AFCアジアカップ2015は、2015年1月9日から1月31日にかけて、オーストラリアで開催された第16回目のAFCアジアカップである。予選を含む参加国数は25、本大会出場は16カ国。
開催国決定までの経緯
2011年大会が西アジアのカタールで開催されたことにより、2015年大会は東地区で行うことが事前に決まっていた。その中でオーストラリアサッカー連盟が名乗りを挙げた[1]。開催に伴い、2014-15シーズンのAリーグは大会期間中の3週間、中断した[2]。
開催地・競技場
2013年3月26日に、オーストラリアで最も人口が多いシドニー、2番目に人口が多いメルボルン、3番目に人口が多いブリスベン、7番目に人口が多いニューカッスル及び8番目に人口が多い首都キャンベラの5都市・5会場で試合が開催されることが発表された。なお、上記5都市は全てオーストラリアの全人口の80%以上が集中する東海岸側に位置する(詳細はオーストラリア#主要都市を参照)。なお、併せて開幕戦はメルボルン、3位決定戦はニューカッスル、決勝はシドニーで実施されることも発表された[3][4]。
当初は、以下の会場も候補地として提示されており、その時点でスタジアム・オーストラリアが決勝戦開催地の候補として有力であると報じられていた[5]。
気候
気候面では、開催都市のある地域は温暖湿潤気候に属し、熱帯気候や海洋性気候が一部含まれる。
出場国
2011年大会同様、出場チームは前回大会3位までのチームと、2012年と2014年のAFCチャレンジカップ優勝チーム(同一チームの場合は2014年大会の準優勝チーム)、開催国のオーストラリアが予選を免除された[11][12]。これに予選通過チームを加えた計16チームで本大会が行われた。
予選
今大会の開催国であるオーストラリアは、前回(2011年)大会で準優勝となったが、これに伴う前回大会4位のチーム(ウズベキスタン)には繰り上げでの予選免除は認められなかった[12]。このため、予選通過チームは前回大会の予選より1チーム多い11チームとなった。なお今大会の最終予選は、前回大会の最終予選と同様、20チームを4チームずつの5組に分けて実施し、各グループの上位各2チームと、各グループ3位チームのうち成績最上位のチームが本大会出場権を得た[13]。
出場国
出場国の内訳 本戦出場決定国
予選敗退国
組み合わせ抽選
組み合わせ抽選は2014年3月26日にシドニー・オペラハウスで行われた[14]。開催国のオーストラリアはポット1に入り、それ以外は2014年3月時点のFIFAランキングに基づき決定した[15]。カッコ内は2014年3月時点のFIFAランク。
グループステージ
メルボルンで行われた開幕セレモニー
日程は2013年3月27日に発表された[4][16]。
各グループ内で2チーム以上が総勝点で並んだ場合、以下の順番で順位が決定される[17]。
- 当該チーム間の対戦における勝点
- 当該チーム間の対戦における得失点差
- 当該チーム間の対戦における得点数
- グループステージ全試合における得失点差
- グループステージ全試合における総得点
- 当該チームが同会場にいる場合はPK戦(2チームが同勝点の場合のみ)
- カードの数をポイント化し少ない順(1点:イエロー1枚、3点:イエロー2枚による退場、一発レッドによる退場、4点:イエロー後、2枚目のカードがイエローではなくレッドによる退場)
- 抽選
グループA
順
|
国
|
点
|
試
|
勝
|
分
|
敗
|
得
|
失
|
差
|
1 |
韓国
|
9 |
3 |
3 |
0 |
0 |
3 |
0 |
+3
|
2 |
オーストラリア
|
6 |
3 |
2 |
0 |
1 |
8 |
2 |
+6
|
3 |
オマーン
|
3 |
3 |
1 |
0 |
2 |
1 |
5 |
-4
|
4 |
クウェート
|
0 |
3 |
0 |
0 |
3 |
1 |
6 |
−5
|
グループB
順
|
国
|
点
|
試
|
勝
|
分
|
敗
|
得
|
失
|
差
|
1 |
中華人民共和国
|
9 |
3 |
3 |
0 |
0 |
5 |
2 |
+3
|
2 |
ウズベキスタン
|
6 |
3 |
2 |
0 |
1 |
5 |
3 |
+2
|
3 |
サウジアラビア
|
3 |
3 |
1 |
0 |
2 |
5 |
5 |
0
|
4 |
北朝鮮
|
0 |
3 |
0 |
0 |
3 |
2 |
7 |
-5
|
グループC
順
|
国
|
点
|
試
|
勝
|
分
|
敗
|
得
|
失
|
差
|
1 |
イラン
|
9 |
3 |
3 |
0 |
0 |
4 |
0 |
+4
|
2 |
アラブ首長国連邦
|
6 |
3 |
2 |
0 |
1 |
6 |
3 |
+3
|
3 |
バーレーン
|
3 |
3 |
1 |
0 |
2 |
3 |
5 |
-2
|
4 |
カタール
|
0 |
3 |
0 |
0 |
3 |
2 |
7 |
-5
|
グループD
順
|
国
|
点
|
試
|
勝
|
分
|
敗
|
得
|
失
|
差
|
1 |
日本
|
9 |
3 |
3 |
0 |
0 |
7 |
0 |
+7
|
2 |
イラク
|
6 |
3 |
2 |
0 |
1 |
3 |
1 |
+2
|
3 |
ヨルダン
|
3 |
3 |
1 |
0 |
2 |
5 |
4 |
+1
|
4 |
パレスチナ
|
0 |
3 |
0 |
0 |
3 |
1 |
11 |
-10
|
決勝トーナメント
準々決勝
準決勝
3位決定戦
決勝
優勝国
得点ランキング
得点ランキング
アシストランキング
総合順位
順 位 |
国・地域名 |
成績 |
試 合 |
勝 利 |
引 分 |
敗 戦 |
PK 勝 |
PK 敗 |
勝 点 |
得 点 |
失 点 |
点 差
|
1 |
オーストラリア |
優勝 |
6 |
5 |
0 |
1 |
0 |
0 |
15 |
14 |
3 |
+11
|
2 |
韓国 |
準優勝 |
6 |
5 |
0 |
1 |
0 |
0 |
15 |
8 |
2 |
+6
|
3 |
アラブ首長国連邦 |
3位 |
6 |
3 |
0 |
2 |
1 |
0 |
11 |
10 |
8 |
+2
|
4 |
イラク |
4位 |
6 |
2 |
0 |
3 |
1 |
0 |
8 |
8 |
9 |
-1
|
5 |
日本 |
ベスト8 |
4 |
3 |
0 |
0 |
0 |
1 |
10 |
8 |
1 |
+7
|
6 |
イラン |
4 |
3 |
0 |
0 |
0 |
1 |
10 |
7 |
3 |
+4
|
7 |
中華人民共和国 |
4 |
3 |
0 |
1 |
0 |
0 |
9 |
5 |
4 |
+1
|
8 |
ウズベキスタン |
4 |
2 |
0 |
2 |
0 |
0 |
6 |
5 |
5 |
0
|
9 |
ヨルダン |
グループリーグ敗退 |
3 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
3 |
5 |
4 |
+1
|
10 |
サウジアラビア |
3 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
3 |
5 |
5 |
0
|
11 |
バーレーン |
3 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
3 |
3 |
5 |
-2
|
12 |
オマーン |
3 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
3 |
1 |
5 |
-4
|
13 |
カタール |
3 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
0 |
2 |
7 |
-5
|
14 |
朝鮮民主主義人民共和国 |
3 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
0 |
2 |
7 |
-5
|
15 |
クウェート |
3 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
0 |
1 |
6 |
-5
|
16 |
パレスチナ |
3 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
0 |
1 |
11 |
-10
|
勝ち点は、勝利3、PK戦勝利2、引き分けとPK戦敗北1、敗北0
表彰
大会ベストイレブン[20]。
賞金
ステージ |
賞金 (米ドル) |
合計
|
優勝 |
$3,975,000 |
|
準優勝 |
$1,750,000 |
|
ベスト4 |
$600,000 |
$1,200,000 (2チーム)
|
ベスト8 |
$300,000 |
$1,200,000(4チーム)
|
グループステージでの勝利毎 |
$45,000 |
$1,080,000(24試合)
|
グループステージ敗退チーム |
$35,000 |
$210,000(6チーム)
|
トピックス
- グループCのイラン対UAE戦で、イランの得点がオフサイドであったとUAE監督がコメントし、UAEと日本が次に対戦する可能性がある状況で日本人の佐藤隆治が主審を務めた点を指摘し、「彼はUAEの選手にイエローカードを与えた。おかげで次の試合には出場できない。非常に奇妙だよ」と語った[21]。
- グループAの韓国対オマーン戦で、DF 金周栄が左足で踏み込んでカースィム・サイードの進路を妨げてカースィムは倒されたがPKにならず、オマーン監督のポール・ル・グエンは「あれは100パーセントPKだ」と語った[22][23]。
- UAEのアリー・マブフートがバーレーン戦 (1月15日) で開始から14秒で決めたゴールがアジアカップ最速ゴールと認定された[24]。
- 1月9日の開幕戦から1月20日のグループDの試合まで24試合連続で引き分け無しを記録した。アジアサッカー連盟によると、国際サッカー連盟 (FIFA) および各大陸のサッカー連盟が主催する主要な大会で20試合以上引き分けがないのは初めてとしている。なお、過去の引き分け無しの最多記録は1930 FIFAワールドカップの18試合であった[25]。
- グループリーグでは、グループAからグループDまでの全てのグループでグループ1位の勝ち点が9、グループ2位の勝ち点が6、グループ3位の勝ち点が3、グループ4位の勝ち点が0となった。
- 総入場者数は649,705人となり、前回大会の405,361人だけでなく、当初に運営側が立てた目標値の500,000人も上回った[26]。
- オーストラリア代表の出場する全試合、キャンベラで開催された中国-北朝鮮、メルボルンで開催された日本-ヨルダンおよび韓国-ウズベキスタンの各試合がチケット完売となった[26]。
- 決勝戦の全世界のテレビ視聴者数は10億人に達した[26]。
- 今大会の中国の総視聴者数は9億5,000万人であり、準々決勝の中国-オーストラリア戦は1億8,200万人が視聴した[26]。
- 日本は準々決勝の日本-UAE戦で2,100万人がテレビを視聴した[26]。
- 韓国は準決勝の韓国-イラク戦で全人口の37%に当たる1,820万人がテレビを視聴した[26]。
- オーストラリアは準決勝のUAE-オーストラリア戦で250万人がテレビを視聴した[26]。
- 準決勝終了までに「#AC2015」のハッシュタグが26億9,000万回使われた[26]。
- AFCアジアカップ2015の開催によりオーストラリア国内で数百万オーストラリアドルの波及効果がもたらされた[26]。
脚注
関連項目
外部リンク