多摩川スカイブリッジ
多摩川スカイブリッジ(たまがわスカイブリッジ)は、神奈川県川崎市川崎区殿町三丁目(キングスカイフロント)と東京都大田区羽田空港二丁目(HANEDA GLOBAL WINGS)を結ぶ、多摩川に架かる橋である。 前後の取付部を含む道路の仮称は羽田連絡道路[1]であり、道路法上の名称は川崎市側が川崎市道殿町羽田空港線、東京都側が東京都道311号環状八号線である[2][3][4][5][6]。また、都市計画道路としての路線名は川崎市側が川崎都市計画道路3・4・29号殿町羽田空港線、東京都側が東京都市計画道路補助第333号線である。 多摩川の橋としては最も下流に位置している。 概要神奈川口構想羽田空港と川崎市臨海部を結ぶ「神奈川口」は、千葉〜都内〜横浜〜横須賀を繋ぐ東京湾沿いを走るアクセスの大動脈となることを想定し、神奈川県としては長年の悲願とされていた[7]。2004年(平成16年)2月12日、国土交通大臣、神奈川県知事、横浜市長、川崎市長を構成員とする「第1回神奈川口構想に関する協議会」が開催され、以後2006年(平成18年)までに4回会合を行い「神奈川口構想」について検討を進めた[8]。 「神奈川口構想」は羽田空港の再拡張・国際化に合わせて多摩川にある首都高速湾岸線と大師橋の間に空港に接続する橋または海底トンネルを建設し、多摩川の対岸にある川崎市側にも空港施設を設置するという構想で、いすゞ自動車川崎工場跡地の利用を想定していた。国際線旅客ターミナル(現:第3旅客ターミナル)の出国手続き施設を建設するほか、ホテルや物流施設を併設し、経済的な地盤沈下が進む京浜臨海部再生の起爆剤になると考えられた。 この「神奈川口構想」に対しては、東京都大田区が「区庁舎があり、中心的な役割を担っている蒲田の衰退を招く」という理由から強く反対したが、「アジア諸都市の国際ハブ空港競争激化の中にあって、日本の羽田空港がそれに勝ち抜くキーのひとつとしてあげられるのが、臨空関連施設やホテル他を擁する神奈川口構想の成立可否かもしれない」とする新聞記事もあった[9]。 羽田連絡道路建設決定2014年(平成26年)9月8日、「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会」の初会合で政府は羽田空港と川崎市を直結する「連絡橋」と「海底トンネル」の新設を決定[10][11]。川崎市の15年来の悲願が実現することとなった[12]。2015年(平成27年)5月18日に開かれた「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会」の第2回会合で、羽田連絡橋などの整備場所について「川崎区の殿町地区中央部に両地区を結ぶ新たな橋梁(2車線)」と初めて明記された[12][13]。2017年(平成29年)1月24日、川崎市と東京都が「羽田連絡道路」の都市計画事業認可を取得し、事業に着手した[14]。事業総額は300億円[14]。負担額は橋梁部分の260億円は国と川崎市が折半し、川崎市は川崎市側の取り付け部の整備費約40億円を負担する[14][15]。首都高湾岸線が多摩川トンネルを通過する地下ルートであるため、本橋梁は多摩川河口から第一番目に架かる橋となる[16]。橋には幅員7.5メートルの2車線の車道に加え、両側に4.9メートル幅の歩道・自転車道がそれぞれ設けられる[16]が、主に遠方から羽田空港へのアクセスを想定して計画されたため、50cc未満の原動機付自転車及び軽車両(自転車を除く)は通行できない[17]。所要時間は開通前は対岸まで電車とバスで1時間、自動車で20分程度かかっていたものが[18]、この道路の完成により車では3分、徒歩でも10分余りで行き来できるようになる[19][20]。開通は当初2020年東京オリンピックに合わせ2020年(令和2年)夏を予定していたが[14]、2度の延期を経て2021年度(令和3年度)に変更され[21]、2022年(令和4年)3月12日に開通した[22][23][24]。 羽田空港側ではHANEDA GLOBAL WINGS、川崎市側ではキングスカイフロント(殿町国際戦略拠点)の各施設の建設、整備が進められた。また、開通後の2022年4月1日には川崎鶴見臨港バスにより、スカイブリッジを通行して天空橋駅と大師橋駅および浮島バスターミナルを結ぶ路線バスの運行が開始された[25]。 橋梁形式は羽田側の陸上部(A1 - P2)を鋼2径間連続鈑桁、多摩川渡河部(P2 - P5)をRC製の橋脚に鋼製の上部工を剛結した複合ラーメン構造としている。渡河部の最大支間長240 mは複合ラーメン橋として日本最大級となっている[26]。
名称名称は一般公募され、8,489件の応募があった[27][28]。応募の上位20案で選考が行われた[27][28]。応募上位20案のうち9案が「スカイブリッジ」もしくは「ウイングブリッジ」を含んでおり、1位「スカイブリッジ」、4位「羽田スカイブリッジ」、8位「川崎スカイブリッジ」、12位「多摩川スカイブリッジ」であった[27][28]。国や東京都、川崎市など事業に係る行政機関や地元で構成する検討委員会にて検討され、「多摩川両岸の地域がつながり、空へ、世界へと発展していくようなイメージを抱きやすく、羽田空港に近接し、空が広く開放的に感じられる橋にふさわしい名称である。また、公募において多くの意見を頂いた「スカイブリッジ」が含まれ、地域から親しまれてきた象徴的な存在である「多摩川」の名前が入ることで、末永く多くの人々に愛着をもっていただけることが期待できる。」との選考理由により、「多摩川スカイブリッジ」が選ばれた[27][28][29]。 歴史
ギャラリー
近隣の橋・河底トンネル脚注注釈
出典
関連項目外部リンク |
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