2000年のインディ・レーシング・リーグ・シリーズ

2000年のインディ・レーシング・リーグ・シリーズは、インディカー・シリーズの5年目のシーズンとなる。

この年のハイライトはIRLとCARTの分裂以来初めて、当時のCARTの有力チーム、チップ・ガナッシ・レーシングがファン・パブロ・モントーヤとジミー・バッサーの2人でインディ500に参戦、モントーヤが圧巻のインディ500デビューウィンを果たしたことだろう。また、成績不振でチーム・ペンスキーを解雇されたアル・アンサーJr.がこの年よりIRLに転向、第3戦のラスベガスでIRL初勝利を挙げるなど、IRLドライバーとCARTドライバーの実力の差を考えさせられるものとなった（とはいえ、この年逆にIRLからCARTに転向したケニー・ブラックがランキング4位とCARTルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得してもいる）。しかし、このチップ・ガナッシのインディ500参戦はCART側がインディ500というビッグレースに飢えていることの現れであり、CARTとIRLの勢力図が少しずつ変わり始める最初の動きとなった。

その他のトピックとしては、

• 採用台数の少なかったインフィニティエンジン、ライリー&スコットシャシーがそれぞれ初勝利をあげた（ただしライリー&スコットはこの年限りでIRLを撤退した。）
• 当初は初のロード/ストリートコースイベントとして（ただし、コース自体はオーバル風のレイアウトに変更して）CARTから移動する形でクリーブランドでのレースが予定されていたが、結局この年もCARTによりレースが行われることになったため中止となった
• この年のインディ500で女性ドライバーが初めて2人参戦（サラ・フィッシャーがインディ500初参戦、一方リン・セント・ジェームズがインディ500最後の参戦）
• ドレイヤー&レインボールド・レーシングがロビー・ビュールによりディズニー・ワールドでチームとしてのデビューウィンを達成（しかしこれが現在まで唯一のチームとしての勝利）
• 松田秀士は結果的にこの年が最後のインディ500挑戦となったが、予選中の怪我で予選落ちとなった。また服部茂章が松田のインディ500以外では初のIRL参戦として第5戦テキサスから5戦に参戦した
• この年からGAORAでのIRL全戦中継が始まったのと引き換えに地上波でのインディ500中継が消滅した

Rd	レース	サーキット	開催地	開催日	優勝者	チーム	シャシー/エンジン
1	Delphi Indy 200	ウォルト・ディズニー・ワールド・スピードウェイ	フロリダ州ベイ・レイク	1月29日	ロビー・ブール	ドレイヤー&レインボールド	Gフォース/オーロラ
2	MCI WorldCom Indy 200	フェニックス・インターナショナル・レースウェイ	アリゾナ州フェニックス	3月19日	バディ・ラジアー	ヘメルガーン	ライリー&スコット/オーロラ
3	Vegas Indy 300	ラスベガス・モーター・スピードウェイ	ネバダ州ラスベガス	4月22日	アル・アンサーJr.	ガレス	Gフォース/オーロラ
4	84th Indianapolis 500	インディアナポリス・モーター・スピードウェイ	インディアナ州スピードウェイ	5月28日	ファン・パブロ・モントーヤ	チップ・ガナッシ	Gフォース/オーロラ
5	Casino Magic 500	テキサス・モーター・スピードウェイ	テキサス州フォートワース	6月11日	スコット・シャープ	ケリー	ダラーラ/オーロラ
6	Radisson 200	パイクス・ピーク・インターナショナル・レースウェイ	コロラド州ファウンテン	6月18日	エディ・チーバー	チーバー	ダラーラ/インフィニティ
7	Midas 500 Classic	アトランタ・モーター・スピードウェイ	ジョージア州ハンプトン	7月15日	グレッグ・レイ	メナード	ダラーラ/オーロラ
8	Belterra Resort Indy 300	ケンタッキー・スピードウェイ	ケンタッキー州スパータ	8月27日	バディ・ラジアー	ヘメルガーン	ダラーラ/オーロラ
9	Excite 500	テキサス・モーター・スピードウェイ	テキサス州フォートワース	10月15日	スコット・グッドイヤー	パンサー	ダラーラ/オーロラ

チーム	シャシー	エンジン	タイヤ	No	ドライバー	出場ラウンド
A.J.フォイト・エンタープライズ	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	11	エリセオ・サラザール	全戦
				14	ジェフ・ワード	全戦
				41	ビリー・ボート	4
ベック・モータースポーツ	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	54	松田秀士	4
ブループリント・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	27	ニクラス・ジョンソン (R)	1
					ジミー・カイト	2-9
ブラッドレー・モータースポーツ	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	12	バズ・カルキンズ	全戦
バード・マコーマック・モータースポーツ	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	30	ジョン・ハーブ (R)	1
					ロニー・ジョンコックス	2-3
					J・J・イェリー	7-9
	ライリー&スコット				ロビー・アンサー	5-6
						4
カーヒル・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	98	ドニー・ビーチラー	全戦
チップ・ガナッシ・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	9	ファン・パブロ・モントーヤ	4
				10	ジミー・バッサー	4
ディック・サイモン・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	7	ステファン・グレゴリー	全戦
				90	リン・セント・ジェームズ	4
ドレイヤー&レインボールド・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	24	ロビー・ブール	1-4
		ニッサン・インフィニティ				5-9
				23	スティーヴ・ナップ	4
ファスト・トラック・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	48	アンディ・ヒレンバーグ (R)	4
ガレス・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	3	アル・アンサーJr.	全戦
ヘメルガーン・レーシング	ライリー&スコット	オールズモビル・オーロラ	F	91	バディ・ラジアー	1-3
	ダラーラ					4-9
				92	スタン・ワットルズ	4
				48	ダン・ドリナン (R)	4
ハバード・イムケ・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	20	タイス・カールソン	1-3, 5-9
インディ・レージェンシー・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	22	ジョニー・アンサー	4
ケリー・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	8	スコット・シャープ	全戦
				28	マーク・ディスモア	全戦
ローガン・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	19	ビリー・ロウ	5
					スティーヴィー・リーヴス (R)	7-9
ミッドアメリカ・モータースポーツ	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	43	ダグ・ディーデロ (R)	1-3, 5-6
						4
					スコット・ハリントン	7
					ジャック・ラジアー	8
					デイヴィー・ハミルトン	9
ニエンハウス・モータースポーツ	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	17	ニクラス・ジョンソン (R)	2
	ダラーラ				スコット・ハリントン	3
						4
ペイガン・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	75	リッチー・ハーン	4
パンサー・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	4	スコット・グッドイヤー	全戦
PDMレーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	18	サム・ホーニッシュJr. (R)	1-3, 6
	ダラーラ					4-5, 8-9
シンデン・レーシング	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	44	デイヴィー・ハミルトン	1
チーム・チーバー	ライリー&スコット	ニッサン・インフィニティ	F	51	エディ・チーバー	1
	ダラーラ					2-9
	Gフォース	オールズモビル・オーロラ		40	デイヴィー・ジョーンズ	4
チーム・コウルソン	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	40	ロベルト・ゲレロ	8
				41		4
チーム・メナード	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	1	グレッグ・レイ	全戦
				32	ロビー・ゴードン	4
チーム・ペルフレイ	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	81	ビリー・ボート	1-3, 5-9
				82	ミーモ・ギドリー (R)	4
チーム・エクストリーム・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	16	デイヴィー・ハミルトン	2-8
					ジャック・ラジアー	9
				42	ジョン・ホランズワースJr.	1
				88	アイルトン・ダーレ (R)	全戦
トレッドウェイ・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	5	ロビー・マギー	2-8
				55		1
				50	ジェイソン・レフラー (R)	4
トレッドウェイ・バーテックス・カニンガム・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	15	ラウル・ボーセル	4
				55	ジェイソン・レフラー (R)	3
					服部茂章 (R)	5-9
トライ・スター・モータースポーツ	ダラーラ	オールズモビル・オーロラ	F	6	ジェレット・シュローダー (R)	全戦
				9	ロビー・アンサー	1
				21	ジャック・ミラー	3
						4
					ザック・モリオカ (R)	9
トゥルーセリ・レーシング	Gフォース	オールズモビル・オーロラ	F	33	ジャック・ラジアー	1, 3-6
					ボビー・レゲスター (R)	2
ウォーカー・レーシング	ライリー&スコット	オールズモビル・オーロラ	F	15	サラ・フィッシャー (R)	2-3
	ダラーラ					4-9

• (R) - ルーキー

唯一2勝をあげたラジアーが逃げ切り、チャンピオンを獲得した。

順位 ドライバー DIS PHO LVS IND TX1 COL ATL KEN TX2 ポイント 1 バディ・ラジアー 2 1 22 2 7 26 2 1 4 290 2 スコット・グッドイヤー 4 2 12 9 5 16 11 2 1 272 3 エディ・チーバー 3 10 11 5 9 1 21 4 2 257 4 エリセオ・サラザール 5 4 18 3 17 6 10 25 5 210 5 マーク・ディスモア 16 16 2 11 6 4 18 11 14 202 6 ドニー・ビーチラー 6 3 26 12 22 5 5 10 6 202 7 スコット・シャープ 15 5 27 10 1 3 16 24 13 196 8 ロビー・ブール 1 7 5 26 18 23 6 13 18 190 9 アル・アンサーJr. 25 9 1 29 3 10 3 27 17 188 10 ビリー・ボート 9 6 7 15 23 18 8 18 3 181 11 ジェフ・ワード 7 11 21 4 19 15 19 6 8 176 12 ロビー・マギー 10 24 6 21 2 13 4 14 24 174 13 グレッグ・レイ 17 19 9 33 15 20 1 7 26 172 14 ステファン・グレゴリー 18 8 28 8 11 8 7 5 20 171 15 バズ・カルキンズ 8 23 25 18 4 12 23 12 9 145 16 アイルトン・ダーレ 11 22 14 25 10 2 25 19 12 142 17 ジェレット・シュローダー 19 12 4 14 21 7 24 26 16 136 18 サラ・フィッシャー 13 13 31 12 25 14 3 11 124 19 タイス・カールソン 13 15 8 NQ 13 11 13 22 23 124 20 ジャック・ラジアー 23 10 13 14 9 20 10 112 21 サム・ホーニッシュJr. 20 17 3 24 20 19 9 27 110 22 服部茂章 8 17 9 8 7 109 23 デイヴィー・ハミルトン 26 18 20 20 24 14 15 16 19 98 24 ジミー・カイト 26 16 30 24 12 12 17 21 79 25 ファン・パブロ・モントーヤ 1 54 26 ダグ・ディーデロ 14 25 19 NQ 27 22 43 27 ロニー・ジョンコックス 14 13 33 28 J・J・イェリー 17 15 25 33 29 ロビー・ゴードン 6 28 30 ジェイソン・レフラー 15 17 28 31 ニクラス・ジョンソン 12 21 27 32 ジミー・バッサー 7 26 33 スティーヴィー・リーヴス 22 21 22 25 34 ロビー・アンサー 24 NQ 26 21 19 35 スコット・ハリントン 23 NQ 20 17 36 ザック・モリオカ 15 15 37 ラウル・ボーセル 16 14 38 スティーヴ・ナップ 19 11 39 ボビー・レゲスター 20 10 40 ジョン・ホランズワースJr. 21 9 41 ジョン・ハーブ 22 8 41 ジョニー・アンサー 22 8 43 スタン・ワットルズ 23 7 43 ロベルト・ゲレロ NQ 23 7 45 ジャック・ミラー 24 NQ 6 46 ビリー・ロウ 25 5 47 リッチー・ハーン 27 3 48 アンディ・ヒレンバーグ 28 2 49 リン・セント・ジェームズ 32 1 - ダン・ドリナン NQ 0 - ミーモ・ギドリー NQ 0 - デイヴィー・ジョーンズ NQ 0 - 松田秀士 NQ 0 順位 ドライバー DIS PHO LVS IND TX1 COL ATL KEN TX2 ポイント

色 結果 金色 優勝 銀色 2位 銅色 3位 緑 4位・5位 水色 6位-10位 青灰色 完走 (11位以下) 紫 リタイヤ (Ret) 赤 予選落ち (DNQ) 茶色 撤退 (Wth) 黒 失格 (DSQ) 白 スタートせず (DNS) 空欄 欠場 (DNP) エントリーせず 注釈など 太字 ポールポジション 斜字 ファステストラップ * 最多リードラップ (3ポイント) ルーキーオブザイヤー ルーキー

優勝から10位までは順に50-40-35-32-30-28-26-24-22-20のポイントが与えられ、それ以下は1ポイントずつ減少し（29位以下はすべて1ポイント）、予選上位3人に順に3-2-1のポイント、最多リードラップに2ポイントのそれぞれボーナスポイントを総合しタイトルが争われた（前年と同様）。

• 2000年のフォーミュラ・アトランティック・チャンピオンシップ・シーズン
• 2000年のCARTシーズン
• 2000年のインフィニティ・プロ・シリーズ・シーズン

• IRL公式ウェブサイト
• インディ500公式ウェブサイト