多臓器不全
多臓器不全(たぞうきふぜん、英: MOF; Multiple Organ Failure)とは、生命維持に必要な複数の臓器の機能が障害された状態のこと。現代救急医療の最大の課題のひとつとされている。局所障害が枢要臓器に影響することによるPrimary MOF と、全身性炎症反応症候群から発展して生じるSecondary MOF がある。 概要MOFという概念が注目されるようになった背景には、救急医療の発達がある。MOFは本来、死に至る上で誰もが通る過程であるが、救急医療が発達する以前においては、MOFから死への距離が非常に短く、ほとんど不可分であった。しかし、出血や腎不全、急性呼吸窮迫症候群など、死の前段階における症候を一つ一つ克服した結果として、1970年代から、集中治療中の患者の死因として、MOFが問題視されるようになってきたものである。 MOFの基本的な病態は、急性炎症反応とこれにともなう各種サイトカインなど化学伝達物質の発現増大によって、全身において同時多発的に障害を生じることにある。主な障害は下記のとおりである。
「多臓器」の定義はやや曖昧であるが、日本では多くの場合、肺・肝臓・腎臓・消化器系・循環器系・中枢神経系・凝固・線溶系の7つの機能のうち2つ以上が短期間ないし同時に不全になったときとされる。 重症度の判定には、SOFAスコアやAPACHE-IIスコアなど、いくつかの指標が提案されている。SOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment score)は簡便であるために比較的多用されており、2009年新型インフルエンザの世界的流行に際してマックマスター大学を中心として策定されたトリアージプロトコルでも採用された。
予後現在のところ、各臓器の機能不全を個々に治療することはできるものの、これらが関連して一時に発生した場合、それぞれに対処していく以外に治療法がない。このことから、MOFの状態に陥る以前にこれを予防することが最重要であり、その前段階である全身性炎症反応症候群(SIRS)の時点で対策を講じることが必要である。 参考文献
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