画架の前の自画像 (レンブラント)
『画架の前の自画像』(がかのまえのじがぞう、仏: Autoportrait au chevalet et à l'appuie-main de peintre、英: Self-Portrait at the Easel)は、17世紀オランダ黄金時代の巨匠レンブラント・ファン・レインが晩年の1660年にキャンバス上に油彩で制作した自画像である。画面下部右側に「Rem. / f.1660」という画家の署名と制作年が記されている[1][2]。作品は1671年ごろ、フランス国王ルイ14世によって[1][2][3]特定されていない個人所有者から購入され、1793年以来[1][2]、パリのルーヴル美術館に所蔵されている[1][2][3][4][5]。 作品レンブラントは生涯を通じて自画像を描き続け、ほとんど途切れのない絵画による「自伝」を作り上げた[3]。あらゆる大画家のうちでも、レンブラントほど数多い自画像を残した画家はいない[6]。等身大の半身自画像である[3]本作は、美術史美術館 (ウィーン) の『自画像』 (1652年)、フリック・コレクション (ニューヨーク) の『自画像』 (1658年)、ケンウッド・ハウス (ロンドン) の『二つの円のある自画像』 (1665-1669年) とともにレンブラント晩年の大きな自画像の1つである[1][4]。また、右手にモールスティック (腕鎮) 、左手に絵筆とパレットを持って[4]絵画を制作中の自身を表し[1][3]、画家としての身分を強調した[4]レンブラントの稀な自画像の1つとなっている[1][3]。同時に、本作はおそらく、そうした自画像中の最初のものである[1][4]。 レンブランはスモックかエプロンのようなものを着用しており、その表面の染みは左手に持つパレットを連想させる。素朴な白い帽子を被って頭髪を抑え、髪が生乾きの絵具の上に落ちないようにしている。頭の周りに暗い影があるところを見ると、当初はもっと幅広で仰々しいベレー帽にするつもりであったようである[1][3]。それを素朴な帽子にした[1][3]ことにより、私的な雰囲気が醸し出されている[3]。この白い帽子は大きな筆さばきで描かれ、神秘的な光を周囲に放っている[4]。画面右端に垣間見えるのは画架で、右手に握られたモールスティックから、レンブラントが束の間、仕事の手を休めていることがうかがえる[3]。 以前のきわめて自我の強い、楽観的な自画像とは異なり、この絵画のレンブラントにはいくらか諦念が漂っている。同時に、彼は自身への確信に満ちた落ち着いた表情をしている。当時のレンブラントは、破産、財産の競売処分、自宅の売却という苦難の時期を乗り越えたところであった[3]。 ギャラリー脚注
参考文献
外部リンク |
Portal di Ensiklopedia Dunia