「孤独の旅路 」(こどくのたびじ、Heart of Gold) は、カナダのシンガーソングライター、ニール・ヤング の楽曲。彼の4枚目のアルバム『ハーヴェスト 』収録曲で、ヤング唯一の全米No.1シングル。カナダでは、1972年4月8日にRPMの全米シングル・チャートで初登場1位を獲得、この日ヤングはシングルとアルバムの両チャートで首位を守り、5月13日には再び1位を獲得した[ 4] 。ビルボード誌では1972年の第17位にランクされた[ 5] 。
2004年、『ローリング・ストーン』誌はこの曲を「史上最高の500曲」の297位にランクイン、2010年版では303位に選ばれ、そして2021年版で259位に選ばれた[ 6] 。
解説
ジェイムス・テイラー とリンダ・ロンシュタット のバック・ヴォーカルをフィーチャーしたこの曲は、一連のソフトなアコースティック曲のひとつで、腰を痛めたことが一因となって書かれた。長時間立っていることができなかったヤングはエレキ・ギターを弾くことができず、座って弾くことができるアコースティック・ギターに戻った。曲のイントロを含む3つのインストゥルメンタル・パートではハーモニカも吹いている。
この「孤独の旅路」は、1971年2月6日から8日にかけて、テネシー州ナッシュビルのクアドラフォニック・サウンド・スタジオで行なわれた『ハーヴェスト』の初期セッションで録音された[ 7] 。ロンシュタット(彼女自身も後にヤングの曲「バラのいたずら 」をカヴァーする)とテイラーは当時、ジョニー・キャッシュ のテレビ番組に出演するためにナッシュヴィルに滞在しており、アルバムのプロデューサー、エリオット・メイザーはスタジオでヤングのバック・シンガーを務めるよう手配した[ 8] 。
ヤングはこの曲をレコーディングする前に、1971年のソロ・ライヴで演奏している。1月19日のコンサート(2007年リリースの『Live at Massey Hall 1971』に収録)では、ピアノでこの曲を演奏し、「男は女が必要」から始めてこの曲に移行した。『ハーヴェスト』の時点では、この2曲を分けてギターとハーモニカで「Heart of Gold」を演奏していた。
ヤングは1977年のコンピレーション・アルバム『ディケイド』のライナーノーツにこう書いている: 「この曲は私を道の真ん中に置いた。そこを旅するのはすぐに退屈になったので、私は側溝に向かった。より荒れた道だが、そこではより面白い人たちを見ることができた」。この発言は、「孤独の旅路」がナンバーワンになった結果、彼がメインストリームで人気を得たことに対するものだった。
ヤングは、この曲と同じアルバムに収録されている「ハーヴェスト」と「週末に」は、当時、女優のキャリー・スノッドグレス との間に芽生えていた愛にインスパイアされたと語っている[ 9] 。
1985年、ボブ・ディラン はヤングはずっと好きだったにもかかわらず、この曲を聴くのが嫌だと言った:
誰かが私に似ていることが唯一気になったのは、72年頃にアリゾナ州フェニックスに住んでいた時で、その時の大流行曲が『孤独の旅路』だった。ラジオから流れてくると嫌で嫌でしょうがなかった。ニール・ヤングはずっと好きだったけど、「孤独の旅路」を聴くたびに気になった。長い間1位をキープしていたと思うんだけど、「クソッ、これは俺だ。もしそれが俺の曲に聴こえるなら、それは俺の曲であるべきだ」と。
シングル・リリースの際、レコード・ワールドは 「ディラン風のハーモニカと歌詞の内容が、(ヤングの)最近の作品よりもフォーク的な感触を与えている 」と評した[ 10] 。
カヴァー・ヴァージョン
ジェイムズ・ラストが1972年にカヴァー。1972年12月30日、カナダのRPM ACチャートで17位を記録[ 11] 。
1978年リリースの『Nightflight to Venus』でボニーM がカヴァー。
ウィリー・ネルソン によるカヴァーは、1987年のビルボード・ホット・カントリー・シングル・チャートで44位を記録した[ 12]
ロクセット は1993年のMTVアンプラグドでこの曲をカヴァーしている。
リチャード・ロッシは1994年のコンサート映画『Live at Graffiti's』でこの曲をカヴァーした[ 13] 。
ベティ・ラヴェットは、2000年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Souvenirs』でこの曲をカヴァーした。
ブラック・レーベル・ソサイアティ は、2枚組ライヴ・アルバム『Alcohol Fueled Brewtality Live! +5』(2000年発売)に収録。
トーリ・エイモス は、2001年リリースのアルバム『ストレンジ・リトル・ガールズ 』でこの曲をカヴァーしている。
ジョニー・キャッシュ は2003年の遺作ボックスセット『Unearthed』でこの曲をカヴァー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ と共演)。
ケイシー・マスグレイヴス は、2007年リリースのデモ・アルバム『Kacey Musgraves』でこの曲をカヴァーしている。
フィンランドのラップデュオ、ヨンティ&シャカ(Jontti & Shaka)の2007年の曲「Päiväni murmelina」でサンプリングされている。
ジェイムス・テイラー が2010年、ヤングのミュージケアーズ・パーソン・オブ・ザ・イヤー 授賞式でライヴ・カバー。
Superfly は、2010年のアルバム『Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3' 』でこの曲をカヴァーしている[ 14] 。
チャールズ・ブラッドレーによるカヴァーは2011年にDaptone Recordsからリリースされた。
マイケル・スウィートは2014年のアルバム『I'm Not Your Suicide』でこの曲をカヴァーし、エレクトラ・ムステインをフィーチャーした別バージョンがビデオとボーナストラックとしてリリースされた。
カナダのダイアナ・クラール は2015年、12枚目のスタジオ・アルバム『ウォールフラワー:コンプリート・セッションズ』にボーナス・トラックとして収録。
ルース・Bは2017年9月、ヤングのカナダ・ソングライターの殿堂入りのためにこの曲を演奏した[ 15] 。
パッセンジャー は2017年リリースのカヴァー・アルバム『Sunday Night Sessions』でこの曲をカヴァーした。
ミッドナイト・シャインは2018年リリースのアルバム『High Road』で、彼らの先住民言語であるムシュケゴウク・クリー語の要素を取り入れてこの曲をカヴァーした。
2023年6月、イルジー&ボン・イヴェール がデュエット・カバーをリリース
認知度
2005年、「孤独の旅路」は、CBCラジオ・ワンの「50 Tracks」シリーズで、史上3番目に素晴らしいカナダの歌に選ばれた。
チャート
認定
レコーディングメンバー
ニール・ヤング - リードボーカル、アコースティックギター、ハーモニカ
テディ・アーウィン - ギター
ベン・キース - ペダル・スティール・ギター
ティム・ドラモンド - ベース
ケニー・バトリー - ドラム
ジェイムス・テイラー - バッキング・ヴォーカル
リンダ・ロンシュタット - バッキング・ヴォーカル
脚注
^ Haeems, Neil (2020年6月25日). “Neil Young's sorrowful 'Homegrown' finally surfaces after 45 years ”. The Daily Californian . 2020年10月21日閲覧。 “Thanks to Helm, 'Separate Ways' sits perfectly beside Young classics such as 'Cinnamon Girl' and 'Heart of Gold' as one of the greatest contributions to folk-rock.”
^ Rosenbaum, Ron (2006年2月27日). “The Two Neil Youngs: Demme's Film Shows A Saccharine Singer ”. 2020年10月18日閲覧。 “with a few older 'country-rock' throw-ins like “Heart of Gold.””
^ “Harvest ”. Discogs (1972年2月). 2015年7月21日閲覧。
^ “RPM Top 100 Singles - May 13, 1972 ”. 2025年3月14日閲覧。
^ “Billboard Top 100 – 1972 ”. 2016年2月16日時点のオリジナル よりアーカイブ。2011年1月2日閲覧。
^ "Heart of Gold ranked #259 on Rolling Stone 500 Greatest Songs List" . Rolling Stone . 15 September 2021. 2021年9月23日閲覧 。
^ See video recording - YouTube
^ Mazer, Elliot, Neil Young's Heart of Gold Archived November 22, 2004, at the Wayback Machine ..
^ Neil Young (1 February 2022). Neil Young Radio . Sirius XM.
^ "Single Picks" (PDF) . Record World . 22 January 1972. p. 10. 2023年4月2日閲覧 。
^ “RPM Top 50 AC - December 30, 1972 ”. 2025年3月14日閲覧。
^ Whitburn, Joel (2013). Hot Country Songs 1944–2012 . Record Research, Inc. p. 238. ISBN 978-0-89820-203-8
^ “Live At Graffiti's ”. YouTube . Amazon. 2024年1月25日閲覧。
^ “Superfly: Wildflower & Cover Songs: Complete Best ”. Discogs (2010年9月). 2020年4月24日閲覧。
^ “Here's what you missed at the 2017 Canadian Songwriters Hall of Fame ”. CBC News (2017年9月24日). 2022年12月15日閲覧。
^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970-1992 . St Ives , N.S.W.: Australian Chart Book. ISBN 0-646-11917-6
^ "Ultratop.be – Neil Young – Heart of Gold" (in Dutch). Ultratop 50 .
^ "Ultratop.be – Neil Young – Heart of Gold" (in French). Ultratop 50 .
^ “RPM100 Singles” . RPM . (April 8, 1972). http://www.collectionscanada.gc.ca/obj/028020/f2/nlc008388.7727.pdf 2020年4月12日閲覧。 .
^ “Toutes les Chansons N° 1 des Années 70 ” (フランス語). InfoDisc (1972年2月10日). 2019年12月22日閲覧。
^ "The Irish Charts – Search Results – Heart of Gold" . Irish Singles Chart . Retrieved July 11, 2017.
^ Okamoto, Satoshi『Single Chart Book: Complete Edition 1968–2010』Oricon Entertainment、Roppongi, Tokyo 、2011年。ISBN 978-4-87131-088-8 。
^ "Nederlandse Top 40 – Neil Young" (in Dutch). Dutch Top 40 .
^ "Dutchcharts.nl – Neil Young – Heart of Gold" (in Dutch). Single Top 100 .
^ “Flavour of New Zealand, 15 May 1972 ”. 2019年2月17日時点のオリジナル よりアーカイブ。2017年7月13日閲覧。
^ "Norwegiancharts.com – Neil Young – Heart of Gold" . VG-lista .
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^ Whitburn, Joel (1993). Top Adult Contemporary: 1961–1993 . Record Research. p. 263
^ “CASH BOX MAGAZINE: Music and coin machine magazine 1942 to 1996 ”. worldradiohistory.com . 2021年4月3日閲覧。
^ “RECORD WORLD MAGAZINE: 1942 to 1982 ”. worldradiohistory.com . 2021年4月3日閲覧。
^ "Offiziellecharts.de – Neil Young – Heart of Gold" . GfK Entertainment charts .
^ “Veckolista Heatseeker, vecka 1 ”. Sverigetopplistan . 2025年1月3日閲覧。
^ “Italian single certifications – Neil Young – Heart of Gold ” (Italian). Federazione Industria Musicale Italiana . 2023年4月24日閲覧。
^ "Spanish single certifications – Neil Young – Heart of Gold" . El portal de Música . Productores de Música de España . 2024年1月26日閲覧 。
^ "British single certifications – Neil Young – Heart of Gold" . British Phonographic Industry . 2024年3月1日閲覧 。
^ "American single certifications – Neil Young – Heart of Gold" . Recording Industry Association of America . 2020年2月29日閲覧 。
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