片思い世界
『片思い世界』(かたおもいせかい)は、2025年4月4日に公開された日本映画[1][2][3]。監督は土井裕泰、脚本は坂元裕二のオリジナル脚本[4]。主演は広瀬すず、杉咲花、清原果耶[1][3]。 悩み迷いながらも優しさを失わずに、東京の片隅の古い一軒家で一緒に暮らす若い女性たちの「片思い」が描かれる[4][5]。 当初2024年の公開を予定していたが、撮影中に起きた事故(後述)のために延期となった。 あらすじ相良美咲、片石優花、阿澄さくらは同じ児童合唱団に所属している。本番前日のある日、美咲はリハーサル室でオリジナルの音楽劇の台本を完成させ、高杉典真に音楽を付けてもらおうとしていた。そこに他の児童たちがやってきて本番前の記念撮影が行われるが、典真はたまたま席を外していた。 12年後、20代になった美咲たち3人は、東京の古い一軒家で暮らしている。美咲はOL、さくらは水族館で働き、優花は大学に通っている。ある日、優花は12年会っていなかった母の彩芽が花屋の仕事をしている姿を偶然見かける。 一方、さくらは、美咲がいつもバスで乗り合わせる青年に想いを寄せていることに気づく。その青年は成長した典真であった。さくらは典真が桜田奈那子とピアノのコンサートに行くことを知り、美咲を連れてコンサート会場を訪れるが、周囲の人間はさくらと美咲が目立つ言動をしたにもかかわらず、彼女たちには全く気づいていない。 12年前、記念撮影の直後のリハーサル室に当時中学生の増崎要平が凶器を持って侵入し、合唱団の児童らを襲い、次々に殺傷する事件が起きている。殺害された美咲たち3人は、一切世界に干渉することができず観測もされない幽霊となり、3人だけの世界で共同生活をしていた。3人が暮らしている一軒家は、元の世界では長く空き家となっていたが、ある日ついに買い手がついてしまう。 大学で素粒子物理学を勉強している優花は、その理論を応用して元の世界に帰ることができるのではと考える[注 1]。素粒子物理研究所に侵入し資料を漁った美咲とさくらは、いつも聴いているラジオのパーソナリティである津永悠木という人物は実は物理学者であり、幽霊の世界を認識していると知る。津永はラジオの電波を使って幽霊たちに呼びかけ、元の世界に戻る方法を伝えていた。津永によれば、幽霊が強く心に想っている相手と心を通わせることで元の世界からの「観測」が可能となり、元の世界に戻れるのだという。 優花は母の元に帰りたいと願い、さくらは刑期を終えて出所した増崎に会って自分たちが殺された理由を知ることを望む。一方、元の家庭環境に恵まれなかった美咲は3人での生活に満足しており、乗り気でない様子を見せる。津永が指定した「観測」の時刻までの100時間の間に、優花は彩芽と、さくらは増崎と接触を試みる。 予定時刻12時間前、彩芽が増崎の元を訪れる。彩芽は別の家庭を持っても消えることのなかった優花への思いをぶつけるが、増崎は彩芽が求める、優花たちを殺した理由を語らない。2人は争いとなり、彩芽に殺意を抱いて追いかけた増崎が自動車にはねられ重体となる。彩芽の無事に優花らはほっとし、彼女が懐に持っていた優花の遺品のハンカチに、優花が好きな三日月型のクッキーが包まれているのを見つける。それを見た美咲、さくらは母娘の気持ちが通じたのだと考え、約束の場所である灯台へ急ぐ。 日の出の時刻、津永が指定した灯台の上で現世への想いを精一杯念じた3人は、本当にこれで戻れたのだろうかと半信半疑の思いで地上へ降りる。そこで海辺に歩いてきた男性・井出文生に声をかけられたと思い反応するが、彼が話しかけたのはそばにいた別の若者であり、3人は計画が失敗に終わったことを知り笑い合う。 帰りのバスの車中から典真を見かけた美咲は、優花とさくらに背中を押されその後を追う。事件以来ピアノをやめている典真を心配した合唱団の指揮者・加山次郎は、典真に次の合唱コンクールの伴奏を依頼していたが、典真はこれを断り、楽譜を返しに加山のもとを訪れる。典真は加山の勧めであのリハーサル室に入り、かつて美咲が残した音楽劇の台本に気づいて手に取る。典真が読み上げる台本の台詞に美咲が暗唱して声を重ね、心を通わせる。典真は何かを決心したようにピアノに向かい、演奏を始める。 美咲の提案により、優花とさくらを含めた3人は次の児童合唱コンクールのステージに立つことを決心する。本番当日、3人は加山の指揮、典真のピアノ伴奏で児童たちと一緒に「声は風」を歌いあげる。 3人が12年間暮らした家では新しい住人のためにリフォームが始まる。引っ越しすることに決めた3人は荷物をまとめ、新居を求めて旅立っていく。 キャスト主要人物
美咲・優花・さくらに関わる人物
美咲の関係者
優花の関係者
さくらの関係者その他
スタッフ
撮影中の事故2023年6月、本作のロケ車が移動していたところに対向車線を走行していたトラックが急に車線を変更したことから本作の監督や撮影スタッフが交通事故に巻き込まれ、重傷を負った。その後、取材に対して土井監督は「いまはもう快方に向かっています。ご心配いただくようなことはありませんよ。もう大丈夫です」と自身の状況を伝えている[17]。撮影していた本作は公開が延期されたが、2025年4月に無事公開されることが発表された。 主なロケ地
脚注注釈出典
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia