデビューした[7]。当初は目つきの鋭い幼児として描かれ、両親や年上の子どもたちを困らせる存在だった。しかし、その後の2年間で成長し、1954年にはチャーリー・ブラウンと同じくらいの年齢になった。幼児期のルーシーが登場する初期の作品は、チャールズ・シュルツの死後、再版されることはなかった。

ルーシーの登場から数か月後、シュルツは彼女の目のデザインを他のキャラクターと同じように変更した。ただし、目の周囲には小さな線が描かれ、これは後にルーシーの弟であるライナスとリランにも受け継がれた。

初期のルーシーは黒髪のショートヘアで、青いドレスに青いソックス、サドルシューズを履いていた。しかし、1970年代後半になると、シュルツは女性キャラクターの服装をより現代的にするために、パンツとシャツを着せるようになり、1980年代後半にはこのスタイルが定着した。

ルーシーの名前は、チャールズ・シュルツのかつての隣人であるルアンヌ・ヴァン・ペルトにちなんで名付けられた。また、『タイム』誌のデイビッド・マイケレスによると、シュルツの最初の妻ジョイスがルーシーのモデルになっているという[8]

1967年の『サイコロジー・トゥデイ英語版』のインタビューで、シュルツは自身の好きなキャラクターとしてスヌーピー、ライナス、チャーリー・ブラウンを挙げ、「ルーシーは特に好きではない」と述べた。その一方で、「彼女はうまく機能している。漫画の中心的なキャラクターとは、自分の役割を果たすだけでなく、その性格自体が新しいアイデアを生み出してくれるものだ」と語っている[9]

フットボール・ストリップ

チャーリー・ブラウンがサッカーボールを蹴ろうとすると、ルーシーは頻繁にそのボールを引き離す[9][10][11]

この行為が最初に登場したのは1952年11月16日のストリップである(その1年前には、バイオレットがチャーリー・ブラウンに誤って蹴られるのを恐れて、意図せず同じことをしていた)[12]。しかし、当初のルーシーの意図は現在のような意地悪なものではなく、チャーリー・ブラウンにボールを汚されたくないという理由で引き離した。彼はその後もう一度挑戦するが、最終的につまずいてしまう。

このフットボール・ストリップは次第に毎年恒例の場面となり、シュルツは連載のほぼ毎年、このシーンを描き続けた。結果として、『ピーナッツ』を象徴する要素のひとつとなった。特に有名な例として、アニメスペシャル『ファーストキスだよ、チャーリーブラウン英語版』では、ルーシーがボールを4回も引き離したせいで、学校のフットボールチームがホームカミングゲームで勝利できなかった。それにもかかわらず、チャーリー・ブラウンが非難されるという理不尽な展開が描かれている。

1956年9月12日のストリップでは、例外的にチャーリー・ブラウンが実際にボールを蹴ることができたが、それはシュローダーがボールを持っていたためだった[13]

また、1979年7月から8月のストリップでは、チャーリー・ブラウンが体調不良で入院した際、ルーシーは彼のことを心配し、「退院したらフットボールを蹴らせてあげる」と誓う。退院後、ルーシーはその約束を守り、チャーリー・ブラウンにプレースキックをさせた。しかし、彼は残念ながらボールを蹴り損ね、代わりにルーシーの手に当ててしまった。

キャスト

原語版

ルーシー・ヴァン・ペルトの原語版声優は以下の通り[14]

  • Karen Mendelson (1963)
  • Tracy Stratford (1963, 1965)
  • Sally Dryer (1966–1968)
  • Pamelyn Ferdin (1969–1971)
  • Robin Kohn (1972–1973)
  • Melanie Kohn (1974–1975, 1977)
  • Sarah Beach (1976)
  • Lynn Mortensen (1976)
  • Michelle Muller (1977–1979)
  • Laura Planting (1980)
  • Kristen Fullerton (1980)
  • Sydney Penny (1981)
  • Angela Lee (1983)
  • Heather Stoneman (1984–1985)
  • Jessica Lee Smith (1984-1985)
  • Melissa Guzzi (1986)
  • Tiffany Billings (1986-1988)
  • Ami Foster (1988)
  • Erica Gayle (1988–1989)
  • Jennifer Banko (1990)
  • Marne Patterson (1992)
  • Molly Dunham (1993)
  • Jamie Cronin (1995-1997)
  • Rachel Davey (2000)
  • Lauren Schaffel (2002)
  • Serena Berman (2002–2003)
  • Ashley Rose Orr (2003)
  • Stephanie Patton (2006)
  • Michelle Creber (2008-2009)
  • Grace Rolek (2011)
  • Hadley Belle Miller (2015)
  • Bella Stine (2016)
  • Merrit Grove (2018-2019)
  • Isabella Leo (2019–present)

日本語吹替版

ルーシー・ヴァン・ペルトの日本語吹替を担当した声優は以下の通り。

  • 平井道子 - 『スヌーピーとチャーリー』『スヌーピーの大冒険』の劇場公開版・テレビ放映版・ソフト版
  • 渕崎ゆり子 - 『スヌーピーとチャーリー』『スヌーピーの大冒険』テレビ放映版
  • 滝沢久美子 - 『スヌーピーの大冒険』ソフト版、テレビアニメ(1983–1998)、『スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅(第1期)』ソフト版・テレビ放映版
  • 滝沢ロコ - 『がんばれ!スヌーピー』ソフト版、テレビアニメ(1983–1998)、『スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅(第2期)』ソフト版・テレビ放映版
  • うつみ宮土理 - テレビアニメ(1972, 1976, 1978)
  • 一条みゆ希 - テレビアニメ(1981–1985)
  • 三輪勝恵 - テレビアニメ(1990)
  • 小高奈月 - テレビアニメ(NHK-BSおよびカートゥーン・ネットワーク)
  • 小宮和枝 - 『スヌーピーとチャーリーブラウン』ソフト版・テレビ放映版、『スヌーピー・アドベンチャー』テレビ放映版
  • まるたまり - 『スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅』2003年12月29日・2004年12月31日テレビ放映版
  • 永田亮子 - 『Happiness is: スヌーピーと幸せのブランケット』
  • 大関英里 - テレビアニメ(2015)
  • 谷花音 - 『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE
  • 遠藤璃菜 - 『スヌーピー宇宙への旅』(2019)、『スヌーピーのショータイム』(2021)

大衆文化におけるルーシー

マペット・ベイビーズ』のエピソード「Comic Capers」では、『ピーナッツ』を模したシークエンスが登場し、ピギーがルーシーの役割を担っている。また、このシーンの後には「私の請求書を受け取るまで待って」と発言するルーシーの映像が流れるが、これは現在では詳細が不明なメディアのものである。

ルーシーをはじめとする『ピーナッツ』のキャラクターは、『ファミリー・ガイ』にも登場しており、特にエピソード「Brian's Got a Brand New Bag」に出演している。この回では、ピーター・グリフィン英語版がルーシーの前に現れ、彼女がチャーリー・ブラウンに対してフットボールを引き離す行為を繰り返していることにうんざりし、何度も回し蹴りを浴びせる。最終的にルーシーはピーターの要求を受け入れ、チャーリー・ブラウンにボールを蹴らせた。

脚注

  1. ^ Choy, Penelope (2006). Basic grammar and usage. Dorothy Goldbart Clark (7th ed ed.). Boston: Thomson Wadsworth. ISBN 1-4130-0892-5. OCLC 60496646. https://www.worldcat.org/oclc/60496646 
  2. ^ Umphlett, Wiley Lee (2006). From television to the Internet : postmodern visions of American media culture in the twentieth century. Madison, NJ: Fairleigh Dickinson University Press. ISBN 0-8386-4080-X. OCLC 62109889. https://www.worldcat.org/oclc/62109889 
  3. ^ Mansour, David (2005). From Abba to Zoom : a pop culture encyclopedia of the late 20th century. Kansas City, MO: Andrews McMeel Pub. ISBN 978-0-7407-9307-3. OCLC 776997651. https://www.worldcat.org/oclc/776997651 
  4. ^ Schulz, Charles (1965年1月7日). “Peanuts by Charles Schulz for January 07, 1965 | GoComics.com” (英語). GoComics. 2021年6月2日閲覧。
  5. ^ Against Snoopy” (英語). www.nypress.com. 2021年6月2日閲覧。
  6. ^ Peanuts and American culture : essays on Charles M. Schulz's iconic comic strip. Peter W. Y. Lee. Jefferson, North Carolina. (2019). ISBN 978-1-4766-7144-4. OCLC 1077788914. https://www.worldcat.org/oclc/1077788914 
  7. ^ Schulz, Charles (1952年3月3日). “Peanuts by Charles Schulz for March 03, 1952 | GoComics.com” (英語). GoComics. 2021年5月28日閲覧。
  8. ^ Holiday TV: Mariemont woman inspired Lucy Van Pelt | TV and Media Blog”. web.archive.org (2012年12月19日). 2021年6月2日閲覧。
  9. ^ a b Charles M. Schulz : conversations. M. Thomas Inge. Jackson: University Press of Mississippi. (2000). ISBN 1-57806-304-3. OCLC 43590547. https://www.worldcat.org/oclc/43590547 
  10. ^ Grossman, Anna Jane (2006). It's not me, it's you : the ultimate breakup book. Flint Wainess (1st Da Capo Press ed ed.). Cambridge, MA: Da Capo Press. ISBN 978-0-7382-1051-3. OCLC 62290563. https://www.worldcat.org/oclc/62290563 
  11. ^ Williams, Jean (2003). A game for rough girls? : a history of women's football in Britain. London [England]: Routledge. ISBN 978-1-135-13614-7. OCLC 830322446. https://www.worldcat.org/oclc/830322446 
  12. ^ Schulz, Charles (1952年11月16日). “Peanuts by Charles Schulz for November 16, 1952 | GoComics.com” (英語). GoComics. 2021年5月28日閲覧。
  13. ^ Schulz, Charles (1956年9月12日). “Peanuts by Charles Schulz for September 12, 1956 | GoComics.com” (英語). GoComics. 2021年5月28日閲覧。
  14. ^ Lucy Van Pelt Voices (Peanuts)” (英語). Behind The Voice Actors. 2021年6月2日閲覧。

外部リンク

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