ゲームボーイカラー (GAME BOY COLOR )は、1998年 10月21日 に任天堂 が発売した携帯型ゲーム機 。略称は「GBC 」。
ゲームボーイ派生機の一つ。カラー液晶ディスプレイ 搭載の携帯ゲーム機としては、日本国内では1990年 のセガ のゲームギア 、NEC-HE のPCエンジンGT 以来8年振りのリリースとなった。キャッチコピーは「色気のない生活なんて…」「色のあるよろこび。」「カラーがあれば、まいにちたのしい。」と数種類ある[ 3] [ 4] 。
沿革
ハードウェア
開発
ゲームボーイをカラー化する構想はゲームボーイ発売後からあり、1992年 にはカラーの試作品が作られたが、筐体サイズの肥大化およびバックライトの必要なカラー液晶による電池の消耗の激しさ[ 注釈 3] から製品化は見送られた[ 8] 。
その後1997年になると反射型カラー液晶が安価になったことでコスト面および電池消耗の問題が解消したため、ゲームボーイのプロジェクトリーダーであった岡田智 をプロジェクトマネージャーとして本機の製品化を目指して開発が始まった[ 8] 。開発期間が10か月しかなかったため、1992年に作成した試作品が役に立った[ 8] 。
本体の標準色はアメリカ合衆国 の市場調査で最も人気のあった色として青紫 (パープル)が採用された[ 注釈 4] 。また、青紫は「男性的な青」と「女性的な赤」を合わせた、「中性的な色」という意味合いもある[ 9] 。
日本国外向けには、本体色はパープルとクリアパープルだけにする予定だった[ 10] が、後には海外でも日本向けと同じ色の本体や、海外版限定色であるキウイ色の本体が発売された。日本製のソフトや周辺機器の使用が可能[ 11] 。
また、発表当初の試作品と製品版では液晶部分のデザインがやや異なっている。
ゲームボーイと比較して、以下の特徴を有する。
互換性
ゲームボーイの上位互換機として開発され、ゲームボーイ用のソフトも動作する。
カラー画面
画面が4階調モノクロ だったゲームボーイに対し、32,768色中最低4-10色、最大56色の色表示が可能になった。ゲームボーイカラー対応ソフトか否かで挙動が変化する。
表示画面として、シャープ が開発した反射型カラー液晶「スーパーモバイル液晶」を採用、従来のカラー液晶と比べてバックライトを持たないため省電力化されたほか、屋外での視認性が向上した。ゲームボーイライト までは画面の濃度を手動で調整していたが、反射式液晶にはコントラストを自動補正する機能が搭載されている[ 12] 。
カラー共通・専用ソフトでの挙動
ゲームボーイカラー専用もしくはゲームボーイ&カラー共通で起動した場合、最大56色の同時発色表示が可能。これは画面描画中にカラーパレットを書き換えることで実現している。
従来のゲームボーイソフトでの挙動
起動時の配色選択で4-10色のカラーが割り当てられる[ 13] [ 14] 。背景 の配色 が4階調、キャラクター 表示などに用いられるスプライト が3階調+透過色の配色を2パターン持つため、4+3×2で最大10色となる。背景とスプライトの表示色を変えることによって従来背景に埋もれてしまっていたキャラクタが見やすくなる反面、本来意図されていない見え方になることもある。
配色は12パターンあり、起動画面が終了するまでに十字キー 4方向とA/Bボタンでのコマンド入力を行うことで選択できる。以下、ゲームボーイカラーの取扱説明書の20ページよりコマンドを抜粋。後年発売されたゲームボーイアドバンス とゲームボーイアドバンスSP も同一のコマンドである[ 15] 。
コマンド
画面色
コマンド
画面色
赤 系
上
明るいセピア
青 系
左
明るい青
上+Aボタン
赤
左+Aボタン
暗い青
上+Bボタン
暗いセピア
左+Bボタン
グレー
黄 系
下
パステルカラー
緑 系
右
明るい緑
下+Aボタン
オレンジ
右+Aボタン
暗い緑
下+Bボタン
黄
右+Bボタン
反転
一般的なソフトでは背景が緑系統でスプライトが赤系統の配色がデフォルト だが、任天堂のソフトではコマンド入力では出せない特定のソフト専用の配色が用意されている場合がある。例えば『ポケットモンスター 赤・緑 』ではそれぞれ赤・緑を基調とした配色が選ばれ、『星のカービィ 』では専用の紫調の色彩になる。
スーパーファミコン 向けのスーパーゲームボーイ シリーズの色選択機能の後継ともいえるが、両者に互換性はない。
後のニンテンドー3DS版バーチャルコンソール 配信のゲームボーイ用ソフトではモノクロ表示のみでカラー選択はできない。
通信機能
通信ケーブル接続時の状態
赤外線通信 機能を内蔵[ 14] 。ゲームボーイシリーズ の中では赤外線通信が本体内蔵された唯一のモデルである。使用できるのは一部の対応ソフトに限られ、用途は主にアイテムの送受信など小さめのデータのやり取りで、通信ケーブルに代わるものではなかった[ 注釈 5] 。
その他
カートリッジ交換は電源を切ることで行うことができる。
ゲームボーイにあったコントラスト調整ダイヤルは液晶の視認性が向上したため、ユーザーが調整する必要がなくなり、ユーザーが触れにくい位置に移動している。
本機では起動画面が変更され、ゲーム開始までにかかる時間が従来より大幅に短縮された。
任天堂のハードでストラップ ホールが初めて搭載された。
ゲームボーイカラー専用ソフトの開発には、CPUの倍速クロック モードが選択可能だが、消費電力 も上がり、電池寿命が短くなる為、指定のレジスタ に値を書き込む事で、CPUクロックモードをいつでも変更できる仕様になっている。このクロックは、シリアル通信 と赤外線通信の通信機能にも利用されており、通信速度も高速モードが使用できるようになっている。
仕様
CPU: LR35902 4MHz / 8MHz(カラー専用カートリッジ用の倍速モード) カスタムZ80 と表記されるが、厳密にはIntel 8080 に近似した仕様のプロセッサ。
RAM : 32kバイト(カートリッジ側に128kバイトまでの増設メモリを搭載可能)[ 14]
VRAM:16kバイト[ 14]
ROM:最大64Mビット(=8Mバイト、発売されたソフトの実績値)
画面:2.3インチTFT 液晶ディスプレイ (160×144ドット、32768色中最大56色表示可能)
スプライト:8×8(最少)1画面中 最大40個表示 / 1水平ライン上に 最大10個表示
BG:1面/256×256制御(32x32タイル)
ウィンドウ機能(スクロール制限あり)
サウンド:パルス波 (矩形波)2ch+波形メモリ音源 1ch+ノイズ1ch
ステレオ出力可。イヤホン 使用時のみステレオ音声。イヤホン未使用時は本体に登載のスピーカーが1つの関係で各チャンネルの音声は合成されてモノラル出力となる。
寸法:78mm × 133.5mm × 27.4mm
電源:単3形乾電池2本(単3アルカリ乾電池2本使用で平均約20時間稼動可能になり、寿命が大幅に向上した)
通信:シリアル通信ポート、赤外線通信
本体
1998年10月21日発売時の本体カラーは6色。型番はCGB-001。希望小売価格は8,900円(税別)で1999年5月14日に価格改定され6,800円となる。
カラーバリエーション
本機は限定カラーが多く発売された[ 16] 。
オリジナルカラー
レッド
パープル
イエロー
ブルー
クリア
クリアパープル
トイザらス 限定カラー
アイスブルー(1999年7月)
ミッドナイトブルー(1999年11月)
クリアグリーン(2000年11月)
大型玩具ショップ「トイザらス」でのみ発売された。[ 12]
TSUTAYA 限定カラー
ウォーターブルー(2000年8月5日)
ローソン 限定カラー
アクアブルー&ミルキーホワイト(1999年8月)
福岡ダイエーホークス 優勝限定カラー
クリアオレンジ&クリアブラック(1999年10月)
'99年ダイエーのパ・リーグ 優勝記念で発売。[ 12]
エイデン 限定カラー
クリアブラック(2000年12月10日)
カードキャプターさくら 限定カラー
ホワイト&ピンク(1999年3月24日)
イトーヨーカドーとメッセサンオーのみの限定販売
本体表面にさくらのイラストとロゴが入った貴重な機種
イマジニア / ハローキティ・スペシャルボックス 限定カラー
(1998年12月)
イマジニア / ハローキティ・スペシャルボックス2 限定カラー
(2000年7月19日)
限定販売されたハローキティバージョンは女の子に人気で即完売した。[ 12]
ポケモンセンター / ポケットモンスター金・銀 記念バージョン 限定カラー
(1999年11月21日)
ジャスコ限定第一弾 限定カラー (JUSCOオリジナル マリオバージョン)
(1999年4月)
ジャスコ限定第二弾 限定カラー (JUSCOオリジナル マリオバージョン)
(1999年8月)
ジャスコ 創業30周年記念に発売された。マリオのイラストがついている。[ 12]
全日空限定 限定カラー
(1999年5月)
全日空のマイレージなどのキャンペーンの対象商品として用意された。[ 12]
ポケモンセンター / ポケットモンスター3周年記念限定モデル
(1999年2月20日)
ポケモンセンターで買うことができた。[ 12]
パナソニック / アルカライン限定
(1998年 - 1999年)
'98年に行われたキャンペーンの景品用。[ 12]
サクラ大戦GB 限定カラー
クリアチェリーピンク(2000年7月28日)
サクラ大戦GB発売記念モデル。ソフトとのパック販売のみで本体単体での販売はなし
アメリカ限定 / キウイカラー
果物のキウイフルーツの色。アメリカ限定発売[ 11] 。
台湾限定 / ポケモンバージョン
前面はクリアーグリーン、背面はホワイトのツートンカラー。画面フレームに「ポケモン」のキャラクターイラストが入っている[ 11] 。
香港限定 / ポケモンバージョン
前面はクリアーブルー、背面はホワイトのツートンカラー。画面フレームは台湾限定版と同じデザイン[ 11] 。
周辺機器
ゲームボーイ&カラー共通カートリッジ(黒色)
ゲームボーイカラー専用カートリッジ(スケルトン)
ゲームボーイポケット用周辺機器(型番がMGBのもの)も使用可能。
型番
名称
価格
備考
CGB-002
カートリッジ
カートリッジのみの販売はない。 ラベル側から見て右上に切り欠きがなく初代機に挿入しても電源が入らない。 なお、ゲームボーイカラー専用ソフトにはカートリッジケースは付属されない。
CGB-003
通信ケーブル [ 17]
1,500円
MGB-008Bと同等。
CGB-004
変換コネクタ
MGB-004とは逆にMGB-008・CGB-003を初代GB対応にする。 DMG-014同等品。日本では未発売。
CGB-005
モバイルアダプタGB
3,800円[ 注釈 6]
GBA用ソフトにも対応ソフトあり。
MGB-002
バッテリーパック[ 17]
1,900円
満充電で7時間から10時間の使用が可能。
MGB-003
チャージャ[ 17]
3,500円[ 注釈 7]
家庭用コンセントからバッテリーパックを充電する。
MGB-004
変換コネクタ[ 17]
800円
ゲームボーイ専用通信ケーブルを本機で使用可能にするコネクタ。
MGB-005
ACアダプタ[ 17]
1,500円
家庭用コンセントから電源を供給
DMG-013
振動カートリッジ
『ポケモンピンボール 』などに搭載。振動機能を使うには、単四乾電池1本必要。 型番は「DMG」だがゲームボーイカラー専用/共通ソフトしか存在しない。
DMG-020
ジャイロセンサー カートリッジ
『コロコロカービィ 』などに搭載。 型番は「DMG」だがゲームボーイカラー専用ソフトしか存在しない。
NINTENDO 64 用周辺機器としてスーパーゲームボーイ3(仮)が出る予定だったが、展示会出展用の専用機器が作られたのみで市販はされなかった。そのためゲームボーイカラー専用ソフトは、ゲームキューブの周辺機器であるゲームボーイプレーヤー が発売されるまでの4年間、現行の据置型ゲーム機では遊べなかった。例外として『ポケットモンスター クリスタルバージョン 』のみ、カラー専用ソフトながら『ポケモンスタジアム 金・銀』と64GBパックの組み合わせにより、NINTENDO64上で遊べた。
ライセンス商品
バーコードリーダー(タム)
バーコード対戦 バーディガン で使用できるバーコードリーダー。
ソフトウェア
ゲームボーイカラーの発売以降、タイトルによって例外もあるが、ゲームボーイ&カラー共通ソフト(以下、共通ソフト)は黒色のカートリッジ、ゲームボーイカラー専用ソフト(以下、専用ソフト)のカートリッジはスケルトンとなり、従来の灰色カートリッジと見分けがつくようになっている。
本機発売前の1998年9月25日 にエニックス の『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド 』が初の共通ソフトとして発売された[ 注釈 8] 。ローンチタイトル としては『テトリスDX 』、『ワリオランド2 盗まれた財宝 』など3タイトルでいずれも共通ソフトである。初の専用ソフトは本機発売から約半年後の1999年 4月23日 にケムコ から発売された『トップギア・ポケット』である。
その後は専用ソフトの新規タイトル数が共通ソフトを上回っていくが、エニックスやバンプレスト など2001年以降も共通ソフトで発売するメーカーもあった。
最後の共通ソフトはバンプレストから2002年 6月28日 に発売された『From TV animation ONE PIECE 幻のグランドライン冒険記!』、最後の専用ソフトは小学館 から2003年 7月18日 に発売された『ドラえもんのスタディボーイ かんじよみかきマスター』である。
2001年3月に次世代機のゲームボーイアドバンスが発売されたこともあり、対応ソフトの発売期間はゲームボーイカラー以前の灰色カートリッジ時代と比較して短かった。
売上ランキング
順位
ソフト
販売会社
ジャンル
発売日
価格(税抜)
販売本数
0 1位
遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記 遊戯デッキ・城之内デッキ・海馬デッキ
KONAMI
カードゲーム
2000年12月0 7日
4800円
221万0 163本
0 2位
ポケットモンスター クリスタルバージョン
任天堂
RPG
2000年12月14日
3800円
187万1307本
0 3位
ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 時空の章・大地の章
任天堂
アクション・アドベンチャー
2001年0 2月27日
3800円
0 74万6054本
0 4位
遊☆戯☆王デュエルモンスターズIII 三聖戦神降臨(トライホーリーゴッドアドバント)
KONAMI
カードゲーム
2000年0 7月13日
4500円
0 72万6518本
0 5位
ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
スクウェア・エニックス
RPG
2000年12月0 8日
6400円
0 63万8551本
0 6位
コロコロカービィ
任天堂
アクション
2000年0 8月23日
4500円
0 56万3914本
0 7位
とっとこハム太郎2 ハムちゃんず大集合でちゅ
任天堂
アドベンチャー
2001年0 4月21日
3800円
0 49万7061本
0 8位
マリオテニスGB
任天堂
スポーツ
2000年11月0 1日
3800円
0 35万7987本
0 9位
とっとこハム太郎 ともだち大作戦でちゅ
任天堂
その他
2000年0 9月0 8日
3800円
0 34万3950本
10位
ゼルダの伝説 夢をみる島DX
任天堂
アクション・アドベンチャー
1998年12月12日
3500円
0 31万4313本
11位
ワリオランド3 不思議なオルゴール
任天堂
アクション
2000年0 3月21日
3800円
0 25万5536本
12位
ドンキーコング2001
任天堂
アクション
2001年0 1月21日
3800円
0 24万0 610本
13位
メダロット3 カブトバージョン / クワガタバージョン
イマジニア
RPG
2000年0 7月23日
4300円
0 23万5617本
14位
マリオゴルフ
任天堂
SPT
1999年0 8月10日
3800円
0 21万9830本
15位
爆転シュート ベイブレード
ブロッコリー
RPG
2001年0 7月27日
4800円
0 21万2855本
16位
ドンキーコングGB ディンキーコング&ディクシーコング
任天堂
アクション
2000年0 1月28日
3800円
0 20万8359本
17位
不思議のダンジョン 風来のシレンGB2
チュンソフト
RPG
2001年0 7月19日
4500円
0 17万2580本
18位
トレード&バトル カードヒーロー
任天堂
TCG
2000年0 2月21日
3800円
0 16万2163本
19位
サクラ大戦GB 檄・花組入隊!
メディアファクトリー
AVG
2000年0 7月28日
4800円
0 13万2579本
20位
メダロット4 カブトバージョン / クワガタバージョン
イマジニア
RPG
2001年0 3月23日
4500円
0 11万5674本
CM
冒頭に「ゲームボーイカラー」のサウンドロゴとロゴマークが出現し、海外の老若男女がゲームに興じているなかで、字幕で「バッテリー20時間連続プレイ」、ナレーターが「カラーがあればまいにちたのしい」とアピールするものだった。
脚注
注釈
出典
外部リンク
主な製品
据置型
携帯型
ハイブリッド型
アーケードゲーム 業務用ゲーム テーブルゲーム 玩具 その他
主なサービス
ソフト書き換えサービス 試遊台 ダウンロード販売 ネットワークサービス コミュニケーション インターネット番組 映像配信サービス ウェブブラウザ イベント 会員サービス その他
歴代社長 代表取締役 ゲームクリエイター 作曲家 Nintendo of America 関連人物
関連項目
任天堂ハード専門誌 関連書籍シリーズ スポーツ 関連施設 一社提供番組 訴訟 その他
プラットフォーム
その他 ゲームソフト
周辺機器
FC SFC N64 GC Wii/Wii U GB/GBA DS/3DS Switch/Switch 2
システムアップデート 互換機