HONEY (L'Arc〜en〜Cielの曲)
「HONEY」(ハニー)は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielの10作目のシングル。1998年7月8日発売。発売元はKi/oon Records。 概要「花葬」「浸食 〜lose control〜」のシングル2作と合わせ、<シングル3枚同時発売>された内の一作。 本作の表題曲「HONEY」は、作詞・作曲を手掛けたhyde曰く「自分の中のシングルの定義を表現した曲[4][5]」だといい、必要最小限の音数で創り上げられた、シンプルかつメロディアスな、勢いのあるロックナンバーになっている[5]。また、kenはこの曲のギター録りで、自身が嗜好するディレイやコーラスといったエフェクターを使った開放弦主体のアルペジオ中心のアプローチではなく、フェンダー・ジャズマスターを使い、ジャキジャキと尖ったサウンドを鳴らしている。ちなみにyukihiroは、本作発売当時のインタビューでこの曲をフェイバリットのひとつとしてあげており、「俺はすごい好きな曲[6]」「音数少ないの好きなんですよ。空間が上手く出せるようなものが好き[6]」「ギターの音もガレージな感じでカッコいい[6]」と印象を語っている。(詳細は楽曲解説の項目を参照) この曲はL'Arc〜en〜Cielを代表する楽曲の一つとなっており、現在までにエリック・マーティンやハシケンハマケン(ハシケンと浜野謙太のユニット)、TAKUMA(10-FEET)[7][8]、小山田壮平(ex.andymori)[注 1]、珍走隊(a.k.a betcover!!)[9]といったアーティストの他、山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)がボーカルを務めたバンド、VIVA LA J-ROCK ANTHEMSにカバーされている。ちなみに、VIVA LA J-ROCK ANTHEMSは、野外ロック・フェスティバル「VIVA LA ROCK」のカバーコーナーのために組まれた企画バンドであり、「HONEY」のカバーセッションでは山中以外に、亀田誠治(東京事変)、加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)、津野米咲(赤い公園)、ピエール中野(凛として時雨)が参加している[10]。他にも、K-POPアーティストの超新星やユウタ(NCT 127)[11]、ジェイ(ENHYPEN)[12]がこの曲のカバーを披露したことがある。 また、2007年12月26日に行われた所属事務所主催のライヴイベント「JACK IN THE BOX 2007」では、hydeとTERUとTAKURO(GLAY)がこの曲とGLAYの代表曲「誘惑」をセッションしている[注 2][13]。2016年には、hydeと親交の深いDAIGO(BREAKERZ)と女優・北川景子の結婚式において、hydeとGLAYのメンバー4人でこの曲を演奏。そして2025年には、hydeがGLAYのデビュー30周年記念公演にサプライズゲストで出演し、この曲と「誘惑」を披露している[14]。さらに2023年には、hydeがソロ名義でYOSHIKI(X JAPAN)、SUGIZO(LUNA SEA)、MIYAVIの3人と結成したロックバンド、THE LAST ROCKSTARSにおいて、大幅なリアレンジを施したうえでこの曲をセルフカバーしている。 2019年には、hydeがソロ名義で発表したシングル「MAD QUALIA」のカップリングに、PABLO(Pay money To my Pain)によるリアレンジを施したこの曲のセルフカバー音源が収録されている。このセルフカバー音源は、原曲からヘヴィロックテイストにリアレンジされており、hydeが2019年以降にソロ名義で開催したライヴにおいて、スタンダードソングのひとつとしてセットリストに組み込まれている。hydeはこの曲のセルフカバーをソロ名義で出演したロックフェスで頻繁に披露しており、現在までに「SUMMER SONIC」[15]や「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」[16]「男鹿ナマハゲロックフェスティバル」[17]「MONSTER baSH」「氣志團万博」などのフェスで演奏している。ちなみに、2022年にhydeがソロ名義で開催した対バンツアー「HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH」では、NOBUYA(ROTTENGRAFFTY)[18]やMasato(coldrain)[19]とこの曲をデュエットしている。また、2024年にはロックバンド、SiMが主催する野外ロックフェス「DEAD POP FESTiVAL 2024」にソロ名義で出演した際に、SHOW-HATE(SiM)とkenをゲストに招き、「HONEY」を披露している[20]。 また、本作には、従来のL'Arc〜en〜Cielのシングル作品で収録されていた、表題曲のインストゥルメンタルとカップリング曲が収められていない。表題曲1曲のみのCDシングルは、L'Arc〜en〜Cielにとってこの作品が初となった。 リリースリリースの経緯この<シングル3枚同時発売>は、レコード会社のスタッフからの提案がきっかけで決まったものだったという。tetsuyaは、3枚同時発売という案を聞いたときの心境について「"(3枚同時発売は)バカっぽくていいかな"と。反対するための強い理由もなかったし。まあ3曲PVを撮んなきゃなんないし、もっと忙しくなるかなと思ったんで、その部分は反対と言えば、反対だったというのもあるけど[21]」と語っている。 また、kenは3枚同時発売が決まった際の心境について「3曲同時で思い出すのは、寺尾聰ぐらい[21][注 3]」と述べている。そしてyukihiroは「"へえ、3曲出すんだ"ぐらいで、特別なんとも思わなかった[21]」と述懐している。 リリースプロモーション
本作のリリースプロモーションとして、1998年5月13日に全国7都市の街頭ビジョンで本作を含めた"シングル3枚同時発売"が大々的に告知されている[4]。 本作発売週には、ビルに立て籠もった指名手配犯が「3枚同時!3枚同時に持ってこい!」と要求するテレビCMが全国放送されている。ちなみに、このテレビCMには刑事役としてプロレスラーの藤原喜明が出演している。 また、本作発売年の1998年11月21日には、L'Arc〜en〜Cielが「第31回日本有線大賞」の最多リクエスト歌手賞、楽曲「HONEY」がグランプリを受賞したことが発表され、同音楽賞の授与式で「HONEY」と「snow drop」を生披露している。そして1998年12月31日に放送された『第49回NHK紅白歌合戦』には、L'Arc〜en〜Cielとして初の出場を果たし、「HONEY」を披露している。 余談だが、2019年12月3日には前記のテレビCMをセルフリメイクしたCMが制作されている。L'Arc〜en〜Cielはセルフリメイク版の公開日に公式YouTubeアーティストチャンネルを開設しており、これに合わせて「HONEY」「花葬」「浸食 〜lose control〜」の3曲のミュージック・ビデオを同サイトにて期間限定で同時公開している。 リリース形態本作は、通常盤(CD)の1形態でリリースされている。ちなみにフィジカルは、当時8cmシングルとして発表されていたが、2006年のシングル14作品再発企画において12cmシングルで再発売されている。 また、同日に発売したシングル「花葬」を本作のカップリング曲として収録する予定が当初あったことを踏まえてか、ジャケットデザインには「花葬」のアートワークに写っている被写体と同一人物が起用されている。 チャート他発売初週となる1998年7月20日付のオリコン週間シングルチャートでは、初動50万枚以上を売り上げ初登場2位を獲得している[注 4](プラネット週間シングルチャートでは初週に首位を記録[22])。そして発売翌週の1998年7月27日付のオリコン週間シングルチャートでは、発売初週からランクアップし「winter fall」から3作連続通算3作目となる首位を獲得。発売翌々週には週間2位、さらに次の週には週間3位を記録し、「花葬」「浸食 〜lose control〜」を含めオリコン週間シングルチャートに4週連続3作同時TOP10入りを達成している(「HONEY」単体では8週連続で週間TOP10にランクインし続けている)。さらに、L'Arc〜en〜Cielのシングル作品では、初となるミリオンセラー(累計売上約123.8万枚)を記録している。なお、L'Arc〜en〜Cielのフィジカルシングルとしては、このシングルが最高売上枚数記録となっている。 また、本作発売から約21年後となる2019年12月11日から各種サブスクリプションサービス(定額制音楽配信)にて、この日までに発表したL'Arc〜en〜Cielの全楽曲のストリーミング配信を全世界で一斉解禁しており[23]、表題曲は同年12月12日に公開されたSpotifyの週間バイラルトップ50(日本)チャートで3位を獲得した[24]。ちなみにこの週では、TOP18までをL'Arc〜en〜Cielの楽曲が独占しており、1位は「flower」が獲得している。さらに、このバイラルチャートTOP50のうち、半分以上となる34曲でL'Arc〜en〜Cielの楽曲がチャートインする結果となった[24]。なお、サブスクリプションサービスへの楽曲配信を解禁してから約5年2ヶ月後の2025年2月には、日本国内のストリーミング再生回数が5000万回突破を記録している[3]。 ちなみに、2022年に出版された音楽雑誌『ミュージック・マガジン』の<1990年代Jポップ・ベスト・ソングス>という企画において、「HONEY」が48位に選出されている[25]。音楽ライターのパンスは同誌において、この曲に関し「ギターの疾走感と、キャッチーなのに複雑なコード進行、そしてhydeの華麗なボーカルが見事に合致し、ひたすら魅了されるばかり。ロック・バンドのフォーマットだが、高速のラテン・ジャズのように聞こえる[25]」とコメントしている。 ミュージックビデオ表題曲「HONEY」のミュージック・ビデオは、「winter fall」や「DIVE TO BLUE」の映像監督を担当した竹石渉がディレクターを務めた作品となっている。 このミュージック・ビデオは、1999年8月11日に発表したクリップ集『CHRONICLE』に初収録されている。また、2019年12月3日には公式YouTubeアーティストチャンネルにおいて、ミュージック・ビデオに新たに制作したCMを挟んだバージョンの映像を約1週間限定で公開している。この期間限定の映像公開が終わった同年12月11日からは、同サイトでオリジナルのミュージック・ビデオの無料公開が開始されている。 収録曲
楽曲解説
タイアップHONEY 参加ミュージシャンカバー(※)音源がフィジカルに収録されているものに限り記載する。
収録アルバム
受賞
参考文献
脚注注釈
出典
|
Portal di Ensiklopedia Dunia