ファンタジーゾーン
『ファンタジーゾーン』(FANTASY ZONE)は、1986年3月にセガから発売された業務用の横スクロールシューティングゲーム[1]。 任意方向へのスクロールと買い物によるパワーアップシステムに加え、やわらかい曲線と色とりどりのパステルカラーで描かれたグラフィックが特徴。 本記事では、この作品を基に制作された派生作品や#他機種版についても解説する。 ゲーム内容8方向レバーと2ボタン(ショット、ボム)で自機のオパオパを操作。左右任意方向スクロール(上下方向にも画面1/5程度の幅で任意スクロールする)が特徴で能動的なプレイを可能にしている。 ラウンド(ステージ)内に点在する10個(ファミコン版では8個)の敵前線基地を全て破壊すると出現するボスキャラクターを倒すことでラウンドクリアとなる。ラウンドは環状に閉じており、左右どちらに進行しても良い。基地の配置は固定だが、任意スクロールを採用しているため敵の攻撃が流動的となっている。基地の場所は画面下部のレーダーで確認できる。未破壊の基地を示す光点が横に連なり、画面内のものが枠で囲まれる。 ラウンド8(最終面)には前線基地が存在せず、ラウンド1から7までに登場したボスキャラクター全てと連戦しすべて倒すことで最終ボスキャラクターとの対決となる。最終ボスを撃破すればエンディングとなり、残機数×100万点+所持金額×10点がボーナスとして加算され、自機1機、所持金0の状態で次の周回へと進む。装備は持ち越される。 本作のあらゆるパワーアップアイテム(「パーツ」と呼ばれる)は、敵を倒すと現れるお金(コイン)を貯め、時々現れる「ショップ風船」(赤い風船に"SHOP"と書かれている)に接触して買い物をすることで入手する[注釈 1]。残機(プレイヤーストック)の追加も買い物以外に手段は無い。コインの額面は9段階あり、コインの大きさと書かれた数字(1〜9)でわかるようになっている。特に前線基地の出すコインは高額であるが、ラウンド開始から時間の経過で額面が下がっていく。またボスキャラクターを倒すと体がひび割れて崩れ落ちていき、同時に大量のコインをばらまく。これはラウンドクリアのジングルが流れている間のみ回収する事ができる。 装備オパオパ(自機)は、以下のパーツ(パワーアップアイテム)を装備する事が出来る。同系統のパーツは複数所有していても一度に1種類しか装備出来ない[注釈 2]。また、いくら買い溜めをしてもミスをすると購入したパーツは(非装備のものを含め)全て失われてしまう。オパオパの初期装備品名はSMALL WINGS、TWIN SHOT、SINGLE BOMB[2]。 SPEED UP(スピードアップ)順番に自機の移動速度が増す。これらの装備は再購入時の値上がりは無い。
WEAPON 1(ショット系武器)ツインショット以外は時間制限があり、制限時間を過ぎるとツインショットに戻る。価格は初期状態。
WEAPON 2(ボム系武器)弾数制限があるもの(10発まで保有可能。購入価格は1発の価格)は、全て撃ち尽くすとシングルボムに戻る。価格は初期状態。
その他
設定ストーリーB.G.1422年[注釈 3]、惑星間の公式通貨が乱れ、エリダス第9惑星が大恐慌に見舞われた。そして、宇宙協会(スペースギルド)の調査により、何者かがメノン星人を操って外貨を奪い、「ファンタジーゾーン」に巨大要塞を建造していることが判明した。早速オパオパは事態の解決のために「ファンタジーゾーン」へと向かった。 ステージ構成
敵キャラクター
敵キャラクターの出現ラウンド※は前線基地より出現。
ボスキャラクターボスキャラクター戦では、1周目ラウンド5までは自機の向きが右向きに固定されるが、ラウンド6以降(2周目以降は最初のラウンドから)は向きが固定されなくなる。また、1〜5ラウンドのボスは、出現から一定時間経過すると、オパオパを押し潰すように迫ってくる。
他機種版稼働開始から約四半世紀の間、多くのコンシューマゲーム機やパソコンなどに対して、セガ自身も含む複数のメーカー・開発チームを経由して移植され、続編・姉妹作・スピンオフといったゲームも制作された。また、プレイヤーキャラクターの「オパオパ」は、 1991年の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』ヒット後こそ頻度は少なくなったものの、セガのイメージキャラクターとして、様々なゲームへのカメオ出演の他、セガのアミューズメント施設などの配布物にも登場している[注釈 12]。
一覧
各機種版の特徴敵に出現に関してはセガ・マークIIIおよびMSX版、ファミリーコンピュータ版とそれ以外に大別される。※は前線基地から出現。
また、パパオパに関しては家庭用移植版の取扱説明書などでは「???」と表記されている。
以下の移植版ではゲーム本編の上位システムに「途中セーブ/ロード」機能が実装されており、ゲームクリアへ向けて「コツコツプレイ」がし易くなっている。
以下は過去のゲーム機の外観をミニチュアサイズで再現し、そのゲーム機向けのソフトを多数内蔵(プリインストール)した「復刻系ゲーム機」版。
開発前年にコナミ(後のコナミアミューズメント)が稼働させ人気を博した横スクロールシューティング『グラディウス』を超えるゲームを、という目的で企画が行われ、最終的に「2系統(対空・対地)の武器を使い分ける」というシステムは踏襲しつつ、「真っ暗な宇宙空間に機械的な戦闘機」というグラディウスの世界とは対極の、やわらかい曲線と色とりどりのパステルカラーで描かれた、山あり砂漠あり水ありのステージおよび登場キャラクターがデザインされた。プレイヤーが任意の方向へスクロールできるという方式は『ディフェンダー』を意識したものであるという[15]。 基板は新旧2種類のバージョンがあり、それぞれのマイナーチェンジ版も含めると計4種類のバージョンが存在する。新バージョンではラウンド開始時にBGMの曲名が表示される他、ラウンド5のBGM"HOT SNOW"にメロディーラインが追加[注釈 18]、ラウンドクリアの音楽が異なる、タイトル画面の演出が変わるなどの変更が加えられている。新バージョンは一部資料にて「USA版」と紹介されているが、日本でも少数ながら出荷されている[16]。 音楽本作の音楽は元々別の人物が手掛ける予定だったが、出来上がった曲が作品にそぐわないとして、川口博史(Hiro)が起用された[注釈 19][17]。川口は当時の状況について、静止画をもとに曲を作るよう指示を出されたと、2020年のインタビューの中で話している[17]。また、川口は同じインタビューの中で、本作に提供した楽曲群の作風について、大野木宜幸の影響が大きいとも話している[17]。 音源はシステム16Aに搭載されているヤマハYM2151(OPM)のみを使用し、ADPCMは使用していない。なお、作曲はヤマハのポータブルキーボードPSR-70を使用して製作された[16]。 最終ボスBGM"YA-DA-YO"には歌詞が存在する[18]。 1997年に発売されたセガサターン版には作曲者みずから編曲したラウンド1のBGMのボーカルバージョンが入っている。 スタッフ
評価
1988年に『ドラゴン』#136で同誌のコラム「The Role of Computers」においてハートレイ、パトリシカ、カーク・レッサーによってレビューされ、星5つのうち4つを与えた[26]。
続編・姉妹作
→「ファンタジーゾーンII オパオパの涙」を参照
→「スーパーファンタジーゾーン」を参照
関連作品
脚注注釈
出典
外部リンク
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