トヨタカスタマイジング&ディベロップメント
株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(英: Toyota Customizing & Development Co.,Ltd. 略称:TCD)は、トヨタ自動車グループの一社。トヨタや日野自動車の特装車事業を手がける。モータースポーツやカスタマイズパーツの「TRD (Toyota Racing Development)」や「MODELLISTA(モデリスタ)」も同社が所有するブランドである。 歴史
TRDTRD (Toyota Racing Development) は同社の展開するブランドである。レーシングカーの開発や、レースで培った技術を生かしたトヨタ車用のチューニングパーツを製作して販売する。商品はトヨタディーラーやトヨタモビリティパーツ(トヨタ部品共販)やカーショップなどを通じて販売する。 前身は、トヨタ自動車販売(トヨタ自販)のツーリングカーレース用車両を開発した、トヨペットサービスセンター特殊開発部である。レース活動の休止により解散したのちに、1975年にトヨタスポーツコーナーの略称であるトスコ・デポを設立し、1976年からトスコをTRDに改称してブランド展開を開始した。 2008年10月にカローラアクシオ "GT" TRD Turbo[7][注釈 1]を発表し、2010年4月に同様のコンポーネントを流用したカローラフィールダー "GT" TRD Turbo[8][注釈 2]を追加発表した。ヴィッツレース用のコンプリートカーヴィッツRS "TRD Racing"に代表されるコンプリートカーなども製造する[注釈 3]。 東京オートサロン2011にオーリスRSをベースとし、スーパーチャージャーや空力パーツなどを装着したコンセプトカー「AURIS GT Concept[9]」を展示し話題となった。この車両の開発を生かしたパーツ「AURIS TRD Performance Line[10]」を発売した。 従来TRDはカスタマイズパーツを設定していないが、2011年8月にIS Fの一部改良時に、レクサス向けのパーツを発売する。このパーツ群はCCS-P (Circuit Club Sport Parts) と呼ばれ、IS FのポテンシャルをTRDの技術力で高めるハイパフォーマンスパーツパッケージである。2012年1月発表のGS、2012年10月発表のLS、2013年5月発売の新型ISにも設定され、レクサスディーラーオプションカタログに掲載される。 2011年9月にTRDは、2012年ヴィッツワンメイクレースのベースモデルとなる「ヴィッツRS Racing[11]」を発売した。 2012年1月にトヨタ・86をベースとしたコンセプトカー「86 TRD Performance Line Concept」を東京オートサロンで発表し、装着パーツの大半を市販する。2013年7月から開催予定のナンバー付ワンメイクレース「GAZOO Racing 86/BRZ Race」用ベース車両「86 Racing[12]」を、2012年10月に発表した。エアコン付専用ベース車両に、専用ロールケージ、専用エンジンオイルクーラー、専用FRディスクブレーキダストカバー&ブレーキダクト、専用フロアマット、牽引フック、4点式シートベルトを架装する。レースのレギュレーション案はGAZOO Racing 86/BRZ Race[13]の公式ホームページに記される。 2014年10月にトヨタテクノクラフト創立60周年記念車として、86をベースとしたコンプリートカー「14R-60[14]」を100台限定で発売する。この車両は、2013年東京オートサロンで展示した86 TRD Griffon Conceptの開発技術を応用して作製した。ほかにiQ、86、ヴィッツのGRMNバージョンの開発も携わる。 2024年12月、会社分割によりモータースポーツ関連部門を新会社の「トヨタ・ガズーレーシング・ディベロップメント(TGR-D)」に移管すると発表した。TGR-Dの本社は、従来TCDの湘南テクニカルセンターが所在した神奈川県足柄上郡中井町境に置かれる[15]。 レーシングカー開発1980年代以降、日本国内とアジア地域におけるトヨタのレース用車両の開発・製造・メンテナンスの最大拠点となっている。ル・マン24時間レースに参戦したグループCカー[注釈 4]や、全日本ツーリングカー選手権 (JTC/JTCC) 、全日本GT選手権 (JGTC) などのレース車両を開発し、SUPER GTでトヨタ・スープラ→レクサス・SC430→レクサス・RC F→レクサス・LC500→トヨタ・GRスープラと連なるGT500クラス用車両を供給している。GT500とスーパーフォーミュラのエンジンも開発する。 ワンメイクの入門カテゴリとしてスターレットカップ(1981年-1984年)、フォーミュラ・トヨタ(1991年-2007年)、ネッツカップ(2000年-)を企画して開催する。ラリーはTRDヴィッツチャレンジ(2001年-2011年)、TRDラリーチャレンジ(2012年-2015年)、TGRラリーチャレンジ(2016年-)、TRD RALLY CUP(2018年-)を催し、ヴィッツや86のワンメイク車両の開発と販売を担当する。 日産自動車のNISMOと異なり、自社チームでSUPER GTに参戦していないが、独自に開発車両並びにテストチームを保有し、開発車両でSUPER GTの合同テストに参加する。レース車両は2019年以降、神奈川県中井町の湘南テクニカルセンターで開発する。2019年以前の開発場所である横浜本社は、前身の特殊開発部時代にトヨタ自販系ワークスチームの拠点として「綱島」と愛称された。 全日本ラリー選手権や日本スーパーラリーシリーズはTRDがチームを組織して参戦する。 →詳細は「トヨタ自動車のモータースポーツ」を参照
TRDステーション横浜本社にあるレーシングカーのレストア工場および保管倉庫である。トヨタ自動車の歴史的価値があるレーシングカーのメンテナンスや保管を行うための施設で、通常は一般公開しない。隣接するトレッサ横浜のイベントで公開する場合がある。 コンセプトカー(ショー出展モデル)![]() (2019年・大阪オートメッセにて)
海外におけるTRD北米TRD USAがトヨタの北米レース活動の拠点として活動している。前身は1974年に設立されたトムスの現地法人「トムス・オブ・アメリカ」[16]で、1979年にTRDがアメリカ進出に伴い買収し、その後米国トヨタ自動車販売(TMS)の100%子会社となった。IMSA-GTP、デイトナ24時間、バハ1000、パイクスピーク・ヒルクライム、CARTとインディカー・シリーズでタイトル・総合優勝を経験した後、現在はNASCARマシンやラリーカーなどの車両を開発して供給し、救助車などの特装車も手がける。 日本や欧州のTGR-E間で人事など交流するが、TRD USAが独自に開発する。日本同様TRDブランドのチューニングカー・パーツに加え、ピックアップトラックやSUVにオフロード向けチューニングカーのTRDプロが存在する。 東南アジア→「トヨタ・チーム・タイランド」も参照 日本に留学した経験もあるスッティポン・サミタシャが1980年代にタイでTRDタイランドを設立し、東南アジア諸国のレース参戦やモータースポーツ振興に努めた。 2007年に当社が80%出資してタイに設立したTRD ASIAは、東南アジアのトヨタのレーシングカーや、東南アジア専売車のTRDコンプリートカーの開発を担う。トヨタテクノクラフトとTRD ASIAが共同出資したTRDインドネシアも後に設立され、各国でモータースポーツやカスタマイズ文化に貢献している。 2016年から日本のTRDと協力してアジアクロスカントリーラリーに参戦中。タイを中心にヴィオス、カローラ・アルティス、ハイラックス、ヤリスなどのワンメイクレースも主催する。 MODELLISTA
![]() MODELLISTA(モデリスタ)は同社の展開するブランドである。 エアロパーツやアルミホイールなどのドレスアップパーツの企画・開発・販売を行っており、商品はトヨタディーラーやトヨタモビリティパーツ(旧トヨタ部品共販店)などを通じて販売している。 設立の背景1997年2月、「市販標準車に対するお客様の様々なご要望を車両に具現化させる、カスタマイズ分野での事業を行う」ため、トヨタ自動車とトヨタテクノクラフトの共同出資で、株式会社トヨタモデリスタインターナショナルを設立。トヨタモデリスタインターナショナルが企画・開発・販売を行うカスタマイズカーやカスタマイズパーツ群をMODELLISTAブランドとして販売を開始したのがMODELLISTAの始まりである。 トヨタモデリスタインターナショナルの設立の背景には、1995年11月に行われた道路運送車両法の改正による、改造車に関する規制緩和や、顧客による「自分だけの車が欲しい」といった個性化要望の高まりがあった。 1990年代初頭、トヨタ自動車マーケティング開発室の猪澤豊(当時)は、新業態店舗の開発を模索していた。当時のアメリカではRVが自動車販売台数の約半数を占めていたことから、猪澤は「スペシャリティとRVの専門店舗を立ち上げたい」と思い立つ。構想段階では、MODELLISTAはRV店としての設立を計画されていた。ところが、1995年夏になると自動車業界の事情が大きく変わってきた。日米構造協議により自動車パーツの規制緩和と輸入自由化、そして車両検査法の改正が起こる。「カスタマイズの時代が来る」と確信した猪澤は、当時のトヨタ自動車社長の奥田碩に掛け合い、プロジェクトをスタートさせた。 1997年2月、東京都杉並区に株式会社トヨタモデリスタインターナショナルを設立(同年7月営業開始)。同年4月には株式会社トヨタモデリスタ福岡、9月には株式会社トヨタモデリスタ神戸を設立した。 歴代代表車種1997年 - 2001年(MODELLISTA誕生期)メーカーでは出来ないニュービジネス(カスタマイズ市場の形成)を目指し、ベース車両に独自架装を施し、コンプリート車(完成車両出荷)として販売を開始。
2001年 - 2007年(MODELLISTAパーツカスタマイズ展開期)コンプリート車の販売に加え、パーツカスタマイズの展開を開始。インハウスデザインとアフターブランドを活用したパーツを発売、現在までの定番アイテムとなるエアロパーツ、アルミホイール&タイヤセット、マフラー等のカスタマイズ市場の礎を構築。
2008年 - 2019年(パーツカスタマイズの飛躍期)アルファード、ヴェルファイア、プリウスの大ヒットにより、"他の人とは違うクルマに乗りたい"という要望も増え、カスタマイズニーズが拡大。プリウスは最終的にエアロパーツを6バージョン販売するなど、異例の大ヒットとなった。
2020年 -(MODELLISTAグローバル展開期)本格的なグローバル展開を開始し、海外専用パーツや海外生産車へのパーツ設定に加え、SEIKOウオッチとのコラボレーションモデル展開・TOYOTA MARINEとのコラボレーションによるクルーザーデザインを手掛けるなど、ライフスタイルに寄り添ったブランド展開を開始。
生産車両→「トヨタテクノクラフト § 生産車種」も参照
事業所
店舗
関連項目
脚注脚注出典
外部リンク |
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