スターフォックス アサルト
『スターフォックス アサルト』(Star Fox: Assault)は、ナムコが開発し、2005年2月24日に任天堂から発売されたニンテンドー ゲームキューブ用3Dシューティングゲームである。スターフォックスシリーズの第4作目。同年2月14日にはアメリカで、4月29日にはヨーロッパでも発売。 概要本作では、戦闘機「アーウィン」を使用したシリーズ伝統の3D奥スクロールシューティング、64版より取り入れられたオールレンジシューティングに加え、武器を持った生身のキャラクターを操り、時にはアーウィンや戦車「 ランドマスター」に乗り換えながら戦闘するサードパーソン・シューティングゲームパートが加わっており、このパートを使用した対戦モードの充実など、こちらを中心にしたゲーム内容となっている[3]。時間軸としては前作『スターフォックスアドベンチャー』の後の出来事である。なお、SFC版、64版とは異なり、ルート分岐が無いため、従来に比べてステージ数が減少している。また、条件を満たすと、バトルモードでスターウルフの主力戦闘機「 ウルフェン」を使えるようになる。 ストーリー惑星サウリア(ダイナソープラネット)の事件から1年、スターウルフを追い出されたアンドリュー・オイッコニーは、亡き叔父Dr.アンドルフの残党に加え、叔父の遺産を元手に雇った傭兵たちとの混成軍を率いてコーネリア軍に反旗を翻した。年齢の為に引退したペッピー・ヘアに代わり、サウリアの事件がきっかけでクリスタルがチームに加わった新生スターフォックスが出撃する。 惑星フォーチュナに到着したスターフォックスは、そこでアンドリューと交戦する[4]。あっさり追い詰められたアンドリューは自身の旗艦を変形させた「デスバブーン」で挑むも敗北する。そこへ蝶のような姿をした謎の生命体「ゼグダリア」が現れ、デスバブーンを破壊する[注釈 1]。この「ゼグダリア」は宇宙生命体・アパロイドの一種であり、17年前にたった1体でコーネリア軍へ被害を与えた存在だった。 その後、スターフォックスは惑星カタリナから発せられた救難信号を基に現地へ駆けつける。ところがこれはピグマの物であり、更に金の匂いを嗅ぎつけたピグマによってアパロイドのコアメモリを奪われてしまう。ピグマを追跡する道中、スターフォックスはスターウルフと鉢合わせるが、ピグマは既にスターウルフから追放された後だった。一方、当の本人は惑星フィチナに逃げ込みコアメモリを悪用してアパロイドを操るも、アステロイドベルトにてアパロイドに身体と自我を乗っ取られ、自身の基地の一部と一体化してスターフォックスと交戦し倒される[注釈 2] ピグマからコアメモリを回収したスターフォックスは、アパロイド本星と全てのアパロイドの親であるアパロイドマザーの存在を知る。フォックスらはアパロイドに襲われたサウリアに向かうが、惑星コーネリアがアパロイドの襲撃によって甚大な被害を受ける。ペパー将軍の専用機「エアフォース・バウ」もアパロイドに侵食されスターフォックスに牙を剥くが、激戦の末に内部に囚われていたペパー将軍を救出する。やがて、アパロイド本星の位置を知ったスターフォックスは敵陣へ乗り込む。 そこでフォックスたちはアパロイドの親玉・アパロイドマザーと対峙する。アパロイドマザーはこれまで侵食した人物の記憶を基に、ピグマ・ペパー将軍・ペッピー・ジェームズ・ナウスに擬態してスターフォックスに降伏を呼び掛けたが、フォックスたちには通用せず、自滅プログラムを打ち込まれる。アパロイドマザーは自滅プログラムに対する抗体を作るべく逃走を図るも、フォックス達にとどめを刺され、自滅プログラムが完全に起動。アパロイドは本星もろとも連鎖的に死亡し、絶滅した。 登場キャラクター→各キャラクターの詳細については「スターフォックスシリーズの登場キャラクター一覧」を参照
年齢については、任天堂側のプロデューサーの今村孝矢がインタビューで「今回から資料設定は一切出さない」と発言している[5](これは外伝に近い『アドベンチャー』も公式設定に取り込んだことにより、キャラクターの老化など時間の流れに無理が生じてきたためである模様。実際ペッピーとペパー将軍以外は老化らしい描写がされていないなど、年齢設定をあまり意識していない)。 「スターフォックス」チーム
「スターウルフ」チームスターフォックスのライバルチーム。アンドルフ軍壊滅後はどこにも所属しないならず者集団となっている。
その他
敵本作に登場する敵キャラクター・アパロイドは、ライラット系外の宇宙から訪れた宇宙生命体である。機械に近い昆虫の姿をしており、本拠地であるアパロイド本星(元々自然に存在していた星を侵食したものか、自らで作り上げたものかは不明)が存在し、全個体の頂点に君臨するアパロイドマザーによって数多く生まれている。六角形がシンボルで、角ばった外見をしたものが多い。地上を歩いて突進してくるものや、空を飛んでビームを撃ってくるものなど、数多くの種類が存在する。身体は金属の肉体部位と、アパロイドの中枢器官や遺伝子に相当する情報が収められた「コアメモリ」という部位から構成している。 アパロイドのうち「ファクトリー」と呼ばれる種類は、同胞を生み出せることから、敵地への侵略に用いられる。また、他の知的生命体や機械に侵食・融合する能力も持ち、アパロイド化して自分たちの仲間にするほか、対象の記憶なども吸収できる。アパロイドに完全に侵された生命体は意思もアパロイドの一部となってしまい、機械においても破壊するしか解放する術がない。アパロイドマザー自身の発言によると、ライラット系への侵攻および最終的な侵攻目的は、宇宙の全てをアパロイドと融合させて絶対的な存在へと進化していくことであった。アパロイドは個体間の意識や生命体などから取り込んだ記憶などを全て共有しており、物語終盤においてフォックスはアパロイドのことを「巨大な一人」に見立てている。 アパロイドは「地上型」、「砲台型」、「飛行型」、「UFO型[6] 」に加え、既存の兵器や生物、無生物がアパロイドに侵食された「侵食型」と呼ばれるタイプもある。侵食型アパロイドにはコーネリア軍の兵士や兵器もあり、一部ミッションで侵食を免れた同型機が僚機として登場する場合もある。
開発ユーザーからシューティングゲームとしての『スターフォックス』を遊びたいという声が多く寄せられ、かつ任天堂情報開発本部長(当時)の宮本茂からも「かっこいいスターフォックスが見たい」という声が挙がったこと、さらに前作『スターフォックス アドベンチャー』がアドベンチャーゲームだったため、それに応えようという動きがあった[3]。 今村が『スターフォックス64』版のおまけとして用意されていた対戦モードをより強化したもので遊びたいと考えていたほか、ナムコも「『乗り換えアクション』による『戦争ごっこ』」の企画を持っていた[3]。こうして二者の協業と言う形で本作の開発が決まった[3]。敵キャラクターであるアパロイドが昆虫をモチーフとしているのも、ナムコの代表作『ギャラクシアン』に由来する[3]。同様の理由から、『バトルシティー』『ゼビウス』『スターラスター』がおまけとして収録された[3]。 当初はハッチを開けてアーウィンに乗り込む描写を入れることも考えられたが、ゲームの流れを優先するため、簡略化された演出となった[3]。 また、開発当時の日本ではファーストパーソン・シューティングゲームがあまり知られておらず、ナムコ側のプロデューサーの小林毅も遊ぶのに苦労したため、本作ではこのジャンルが日本でも受け入れられるよう、照準を簡単に合わせやすくするといった工夫が施された[3]。一方、操作タイプについては初心者向けと上級者向けに加え、『スターフォックス64』に近いものの3つが用意された[3]。 ゲーム中に使用されるBGMはフルオーケストラで構成されており、スターウルフのテーマ曲など過去のシリーズで使用された曲をオーケストレーションして使用しているものも多い。 スタッフィング「プロジェクト・エイセス[注釈 3]開発」と発表された[7]が、のちに嘘だった事が発覚。本当は当時の別のナムコ社員達が担当しプロデューサー小林毅、オールレンジモードディレクター中西俊之、バトルモードディレクター吉田豊となっている[3]。キャラクターデザインも当時の別のナムコ社員で、現在は日本国外でアーティストとして活動している小牧英智が担当しており、64版の時点では顔以外の部分が判明していなかったスターウルフの面々も小牧により詳細なデザインが描き起こされている。 キャスティング声優は全員が青二プロダクションに所属。64版では6人の声優がそれぞれ複数のキャラクターを演じていたが、本作ではほぼ1人のキャラクターに1人の声優が専属で担当している。これにより、フォックス、ウルフ、ペパー将軍などの主要キャラクターの声優が64版から変更されている。 中でも主人公キャラクターであるフォックスの声優が里内信夫から野島健児に変更されているが、これは「『アドベンチャー』の鼻がかかった声と64版の里内氏の声を混ぜたような感じで、様々な声優のサンプルを何度も聞いてその中から選ばせてもらった」と今村孝矢は答えている[5]。なお、64版でフォックスの声を担当した里内信夫はレオン役として引き続き参加している。 評価「インサイド」の土本学は2004年11月の記事の中で、『スターフォックス64』へのオマージュや、にやりとさせられる場面がおおかったと評価している[4]。 同じく「インサイド」の茶っプリンは、2019年4月の記事の中で、メインストーリーも面白かったが、バトルモードはもっと面白かったと評しており、自分がファーストパーソン・シューティングゲームやサードパーソン・シューティングゲームを好きになったきっかけであると述懐している[8]。茶っプリンは1人用のバトルモードがないのが不満である分、友達と遊ぶ時間が大切に思えたとも語っている[8]。 脚注注釈
出典
関連項目※いずれも、ナムコが開発に関わった作品である。
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