円周率1000000桁表
『円周率1000000桁表』(えんしゅうりつひゃくまんけたひょう)は、円周率の数表100万桁分を1ページに1万桁ずつ収録した書籍。著者は元東京大学生産技術研究所最先端数理モデル連携研究センター特任准教授の牧野貴樹(2017年9月 現在[update]、Google勤務[1])。『素数表150000個』と並んで同人集合「暗黒通信団」の代表作とされ[2]、朝日新聞の記事では「隠れたベストセラー」として紹介された[3]。 概要1996年に初版第1刷が発行され、2022年3月には「第3.141592653589刷」(第15刷相当)が発行されている[4]。第1刷は著者の自宅にあるプリンターでホチキス留めの同人誌として30部のみ制作されたが[4][3]、2018年現在では2万8千部が発行されており[5]、地方・小出版流通センターにおいて取り扱われ書店でも販売されている[6]。販売価格は税抜314円であるが、Amazon.co.jpのマーケットプレイスでは本書が1万円以上で取引された例もあるといい[6]、本書の高額転売については関係者が不快に思っているという[7]。また、紀伊国屋書店新宿本店では15年以上平積みで販売されている[3]。刊行から四半世紀が経っても売れ行きは好調であり、丸善津田沼店「本のベスト10」では2023年2月10日から3月10日までの統計として第6位にランクインしている[8]。 なお本書の巻末において著作権は放棄すると宣言されており[9]、国立国会図書館のウェブサイト「江戸の数学」では最初の1万桁分に相当するページが公開されている[10]。国会図書館や英国図書館の他、日本国内では40の大学図書館に所蔵されている[11]。発行日はどの版も3月18日であるが、これは「円周率の逆数が0.31830…だから」[12]である。 沿革
評価古くは『ミニコミ魂』において暗黒通信団による「琴線に触れてくる」ミニコミの一つとして紹介され、ライターの真下弘孝が「外見はともかく、捲った数字だらけの紙面に圧倒される」と評している[25]。またハマザキカクは自著において「世の中に数多ある本の中で、最も珍書の度合いが高いもの」の筆頭として本書をあげ、「本にしてしまおうという発想は驚かざるを得ない」と述べ「随所に遊び心が効いている」と評している[2]。2015年刊行の『ヘンな本大全』における対談においても、ハマザキは「すごくセンスがいい」本であると述べている[26]。インターネットでもしばしばコメントがあり、例えばとみさわ昭仁は本書について「円周率だけで本を作ってしまおうというのは、思いつきのジョークとしてはそれほど珍しいものではない」が「これほどの労力をかけて、実現させてしまうというのは、なかなか真似のできるもんじゃない」と評しており、価格が314円であることについては「利益を得ることよりも購買者を笑わすことを選んだ心意気が嬉しい」としている[27]。「児童文学評論家 赤木かん子のオフィシャルウェブサイト」でも、暗黒通信団による書籍の一つとして取り上げられている[28]。赤木かん子はまた、自著『学校図書館で働くようになったら読む本2 自然科学の棚の作り方』にて『イチオシ 「自然科学の本」』として本書および『素数表150000個』をとりあげた。フリーアナウンサーの榊菜美も自身のブログにて『素数表150000個』とともに紹介した[29]。 関連書籍
脚注
外部リンク |
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