パルミラ文字 (Unicodeのブロック)

パルミラ文字 (Unicodeのブロック)
Palmyrene
範囲 U+10860..U+1087F
(32 個の符号位置)
追加多言語面
用字 パルミラ文字
主な言語・文字体系
割当済 32 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
7.0 32 (+32)
公式ページ
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パルミラ文字(パルミラもじ、英語: Palmyrene)は、Unicodeブロックの一つ。

解説

紀元前300年から紀元後100年ごろにかけて、現在のシリア東部のホムス県に存在していた、シリア砂漠の北、ダマスカスユーフラテス川の間に建国された紅海沿岸の小さな独立国家パルミラ[1]で話された、アラム語のパルミラ方言を表記するためのパルミラ文字を収録している。

パルミラ文字は帝国アラム文字から派生した文字体系であり、音素文字のうち基本的に母音を表記せず、子音字のみで綴られるアブジャドに分類される。アラビア文字ヘブライ文字などと同様に右から左への横書き(右横書き)である。元々分かち書きされていなかったが、現在の研究者は分かち書きをして文献を記録することも多い[1]

また、いくつかの文字については文字同士が並ぶと合字を形成することがある。例えば、𐡡𐡠/bʾ/、𐡧𐡣/ḥd/などは書体によっては前の文字の書き終わりの部分が次の文字と接続するような字形に変化する。ただし、これはアラビア文字のような必須の合字ではないため、フォントなどに合字の形成を実装するか否かは任意であり、デザイナーの判断に委ねられている[2]

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(パルミラ数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なパルミラ文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン7.0において初めて追加された。

収録文字

ラテン文字転写」の列はパルミラ文字のラテン文字への翻字方式の一つである○○に従う。

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
字母
U+10860 𐡠 PALMYRENE LETTER ALEPH 子音[ʔ]を表す。 ʾ
U+10861 𐡡 PALMYRENE LETTER BETH 子音[b]を表す。 b
U+10862 𐡢 PALMYRENE LETTER GIMEL 子音[ɡ]を表す。 g
U+10863 𐡣 PALMYRENE LETTER DALETH 子音[d]を表す。 d
U+10864 𐡤 PALMYRENE LETTER HE 子音[h]を表す。 h
U+10865 𐡥 PALMYRENE LETTER WAW 子音[w]を表す。 w
U+10866 𐡦 PALMYRENE LETTER ZAYIN 子音[z]を表す。 z
U+10867 𐡧 PALMYRENE LETTER HETH 子音[ħ]を表す。
U+10868 𐡨 PALMYRENE LETTER TETH 子音[tˤ]を表す。
U+10869 𐡩 PALMYRENE LETTER YODH 子音[j]を表す。 y
U+1086A 𐡪 PALMYRENE LETTER KAPH 子音[k]を表す。 k
U+1086B 𐡫 PALMYRENE LETTER LAMEDH 子音[l]を表す。 l
U+1086C 𐡬 PALMYRENE LETTER MEM 子音[m]を表す。 m
U+1086D 𐡭 PALMYRENE LETTER FINAL NUN 子音[n]を表す。

語末にある時の字形。

n
U+1086E 𐡮 PALMYRENE LETTER NUN 子音[n]を表す。 n
U+1086F 𐡯 PALMYRENE LETTER SAMEKH 子音[s]を表す。 s
U+10870 𐡰 PALMYRENE LETTER AYIN 子音[ʕ]を表す。 ʿ
U+10871 𐡱 PALMYRENE LETTER PE 子音[p]を表す。 p
U+10872 𐡲 PALMYRENE LETTER SADHE 子音[sˤ]を表す。
U+10873 𐡳 PALMYRENE LETTER QOPH 子音[q]を表す。 q
U+10874 𐡴 PALMYRENE LETTER RESH 子音[r]を表す。 r
U+10875 𐡵 PALMYRENE LETTER SHIN 子音[ʃ]を表す。 š
U+10876 𐡶 PALMYRENE LETTER TAW 子音[t]を表す。 t
記号
U+10877 𐡷 PALMYRENE LEFT-POINTING FLEURON パルミラ文字におけるフルーロン

数字の近くに現れる傾向がある。前後で改行してはならず、必要に応じて自動でスペースを挿入する必要がある[2]

U+10878 𐡸 PALMYRENE RIGHT-POINTING FLEURON
数値
U+10879 𐡹 PALMYRENE NUMBER ONE 単位数字の1
U+1087A 𐡺 PALMYRENE NUMBER TWO 単位数字の2
U+1087B 𐡻 PALMYRENE NUMBER THREE 単位数字の3
U+1087C 𐡼 PALMYRENE NUMBER FOUR 単位数字の4
U+1087D 𐡽 PALMYRENE NUMBER FIVE 単位数字の5
U+1087E 𐡾 PALMYRENE NUMBER TEN 単位数字の10

百の位を表すためにも用いられる[3]

元々100を表す単位数字(左端がわずかに上に曲がっている)は別の符号として提案されていた[1]が、現在はこれらは同じ文字の字形差に過ぎないとみなされ同じ符号位置に統合されている。

U+1087F 𐡿 PALMYRENE NUMBER TWENTY 単位数字の20

小分類

このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「記号」(Symbols)、「数値」(Numbers)の3つとなっている[3]

字母(Letters

この小分類にはパルミラ文字のうち、基本的な字母が収録されている。

記号(Symbols

この小分類にはパルミラ文字のうち、様々な記号類が収録されている。

数値(Numbers

この小分類にはパルミラ文字のうち、位取り記数法を用いず、単位数字を並べて表現する数値記号(Unicode上では10進法の位取り記数法を用いる"digit"とは区別される)が収録されている。

文字コード

パルミラ文字(Palmyrene)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1086x 𐡠 𐡡 𐡢 𐡣 𐡤 𐡥 𐡦 𐡧 𐡨 𐡩 𐡪 𐡫 𐡬 𐡭 𐡮 𐡯
U+1087x 𐡰 𐡱 𐡲 𐡳 𐡴 𐡵 𐡶 𐡷 𐡸 𐡹 𐡺 𐡻 𐡼 𐡽 𐡾 𐡿
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
7.0 U+10860..1087F 32 L2/10-003 SEI / Michael Everson (25 January 2010), Preliminary proposal for encoding the Palmyrene script (WG2 N3749) (英語)
L2/10-255 SEI / Michael Everson (20 July 2010), Proposal for encoding the Palmyrene script (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ a b c SEI / Michael Everson (2010年1月25日). “Preliminary proposal for encoding the Palmyrene script (WG2 N3749)” (英語). Unicode. 2025年4月23日閲覧。
  2. ^ a b SEI / Michael Everson (2010年7月20日). “Proposal for encoding the Palmyrene script” (英語). Unicode. 2025年4月23日閲覧。
  3. ^ a b "The Unicode Standard, Version 15.1 - U10860.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年4月23日閲覧

関連項目

Prefix: a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

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