ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド
『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』(DRAGON QUEST MONSTERS)は、1998年9月25日に日本のエニックスから発売されたゲームボーイカラー用ロールプレイングゲーム。ゲームボーイにも対応しており両対応ソフトとなっている。欧米においては『Dragon Warrior Monsters』、ドイツにおいては『Dragon Quest Monsters』のタイトルで発売された。 同社による『ドラゴンクエストモンスターズシリーズ』の第1作目。主人公のテリーを操作してモンスターを育成し、モンスター闘技大会である「星降りの大会」で優勝する事を目的としている。開発はトーセが行った。2002年には携帯電話ゲームとして配信された他、後にPlayStation、ニンテンドー3DS、Android、iOSにてリメイク版が発売された。 後に続編となる『ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵』(2001年)が発売され、以後シリーズ化された。ゲームボーイ版およびニンテンドー3DS版はゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」にてプラチナ殿堂を獲得した。 概要ゲーム中に登場するモンスターを育成するRPGである『ドラゴンクエストモンスターズシリーズ』の第1作。『ドラゴンクエストシリーズ』初の携帯ゲーム機用ソフトとなった。『ドラゴンクエストVI 幻の大地』(1995年、以下『VI』)の登場人物テリーの幼少時代のスピンオフ外伝である。 育成RPGとしては「ポケットモンスターシリーズ」に似通った部分があり、挑戦状を叩きつけたかのような内容になっている[3]。 開発はトーセが行い、『ドラゴンクエストシリーズ』を手掛けたスタッフが参加しており、プロデューサーは千田幸信、シナリオおよびゲーム・デザインは堀井雄二とトーセ所属の佐々木智広、キャラクター・デザインは鳥山明、音楽はすぎやまこういちが担当している。 この作品は初のGB・ゲームボーイカラー(以下GBC)共通ソフトであると共に、唯一GBCの本体発売日(同年10月21日)に先駆けて発売されたこともあり、GBC発売前と発売後の出荷分ではロムカセットの色およびパッケージやロムカセットシールのデザインが異なる。GBC発売前のロムカセットはGB用ソフトと同じ灰色[3]だが、GBC発売後のロムカセットはGB・GBC共通ソフトを表す黒色に、パッケージやロムカセットシールが任天堂が定めたGB・GBC共通ソフトのデザインに変更された。 2002年には携帯電話ゲームとして各種携帯電話キャリアにて配信された他、続編とカップリング移植されたプレイステーション用ソフト『ドラゴンクエストモンスターズ1・2 星降りの勇者と牧場の仲間たち』が発売された。2006年には携帯電話ゲームの強化版として『ドラゴンクエストモンスターズ MOBILE』が配信された。2012年にはニンテンドー3DS用ソフト『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D』としてリメイクされ、2018年にはスマートフォン用アプリ『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドSP』が配信された。2019年にはゲームボーイカラー版を移植したNintendo Switch用ソフト『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド RETRO』が配信された。 ゲーム内容システム「モンスターマスター」であるテリーは初めに一匹のモンスターを貰い、そのモンスターと他のモンスターを戦わせて鍛えていく。倒したモンスターを仲間にするシステムや、雄と雌のモンスターを「配合」して新しいモンスターを作るシステムが取り入れられた。 戦闘は「さくせん」を与えることによって味方モンスターが行動するAI戦闘システムである。なお、モンスター達には「野生値」というステータスがあり、これが高いと戦闘中命令を聞かないことがある。野生のモンスターを仲間にした場合は野生値が高いものも多いが、卵から生まれたものは野性値がゼロである。野生値は牧場に預けたままにすると上昇し、連れ歩いたり肉を与えたりすることで下降する。最高値は255で、それ以上には上がらない。 3DS版では野生値そのものが廃止され、戦闘中に命令をすれば必ず言うことを聞く(それが他人から貰ったモンスターであっても同様)。 旅の扉本作のダンジョンはタイジュの国に複数ある「旅の扉」から入れる異世界。ここでモンスターと戦い、自分のモンスターのレベルを上げたり、敵モンスターを仲間にするなどして戦力を強化していく。マップは基本、自動生成型だが、迷路や宝物庫など固有のものも存在。教会(話しかけると全回復)や道具屋(道具を買値と同額で売却できる)といったサービスフロアも存在し、そのエリアではセーブも可能(それ以外の異世界ではたびのしおりが必要)。中盤以降の扉では毒(2ダメージ)、電気(5ダメージ)、溶岩(10ダメージ)と上を歩くごとに体力が減る地形や宝箱に擬態したモンスター「ミミック」が登場することがある。最下層には「ぬし」というボスがおり、これを倒すとその旅の扉をクリアしたことになる。また、ぬしの中には仲間にできるものがいるが、肉を使わなくても確実に仲間になるものもいれば、どんなに肉を与えても仲間にならないものもいる。3DS版ではぬしとの戦闘中に肉を使うことはできず、一部を除いて倒せば必ず仲間にできる。また、一度ゲームをクリアするとごく一部を除き、ぬしと同じモンスターが仲間にいない時に限り、ぬしと再戦でき、勝つと再び仲間にできる。 他国マスターテリーと同じく、異世界を探索するモンスターマスター。話しかけると戦闘になる。連れているモンスターは周辺のものよりも強く、珍しい種類のものが多い。通常のモンスター同様、肉を与えて仲間にすることができる(モンスターが他国マスターに好かれていない状態で肉でご機嫌を取ると仲間になってくれるという設定であり、ゲーム内ではこのように他国マスターからモンスターを奪い取ることを推奨してさえもいる)。勝つとマスターの種類によってアイテムをくれたり、仲間モンスターを回復してくれたりする。 配合タイジュの国の星降りのほこらで、仲間にしたモンスターの中から雄と雌のモンスターを1匹ずつ選び、「配合(はいごう)」をさせることができる[3]。配合させるとモンスターが卵を1つ産み、卵からは新しいモンスターが生まれる。配合すると親であるモンスターはいなくなってしまうが、生まれたモンスターには両親の能力・特技(3DS版ではスキルとスキルポイント)が受け継がれる。「配合」を行わないと手に入らないモンスターも存在する。 また、自分の仲間モンスター同士だけではなく、ゲームボーイの通信ケーブルを用いて他のプレイヤーの仲間モンスターと自分のモンスターを「配合」させることもできる。これを「お見合い(おみあい)」という。この場合は両プレイヤーに1つずつ卵が手に入る上に、通常の配合に比べて生まれるモンスターの能力がやや高い。3DS版ではゲーム上のNPCとしかお見合いできない。 配合では先に選んだモンスターが血統、それをベースに組み合わせるモンスターが相手となる。特殊な配合を除き、血統に選んだモンスターと同じ系統のもの(ドラゴン系が血統ならドラゴン系)が子として生まれる。血統と相手を入れ替えると生まれるモンスターの種類も変わり、上記のお見合いではそれぞれ自分のモンスターが血統となるため、互いに違う種類のモンスターの卵を入手することが多い。3DS版では血統は関係なく、父親と母親を選びさえすれば、その配合結果に合った子供の候補が1 - 5種類表示され、その中から1種類を選ぶことになり、ジョーカー以降から実装された四体配合も存在し、20pt以上割り振られたスキルを3種類以上子供に受け継がせないと更に「あくまの書」が生まれる。また、3DS版では雌雄同体の個体も存在し(性別のマークは♂と♀を組み合わせたもの)、雄とも雌とも配合できる便利な性別だが、雌雄同体同士で配合することはできないので注意。GB版では配合直前に強制的にセーブされ、やり直しができない。GB版では孵化が有料(配合だけなら無料)だったが、3DS版では孵化も無料で行える。また、配合を行ってすぐに子供が生まれ、『一晩待つ』という演出がなくなった。 当時の低年齢層の間では実在しないモンスターを誕生させるためのデマも流行した[3]。 究極配合3DS版でゲームクリア後、子供の+値が100以上になるように同じモンスターを配合すると能力の限界値がさらに上がり、「行動回数アップ(行動回数が上がるが、全上限値が下がる)」、「メタルボディ(受けるダメージが減少するが、HPの限界値が下がる)」、「行動順アップ(すばやさに関係無く先に行動できるが、異常耐性が下がる)」、「耐性アップ(全属性耐性が上がる)」、「ブレイクアップ(自身の行動時に限り、相手の全ての耐性を下げるが、消費MPが上がる)」のうち一つの特性を習得できる。 モンスター牧場タイジュの国の最上層にある、モンスター及び卵を預かってくれる場所。通常主人公が連れ歩けるモンスターは3匹まで、仲間の数がそれを超える場合はここに預ける必要がある。牧場に預けている間もモンスターには少ないながらも経験値が入りレベルアップもするが、特技は一切覚えず野生値が上昇する。これにより20匹までの仲間を同時に育てることができるが、主人公は必ず1 - 3匹のモンスターを連れ歩く必要があるため、預けられる限界は17 - 19匹まで。例えば主人公が3匹のモンスターを連れ歩く場合、牧場に17匹預けていると定員であり、新たなモンスターを仲間にすることはできない。冬眠というコマンドを選択すると預けているモンスターが眠りにつき、新たに17 - 19匹預けられるようになる。冬眠しているモンスターには経験値が入らず、野性値も上昇しない。以後、冬眠は2つのグループで交代制になり、個々のモンスターは主人公が連れ歩いている状態を経由することでグループ間の変更は可能。なお冬眠中のモンスター(最大19匹)と主人公が連れ歩いている最中のモンスター(最大3匹)の合計が20匹を越えるときに冬眠の交代を行った場合、20匹を越えた分のモンスターや卵はもう片方のグループに変更され、冬眠を継続する。 テリー3Dでは冬眠システムと野生値は廃止され、モンスターを最大500匹まで預けられるようになった(ドラゴンクエストシリーズ中最大)。また、モンスターを20種類仲間にすると自分の好きなパーティの組み合わせを登録して手軽に変更できる「お気に入り編成」ができるようになり、30種類以上仲間にすると仲間モンスター同士を対戦させられる「牧場フリーバトル」ができるようになる。 格闘場自分の持つモンスターを、ゲーム中に登場するほかのモンスターマスターのモンスターたちと対戦させることができる。いくつかの「クラス」が設定されており、それぞれで3回勝ち抜くことができれば、テリーの「クラス」が上昇し、新たな旅の扉を使うことができるようになる。必ずしも低クラスから順番にクリアする必要はなく、いきなり上のクラスに挑戦することも可能。GB版では一番低いクラス以外は参加料が必要だが、3DS版では全クラスとも参加料は不要。 また、通信ケーブルを用いて、他のプレイヤーのパーティと対戦を行うこともできる。この対戦で勝ったプレイヤーは、負けたプレイヤーからモンスターを貰うことができる。3DS版でも他のプレイヤーと対戦させることはできるが、勝っても相手のモンスターを貰うことはできない。 性格リメイク版『ドラゴンクエストIII』のようにモンスターには個々に性格が存在する。「好戦性」「思慮深さ」「思いやり」の3つの性格のバランスによって、モンスター自身の性格が決定される。性格は本を読ませたり、特定の作戦を選択したりすることで変えることができる。『III』と違って能力の上昇には関連しないが、性格によっては戦闘中にモンスターが特殊な行動に出ることがある。なお、通常の配合の際は関係しないが、通信ケーブルを介してのお見合いの場合、性格の相性が悪いと「性格が合わなかった」と表示されてお見合いができないことがある。また、「努力値」と呼ばれる隠しステータスがあり、値が高いと戦闘中にやる気を見せ、低いと消極的になる。この値は戦闘中の作戦の選択でのみ上昇し、個別命令をするか逃走で下降する。3DS版では性格そのものが廃止されている。 ストーリーテリーは姉のミレーユと留守番をしていたが、突然タンスからマルタの国のワルぼうという魔物が出てきて、ミレーユを連れて行ってしまう。 テリーが後を追おうとすると、今度はタイジュの国のわたぼうという魔物が現れる。ミレーユの行方を尋ねるテリーが、わたぼうに言われるままついていくと、そこはタイジュの国であった。 タイジュやマルタの国は、国の威信をかけたモンスターマスターの大会、星降りの夜に行われる星降りの大会の準備をしており、それぞれの国の精霊であるわたぼうやワルぼうは、マスターの素質のあるミレーユをスカウトにやってきていたのだった。 星降りの大会で優勝すると願いが叶うというので、テリーは姉との再会を願うべく、モンスターマスターとして大会優勝を目指すこととなる。 テリーは様々な異世界を冒険しながら、モンスターの育成を重ね、ついに星降りの大会に挑むと、決勝の相手であるマルタの代表はミレーユであった。 テリーは真剣勝負でミレーユに勝つが、再会もつかの間、ミレーユは再びワルぼうに連れ去られてしまう。 テリーが星降りの夜にミレーユとの再会を願い、優勝者だけが立ち入りを許される部屋で新たに生まれたタイジュの精霊に触れると、テリーはミレーユとともに、自分の家にいた。 これまでの出来事が夢かとも思われたが、テリーのポケットには、魔物のエサが入っていたのだった。 登場人物「★」は3DS版のみに登場したキャラクターを示す。 メインキャラクター
サブキャラクター
他機種版一覧
プレイステーション版→詳細は「ドラゴンクエストモンスターズ1・2 星降りの勇者と牧場の仲間たち」を参照
ニンテンドー3DS版オリジナルデザインのニンテンドー3DS本体同梱版も発売された。グラフィックが完全3Dとなり、スカウトアタックやシンボルエンカウント、フィールド上や戦闘中でのパーティー入れ替えでの戦闘など「ジョーカー」シリーズのシステムを採用している。またこの作品では4人パーティーを組むことが可能となる(これはドラゴンクエストモンスターズシリーズ初である)。 『ジョーカー2 プロフェッショナル』で登場したモンスターとオリジナル版のモンスターや新モンスターと過去のモンスターズシリーズからの再登場を含む総勢600種類以上のモンスターが登場しており、『DQX』のモンスターも一部だけ先行登場している[注釈 3]。
DQMモンスター引っ越しアプリ 〜Joker2からテリーへ〜『DQMモンスター引っ越しアプリ 〜Joker2からテリーへ〜』は、ニンテンドーeショップでダウンロード可能なニンテンドー3DS用ソフト。『テリーのワンダーランド3D』封入の紙に記述された引換番号をニンテンドーeショップで入力すると無料ダウンロード可能となる[注釈 4]。 『テリーのワンダーランド3D』のエンディング到達後に、『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2』および『ジョーカー2 プロフェッショナル』から仲間モンスターを1日10体まで引っ越しさせる(データのコピー)ことが出来る。引っ越し出来るのは『テリーのワンダーランド3D』でAランク以下のモンスターに限られ(例えば、前作ではSランク以上だったモンスターでも、『テリーのワンダーランド3D』でAランクに下がったモンスターは引っ越し可能。逆に前作でAランク以下だったモンスターでも、『テリーのワンダーランド3D』でSランク以上に上がってしまったモンスターは引っ越しできない)、レベルが1になるが、スキルが『テリーのワンダーランド3D』に合わせて継承される。 スマートフォン版
『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランドSP』(ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド エスピー)は、2018年11月7日にスクウェア・エニックスより発売されたスマートフォン用(iOS/Android)ソフト。3DS版をベースに操作の最適化や「倍速モード」(イルルカが初出)、「オート戦闘」、「らくらく冒険」といった新機能が追加されたほか、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』からの新モンスターも加えられて総勢650種類以上のモンスターが登場[32]。 テリーのワンダーランド RETRO『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド RETRO』(ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド レトロ)は、2019年9月17日にスクウェア・エニックスより配信されたNintendo Switch用ソフト[33]。同年11月7日にはスマートフォン版(iOS/Android)も配信された[34]。 ゲームボーイ版の移植で、画面の色調変更、画面サイズ切り替えに加え、Switch版のゲーム枠外にはマップ名や仲間のステータス、ダンジョンの地図が表示できるほか、キャラクターの移動速度も若干上げることができる。ただし、通信対戦機能、通信お見合い機能は搭載されていない[35]。スマートフォン版は縦持ちで仮想パッドによる操作となり、枠外のデザインのカスタマイズも可能[34]。十字架のデザインが変更され、格闘場の受付嬢が「ババーガール」から3DS版同様に「バニーおばば」と呼ばれるようになったなど、昨今の情勢の変化にともなった修正が行われている。 スタッフ
評価
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CD†は廃盤。
コミック
脚注注釈出典
参考文献
外部リンク
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