「CHASE 」(チェイス)は、日本のロックバンド 、L'Arc〜en〜Ciel の39作目のシングル 。表題曲は2011年12月14日に配信発売。フィジカルは2011年12月21日発売。発売元はKi/oon Records 。
概要
前作「X X X 」以来約2ヶ月ぶりとなるシングルリリースで、L'Arc〜en〜Cielの2011年第3弾シングルとして発表された作品。なお、本作は2012年2月に発売された12thアルバム『BUTTERFLY 』の先行シングルとなっている。
本作の表題曲「CHASE」は、2011年12月21日に公開された瑛太 主演のワーナー・ブラザース映画 配給映画『ワイルド7 』の主題歌に使用されている[ 3] 。L'Arc〜en〜Cielが実写映画のテーマソングに楽曲を提供するのは、2000年1月に発表した「finale 」以来約11年11か月ぶりのこととなった。ちなみにこの曲は、バンド結成20周年を記念し、2011年9月より開催したライヴツアー「20th L'Anniversary TOUR」の日本ガイシホール 公演で先行披露されている。(詳細は楽曲解説 の項目を参照)
また、カップリング曲には、<L'Arc〜en〜Cielの過去の楽曲をアコースティック・アレンジする企画>の一環で制作された「My Dear -L'Acoustic version-」などが収録されている。
リリース
リリースプロモーション
本作のリリースプロモーションとして、2011年11月9日から同年11月15日までの1週間限定で、YouTube にて表題曲のミュージック・ビデオ のフルサイズが無料公開されている。また、2011年11月30日に日本テレビ 系列で放送された音楽番組『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2011 』に出演し、表題曲をテレビ初披露している。さらに、L'Arc〜en〜Cielは2011年12月31日に放送された『第62回NHK紅白歌合戦 』に2年連続通算5度目の出場を果たしており、同番組でこの曲を披露している。
リリース形態
フィジカル発売1週間前となる2011年12月14日に、各種音楽配信サイトにおいて表題曲「CHASE」のダウンロード 先行配信が開始されている。なお、L'Arc〜en〜Cielのシングル表題曲が、CD発売に先駆けデジタルリリースされるのは、前々作「GOOD LUCK MY WAY 」以来2作ぶりのことととなる。
表題曲「CHASE」の先行配信から1週間後となる2011年12月21日に、初回生産限定盤(CD+DVD)と通常盤(CD)の2形態でフィジカルが発売された。ジャケットのアートディレクションは菊池元淑(LOKI)が、アートワークはイラストレーターの長谷亮平が担当している[ 4] 。また、初回盤には「CHASE」のミュージック・ビデオを収録したDVDが付属している。さらに、初回生産限定盤と通常盤(初回仕様限定)には「ニューアルバム完成の瞬間にメンバーと一緒に立ち会えちゃうアクセスコード」が封入されている。このアクセスコードは、2011年12月26日に行われた『BUTTERFLY』のマスタリング 音源最終チェック現場の模様を視聴するためのコードで、指定の日時に動画共有サービス のUstream にてアクセスコードを入力することにより、マスタリングの模様を視聴することができるものになっている。
ミュージックビデオ
表題曲「CHASE」のミュージック・ビデオ は、東弘明がディレクターを務めた作品となっている。撮影では、7台のプロジェクターを使ったプロジェクションマッピング [ 5] [ 注 1] を駆使し、『旧約聖書 』における「天地創造 」をテーマとした映像が球体や壁面、メンバーに投影されている[ 6] 。
また、この映像にはken のアイデアが活かされている。この映像のコンセプトについて、kenは「白と黒でハイパー な感じを出したいなっていうのが、最初にあったんですね。デジタルとかハイパーなイメージっていうと、どうしても白黒じゃなくなっていくと思うんですけど、それを白黒で表現したいなっていうのが最初[ 7] 」と述べており、映像ではCGを使わず撮影が行われている。
このミュージック・ビデオは、本作の初回生産限定盤に付属するDVD に初収録されている。また、2019年12月11日には公式YouTubeアーティストチャンネル において、YouTube Music Premium限定で映像の有料公開が開始されている。前述のYouTubeチャンネルでの有料公開開始から約2年5ヶ月後となる2022年5月13日には、同サイトで映像の無料公開が開始されている。
収録曲
CD # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間 1. 「CHASE」 hyde ken , hydeL'Arc〜en〜Ciel , Hajime Okano 4:30 2. 「My Dear -L'Acoustic version-」 hyde hyde Produced by ken 5:19 3. 「CHASE (hydeless version)」 ken, hyde L'Arc〜en〜Ciel, Hajime Okano 4:30 4. 「My Dear -L'Acoustic version- (hydeless version)」 hyde Produced by ken 5:15 合計時間:
19:34
楽曲解説
CHASE
シンセサイザー を多用した近未来的なイメージをもたらすサウンドと、激しくもポップなメロディが融合されたダンサンブルなロック・ナンバー[ 8] 。この曲の原型は、作曲者のken 曰く「サビのシンセのリフみたいのが思い付いて、そこから作り出した[ 9] 」という。この原型を基にL'Arc〜en〜Cielでレコーディングすることになったが、kenは「もうちょっとヤンチャなところがあったらもっといいのにな[ 9] 」と思っていたといい、打ち込み 作業に長けたyukihiro と制作の方向性を話し合ったという。このタイミングで映画『ワイルド7 』への楽曲提供の話があり、映画に合う曲としてこの曲の原型が選ばれている。
映画の主題歌にこの曲を提供するにあたり、kenが制作した原曲が選ばれたが、映画のラッシュフィルムを見たhyde の「もっとワイルドにしたい」という意向から、hydeがAメロ、Bメロを作り直すこととなった[ 10] 。また、Cメロの前半はkenが作曲した部分を採用しているが、後半部分はhydeが作り直している。これにより、L'Arc〜en〜Cielの楽曲としては「New World 」(作曲:yukihiro & hyde)以来の合作、kenとhydeでは初の合作クレジットとなった。kenは、この曲の制作を振り返り「(『BUTTERFLY 』制作のための)二回目の選曲会の時に、この曲もレコーディングしようということが決まって。その時点で、曲にもうちょっとヤンチャなところがあったらもっといいのにな、って俺自身は思っていて。そうしたらyukihiroが、"こういうのもあるよね、こういうのもあるよね"っていう話をしてくれたんです。その段階で、映画『ワイルド7』のタイアップの話がきたんですよ。映画のラッシュを観せてもらって、"じゃあ、この曲をもうちょっとこういうふうにしたいよね"みたいな、"このままじゃなくて"っていう話がhydeから出たのかな。曲がメンバーの気持ちいいかたちに到達してないんだったら、自分的には、それはそうしたいと。自分でも、もっとヤンチャにしたいっていうこともあったから、じゃあ、みんなでいろいろできたらなっていうことで、スタートしたんですよね。そこからhydeに、ヤンチャっていう話をしたかどうかは覚えてないんですけど、映画から受けた印象もあったのか、hydeから出てくるアイデアが、ワイルドな方向だった[ 9] 」と述懐している。なお、この曲にはkenが弾いたギターが3トラック入っている[ 11] 。この曲のギタープレイについて、kenは「ギターは全部で3トラック入っているんですけど、バッキングはほぼ1トラックで弾ききってますね。パワーコード をどれだけ歯切れよく弾くかがポイントっていう感じです。サビはほぼ白玉なので、スライドを入れて勢いを増すように弾きました[ 11] 」と述べている。なお、kenはこの曲で、ローチューニング仕様にした際でも適度なテンションが得られることから、「dragonfly Custom Model」も弾いている[ 12] 。
また、この曲には、yukihiroが自宅から持参したアナログ・シンセサイザー 、Nord rack 3で鳴らした音色が採り入れられている他[ 13] 、イントロ のギターリフ ではtetsuya の案が採用されるなど[ 10] 、アレンジにおいてメンバーの意見が多く反映されている。この曲の制作を振り返り、tetsuyaは「kenのデモを基にhydeを中心に4人で意見を出し合って作っていった感じなんですけど、そういう作り方をしたのは「DRINK IT DOWN 」以来でしたね。「X X X 」もある意味そうでしたけど、今回はさらにみんなで作った感じ。作曲クレジットもken/hydeになっています[ 9] 」と述べている。
この曲のリズムは、Aメロのボトムの効いた8ビートと、サビの4つ打ちを軸とした16ビートの2つのパターンが入り混じった展開となっている[ 14] 。この曲のドラムパターンについて、yukihiroは「Aメロが8分で、サビの前半が16分の刻みになって、後半で16分の部分がなくなってオープンだけが残るパターンですね[ 15] 」「イントロで16のシーケンスが流れてるんですけど、その16分の4つ打ちの感じをサビまで取っておこうというのは考えていました。(中略)パターンは8ビートなんですけど、16の場所にキックが入っているので、それで統一感を感じるのかもしれないですね[ 14] 」と述べている。なお、yukihiroは、この曲を4つ打ちだけのリズムにする気はなかったようで、「最初は全編4分打ちだったんですけど、別のパターンも試してみたくて、けっきょくサビのパートだけ4分打ちになりました。こういう曲調でドラムが4分打ちっていうは、すごくわかりやすいし、ハマらないわけはないんですけど、そこを外してロックバンドのやるダンスミュージック になればいいなと思いました[ 13] 」「ああいうシンセのシーケンスから始まったら16ビートが浮かぶと思うんですけど、それに対してのリズムは8ビートでもカッコいいって思っていて。ロックバンドとダンスミュージックを融合させようとした時に、テクノ の4分打ちにはやっぱり勝てない部分があると思うので。ロックのアプローチとして4分打ちにしなくてもカッコいい、ダンスミュージック的なビートが作れるんじゃないかなとは思ってます[ 13] 」と語っている。
さらに、この曲ではシンセベースと生のベース音の共存も一つのテーマとなっている。この曲のベースプレイについて、tetsuyaは「シンベが最初から最後まで貫いている中で、どういうふうに生ベースと共存させるか、ということを考える必要があって。ミックスも難しかったですね。ちゃんとしたオーディオで聴かないと、生ベースは聴き取れないかもしれないですけど。ただ、Bメロは1小節ずつコードが変わったり、サビの頭もギターは1小節ずつ動いているんですよ。でも、サビ部分のベースは動かないように、分数コードを活かすかたちを提案しました。サビにいってからもベースのコードが変わると、どっしりした感じが出ないと思ったんですよ。その提案にkenからOKが出たので(笑)、ベースはステイして、後半のサビを繰り返すところでだけ動いています[ 9] 」と語っている。
歌詞について、作詞を手掛けたhydeは「映画『ワイルド7』にバイクで獲物を追跡するイメージ、狙うイメージがあったので、それを自分の中にあった、首都高 を走るイメージと混ぜていった感じ[ 9] 」と述べている。また、歌詞には<手の鳴る方へ>、<let's play tag!>といった、鬼ごっこ を意図したフレーズが入っているが[ 9] 、これについてhydeは「もともとクールな歌詞だったと思うんだけど、そこにちょっと三枚目っぽさ…キャッチーさを入れた[ 9] 」と語っている。さらに、歌詞の中には前述のイメージをストレートに綴った<onigokko>というフレーズも登場している[ 9] 。なお、英詞の女性コーラス部分は、シンガーソングライター の衛藤利恵 が担当している。
ちなみに、フィジカル発売翌年の2012年5月23日には、この曲の全英語詞バージョンとなる「CHASE -English version-」が配信限定でリリースされている(詳細は配信限定楽曲 参照)。
My Dear -L'Acoustic version-
10thアルバム『AWAKE 』の収録曲「My Dear」のアコースティックバージョン。
今回のアコースティックアレンジは、曲前半ではアコースティックピアノ 主体のアレンジとなっているが、2サビが終わると一転し、ギターを含めたバンドサウンドが入る構成になっている。アレンジ作業を振り返り、プロデュースを担当したken は「この曲は最初、hyde がピアノでデモを作ってたんじゃないかな。それで、のちにチェンバロ かなんかに変わったんですけど。今一度ピアノにして、より静けさと広さを感じたいなと。あとは暴力的なところを感じたいなと思って。そういう方向にいくようにアコースティックアレンジしましたね[ 7] 」と述べている。
また、yukihiro は、普段のレコーディングで22インチのバスドラム を基本的に使用しているが、kenと共同で編曲を担当した富樫春生 のオーダーにより、この曲のドラム録りでは26インチのバスドラムでキックを踏んでいる[ 13] 。さらに、曲の雰囲気に合わせるため、hydeがボーカルを録り直している[ 16] 。
タイアップ
CHASE
参加ミュージシャン
初回生産限定盤付属DVD
CHASE -Music Clip -
ディレクター:東弘明[ 17]
配信限定楽曲
CHASE -English version-
CDシングルの表題曲「CHASE」の全英語詞バージョンで、「I Love Rock'n Roll 」以来となる配信楽曲。2012年5月23日から配信開始。
2012年に開催した海外ライヴツアー「WORLD TOUR 2012」およびライヴハウス公演「一夜限りのL'Arc〜en〜Ciel Premium Night」では、このバージョンが演奏されている。
また、2012年3月3日発売の海外版ベストアルバム『WORLD'S BEST SELECTION 』にこの曲が収録されており、この作品で初CD化となった。
収録アルバム
オリジナルアルバム
ベストアルバム
参考文献・サイト
脚注
注釈
^ プロジェクションマッピングは、ビデオやコンピュータグラフィックスなどの映像をスクリーンではなく、プロジェクターによって直接建築物のファサードや家具、車、自然物といった立体物に投映する表現手法のこと。
出典
hyde - ken - tetsuya - yukihiro hiro - pero - sakura アルバム
スタジオ
ベスト
リミックス ライヴ トリビュート 再発盤
シングル
CD
1990年代
1992年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年
2000年代
2000年 2001年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年
2010年代
2010年 2011年 2014年 2015年 2016年
2020年代
ビデオ 配信限定
映像作品
映画 ゲームソフト 関連項目
カテゴリ