劉益謙

劉益謙の私設美術館「龍美術館中国語版」(上海

劉 益謙(りゅう えきけん、リウ・イーチェン[1][2]、リュウ・イーチィェン[3]拼音: Liú Yìqiān: 刘益谦1963年11月28日[4] - )は、中華人民共和国億万長者投資家アートコレクター[1]

モディリアーニの絵画『横たわる裸婦英語版』など高額美術品落札者として、妻の王薇中国語版とともに知られる[1]

経歴

1963年、上海貧民街(下只角)に生まれる[4]。中卒でタクシー運転手露天商カバン工場主等を経て[5][6][7]、1980年代に株取引で富豪となった[6]。いわゆる「成金」(中国語: 土豪(トゥーハオ))であることを自他ともに認めている[8]

1990年代半ば、妻とともにアートコレクター活動を始めた[1]

2012年、妻とともに私設美術館「龍美術館中国語版浦東館」を上海浦東新区にオープンした[1][8]。2014年には2館目「西岸館」を上海に、2016年には3館目「重慶館」を重慶にオープンした[3]

2023年時点の資産総額は推定50億ドル(7300億円)に及び、製薬不動産金融サービス持株会社から巨利を得ている[1]

所有作品

明成化豆彩鶏文盃(チキンカップ)

『明成化豆彩鶏文盃』通称『チキンカップ英語版

2014年、サザビーズオークションで、の皇帝が使用した磁器『明成化豆彩鶏文盃』、通称『チキンカップ英語版』を落札した[9][10][11]。落札額は3605万ドル(36億7200万円)で、中国の磁器としては史上最高値となった[12]

落札理由の一つとして、いわゆる「百年国恥」の時代に中国から国外に流出した文化財の「買い戻し」を挙げた[13]

落札時、アメリカン・エキスプレスクレジットカード分割払いし、莫大なポイント還元を得たことでも話題になった[10]。また磁器で実際に茶を飲む写真をSNSに投稿し、物議を醸した[3]

横たわる裸婦

モディリアーニ作『横たわる裸婦英語版

2015年、クリスティーズのオークションで、モディリアーニ油彩裸婦画『横たわる裸婦英語版』を落札した[11][8]。落札額は1億7040万ドル(210億円)で、美術品オークション史上当時2番目に高い落札額となった[8][3]。この落札により、劉は世界的な有名人となった[14]

その他

『明永楽御製紅閻摩敵刺繍唐卡』(明代タンカ

明代タンカ『明永楽御製紅閻摩敵刺繍唐卡』(中国美術史上最高値の3億4840万香港ドル(52億円))[15]宋代の稀覯本『宋版礼記[16]斉白石[17]ザオ・ウーキー白髪一雄藤田嗣治ルネ・マグリットデイヴィッド・ホックニーマシュー・ウォン英語版ダナ・シュッツ英語版ニコラ・パーティー英語版ジョージェット・チェン英語版草間彌生ジェニー・サヴィル英語版ケリー・ジェームズ・マーシャル英語版などの所有歴がある[1]

所有作品の大半は龍美術館中国語版で展示している[8]

脚注

  1. ^ a b c d e f g 中国の億万長者、リウ・イーチェンが約218億円相当の美術品を売却。私設美術館の財政難が理由か | ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)”. ARTnews JAPAN. 2025年1月10日閲覧。
  2. ^ 王薇、劉益謙(ワン・ウェイ、リウ・イーチェン/Wang Wei and Liu Yiqian) | ARTnews JAPAN(アートニュースジャパン)”. ARTnews JAPAN. 2025年1月10日閲覧。
  3. ^ a b c d 「買うのはカタログの表紙の絵」 209億円でモディリアーニの名画を競り落とした中国人富豪の“爆買い”作法”. クーリエ・ジャポン (2017年1月25日). 2025年1月10日閲覧。
  4. ^ a b 刘益谦10亿壕掷名画 7件过亿元拍品掀起艺术波澜”. 2019年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年1月7日閲覧。
  5. ^ 中国の金持ちは何にお金を使っているのか[富豪のトリビア45 -Part2] | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)”. forbesjapan.com. 2025年1月10日閲覧。
  6. ^ a b 産経新聞 (2015年11月11日). “モディリアーニ名画落札は中国人 元露天商、タクシー運転手経て富豪に”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年1月10日閲覧。
  7. ^ 馬場紀衣 (2020年10月20日). “『新型コロナはアートをどう変えるか』宮津大輔(1)新型コロナウイルスが火をつけた、富裕層のアート消費マインド | 本がすき。”. honsuki.jp. 2025年1月10日閲覧。
  8. ^ a b c d e 210億円でモディリアーニ買う中国人の正体”. 東洋経済オンライン (2015年12月15日). 2025年1月10日閲覧。
  9. ^ 中国内の書画・骨董に投機熱、日本からの名品“里帰り”が加速”. nippon.com (2014年6月26日). 2025年1月10日閲覧。
  10. ^ a b 37億円使ってポイント2400万円相当-中国人富豪のカード術”. Bloomberg.com (2014年7月18日). 2025年1月10日閲覧。
  11. ^ a b 絵画に大邸宅、サッカークラブに宝石-今年もアジア富豪が買いまくり”. Bloomberg.com (2015年12月17日). 2025年1月10日閲覧。
  12. ^ 明代の酒杯、36億円超で落札 中国磁器では史上最高値”. www.afpbb.com (2014年4月9日). 2025年1月10日閲覧。
  13. ^ JAPAN編集部, GQ (2018年10月8日). “奪われた中国古美術の行方──ヨーロッパで相次ぐ盗難事件の犯人は?”. GQ JAPAN. 2025年1月10日閲覧。
  14. ^ モディリアニ絵画、落札は中国の元タクシー運転手の大富豪”. www.afpbb.com (2015年11月11日). 2025年1月10日閲覧。
  15. ^ チベットの刺繍仏教画が52億円!”. nippon.com (2014年12月8日). 2025年1月10日閲覧。
  16. ^ コレクターと中国古書|ちくま学芸文庫|高津 孝|webちくま”. webちくま (2024年12月26日). 2025年1月10日閲覧。
  17. ^ 中国の芸術品市場、高騰の行く末は? - 中国国際放送局”. japanese.cri.cn. 2025年1月10日閲覧。
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