北陸先端科学技術大学院大学
北陸先端科学技術大学院大学(ほくりくせんたんかがくぎじゅつだいがくいんだいがく、英語: Japan Advanced Institute of Science and Technology)は、日本の国立大学。石川県能美市に本部を置く。 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学が運営する大学院大学である。略称はJAIST(ジャイスト)。 概観設立東京工業大学が計画立案を行い、同大学の名誉教授であった慶伊富長(のちに本学初代学長)が先端科学技術大学院準備調査室長に就任。1990年に日本で最初の先端科学技術大学院大学として開学した[1]。旧帝大や旧官立大学をはじめとする、一部の国立大学での大学院重点化・大学院部局化が実施されるよりも前に創設された、学士課程を持たない国立の大学院大学の一つである。独立した研究教育組織とキャンパスを持つ。 計画当初、キャンパスは関東地方(埼玉県近辺)に建設し「日本先端科学技術大学院大学」とする予定だった。計画の途中でキャンパスの建設地が森喜朗らの尽力により石川県能美郡辰口町(現・能美市)に変更になったために「北陸先端科学技術大学院大学」に名称変更された。現在でも大学の英語名は"Japan Advanced Institute of Science and Technology"と国名 (Japan) を冠しており、計画当初の名残が残っている。 主に、産官学連携をはじめとする高度な科学技術に関する研究開発を行っている。最先端の科学技術の追究とともに、大学院大学のパイロットスクールとしての役割を開学以来継続して担ってきた。 いしかわサイエンスパークの中核を成す教育研究機関でもある。 情報環境設備インターネット・サービス・プロバイダと同等の学内情報ネットワーク設備(学内情報ネットワーク自体が独立した自律システムとして設計されており、インターネットの中核を担うBGPの運用が行われている。学内情報ネットワークには2つのAS番号である17932,55384が付与されている[2]。 スーパーコンピュータ(CRAY社製、SGI社製等)[3]等の情報環境が整備されている。NICTのプロジェクトにJAISTが参加する形になっているが、研究用のIaaSである「StarBED」の研究・開発・運用も行っており、書類審査を通過すればインターネット・エミュレーションも可能である。また、没入型3次元仮想現実体感システムCAVEなどもある。このように、JAISTの情報環境は国内の大学の中では有数といえる[4]。 学内のほとんどの諸施設・設備は、附属図書館をはじめ24時間365日利用できるように開放されており、研究・教育活動はもちろんのこと、レクリエーション活動でも大学院生の自主的な活動が可能となっている。 入学後に学生個人用のFTPアカウントも用意され、そのFTPアカウントに向けてファイルをアップロードすることで、学生個人の活動を対外的に紹介するWebサイトの公開も可能である。 立地と気候大学本部と、様々な研究室や研究設備が設置されているJAIST石川キャンパスは、石川県能美市の丘陵地に所在している。冬季の1月から3月に掛けて、北陸地方では大量の積雪があり、JAIST石川キャンパス内でも積雪が70cm以上に達することがある。そのような場合には外出が危険であるため講義が休講になり、公共交通機関も運行休止になる場合がある。 東京都品川区品川の品川インターシティにもサテライトキャンパスを持ち、社会人学生への講義やシンポジウム・セミナー等を頻繁に開催している[5]。 教育制度入学した学生にはコースワーク重視の重厚なカリキュラムを課す。カリキュラムは高度に体系化されており、シラバス(講義要綱)も大学ウェブサイトを通じて一般公開されている。講義は一期2ヶ月の4期(クォーター)制を採用している。また、大学独自の教育制度として主テーマ(修士論文・博士論文)以外に副テーマの研究が義務づけられており、修了要件に含まれている。 外部貢献知名度向上と地域貢献のため、大学関係者による大学院説明会やサイエンス・フェスティバルなどを頻繁に開催している。また、sourceforge.netにミラーサーバ(ftp.jaist.ac.jp)を提供している。 大学評価「2025年QS世界大学ランキング 」の評価において、分野別ランキング(コンピュータサイエンス・情報システム)では451位~500位。国内大学の中では、九州大学、名古屋大学、筑波大学に次ぎ、11位である。[6] 入試倍率第3期の国立大学法人評価において、北陸先端科学技術大学院大学が大学改革支援・学位授与機構に提出した中期目標の達成状況報告書(2022年6月)には、2017年度以降5年連続で入試倍率は2倍を超え、入学定員充足率の安定化や優秀な学生の選抜にも繋がったとの記載がある[7]。 象徴理念と目標
年表
所在地
組織研究科・専攻・領域2016年度より既存の3つの研究科が1研究科1専攻に統合・再編され、その下に9つの領域が設けられている。また、修了する大学院生に授与する修士号・博士号は、大学院生が所属する領域によって、知識科学、情報科学、マテリアルサイエンスのいずれかが授与される。
東京サテライトにて開講されている東京社会人コースには6つの各プログラムが設けられている。
旧研究科・専攻・領域
附属機関
採択されたプログラム
大学関係者や関係する組織大学関係者組織
大学関係者一覧→「北陸先端科学技術大学院大学の人物一覧」を参照
施設研究科棟研究科棟には情報科学研究科棟、知識科学研究科棟、マテリアルサイエンス研究科棟の3棟が建設されている。 実験設備全学共同利用コンピュータ施設として、大型電子計算機室を有するほか、スーパーコンピュータをはじめとする大型ワークステーション設備を有する。これらの設備は、学内において1Gbpsの回線帯域を持つEthernetによって接続されている。教員および学生はパスワードおよびIDが付与され、24時間利用が可能である。なお、大型ワークステーションによって、東アジアでは最大規模のRINGサーバやFTPサーバが運用されており、このサーバーにアクセスすることで研究用フリーソフトの入手が可能である。また、マテリアルサイエンス研究科では、国内の企業はもとより、特許庁などからも研究生を受け入れている。 JAISTと同じくスーパーコンピュータの拠点となっている旧帝大では6年周期でスーパーコンピュータが最新の物に更新されるが、JAISTの場合は4年周期で更新が行われ、他大学よりも新しいスーパーコンピュータを利用可能である。また、JAISTの研究者・学生、また日本全国の大学・研究機関や企業も遠隔操作で利用する大型ネットワーク実機実験設備である「StarBED」を同じ敷地内に保有している。このStarBEDでは1000台以上のラックマウントサーバーを用いて実機ベースのインターネット環境が再現されており、完全なソフトウェアベースのシミュレータでは殆ど不可能であった、ハードウェア面の制約や現実の環境における種々の外乱を考慮することが可能となっている。StarBEDはユーザーインターフェイスからオペレーティングシステムまで、ソフトウェア面は全てJAISTの研究者らにより開発されており、JAIST固有の設備であるといえる。 サテライトキャンパス東京サテライトでは技術経営(MOT)プログラム、サービス経営(MOS)プログラム、IoTイノベーションプログラム(いずれも博士前期課程)および先端知識科学プログラム、先端情報科学プログラム、価値創造実践プログラム(いずれも博士後期課程)の講義が主に行われる。サテライト講義は金沢市や富山市でも開講されている。 寄宿舎キャンパス内にはエアコン、冷蔵庫を完備した学生寄宿舎があり、有償で提供されている[17]。また、各居室は学内LANと接続されており、自室にいながら研究を行う体制が整っている[17]。 活動数は少ないものの、文化系・体育会系にわたりいくつかのサークルが立ち上がっており、研究の合間に学外の人々と交流を持ちながら活動が行われている。 対外関係他大学との協定海外協定校・機関国際交流協定
大学院国際共同教育プログラム協定プログラム協定校で学びながら北陸先端科学技術大学院大学の学位が取得が可能とする協定。
デュアルディグリープログラム協定北陸先端科学技術大学院大学およびプログラム協定校で教育研究指導を受けることにより、両大学院の学位を取得することが可能とする協定。
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |
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