イー・アル・カンフー
『イー・アル・カンフー』 (Yie Ar Kung-Fu) は、コナミ工業[1]が開発し1985年より稼動開始したアーケード用対戦型格闘ゲーム(アクションゲーム)。移植機種によっては中黒を除いた『イーアルカンフー』、『イーアールカンフー』とも表記される。 ![]() オリジナルのアーケード版とほぼ同時に発売されたMSX版、およびその数か月後に発売され、MSX版の内容をリメイク移植したファミリーコンピュータ(ファミコン)版では、BGMやステージ・敵キャラクターの数や種類がアーケード版とは異なっており、また間合いや攻撃法も異なる。いずれも、後に複数の機種に移植された。 概説対戦型格闘ゲームの草分けではあるが、対人戦プレイは行えず、アーケード版での2人プレイは、それぞれのプレイヤーが対コンピュータ戦を交互にプレイする仕様となっていた。プレイヤーの対戦相手の敵キャラクター数は、オリジナルのアーケード版が11人であるが、MSX版・ファミコン版では5人である。後にゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売された『コナミアーケードゲームコレクション』(2002年)に収録されたものは、アーケード版を元にしたアレンジ移植となっているが、タイトルが『イーアールカンフー』となって新キャラクターを2人追加しており、通信プレイではウーロンを含む全14人からキャラクターを選んでの2人対戦が可能となっている(1人用のプレイヤーキャラクターはウーロン固定)。 アーケード版は同年に欧州にて各種ホビーパソコンに移植された他、PlayStation 2用ソフトとして『オレたちゲーセン族』の一作として発売された。アーケード版およびファミリーコンピュータ版は携帯電話ゲームとして各種携帯電話キャリアにて配信された。MSX版とファミリーコンピュータ版はWindows用ソフトとしてi-revoにて配信された他、バーチャルコンソール対応ソフトとしても配信された。 同年にMSXで続編として『イーガー皇帝の逆襲』(サブタイトル:イー・アル・カンフー2)が、アーケードでは本作の流れを汲む『ショーリンズロード(少林寺への道)』が発売されている。 ゲーム内容レバーを入れる方向(8方向)とパンチ、蹴りボタンの組み合わせによって、アーケード版では16種類、ファミコン版では7種類[2]、MSX版は使用するボタンが1つのため5種類の技を使い分けるシステムになっている。アーケード版ではレバーがどの方向に入っているのかを主人公キャラクターの下の矢印で表示する。相手に勝つと残った体力の分だけボーナスが入り、さらにノーダメージで勝つとパーフェクトボーナスとして通算対戦相手数×10000の点数(最大100000点まで)が加算される。一定の点数に達する毎に主人公の残り人数が1UPする。その時は『謝謝』とボイスが入る。 主人公の名前は、アーケード版では「ウーロン(Oolong)」、MSX版・ファミコン版では「李(リー、Lee)」となっている。また、本作のアーケード版を収録したPlayStation版『コナミ80'sアーケードギャラリー』(1999年)の説明書では、2つの名前を統合した「リー・ウーロン」という名で紹介されている。ストーリーもアーケード版とMSX版・ファミコン版で異なり、アーケード版はカンフーの達人だった父の無念を晴らすため格闘大会「王座杯」で優勝を目指す、MSX版・ファミコン版では中国全土で悪業を重ねるチャーハン一族を倒すため「メンマの塔」へと乗り込む、というものになっている。ただし、移植版によってはアーケード版のストーリーが悪党軍団によって占拠されたチャイナタウンに平和を取り戻すとされているものもある。 敵キャラクター登場順に記載。全ての敵を倒すと2周目が始まり、再び最初の敵との対戦になる(機種によっては最後の敵を倒すとゲームが終了する)。 アーケード版
BBC Micro版、Acorn Electron版で追加
GBA版で追加GBA版では、アーケード版に加えて新キャラクターが2人追加されている。1人用モードでは、タイトル画面でコナミコマンドを入力すると、Bluesを倒した後に続けて隠しキャラクターとして登場。また、2人対戦プレイモードでは最初から使用できる。
携帯電話アプリ版で追加携帯電話アプリ版ではアーケード版の11人を倒すと一旦ゲームクリアとなるが、クリア後にオマケモードが出現し、EASY・NORMAL・HARDを通して全33試合をプレイする「SURVIVAL」、Starと戦って落とした手裏剣の数を競うミニゲーム「OMAKE STAGE 2」、分身し続けるFeedleを倒した人数を競うミニゲーム「OMAKE STAGE 5」、そしてオリジナルキャラクターのKatanaと戦う「OMAKE STAGE 99」をプレイすることができる。
MSX版・FC版敵が悪者「チャーハン一族」という設定のため、登場キャラクターが一新されている。いずれの敵も高速移動で李の攻撃を回避してくる。
MSX版では呉、FC版では陳を倒した後に、李を目掛けて飛んでくる物体(剣や扇)を破壊するという内容の得点を稼げるボーナスステージがある[2]。 他機種版アーケード版の移植
MSX版
ファミリーコンピュータ版
音楽オリエンタルリフを使った特徴あるBGMの作曲はアルバイト時代のMIKI-CHANG(東野美紀)で、後のコナミ作品『セクシーパロディウス』(1996年)の竜宮ステージBGMや、『KEYBOARDMANIA 3rdMIX』(2001年)の「EE-AL-K」などアレンジされて使用されている。 評価
1998年に刊行されたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム2』では、8方向レバーと2ボタンで16種類の技が存在する事や硬直時間の微妙な違いなどについて肯定的に評価しており、また対人戦がない事を指摘した上で個性溢れる11人の敵キャラクターとの対戦に関して「キャラ別攻略を考えるという楽しさを教えてくれた」と称賛した[25]。その他、本作が同社の『ギャラクティックウォーリアーズ』(1985年)やロケーションテストのみに終わった『グリーンベレー2』の開発に影響を与えた事を示唆している[25]。
MSX専門誌『MSXマガジン』1985年3月号の「MSX SOFTレビュー」では、「キャラのかわいらしさは言うまでもなく動きもよい。敵キャラも5人5種の特徴がうまく出ている。欲を言えば背景の変化をもう少し工夫してくれたら5つ星間違いなしだった」として「★★★★☆」と評価している。 ゲーム本『美食倶楽部バカゲー専科外伝 謎のゲーム魔境3』(2002年、キルタイムコミュニケーション)にてゲームクリエイターのゾルゲ市蔵は個人的評価を65点(満100点)とした上で、『ストリートファイターII』(1991年)と同等の評価を得られる可能性があった事を示唆し、「ファミコン版よりいいかも」と肯定的に評価した[24]。 脚注
関連項目
外部リンク
|
Portal di Ensiklopedia Dunia