風景 (ロイスダール、ワシントン)

『風景』

オランダ語: Landschap 英語: Landscape
作者	ヤーコプ・ファン・ロイスダール
製作年	1670年ごろ
素材	キャンバス上に油彩
寸法	53.2 cm × 60 cm (20.9 in × 24 in)
所蔵	ナショナル・ギャラリー (ワシントン)

『風景』（ふうけい、蘭: Landschap、英: Landscape）は、17世紀オランダ絵画黄金時代の画家ヤーコプ・ファン・ロイスダールが1670年ごろにキャンバス上に油彩で制作した風景画である。1961年にサミュエル・ヘンリー・クレス（英語版）のコレクションが寄贈された際にワシントン・ナショナル・ギャラリーに収蔵され、現在、同美術館に所蔵されている^[1][2]。

本作では、滝が小川の穏やかな流れを橋の方に向かう激しい急流に変貌させている^[1]。じっと眺めていると、川の流れる音や森の木立のざわめきが聞こえてきそうである。ロイスダールは、自然の中で体験する感覚を率直に表しているように思われる^[2]。犬に伴われた母子が橋を渡り、鬱蒼とした森のある丘のようなところに続く小道に向かっている^[1]。彼らは、大きな森に吸い込まれていくかのように見える^[2]。

鑑賞者の視界は、中央に立つ大きな木によってさえぎられている。これらの木々は、右側の2本がこんもりと葉をつけて生き生きとしているのに対し、左側の1本はすっかり立ち枯れてしまっているようである^[2]。小川の流れは時間の経過、すなわち人生の移ろいを意味しているといわれる^[2]。また、岩の多い風景で3本の大きな倒木と急流が並置されていることは、おそらく生命の儚さに対する寓意的な示唆となっている^[1]。

ロイスダールはしばしば鑑賞者がたやすく風景の中に入っていくことを妨げるような構図を採用し、緊張感を高めているが、この絵画はそのよい例である。対岸には橋を渡ることでしかたどり着けず^[1][2]、此岸は画面外にあるため鑑賞者には近づけない^[1]。

• 『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』、読売新聞社、京都市美術館、東京都美術館、1999年刊行

• ワシントン・ナショナル・ギャラリー公式サイト、ヤーコプ・ファン・ロイスダール『風景』 (英語)

表 話 編 歴 ヤーコプ・ファン・ロイスダール
絵画作品	『田舎家と木々のある風景』（1646年） 『樹木のある砂丘』（1646年） 『風車のある風景』（1646年） 『夕景:小川沿いの風車』（1650年頃） 『シンフラーフェン近くの二つの水車小屋と開いた水門』（1650-1652年頃） 『ベントハイム城』（1653年） 『開いた水門のある二つの水車小屋』（1653年） 『ハールレム近郊の砂丘の風景』（1653年） 『水車のある茅葺き屋根の家』（1653年頃） 『エグモント・アーン・ゼーの眺め』（1650年代） 『田舎の別邸ソーストデイクに到着するコルネリス・デ・フラーフとその家族』 (1660年頃) 『水車小屋』（1660年頃） 『城の廃墟と教会のある風景』（1665年頃） 『光線』（1665年頃） 『滝のある風景』（1668年ごろ） 『穀物畑』（1660年代半ばから後半） 『森のある沼地』（1660年代） 『牡鹿狩り』（1665-1670年頃） 『アルクマールの光景』（1665-1670年頃） 『城山の前の滝』（1665-1670年頃） 『岩のある風景の中の滝』（1660年代） 『海岸沖の嵐』（1670年） 『ウェイク・ベイ・ドゥールステーデの風車』（1670年頃） 『小麦畑』（1670年頃） 『風景 (ワシントン)』（1670年頃） 『前景に漂白場のある、北西からのハールレムの眺め』（1670年頃） 『海岸』（1660年代後半から1670年代初頭） 『アムステルダムのダムとダムラックの眺め (フリック・コレクション)』 (1675年頃) 『アムステルダムのダムとダムラックの眺め (マウリッツハイス美術館)』（1670年代後半） 『水車のある山の風景』（1675-1679年頃） 『アムステルダム方面を望むアムステル川の眺望』（1671-1681年） 『樫の森の道』（制作年不詳） 『アムステルダムのダムとダムラックの眺め (ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館)』（制作年不詳）
関連項目	サロモン・ファン・ロイスダール（叔父・画家）
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