信長の野望・烈風伝
『信長の野望・烈風伝(のぶながのやぼう・れっぷうでん)』は、1999年にコーエー(現・コーエーテクモゲームス)から発売された歴史シミュレーションゲーム。「信長の野望シリーズ」の第8作。 Windows版が発売された後、さまざまな家庭用ゲーム機に移植された。「コーエー定番シリーズ」などの廉価版も発売されている。Win版は、2005年9月29日に『信長の野望・武将風雲録』とのツインキャンペーン版も発売された。また、スマホ版も2019年に発売された。 Windows版はWindows XPまでのOSとWindows 7については公式に動作保証されているが、Windows Vistaに対しては動作するともしないとも発表されていない。 なお本項では、本作がベースとなっている『信長の野望DS(DS版)』『信長の野望2(3DS版)』についても併せて記述する。 内容概要プレイヤーは戦国大名の1人、あるいは複数名を選び、全国統一を目指す。従属大名のシステムはなく、全国統一の条件は、全大名を滅ぼすか、征夷大将軍となって、難易度毎に指定された数以上の本城を支配し、全大名と同盟を結ぶかのいずれかである。後述の支城については、必ずしも占領せずともよい。ターンは1年を12ヶ月に分けた1月ごとに進むようになっている。 「烈風伝」では、前作『将星録』同様、箱庭内政システムを採用した。また、野戦の戦闘では、自軍・敵軍の軍勢の大きさによって戦場の規模が変化し、陣形の導入により軍の部隊を機動的に動かせるようにした。また、大名の権勢を表した威信システムなどの新要素が盛り込まれた。 音楽は前作に引き続き山下康介による作曲。前作はオーケストラ録音だったが、今作は全曲シンセサイザー演奏。レコーディングには松武秀樹が参加している[1]。内政時に大名居城のある地方に応じた曲が流れるのは前作と同じだが、戦争時には野戦、攻城戦それぞれ規模に応じた3曲ずつ以外に、織田・武田・上杉・毛利・島津については専用の野戦音楽が用意されている。 グラフィック面でも解像度が上がったことで、武将の顔画像もこれまでの56×70ピクセルよりも大きい96×120ピクセルになり、より細かく描きこまれるようになった。また、シリーズで初めて全武将にモンタージュによる簡易作成ではないオリジナル顔画像が用意された。本作の顔画像のイメージは次々作『蒼天録』まで一部改変されながら受け継がれていくことになる。顔画像以外の部分のデザインも、大きく進化してイメージを一新した。 シリーズとして初の敗北条件に時間切れ(1700年までに勝利条件を達成していない)が導入された。 パラメータ本作での武将の能力パラメータは隠しを含めても「政治」「戦闘」「采配」「智謀」「相性」「寿命」「義理」。なお「采配」はヘルプには防御力のように書いてあるが、正確には「反撃時及び遠距離攻撃可能な攻撃(騎馬突撃、弓矢攻撃、鉄砲)への防御力」である。 大名が死亡あるいは隠居した時に比較的勲功の少ない武将が跡を継ぐと、たとえ史実では義理堅いことで有名な者や鉄壁の絆を誇った者同士であっても、後継大名より勲功の高かった家臣などが独立することがあるため、姫武将が家中分裂の原因ともなり得る。 特技特技については前作のものをほぼ踏襲している。内政特技は「農業」「商業」「建設」「外交」「登用」の5種類である。戦闘特技については次の通り。
職業各職業によるゲーム進行への影響は以下の通り。また、職業を持つものは同じ職業の浪人を登用しやすくなる。
内政面前作と同じく箱庭型内政のゲームだが、前作では内政(開発・建設)時には1人ずつ命令を出さなければならずユニットの管理が面倒な部分があった。本作では複数の武将をまとめて内政担当に指定できるようになった。 その他の前作からの変更点としては次のようなものがある。
このように、内政の自由度が向上しているが、本城と支城の切り替えはできない。道造りについては、ゲームの主目的である全国統一などを度外視して、全国津々浦々に道造りをしていくという楽しみ方も可能になっている。 また、前作に引き続き、攻城などを行う軍勢ユニットも、内政と同一マップ上で行動するシステムとなっている。このほかに、外交や調略を行う際、これに関わる2ヶ国間が地理的に遠く離れていれば離れているほど、コマンドの選択から実行までのタイムラグが大きくなるという変更が行われた。これも箱庭マップシステムの延長線上にある仕様となっている。例えば、九州の薩摩から東北の陸奥まで外交するのにコンシューマ版で6ヶ月、パソコン版で9ヶ月かかる。 合戦面合戦は野戦・海戦と攻城戦の2つに大別される。野戦は部隊数によって戦場の規模やコマンド内容が変化する。小部隊による小規模野戦は従来のHEX戦に近い感覚で行われるが、中規模野戦、大規模野戦では、「陣形」の概念が発生する。陣形が発生した状態での衝突には、参陣する個々の武将の能力よりもそれを率いる総大将の能力が顕著に反映される。各陣形には相性があるため、敵軍の布陣に対して相性の良い陣形で戦うことができれば、それだけ戦況を有利に導くことが可能である。 また、士気は武将個別でなく、攻撃・守備側軍団の双方に設定されている。敵部隊を壊滅させる、敵部隊が退却する、櫓を占領する、などにより味方の士気を上げて敵の士気を下げることができる。あるいは混乱やクリティカル攻撃を加えることによって敵の士気を下げることもできる。士気の高さは部隊の攻撃・守備力に影響が出るだけでなく、一定以下になると兵が逃走し始め、0になると敗北となる。このため大規模戦では士気の消耗により決着が付くこともある。 攻城戦で守備側は配下武将が城の櫓の数よりすくない場合、櫓の数に応じて架空の足軽頭に兵を任せることができる。能力は正規の武将に比べやや低めに設定されているものの、ある程度は城を守りやすくなっている。 兵科は、野戦や攻城戦では、足軽隊・長槍隊・弓隊・騎馬隊・鉄砲隊・騎馬鉄砲隊、海戦では、関船・安宅船・鉄甲船が存在する。 そのうち足軽隊は長槍隊・弓隊に武装を変更できる。長槍隊時は足軽隊よりも攻撃力や機動力に劣るが防御力は高く、騎馬突撃によるダメージも防げる。弓隊時は遠距離攻撃ができるが、それ以外の面では弱くなる。海戦では武将の身分によって兵科が変化し、侍大将以下は関船、部将以上は安宅船となる。また、身分に問わず鉄甲船を装備させるとこれに変化する。 「威信」システム威信が高いと、調略、外交、戦後処理での捕虜登用などの成功率が上がる。さらに、ターン順が早くなり、敵国の武将が城ごと投降したりするといったメリットがある。本作において、戦略に大きく影響する要素である。 登場武将の忠誠度も、個々に設定された武将の性格付け次第では威信に大きく左右される。本作で最も重要視された要素の一つであった。なお、威信システムは次作『嵐世記』以降も「名声」などと名前を変えて受け継がれた。 威信値は、所有城数と勇名(戦績)から算出され、朝廷からの討伐・朝敵指定や家宝などにより補正が加えられる。弱小勢力であっても、戦争に勝ち続けることで威信を上げて大勢力に対抗できるようになっている。 パワーアップキットパワーアップキット(以下、PK)版ではコンピュータ担当大名の思考ルーチンが一部変更された。また追加された機能は以下の通りである。
なお、通常版のセーブデータをPK版に引き継ぐことは可能だがその逆はできない。 Windows版の「withPK」は現在でも入手は可能だが、PK単体は生産中止となっている。 PC版PKでは有志による非公式のツールも製作されており、ゲームシステムの仕様を大きく変更させることができる。またこれらのツールを使って制作したセーブデータもインターネット上で配布されており、パソコン版には後述のシナリオ10「諸王の戦い」は収録されていないが、これもセーブデータで再現したものもある。 シナリオシナリオは機種によってさまざまだが、基本的には織田信長や豊臣秀吉を基準にしたものが多い。シナリオ4以降はPK版で搭載されたもの。
ショートシナリオ歴史イベント本作ではPKで追加された物も含めて、総数54の歴史イベントが用意されている。主人公の織田信長に関連するイベントはもちろん多いが、武田信玄、上杉謙信、徳川家康の限定イベントや特定の武将に限らず発生するイベントも用意されている。前のイベントを発生させていないと次のイベントが起きない場合もあるなど、発生条件の厳しいものから緩いものまで様々ある。 前述の54個以外にも、大名にして始める新大名モード、または仮想モードでのゲーム開始時にはデモとして簡単な架空イベントが起こる。これは、シナリオのデフォルト設定では大名ではない武将に謀反を起こさせるか、もしくは既存の大名の跡を継がせる必要がある。 PC版とコンシューマ版の違いPlayStation版やドリームキャスト版などのコンシューマ版ではPC版の内容が大幅にカットされた。 コンシューマ版での変更点は前項目で述べた「諸王の戦い」の追加以外には、
などがある。 コンシューマ版は、セーブやロード中の待ち時間に武将を2名紹介するシーンが見られる。PlayStation版と比べてセーブ時間の短いドリームキャスト版では1名のみ紹介される。また今川義元・氏真親子による初心者向けチュートリアルも収録されている。 コンシューマ版で省略された国と大名
ほとんどの大名は独立勢力として存在する。 信長の野望DS
コーエーより2006年4月27日に発売されたニンテンドーDS用歴史シミュレーションゲーム。『烈風伝withPK』をベースに開発されており、マップやコマンド、「諸王の戦い」シナリオなどの特徴からPlayStation版をベースにしていることが分かる。ただしタッチパネルのマウスに似た操作性と2画面の活用などによりWindows版に近い部分も持ち合わせている。 顔画像は『天下創世』や『革新』など、『烈風伝』以降の作品で用いられたグラフィックをベースにしている。各大名の家紋も、織田家の家紋が赤色表示になるなど変更点もある。 ベースとなった『烈風伝withPK』同様に新武将や新家宝を登録してゲームに登場させることはできるが、新武将は10名枠が削減され40名のみ新家宝は20個枠が削減して30個に減りさらに既存の武将や城のデータエディタ機能は搭載されていない。最初の画面に登場するオプションでは武将のデータや歴史イベントを見ることができる。また一部のROMでは振り仮名が無かったり、生没年の表記に誤りのある武将が一部いる。さらに初期ROMでは、命令終了まで残り1ヶ月の建設部隊が即時に城を作ることができてしまうバグや、攻城戦で本丸に隣接する武将を内応させても、本丸の総大将が攻撃を仕掛けないバグもある。 信長の野望2(3DS版)
コーエーテクモゲームスより2015年8月6日に発売されたニンテンドー3DS用歴史シミュレーションゲーム。『烈風伝withPK』をベースに開発された『信長の野望DS』のアップグレード版である。 『DS』から、新たに「山崎合戦」「群雄集結」「関ヶ原の戦い」「大阪の陣」のシナリオの追加、登場武将も100名追加された。システム面ではニンテンドー3DSの「すれちがい通信」に対応し、プレイヤー同士でエディット作成した新武将や新家宝の交換が可能になっている。また、セーブデータを作成する枠数も倍増している。 顔画像は『創造』のものに変更された。そして、スマホ版はこの作品の移植となっている。 ただし、スマホ版には「関ヶ原の戦い」と「大坂の陣」のシナリオが無い 脚注外部リンク
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