夕ばえ作戦
『夕ばえ作戦』(ゆうばえさくせん)は、光瀬龍のSF小説。1974年にNHKでテレビドラマ化。2008年に漫画化された。 あらすじ機械いじりの好きな中学生、砂塚茂が学校の帰り、古道具屋の前を通りかかった際、円筒形の不思議な機械を見つけて入手する。ダイヤルを回し、行き着いた先は江戸時代の荏原郡で、その機械がタイムマシンであったと知る。茂は代官と忍びの一族「風魔」との争いに巻き込まれ、成り行きで伊賀者の頭領となり、騒乱を鎮めるべく、現代と江戸時代をタイムマシンを使って行き来し、風魔を追い詰めて行く。 作品解説SFジュブナイル。1964年『中一時代』(旺文社)誌上で『夕映え作戦』として連載開始。翌1965年4月号より『中二時代』に掲載誌を移行し、同年5月号で完結。後に盛光社(後に鶴書房盛光社)の「ジュニアSF」シリーズ(後に「SFベストセラーズ」シリーズ)で『夕ばえ作戦』として1967年に刊行された。解説は『SFマガジン』の元編集長、福島正実。 現代から見れば「江戸時代の人間は体格も悪く、低い栄養状態から力も劣る」が前提となっており、「大人の忍者よりもスポーツで体を鍛えた中学生の方が強い」設定となっている。これに現代科学が加わった忍術を駆使する、現代人無双状態が展開される。 本作は光瀬が教師として赴任していた東京の目黒区、蒲田区、大田区、世田谷区(概ね東急電鉄の沿線)近辺を舞台にしており、その詳細な描写から1960年代のおける、東急目蒲線近辺の雰囲気を味わうことができる。 1999年に角川春樹事務所のハルキ文庫から、文庫版『夕ばえ作戦』が出版されている。 登場人物キャストはテレビドラマ版の物。 主人公とその関係者
風魔相模、武蔵の一円に根を下ろした忍者集団。江戸開幕の折、土地と引き替えに幕府の旗本召し抱えとの約束が反故にされ、嘆願も無視されたために幕府を恨み、江戸近辺で騒乱を起こしている。
伊賀者幕府召し抱えの忍者だが、茂が来るまで風魔に歯が立たなかった。鮮やかに風魔を撃退した茂の力量を認め、その配下になる。
その他
以上は原作には登場しないドラマのみの登場人物。 ドラマ版NHK少年ドラマシリーズの1つとして、1974年1月14日 - 1月23日に放映された。 山田隆夫が主人公を演じ、アイドルグループ「ずうとるび」等で後々に活躍する基礎を作った、という事も知られている[要出典]。ずうとるびの仲間、今村良樹も共演した。この時点ではまだ「ずうとるび」としての認知度は低かった山田が、コミカル・シリアスの両面で主役を演じていた。原作と違い、茂は中学生から高校生へと年齢が上げられている。また、風祭陽子は風魔洋子と名を変えられた。 NHKにはVTRは現存していない(NHKでは、1970年代当時、あるいはそれ以前のVTRは大半を廃棄しており、ほとんど現存しない)。NHKアーカイブスでは、視聴者に資料提供を呼びかけているが、2017年現在、情報は寄せられていないようで、こちらでも全く見ることは出来ない。 スタッフ
漫画版2008年12月、雑誌『月刊COMICリュウ』(徳間書店)2009年2月号から2011年1月号まで連載された。単行本は全4巻。光瀬のファンで親交もあった押井守が脚色を行い、大野ツトムが作画を手がけている。 茂はドラマ版と同じく高校生。タイムマシンではなくタイムトンネルによってタイムスリップが起こる等、大幅な設定改変や脚色が加えられている。また、茂や明夫の先祖が風魔であることを匂わせたり、風祭陽子の活躍が大幅に増えている。 その他ドラマ版「夕ばえ作戦」のオープニングで流れたテーマ曲は、1976年にフジテレビ系列で放映された時代劇「江戸の旋風Ⅱ」のテーマ曲と同一のメロディーとなっている。共に作曲者は服部克久。 外部リンク |
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