伊沢 拓也(いざわ たくや、1984年6月1日 - )は、東京都出身のレーシングドライバー。
プロフィール
1996年にカートレースでデビューする。2年後の1998年には全日本カート選手権に参戦する。2002年には鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラクラス(略称SRS-F)に入校し、首席で卒業するとともにスカラシップを獲得した。同年には、日本で初の限定A級ライセンス[2]を日本自動車連盟(JAF)から発給され、F4選手権シリーズに参戦してシリーズ5位の実績を残した。
2003年は戦場をヨーロッパに求めてドイツを拠点とし、ドイツ及びユーロの両フォーミュラ・ルノーシリーズを戦った。この年には、帰国直後にフォーミュラ・ドリームにスポット参戦を果たし、練習走行もほとんど出来ない中で優勝を飾るという離れ業をやってのけ、才能の片鱗を覗わせた。2004年と2005年は、フォーミュラ・ドリームにフル参戦する。時折速さを見せ付けるものの、同じ時期には圧倒的な強さでフォーミュラ・ドリームを勝ち続ける塚越広大の存在もあって1勝に終わった。それまで順調に歩みを進めてきた彼にとっては初めての挫折を味わうことになった。
良い結果を残せなかった伊沢は、2006年のシート喪失の危機を迎えていたが、伊沢の走りを評価していた戸田レーシングの戸田幸男監督に誘われ、全日本F3選手権にデビューし、2度勝利を挙げるもシリーズ成績は6位に留まった。2007年は引き続き全日本F3選手権にHonda Team Realから参戦したが、勝利することが出来ずシリーズ6位で終わった。また、SUPER GTの第6戦鈴鹿1000kmでは、REAL NSXの第3ドライバーとしてスポット参戦、5位入賞を果たした。
2008年は、AUTOBACS RACING TEAM AGURIより全日本選手権フォーミュラ・ニッポンとSUPER GTのGT500クラスに参戦、それぞれシリーズ10位及び8位と結果を残し、フォーミュラ・ニッポンではデビュー戦で予選2番手を獲得し「驚速の新人」と注目を集めた[3]。
2009年は、SUPER GTは引き続きAUTOBACS RACING TEAM AGURIから参戦し、2勝を挙げランキング2位。車両及びエンジンが一新されたフォーミュラ・ニッポンではTEAM DANDELION RACINGに移籍し[3]、開幕戦富士で2位表彰台を獲得するなどランキング8位となった。
2010年は、フォーミュラ・ニッポンには引き続きTEAM DANDELION RACINGから参戦するが、SUPER GTはTEAM KUNIMITSUに移籍。HSV-010 GTのデビュー戦であったSUPER GT開幕戦では、荒れたコンディションの中粘り強い走りを見せて、3位表彰台を獲得した。
2012年はフォーミュラ・ニッポンでは開幕戦鈴鹿でポールポジションを獲得、第6戦菅生では念願の初優勝を飾り、最終戦鈴鹿第1レースやJAFグランプリも制すなど成果をあげ、ドライバーズランキング3位と大躍進を遂げた。
2014年はGP2にARTグランプリから参戦。当初は欧州での活動に専念する予定だったが、同年8月に道上龍率いる新チーム「DRAGO CORSE」からスーパーフォーミュラに参戦することが発表され、日本と欧州を掛け持ちする形になった。
2015年は国内に復帰。REAL RACINGからスーパーフォーミュラに参戦。SUPER GTはTEAM KUNIMITSUに復帰し山本尚貴とのコンビを再結成。開幕戦では2位表彰台を獲得した。
2018年はSUPER GTにのみ参戦し、2009年まで所属していたAUTOBACS RACING TEAM AGURIに戻り、野尻智紀とコンビを結成、
2020年はModulo Nakajima Racingに移籍し、大津弘樹とコンビを結成、
2023年より、SUPER GTでは太田格之進とのコンビで参戦する。一方でスーパーフォーミュラでは、Nakajima Racingで監督を務めることになった[4]。
レース戦績
- 1996年
- SL榛名シリーズSCクラス(シリーズチャンピオン)
- SL全国大会・SCクラス(3位)
- 1997年 - SL榛名シリーズ・SDクラス(シリーズ2位)
- 1998年
- SL榛名シリーズ・SDクラス(シリーズチャンピオン)
- GKT榛名シリーズ・FR-2クラス(シリーズ3位)
- 地方選手権・関西シリーズ(10位)
- 1999年 - 全日本カート選手権ICAクラス(シリーズ2位)
- 2000年 - 全日本カート選手権・FAクラス(シリーズ5位)
- 2001年
- 全日本カート選手権FSAクラス(シリーズ5位)
- CIK-FIAアジア・パシフィック・カート選手権FAクラス(6位)
- 2002年
- 鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS-F入校)(首席卒業)
- F4選手権シリーズ(#8 オートバックスMF401MJ/MF401)(シリーズ5位)
- 2003年
- ドイツ・フォーミュラ・ルノーシリーズ(シリーズ7位)
- ユーロ・フォーミュラ・ルノーシリーズ
- フォーミュラ・ドリーム<Rd.10&11 スポット参戦>(#5 ARTA FD/FD03 MF224)(1勝)
- 2004年
- フォーミュラ・ドリーム(#5 ARTA FD/FD03 MF224)(シリーズ3位)
- ドイツ・フォーミュラ・ルノー<スポット参戦>(決勝9位)
- 2005年 - フォーミュラ・ドリーム(#5 ARTA FD/FD03 MF224)(シリーズ4位)
- 2006年
- 全日本F3選手権(TODA RACING #2 Honda・戸田FIGHT EX/DOME F107 MF204C)(シリーズ6位・2勝)
- 第13回十勝24時間レース・STクラス4(フォーミュラドリームレーシング #8 フォーミュラドリーム インテグラ/DC5)(総合12位・クラス優勝)
- 2007年
- 全日本F3選手権(Honda Team Real #11 Honda Real F307/ダラーラF307 MF204C)(シリーズ6位)
- 第14回十勝24時間・ST-4クラス(フォーミュラドリームレーシング #10 FD CIVIC Type R/FD2)(総合12位・クラス優勝)
- SUPER GT・GT500クラス<Rd.6 スポット参戦>(RollingStone Real Racing #17 REAL NSX/NSX NA2 C32B)(決勝5位)
- 2008年
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(AUTOBACS RACING TEAM AGURI #56/ローラB06/51 HF386E)(シリーズ10位)
- SUPER GT・GT500クラス(AUTOBACS RACING TEAM AGURI #1 ARTA NSX/NSX NA2 C32B)(シリーズ8位)
- 第15回十勝24時間・ST-4クラス(Team Honda Access #76 Racing Modulo ADVAN Type R/FD2)(総合10位・クラス優勝)
- 2009年
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(DoCoMo TEAM DANDELION RACING #41/スウィフト017.n HR09E)(シリーズ8位)
- SUPER GT・GT500クラス(AUTOBACS RACING TEAM AGURI #8 ARTA NSX/NSX NA2 C32B)(シリーズ2位・2勝)
- 2010年
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(DoCoMo TEAM DANDELION RACING #2/スウィフト017.n HR10E)(シリーズ11位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010/HSV-010 HR10EG)(シリーズ8位)
- 2011年
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(DoCoMo TEAM DANDELION RACING #40/スウィフト017.n HR10E)(シリーズ9位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010 GT/HSV-010 HR10EG)(シリーズ9位)
- 2012年
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(DoCoMo TEAM DANDELION RACING #40/スウィフト017.n HR12E)(シリーズ3位・2勝)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010 GT/HSV-010 HR10EG)(シリーズ5位)
- 2013年
- 全日本選手権スーパーフォーミュラ(DoCoMo TEAM DANDELION RACING #40/スウィフト017.n HR12E)(シリーズ7位・1勝)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010 GT/HSV-010 HR10EG)(シリーズ10位・1勝)
- 2014年
- GP2シリーズ(ARTグランプリ)(シリーズ18位)
- 全日本選手権スーパーフォーミュラ スポット参戦(Rd.6,7)(DRAGO CORSE #34/ダラーラ・SF14 HR-414E)
- SUPER GT・GT500クラス スポット参戦(Rd.8)(ウイダー モデューロ 童夢 レーシング #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT/NSX CONCEPT-GT HR-414E)
- 2015年
- 全日本選手権スーパーフォーミュラ(REAL RACING #11/ダラーラ・SF14 HR-414E)(シリーズ13位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT/NSX CONCEPT-GT HR-414E)(シリーズ3位・1勝)
- 2016年
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(REAL RACING #11/ダラーラ・SF14 HR-414E)(シリーズ16位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT/NSX CONCEPT-GT HR-414E)(シリーズ14位)
- 2017年
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(DOCOMO TEAM DANDELION RACING #41/ダラーラ・SF14 HR-417E)(シリーズ13位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG NSX-GT/NSX-GT HR-417E)(シリーズ7位)
- 2018年
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(TCS NAKAJIMA RACING #65/ダラーラ・SF14 HR-417E)(シリーズ16位)
- SUPER GT・GT500クラス(AUTOBACS RACING TEAM AGURI #8 ARTA NSX-GT/NSX-GT HR-417E)(シリーズ3位・2勝)
- 2019年 - SUPER GT・GT500クラス(ARTA #8 ARTA NSX-GT/NSX-GT HR-417E)(シリーズ10位・1勝)
- 2020年 - SUPER GT・GT500クラス(Modulo Nakajima Racing #64 Modulo NSX-GT/NSX-GT HR-420E)(シリーズ12位)
- 2021年 - SUPER GT・GT500クラス(Modulo Nakajima Racing #64 Modulo NSX-GT/NSX-GT HR-420E)(シリーズ18位)
- 2022年 - SUPER GT・GT500クラス(Modulo Nakajima Racing #64 Modulo NSX-GT/NSX-GT HR-420E)(シリーズ15位)
- 2023年 - SUPER GT・GT500クラス(Modulo Nakajima Racing #64 Modulo NSX-GT/NSX-GT HR-420E)(シリーズ14位)
- 2024年 - SUPER GT・GT500クラス(Modulo Nakajima Racing #64 Modulo CIVIC TYPE R-GT/CIVIC TYPE R-GT HR-420E)
フォーミュラ
全日本フォーミュラ3選手権
(key)
フォーミュラ・ニッポン/スーパーフォーミュラ
GP2シリーズ
(key)
SUPER GT
脚注
- ^ 本名!! - RACINGドライバー 伊沢拓也のブログより
- ^ 限定A級ライセンスとは、JAFが発給している普通自動車運転免許が取得出来ない16〜17歳を対象とした、一部の国内レースに限って出場が認められるライセンス。
- ^ a b FN ダンディライアンが09年の体制を発表 伊沢が新加入しライアンが復帰 Racing OnNo.437 119頁 2009年3月1日発行
- ^ 伊沢拓也、スーパーフォーミュラのTCS NAKAJIMA RACING監督に就任。中嶋悟総監督の下、山本尚貴&佐藤蓮をサポート - motorsport.com 2023年3月6日
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
伊沢拓也に関連するカテゴリがあります。
外部リンク