サークルズ (ザ・フーの曲)
「サークルズ」(Circles)は、イングランドのロック・バンドであるザ・フーが1966年のシングルで発表した[1]楽曲である。「インスタント・パーティ」(Instant Party)の曲名でも発表された[2][3]。 解説作詞・作曲はピート・タウンゼントによる。彼がギターとヴォーカルの多重録音によって制作したデモ[注釈 1]に基づいて録音された。ザ・フーの楽曲の中でジョン・エントウィッスルが金管楽器を演奏した[注釈 2]初めてのものである。 本曲には2つの録音が存在する。
本ページでは便宜上、前者をブランズウィック版、後者をリアクション版と呼称し、以下、発表に至る経緯を順序に従ってリアクション版から述べる。 リアクション版(「サークルズ」または「インスタント・パーティ」)1965年12月、タルミーのプロデュースで制作したデビュー・アルバム『マイ・ジェネレーション』がイギリスでブランズウィック・レコードから発表された。1966年1月12日と13日、ザ・フーはシングル『マイ・ジェネレーション』に続く5作目のシングルとして、タルミーのプロデュースで「サークルズ」と「インスタント・パーティ・ミクスチャー」[注釈 3]をレコーディングした[4]。しかし間もなく彼等は印税の取り分を巡ってタルミーと対立し、彼との契約を破棄してブランズウィック・レコードを去り、エージェントのロバート・スティグウッドが設立したリアクション・レコードへ移籍した。彼等は同月末に自分達のプロデュースで「サークルズ」を再録音し[5]、同年2月にピート・タウンゼントのプロデュースで録音した新曲「恋のピンチ・ヒッター」のシングルのB面収録曲に用いることにした。
シングル『恋のピンチ・ヒッター』は35,000枚もの予約を受けて、3月4日にリアクション・レコードから発表された[1][6]。「自分がプロデュースした作品の著作権は自分にある」と主張するタルミーがB面に収録された「サークルズ」について何らかの法的な行動を起こす可能性が考慮されて、「サークルズ」を「インスタント・パーティ」に改題した[注釈 4]シングル[2]も同時に発表された[7][注釈 5]。はたしてタルミーは裁判所に「サークルズ」の収録が著作権の侵害に当たると訴えた[注釈 6]。同月8日、裁判所は彼の訴えを認めてシングル『恋のピンチ・ヒッター』発売の差し止めを命ずる判決を下し、2種類のシングル[注釈 5]は発売5日後に店頭から姿を消した。 →「恋のピンチ・ヒッター § 発売をめぐるトラブル」も参照
リアクション版は同年11月にイギリスで発表された5曲入りEP『レディ・ステディ・フー』に「サークルズ」として収録された。アメリカでは解散後の1987年に発表された編集アルバム『トゥーズ・ミッシング』に「サークルズ」として収録されて、アメリカで初めて入手可能になった。 ブランズウィック版(「インスタント・パーティ」)
タルミーは上記の訴えを起こすと、シングル『恋のピンチ・ヒッター』の売り上げを鈍らせる為に、3月7日にザ・フー側に無断でブランズウィック・レコードからシングル『リーガル・マター』を発表した[3]。A面にはアルバム『マイ・ジェネレーション』の「リーガル・マター」、B面には自分がプロデュースした「サークルズ」を「インスタント・パーティ」と改題して収録した。 ブランズウィック版は、1966年4月、アメリカでデッカ・レコードから発表されたデビュー・アルバム『ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション』[注釈 7]に「インスタント・パーティ」として収録された。 参加ミュージシャン
カヴァー脚注注釈
出典
引用文献
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