イエス feat. ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマン[2](イエス フィーチャリング ジョン・アンダーソン トレヴァー・ラビン リック・ウェイクマン、Yes Featuring Jon Anderson, Travor Rabin, Rick Wakeman)、あるいはアンダーソン/ラビン/ウェイクマン(Anderson, Rabin and Wakeman、略称ARW)とは、2010年から2018年まで存在したプログレッシブ・ロック・バンド。イングランドのプログレッシブ・ロック・バンドであるイエスの元メンバーであるジョン・アンダーソン(ボーカル、アコースティック・ギター)、トレヴァー・ラビン(ギター、ボーカル)、リック・ウェイクマン(キーボード)によって結成された。
概要
アンダーソンら3人はいずれもイエスに10年以上在籍したが、3人が同時に在籍したのは1991年から翌92年まで行われたユニオン・ツアーの間だけだった。彼等は2011年に新曲の制作を開始し、2016年には正式にARWを結成した。同年10月、アルバム制作を後回しにしてデビュー・ツアーであるAn Evening of Yes Music and More Tourを開始し、翌2017年に至るまで世界各地でライブを行った。このツアーにはベーシストのリー・ポメロイとドラマーのルイ・モリノ III(英語版)がサポートメンバーとして参加した。2017年4月に3人がイエスの活動によりロックの殿堂入りする[3]と、バンド名をイエス フィーチャリング ジョン・アンダーソン トレヴァー・ラビン リック・ウェイクマンに変更した[4]。
2015年6月にスクワイアが亡くなったことをきっかけに、3人は新曲の収録や、演奏すべきと感じたイエスの曲を披露するための活動をより押し進めた[19][20]。同年12月、1970年代にイエスのマネージャーを務め、最近ではウェイクマンのマネージャーを3年務めていたブライアン・レーンが3人にバンドを正式に結成するよう促した。当時ラビンは映画音楽の制作から少し離れて休息を取りたいと考えており、バンドの結成にはちょうど良い時期であると感じていた。ウェイクマンもこのプロジェクトに注力するためのスケジュール調整を済ませていた[21][19]。2016年1月9日、ついにラビンは同年後半に3人でツアーを行う予定であるとフェイスブックに発表した。2日後の11日、アンダーソンはバンドの名前をアンダーソン/ラビン/ウェイクマン(Anderson, Rabin and Wakeman、略称ARW)とすることを公表した[22]。同月後半には、レーンがARWのマネージャーになることがウェイクマンによって明らかにされた[19][20]。ラビンはARWがイエスのライバルとなるべくして結成されたのではないことを強調し、自分達はイエスに対して何らネガティブな感情を持ってはいないと断言した[23]。当時のイエスのメンバーだったジェフ・ダウンズ(キーボード)はARW結成のニュースを歓迎し[22]、スティーヴ・ハウ(ギター、ボーカル)もARWの成功を祈った[24]。
2017年4月7日、イエスはロックの殿堂入りを果たした[3]。ARWの3人も殿堂入りのメンバーに選ばれ、当時イエスに在籍していたハウ、アラン・ホワイト(ドラムス)らと共に受賞式に登場した[35]。2日後、ARWはイエス feat. ジョン・アンダーソン・トレヴァー・ラビン・リック・ウェイクマン(Yes Featuring Jon Anderson, Travor Rabin, Rick Wakeman)と改名することを発表した[4]。この名前は既にAn Evening of Yes Music and More Tourの欧州公演で用いられていた。
2018年7月から9月にかけて、イエス結成50周年を記念したQuintessential Yes: The 50th Anniversary Tourが行われた。当初の計画では日本を含む世界各地で100公演を行う予定であったが[36]、ラビンはこれに反対し、そうではなくなることを示唆した[37]。その後アンダーソン夫人とウェイクマン夫人が乳癌に罹患していることが判明し、ウェイクマン夫人の罹患はツアーの短縮をもたらした[38][39]。
スタジオ・アルバムの制作は2011年4月から行われていた。初期にはアンダーソンとラビンが自宅スタジオにて収録した録音ファイルをオンライン上で共有して互いの音楽的アイディアを交換していた[42]。後にウェイクマンもこれに加わった[43]。アンダーソンは自分達の曲を「ユニークである」と表現し[22]、またウェイクマンも「非常に新鮮で、生命やエネルギー、メロディーに満ち溢れている」とした[19]。この後、ラビンが映画音楽の制作に費やす時間や家族との時間を必要とし、またウェイクマンも他のプロジェクトにより多忙となったため、2012年3月頃には制作が停滞した[44]。6ヶ月後、ウェイクマンが追加のアイディアをアンダーソンに送ったことにより制作活動が再開し[45]、2016年6月にラビンは、「曲のアイディアの断片」が集まりつつあり、レコード会社からオファーもすでにあったが、音楽の方向性を3人で管理できるようにするために全て断ってきた、と語った[25]。その3ヶ月後、3人はデビュー・ツアーとなるAn Evening of Yes Music and More Tourにおいて新曲を一切演奏しないことにした。これは新曲制作中にブートレグ音源がネット上に出回ることを危惧しての決定だった[46]。アルバムは2018年末から2019年の早い時期に発表されると公表されていたが[47][48]、いつになっても発表日どころかタイトルさえ発表されなかった。アンダーソンは、アルバムに長尺曲が含まれる可能性があるため、1つのアイディアとして3段階に分けてリリースするかもしれないと明かした[49]。
ライヴ・アット・ザ・アポロ(Live at the Apollo)は、イエス feat. ジョン・アンダーソン、トレヴァー・ラビン、リック・ウェイクマンが2022年現在唯一発表しているライブ・アルバム及び同名のライブ・ビデオである。An Evening of Yes Music and More Tour のイギリス・マンチェスター公演が収録されている[40][41]。
^Wakeman, Rick (6 February 2010). Rick's Place. 該当時間: 10:00 a.m.–12:00 a.m. プラネット・ロック(英語版). Just last week, a discussion took place between myself, Trevor and a couple of other ex-members of Yes who will remain nameless ... about doing just that, about doing an album, and I think the odds are extremely high that it will happen this year.
^“YES FEATURING JON ANDERSON, TREVOR RABIN, RICK WAKEMAN: 100 SHOW WORLD TOUR”. 2018年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月13日閲覧。 “The 100 show World Tour will commence on June 3rd 2018 in Warsaw, Poland, and feature shows in Scandinavia, Germany, UK (including headlining the Stone Free Festival at the O2 Arena in London) and North America in 2018, going on to South America, Central and Southern Europe, ending in Japan and the Far East in 2019.”