古代記号 (こだいきごう、英語 : Ancient Symbols )は、Unicode の169個目のブロック 。
解説
古代ローマ や古代ギリシア などで用いられていた通貨記号 などの、現在は使われていない古典的な碑文 などに用いられる記号類が収録されている。
Unicodeのバージョン5.1において初めて追加された。
収録文字
コード
文字
文字名(英語)
用例・説明
ローマの重量及び測量記号
U+10190
𐆐
ROMAN SEXTANS SIGN
通貨や重量の単位の1/6 を表す補助単位[ 1] 。
例えば通貨であれば1/6アスに相当する。
U+10191
𐆑
ROMAN UNCIA SIGN
通貨や重量の単位の1/12を表す補助単位[ 1] 。
U+10192
𐆒
ROMAN SEMUNCIA SIGN
通貨や重量の単位の1/24を表す補助単位[ 1] 。
U+10193
𐆓
ROMAN SEXTULA SIGN
通貨や重量の単位の1/72を表す補助単位[ 1] 。
U+10194
𐆔
ROMAN DIMIDIA SEXTULA SIGN
通貨や重量の単位の1/144を表す補助単位[ 1] 。
U+10195
𐆕
ROMAN SILIQUA SIGN
通貨や重量の単位の1/1728を表す補助単位[ 1] 。
ローマの硬貨記号
U+10196
𐆖
ROMAN DENARIUS SIGN
デナリウス の通貨記号 。10アスに相当する[ 1] 。
U+10197
𐆗
ROMAN QUINARIUS SIGN
クィナリウスの通貨記号。5アスに相当する[ 1] 。
U+10198
𐆘
ROMAN SESTERTIUS SIGN
セステルティウス の通貨記号。2.5アスに相当する[ 1] 。
U+10199
𐆙
ROMAN DUPONDIUS SIGN
帝政ローマ において新たに導入されたドゥポンディウス 通貨の通貨記号。2アスに相当する[ 1] 。
U+1019A
𐆚
ROMAN AS SIGN
青銅貨の基本単位であるアス [ 1] の通貨記号。
その他のローマの碑文記号
U+1019B
𐆛
ROMAN CENTURIAL SIGN
古代ローマの軍において、名目上100人の兵士で構成されるケントゥリア(centuria)と呼ばれる兵団の単位や、それを指揮する現代の軍曹 にあたる身分のケントゥリオ (centurio; 百人隊長)の略語を表す記号[ 2] 。
U+1019C
𐆜
ASCIA SYMBOL
主に1世紀 半ばから4世紀 初頭にかけての古代ローマ のガリア 属州の、現代におけるフランス のリヨン にあたる地域の碑文に用いられた、手斧 の形をした記号。しばしば碑文やテキストの上部に"Diis Manibus(マーネース のために)"という文章の略語であるDとMに囲まれた状態で書かれる[ 3] 。
ギリシアの記号
U+101A0
𐆠
GREEK SYMBOL TAU RHO
タウ(τ )とロー(ρ )の合字で、以下の用法がある[ 4] 。
紀元前1世紀 のヘロデ王朝 の貨幣及び碑文において数値3 (τρία)或いは30 (τριάντα)を表していた。
キリスト教 の碑文やランプなどの物品に現れ、「キリスト教徒 」であることを示し、キリスト のシンボルとして使用された。
ギリシャ語 のstauros(σταυρός; 十字架 )および/またはstauroo(σταυρό; 十字架につける)の略語。スタウログラム と呼ばれる。
コプト文字 にはこの文字から派生した同様の記号 U+2CE8 ⳨ coptic symbol tau ro
が存在するが、数価が900 でありギリシャ文字のものとは異なる[ 4] 。
小分類
このブロックの小分類は「ローマの重量及び測量記号」(Roman weights and measures )、「ローマの硬貨記号」(Roman coin symbols )、「その他のローマの碑文記号」(Other Roman epigraphic symbols )、「ギリシアの記号」(Greek symbol )の4つとなっている[ 5] 。
ローマの重量及び測量記号(Roman weights and measures )
この小分類には古代ローマ において重量や測量の単位の補助単位 として用いられた記号が収録されている。
共和政ローマ においては貨幣 がまだ導入されておらず、青銅 の塊の重量を通貨として使用していたため、貨幣・重量・測量に共通してこれらの記号が用いられていた[ 1] 。
ローマの硬貨記号(Roman coin symbols )
この小分類には古代ローマにおいて、紀元前211年 頃に導入された[ 1] 、デナリウス などの通貨体系の通貨記号 が収録されている。
その他のローマの碑文記号(Other Roman epigraphic symbols )
この小分類には古代ローマにおいて用いられたその他の記号が収録されている。
ギリシアの記号(Greek symbol )
この小分類には古代ギリシア において用いられたタウ・ロー 或いはスタウログラム と呼ばれる記号1つのみが収録されている。
文字コード
履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
バージョン
コードポイント[ a]
文字数
L2 ID
ドキュメント
5.1
U+10190..1019A
11
L2/06-173
David J. Perry (9 May 2006), Proposal to Add Ancient Roman Weights and Monetary Signs to UCS (英語)
L2/06-234
David J. Perry (28 July 2006), Proposal to Add Ancient Roman Weights and Monetary Signs (replaces L2/06-173) (英語)
U+1019B
1
L2/06-269
David J. Perry (1 August 2006), Proposal to Add Additional Ancient Roman Characters (英語)
7.0
U+101A0
1
L2/12-034
Joshua Sosin (30 January 2012), Proposal for three Greek papyrological characters (WG2 N4194) (英語)
13.0
U+1019C
1
L2/19-091
Andrew West; Michael Everson (1 April 2019), Proposal to encode a pair of Ascia symbols for Roman epigraphy (WG2 N5038) (英語)
^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。
出典
^ a b c d e f g h i j k l m David J. Perry (2006年5月9日). “Proposal to Add Ancient Roman Weights and Monetary Signs to UCS ” (英語). Unicode. 2025年3月24日閲覧。
^ David Perry (2006年8月1日). “Proposal to Add Additional Ancient Roman Characters ” (英語). Unicode. 2025年3月24日閲覧。
^ Andrew West, Michael Everson (2019年4月1日). “Proposal to encode a pair of Ascia symbols for Roman epigraphy (WG2 N5038) ” (英語). Unicode. 2025年3月24日閲覧。
^ a b Joshua Sosin (2012年1月30日). “Proposal for three Greek papyrological characters (WG2 N4194) ” (英語). Unicode. 2025年3月18日閲覧。
^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U10190.pdf" (PDF) . The Unicode Standard (英語). 2025年3月21日閲覧 。
関連項目