帝国アラム文字 (Unicodeのブロック)

帝国アラム文字 (Unicodeのブロック)
Imperial Aramaic
範囲 U+10840..U+1085F
(32 個の符号位置)
追加多言語面
用字 アラム文字
主な言語・文字体系
割当済 31 個の符号位置
未使用 1 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.2 31 (+31)
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帝国アラム文字(ていこくアラムもじ、英語: Imperial Aramaic)は、Unicodeブロックの一つ。

解説

紀元前600年頃から紀元後600年ごろ、かつて中東のメソポタミア地域における共通語(リングア・フランカ)であり、新アッシリア王国及びペルシア帝国[1]の公用語であった、アフロ・アジア語族セム語派に属するアラム語の古い形である古代アラム語、帝国アラム語、中期アラム語、後期アラム語や、ペルシア帝国内で話されていたその他の言語を表記するために用いられたアラム文字を収録している。なお、現在のアラム語(現代アラム語)はシリア文字などが使われており、この文字体系は使われていない。

ブロック名の「帝国(Imperial)」は、ペルシア帝国においてアラム語が地域間および地域を超えた通信言語として用いられていたことに由来したものであるが、実際には前述した通りアラム文字はそれ以前から同様の用途で使用されており、ペルシア帝国滅亡後も用いられていた[1]

アラム文字はフェニキア文字筆記体[1]から派生した文字体系であり、音素文字のうち基本的に母音を表記せず、子音字のみで綴られるアブジャドに分類される。アラビア文字ヘブライ文字などと同様に右から左への横書き(右横書き)であり、単語毎に分かち書きをする[1]

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(アラム数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なアラム文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン5.2において初めて追加された。

収録文字

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写[1]
字母
U+10840 𐡀 IMPERIAL ARAMAIC LETTER ALEPH 子音[ʔ]を表す。 ʾ
U+10841 𐡁 IMPERIAL ARAMAIC LETTER BETH 子音[b]を表す。 b
U+10842 𐡂 IMPERIAL ARAMAIC LETTER GIMEL 子音[ɡ]を表す。 g
U+10843 𐡃 IMPERIAL ARAMAIC LETTER DALETH 子音[d]を表す。 d
U+10844 𐡄 IMPERIAL ARAMAIC LETTER HE 子音[h]を表す。 h
U+10845 𐡅 IMPERIAL ARAMAIC LETTER WAW 子音[w]を表す。 w
U+10846 𐡆 IMPERIAL ARAMAIC LETTER ZAYIN 子音[z]を表す。 z
U+10847 𐡇 IMPERIAL ARAMAIC LETTER HETH 子音[ħ]を表す。
U+10848 𐡈 IMPERIAL ARAMAIC LETTER TETH 子音[tˤ]を表す。
U+10849 𐡉 IMPERIAL ARAMAIC LETTER YODH 子音[j]を表す。 y
U+1084A 𐡊 IMPERIAL ARAMAIC LETTER KAPH 子音[k]を表す。 k
U+1084B 𐡋 IMPERIAL ARAMAIC LETTER LAMEDH 子音[l]を表す。 l
U+1084C 𐡌 IMPERIAL ARAMAIC LETTER MEM 子音[m]を表す。 m
U+1084D 𐡍 IMPERIAL ARAMAIC LETTER NUN 子音[n]を表す。 n
U+1084E 𐡎 IMPERIAL ARAMAIC LETTER SAMEKH 子音[s]を表す。 s
U+1084F 𐡏 IMPERIAL ARAMAIC LETTER AYIN 子音[ʕ]を表す。 ʿ
U+10850 𐡐 IMPERIAL ARAMAIC LETTER PE 子音[p]を表す。 p
U+10851 𐡑 IMPERIAL ARAMAIC LETTER SADHE 子音[sˤ]を表す。
U+10852 𐡒 IMPERIAL ARAMAIC LETTER QOPH 子音[q]を表す。 q
U+10853 𐡓 IMPERIAL ARAMAIC LETTER RESH 子音[r]を表す。 r
U+10854 𐡔 IMPERIAL ARAMAIC LETTER SHIN 子音[ʃ]を表す。 š
U+10855 𐡕 IMPERIAL ARAMAIC LETTER TAW 子音[t]を表す。 t
約物
U+10857 𐡗 IMPERIAL ARAMAIC SECTION SIGN アラム文字における節記号 §
数値
U+10858 𐡘 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER ONE 単位数字の1
U+10859 𐡙 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER TWO 単位数字の2
U+1085A 𐡚 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER THREE 単位数字の3

なお、4以上の数字は1~3を組み合わせて表現する[1]

U+1085B 𐡛 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER TEN 単位数字の10
U+1085C 𐡜 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER TWENTY 単位数字の20
U+1085D 𐡝 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER ONE HUNDRED 単位数字の100
U+1085E 𐡞 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER ONE THOUSAND 単位数字の1,000
U+1085F 𐡟 IMPERIAL ARAMAIC NUMBER TEN THOUSAND 単位数字の10,000

小分類

このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「約物」(Punctuation)、「数値」(Numbers)の3つとなっている[2]

字母(Letters

この小分類にはアラム文字のうち、基本的な字母が収録されている。

約物(Punctuation

この小分類にはアラム文字で用いられる句読点などの約物類が収録されている。

数値(Numbers

この小分類にはアラム文字に固有の数字が収録されている。

これらの数字は位取り記数法を用いず、単位数字を並べて数値を表し、異なる桁にはその桁のための専用の数字を用いているため、Unicode上では10進法の位取り記数法を用いる"digit"とは区別されて"number"と呼ばれている。

文字コード

帝国アラム文字(Imperial Aramaic)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1084x 𐡀 𐡁 𐡂 𐡃 𐡄 𐡅 𐡆 𐡇 𐡈 𐡉 𐡊 𐡋 𐡌 𐡍 𐡎 𐡏
U+1085x 𐡐 𐡑 𐡒 𐡓 𐡔 𐡕 𐡗 𐡘 𐡙 𐡚 𐡛 𐡜 𐡝 𐡞 𐡟
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.2 U+10840..10855,10857..1085F 31 L2/07-197 Michael Everson (25 July 2007), Preliminary proposal for encoding the Imperial Aramaic script (Revision 2) (英語)
L2/07-236 Deborah Anderson (30 July 2007), Comments in support of encoding Imperial Aramaic (英語)
L2/07-288 SEI / Everson (25 August 2007), Proposal for encoding the Imperial Aramaic script (replaces L2/07-197) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

  1. ^ a b c d e f Michael Everson (2007年7月25日). “Preliminary proposal for encoding the Imperial Aramaic script (Revision 2)” (英語). Unicode. 2025年4月22日閲覧。
  2. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U10840.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2025年4月22日閲覧

関連項目

Prefix: a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

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