大会マスコットの「Youhoo」
2023年世界陸上競技選手権大会 (2023ねんせかいりくじょうきょうぎせんしゅけんたいかい、英語 : 2023 World Athletics Championships )は、2023年 8月19日 から27日 までハンガリー の首都 ・ブダペスト で開催されたワールドアスレティックス 主催の第19回世界陸上競技選手権大会 [ 2] [ 3] 。通称ブダペスト23 。 [要出典 ]
概要
世界陸上史上初めて、ハンガリー で開催。当初の計画では、過去の大会の通例に沿って、オレゴン(アメリカ合衆国)での前回大会 から2年後の開催を予定していた。しかし、2020年 夏季の開催を予定していた東京2020オリンピック が、同年初頭からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 流行の影響で翌2021年 の夏季に延期された。ワールドアスレティックス (世界陸連)ではこの事態を受けて、2021年に予定していたオレゴン大会の日程を2022年 7月15日 から24日 までの期間に変更した[ 4] ものの、当大会については当初の計画で設定していた日程を据え置いた。このような事情から、世界陸連では世界陸上史上初めて、大会を2年連続で開催することになった。
会場
メイン会場は、当大会の開催に合わせて建設されたネムゼティ・アトレーティカイ・ケズポント [ 5] で、観客の最大収容人数をおよそ4万人に設定。ただし、国立競技場や関連施設の規模が非常に大きいことから、トラック種目やフィールド種目に出場する選手のウォーミングアップには、国立競技場と別のエリアを「ウォーミングアップエリア」(サブトラック)として使用している。国立競技場とウォーミングアップエリアの間には小さな川が流れているため、上記種目への出場に備えてサブトラックで調整していた選手には、国立競技場へ移動するための手段として(運営側のスタッフが運転する)カートが提供されている[ 6] 。
英雄広場
ロード種目(マラソン競技と競歩競技)では、スタート・フィニッシュ地点を英雄広場 に定めたうえで、ブダペストの市街地でユネスコ の「世界文化遺産 」に登録されているエリア(ドナウ河岸 、ブダ城地区 、アンドラーシ通り )を経由する周回コースを設定。マラソンは男女とも、およそ10kmの周回コース(英雄広場→アンドラーシ通り→聖イシュトヴァーン大聖堂 前の折り返し点→ヨージェフ・アティラ通り→ドナウ川 に架かるセーチェーニ鎖橋 →全長350mの「キャッスル・トンネル」→ブダ城の周辺→セーチェーニ鎖橋→ヨージェフ・アティラ通り→アンドラーシ通り→英雄広場)を4周する方式で実施された。また、競歩でもアンドラーシ通りをコースに活用。20km競歩では1km、35km競歩では2kmの周回コースが設けられた[ 7] 。
大会日程
現地時間は全て中央ヨーロッパ夏時間 (CEST、UTC+2 )。日本標準時 との時差は-7時間。
競技日程[ 8] [ 9]
2023年8月19日(土)
現地時間
トラック種目
10:50
男子
20km競歩
決勝
10:35
女子
100mハードル
七種競技
12:05
混合
4x400mリレー
予選
12:35
男子
3000m障害
予選
13:35
男子
100m
予備予選
13:35
男子
100m
予選
14:15
女子
1500m
予選
19:02
男子
1500m
予選
19:43
男子
100m
予選
20:31
女子
200m
七種競技
20:55
女子
10000m
決勝
21:49
混合
4x400mリレー
決勝
現地時間
フィールド種目
11:30
男子
砲丸投
予選
12:47
女子
走高跳
七種競技
13:00
男子
ハンマー投
予選A組
13:25
女子
走幅跳
予選
14:45
男子
ハンマー投
予選B組
19:05
女子
砲丸投
七種競技
19:09
男子
円盤投
予選A組
19:37
男子
三段跳
予選
20:37
男子
砲丸投
決勝
20:43
男子
円盤投
予選B組
2023年8月20日(日)
現地時間
トラック種目
7:15
女子
20km競歩
決勝
9:35
女子
400m
予選
10:25
男子
400m
予選
11:25
男子
400mハードル
予選
12:10
女子
100m
予選
13:05
男子
110mハードル
予選
16:35
男子
100m
準決勝
17:05
女子
1500m
準決勝
17:30
男子
1500m
準決勝
18:00
女子
800m
七種競技
18:25
男子
10000m
決勝
19:10
男子
100m
決勝
現地時間
フィールド種目
9:00
女子
円盤投
予選A組
9:50
女子
走幅跳
七種競技
10:30
女子
円盤投
予選B組
10:35
男子
走高跳
予選
12:00
女子
やり投
七種競技A組
13:05
女子
やり投
七種競技B組
16:55
女子
走幅跳
決勝
17:49
男子
ハンマー投
決勝
2023年8月21日(月)
現地時間
トラック種目
18:50
女子
400mハードル
予選
19:33
男子
400mハードル
準決勝
20:05
男子
110mハードル
準決勝
20:35
女子
100m
準決勝
21:12
女子
400m
準決勝
21:40
男子
110mハードル
決勝
21:50
女子
100m
決勝
現地時間
フィールド種目
18:40
女子
棒高跳
予選
19:40
男子
三段跳
決勝
20:30
男子
円盤投
決勝
2023年8月22日(火)
現地時間
トラック種目
18:40
女子
100mハードル
予選
19:20
男子
800m
予選
20:25
女子
400mハードル
準決勝
21:00
男子
400m
準決勝
21:31
女子
1500m
決勝
21:42
男子
3000m障害
決勝
現地時間
フィールド種目
19:58
男子
走高跳
決勝
20:20
女子
円盤投
決勝
2023年8月23日(水)
現地時間
トラック種目
10:05
女子
800m
予選
11:20
女子
200m
予選
12:15
男子
200m
予選
19:02
女子
5000m
予選
19:53
女子
3000m障害
予選
20:45
女子
100mハードル
準決勝
21:15
男子
1500m
決勝
21:35
女子
400m
決勝
21:50
男子
400mハードル
決勝
現地時間
フィールド種目
10:15
男子
棒高跳
予選
10:20
女子
やり投
予選A組
11:15
男子
走幅跳
予選
11:55
女子
やり投
予選B組
19:00
女子
ハンマー投
予選A組
19:10
女子
三段跳
予選
19:30
女子
棒高跳
決勝
20:35
女子
ハンマー投
予選B組
2023年8月24日(木)
現地時間
トラック種目
7:00
男子
35km競歩
決勝
7:00
女子
35km競歩
決勝
19:00
男子
5000m
予選
19:45
女子
200m
準決勝
20:20
男子
200m
準決勝
20:50
男子
800m
準決勝
21:22
女子
100mハードル
決勝
21:35
男子
400m
決勝
21:50
女子
400mハードル
決勝
現地時間
フィールド種目
19:30
男子
走幅跳
決勝
20:26
女子
ハンマー投
決勝
2023年8月25日(金)
現地時間
トラック種目
10:05
男子
100m
十種競技
19:32
男子
4x100mリレー
予選
20:00
女子
4x100mリレー
予選
20:25
女子
800m
準決勝
21:08
男子
400m
十種競技
21:40
女子
200m
決勝
21:50
男子
200m
決勝
現地時間
フィールド種目
10:10
男子
やり投
予選A組
10:20
女子
走高跳
予選
10:55
男子
走幅跳
十種競技
11:45
男子
やり投
予選B組
12:20
男子
砲丸投
十種競技
18:30
男子
走高跳
十種競技
19:38
女子
三段跳
決勝
20:20
女子
やり投
決勝
2023年8月26日(土)
現地時間
トラック種目
7:00
女子
マラソン
決勝
10:05
男子
110mハードル
十種競技
19:30
男子
4x400mリレー
予選
19:55
女子
4x400mリレー
予選
20:30
男子
800m
決勝
20:50
女子
5000m
決勝
21:25
男子
1500m
十種競技
21:40
男子
4x100mリレー
決勝
21:53
女子
4x100mリレー
決勝
現地時間
フィールド種目
10:25
女子
砲丸投
予選
11:00
男子
円盤投
十種競技A組
11:55
男子
円盤投
十種競技B組
12:40
男子
棒高跳
十種競技
19:05
男子
やり投
十種競技A組
19:05
男子
棒高跳
決勝
20:10
男子
やり投
十種競技B組
20:15
女子
砲丸投
決勝
2023年8月27日(日)
現地時間
トラック種目
7:00
男子
マラソン
決勝
20:10
男子
5000m
決勝
20:45
女子
800m
決勝
21:10
女子
3000m障害
決勝
21:37
男子
4x400mリレー
決勝
21:47
女子
4x400mリレー
決勝
現地時間
フィールド種目
20:05
女子
走高跳
決勝
20:20
男子
やり投
決勝
参加資格
競技結果
男子
2019 | 2022 | 2023
注記
大会第6日(現地時間で8月24日 )の「アフタヌーンセッション」(競技場内で午後帯に実施される種目)に組み込まれていた男子200m準決勝の開始前に、「準決勝の第1組へ出場する選手(飯塚翔太 やノア・ライルズなど)を乗せながら走行していたカートの左側面へ、別のカートが前面からT字状に衝突する」という事故が競技場外の路上(2本の道が左右から合流する地点)で発生した。飯塚によれば「2台のカートとも(運転手が)ブレーキを掛けずに衝突した」とのこと[ 12] で、衝突された個所に近い席へ座っていたアンドルー・ハドソン選手(ジャマイカ )および、ボランティアスタッフ 1名が目の痛みや視覚の異常を理由に検査を受診。準決勝では出場選手を3つの組に分けていたが、事故の発生を受けて、レースを実施する順番を「第1組→第2組→第3組」から「第2組→第3組→第1組」に入れ替える措置が急遽講じられた[ 13] 。
ハドソンは検査を受けた後に、準決勝の1組へ出場。視力のおぼつかない状態で完走を果たしながらも、着順は5着で、タイムも全3組での14番目(20秒38)にとどまった。しかし、レース後には運営側に対して「(衝突によって割れた)ガラスの破片が右目に入ったせいで、視界がかすんだ(ままでの出場を余儀なくされた)」と抗議。さらに、ブダペスト市内の病院で右目の診察と治療を改めて受けたところ、本人曰く「(レースの前より)右目の状態が良くなった」という[ 14] 。その間に上記の抗議が運営側に受け入れられた結果、ハドソンは(各組の着順で2着以上の選手に、3着以下の選手から全3組のタイム順で上位の2名を加えた8名にしか本来は許されていない)決勝への出場を「衝突事故での負傷に伴う救済措置」として特別に認められた[ 12] 。このため、男子200mの決勝には、ハドソンを含めて9名の選手が出場。「救済措置」によって第1レーンを割り当てられたハドソン[ 15] は完走したものの、着順は8着で、タイムは20秒40だった[ 14] 。
女子
2019 | 2022 | 2023
混合
国別メダル獲得数
* 開催国/地域 ( ハンガリー )
参加国・地域
放送
ハンガリー・テレビ が国際映像を制作。
日本国内
深夜 - 早朝帯を中心に、TBSテレビ系列 で独占中継。男女マラソン・男女競歩(いずれもブダペスト市内の公道を使用)・「モーニングセッション」(現地時間で午前帯に国立競技場で組まれている種目)・「アフタヌーンセッション」(前述)向けの生中継枠を午後(最も早い日には13:30)からゴールデンタイム (最長で21:00まで)、「イブニングセッション」(現地時間で夜間に国立競技場で組まれている種目)向けの生中継枠を深夜(最も早い日には22:00)から早朝帯(最長で5:30まで)に編成している。
一部の種目については、編成上の事情から、録画中継や録画映像によるダイジェスト放送で対応。上記の中継枠では、生中継対象の種目が始まるまで相当の時間を要する場合に、開始までの時間帯を(予選・準決勝・決勝のいずれかが放送前に終了した他種目の)録画中継などに充てている。
当大会からの新たな取り組みとして、生中継・録画中継のシーンに応じた「用語解説」(中継する競技・種目に関する専門用語・略称、中継の見どころ、大会に参加している国・地域、注目選手・中継番組出演者のプロフィールなどの「豆知識」を1行の見出しと2行の解説文で紹介するミニ画面)を、中継の放送中に画面の左上へ自動的に表示。「用語解説」の表示にはデータ放送 を活用していて、視聴者が必要に応じて表示の有無をテレビリモコン の青ボタンで操作できるようになっている。
一部種目の生中継では、以下に記す突発的な事態の影響で、放送時間の大幅な繰り下げや長時間の中断を余儀なくされている。
大会初日(8月19日)の午後には、男子20km競歩(日本勢が上位を独占することが最初に期待されていた種目)のスタート時刻が15:50(以下の時刻はいずれも日本時間 )に設定されていたことを踏まえて、制作局のTBSテレビ が中継の放送枠を15:00 - 21:00に編成。この放送枠には、「モーニングセッション」と「イブニングセッション」向けの中継枠も含まれていた。しかし、ブダペスト市の中心地に設けられていた男子20km競歩のスタート地点が、スタート時刻の直前から気温の急低下・強風・大雨に見舞われた。競歩のレース中に雷雨が生じる可能性を懸念した主催者は、スタートの時刻を17:50まで繰り下げることを15:40に決定。この決定によって2時間近くにわたる「放送上の空白」が突然生じたことから、TBSテレビでは「空白」をメイン会場内(特設スタジオ)からの生放送(注目競技の展望や日本代表で注目される選手の紹介など)に充てた[ 16] 。もっとも、同局では前述したように6時間分の中継枠をあらかじめ編成していたため、男子20km競歩の生中継自体はスタート時刻の繰り下げ後もこの枠内で完結している。
日本時間で8月24日の未明に編成されていた大会第5日(23日)「ナイトセッション」の生中継は、24日の午前4時台に突如中断された。北朝鮮 から日本の上空に向けた弾道ミサイルの打上げを日本政府 が24日の午前3:54に確認したことをきっかけにJアラート(全国瞬時警報システム) が沖縄県 に発令されたことを受けて、東京のTBS放送センター から『JNN 報道特別番組 「北朝鮮、ミサイル発射」』を40分近くにわたって急遽放送したことによる。この影響で、午前4時台に予定していた男子1500m決勝・女子400m決勝の生中継が見送られた[ 17] ため、TBSテレビでは24日(大会第6日)の「ナイトセッション」中継枠に両種目の録画中継を組み込んだ。
決勝種目を中心に編集したハイライト番組を、BS-TBS で夜間に放送。放送日によって、1時間枠・2時間枠・3時間枠のいずれかで編成している。
前年(2022年)のオレゴン大会に続いてTVer でリアルタイム配信を実施する一方で、当大会からの新たな取り組みとして、全種目の決勝中継の動画をU-NEXT 内の「Paravi コーナー」からライブ配信。前述した事情から地上波で突如中継できなくなった男子1500m決勝・女子400m決勝についても、「Paraviコーナー」では当初の予定どおりにライブ配信を実施した。
番組出演者
◎:出演の時点でTBSテレビのアナウンサー(☆印の人物は前年のオレゴン大会でも中継番組に出演)
●:TBS→TBSテレビ出身のフリーアナウンサー(TBSへの在籍中にスポーツアナウンサーとして活動)
1997年アテネ大会 から25年間(延べ13大会)にわたって中継番組のメインキャスターを務めてきた織田裕二 (俳優・歌手)[ 18] と中井美穂 (フリーアナウンサー)が、オレゴン大会で揃って卒業した[ 19] ことを受けて、TBSテレビの現職アナウンサーから初めて起用[ 20] 。TBSテレビでは、このような事情から、競技中継・関連番組のテーマソングを『All my treasures 』(織田が歌手として発表した楽曲で本人のメインキャスター在任中に一貫して使用)から『生命体』(星野源 の書き下ろし曲)に変更している[ 21] 。
江藤・石井とも、当大会のトラック&フィールド系種目 へ出場できる日本代表選手の選考会を兼ねたゴールデングランプリ陸上2023横浜 (2023年 5月21日 に神奈川県 横浜市 の横浜国際総合競技場 で開催)から、TBSテレビ系列向けのトラック&フィールド競技中継で進行役を務めている。
石井はスポーツアナウンサーで、出演の時点では『S☆1 』(TBSテレビ系列のスポーツ情報番組)のメインキャスターも担当。世界陸上のテレビ中継では、2015年の北京大会 からオレゴン大会まで4大会連続で「フィールドキャスター」を務めていて、競技会場のミックスゾーンで世界59ヶ国の762選手に取材した経験を持つ[ 22] 。当大会の中継番組では、このような経験や取材力を背景に「動く総合司会」という役割を担っていて、ウォーミングアップエリアからのリポートやミックスゾーンでのインタビューも随時任されていた[ 23] 。
長距離トラック種目・男女マラソン中継の解説も担当。女子マラソンの中継では、金哲彦 (NPO法人 ニッポンランナーズの創設者、高橋が社会人ランナー時代の初期に在籍していたリクルート 陸上競技部の元・監督)が沿道でのリポートを担当した。
100mハードル と走幅跳 の元・選手。世界陸上では、女子100mハードル種目における日本出身選手初の準決勝進出を、2017年のロンドン大会 で初出場にして果たしていた。2019年のドーハ大会 や東京2020オリンピック にもこの種目で出場していたが、オリンピック閉幕後の2021年12月に現役を引退。
当大会では、織田・中井と共にTBS→TBSテレビの中継番組へ長らく出演してきた小谷実可子 からフィールドリポーターを引き継いでいるほか、トラック競技の中継で一部種目(ハードル・短距離走など)の解説を初めて任されていた。
取材リポーター:近藤夏子 ◎☆(出演の時点では『S☆1』のメインキャスター)
トラック&フィールド種目の一部では、当該種目へ出場した日本選手に対するミックスゾーンでのインタビューも担当。
脚注
外部リンク