NGT48山口真帆暴行被害事件
NGT48山口真帆暴行被害事件(エヌジーティーフォーティーエイトやまぐちまほぼうこうひがいじけん)は、2018年(平成30年)12月8日に、新潟県新潟市で発生した暴行事件。 当時アイドルグループ・NGT48に所属し、チームG副キャプテンを務めていた山口真帆が、自宅マンションの玄関先で顔を掴まれるなどの被害を受けたとされる。当初、事件は公になることがなかったが、山口がSNSで被害を告発し、国内外のマスメディアで大きく報じられた。事前事後のグループの運営会社AKS[注釈 1]の対応や、アイドルとファンとの関係が議論の的となった。 事件の概要警察への取材に基づくNHKおよび地元記者への取材を行ったzakzakの報道によると、2018年12月8日午後9時半ごろ、当時アイドルグループ・NGT48に所属していた山口真帆が、NGT48劇場での公演を終えて新潟市内にある自宅マンションに帰宅した際、NGTのファンである男性Aと男性Bが玄関先に押しかけ、玄関のドアに手をかけ、声をかけた。すると、山口が悲鳴を上げたため、慌てた男らが口をふさごうとして、顔をつかんだとされる[1][2]。山口のSOSを受け、NGT48のメンバーが現場に駆け付け、山口の帰宅時間を他のメンバーに聞いて男A、Bに伝えたとされる仲間Cも現場に加わって、双方で口論が続き、ようやく当時のNGT48劇場支配人・今村悦朗と警察が来て、男3人は警察に連行され、翌9日にAとBが暴行容疑で逮捕された[2][3][4]。山口に対する性的暴行はなく、山口に怪我はなかった[2]。 男性AとBは無職と男子大学生(ともに当時25歳)で、東スポの取材によれば、男性のうちの一人は山口の熱狂的なファンで、握手会でも知られた存在だった。握手会で80万円以上も使い、山口と2時間以上話したこともあり、新潟の街で偶然山口と顔を合わせた際、言葉を交わす姿を他のファンに目撃されていたこともあった、と指摘するのはNGTファン 。しかし別のメンバーに「推し変」したことで、山口との関係が悪化した。もう一人の男性は、山口とは別のメンバーのファンであった[5][6]。二人は20日間拘留された後、12月28日に不起訴処分となり、釈放された[2][3]。 zakzakによれば、山口はNGT48の他のメンバーが犯人に協力していた、暴行をしむけていたと主張しており、それをもとに警察はメンバーの事情聴取や携帯電話の通信記録を調べたが、関与はなかったとしている[2]。メンバーの一人が道で声をかけられ、山口の自宅を知らないものの、推測出来るような帰宅時間(山口が送迎ワゴンに乗っていたか)を伝えてしまったことを認めたことで、自発的なものではないにしろメンバーの関与が判明したが、元東京地検特捜部検事の高井康行弁護士は、もし男性が暴行することをメンバーが事前に知っていれば幇助罪になるとしたが、知らなければ自宅を教えたりしても共犯にはならず、また暴行罪は親告罪ではないため、被害届を取り下げても事案が重大なら起訴されるはずだとして、事件そのものは軽微などと検察が総合的に判断したのではないかと見解を述べている[7]。 また、第三者委員会報告書説明会見では、記者からの「遠因としてファンとつながっていることが遠くの原因にはなっているとは思うんですけれども、被害者に、山口さんに対するほかのメンバーが謝りたいとか申し訳なかったとか、私たちがこんないけないことをしてこういうふうに招いてしまったとか、謝罪の意思とか謝罪したいっていう報告とかはきているのでしょうか。」との質問に対し、運営取締役「それはございます」と回答している[4]。なお、その後の民事訴訟において、加害者とされる男性2名のうちいずれかの人物は、「山口さんとは事件前から関係があり、顔をつかむような暴行はしていない」と証言している[8]。そのほかに、山口とAKS関係者に事件直後男性2人が事件の経緯について説明した内容の詳細が明らかになり、男性2人がNGT48の他のメンバー8人ほどと私的なつながりがあると話していたことや以前から食事や遊んだりするなど交流を持っていた一部メンバーに「山口さんと話したい」と相談したと話していたことが新たに分かった[9][10][11]。(更に週刊文春が公開した事件直後録音データにおいても、男性は警官に「そもそもあそこ(編注:NGT48寮のマンション)に複数、彼女(編注:山口のこと)のグループの人たちがいて、その子達と友好的に会ったりご飯食べたり」など、他のメンバー達と会うなどするために、山口らの住む寮のマンションに出入りしていたことを明かしている[12]。)「以前から食事や遊んだりするなど交流を持っていた一部メンバー」については、運営側は処分するほどの程度ではなかったと判断したと説明し、「つながりはゼロではなかった」と弁解している[13]。 ただし、山口の住んでいたマンションは寮ではなく個人契約で[14]、今村支配人(当時)も新潟市内の複数のマンションにメンバー同士の部屋をまとめて住まわせていたと述べており[15]、NGTメンバーの半数は新潟出身で自宅通いのメンバーもいるため、山口のマンションに山口以外にどの程度の数のメンバーが住んでいたのかは判明していない。 また後述の裁判の陳述書では、男性は事件以前からマンション内に部屋を借りていて、一緒に食事をしたり部屋で面会するなどはなかったものの、山口とも廊下などで会って衣装やアクセサリーなどのプレゼントを贈っていたが、途中からDMに返信を貰えなくなったので、関係修復の話し合いのために自宅前で待っていて事件になったと述べている[16]。 第三者委員会調査報告書は「『噂』レベルではなく、具体的な事実として垣間見ることができた」として、「丙(事件に何らかの形で関わっていたことが疑われる人物)と複数回個別に会っていたメンバーがいること」「甲が、以前より、当該マンション内で、他のメンバーと会うなどしていたことから、その延長線上で、山口氏が公演終了後に帰ってきた際に、外で話すより当該マンション内で声をかけたほうがいいと考えて当該マンション内で山口氏に声をかけたと述べていること」「本件事件後に、数名のメンバーがファンとの『つながり』があったとして自ら申告していること」など7項目と、「メンバーからの事情聴取の結果、確たる証拠はないものの、噂として聞いたなどとして12名のメンバーの名前が具体的に挙がった」と報告していた[17][18]。 報告書を受け、AKSは報告書の説明の会見を行い不問にしたが、山口による「(取締役は)『繋(つな)がっているメンバーを全員解雇する』と私に約束しました」などの反論や再発防止策などについて具体的な方法などは示さず炎上した[19][20]。NGT関係者の話として、その12人の中に山口の名前があったことも、公平性を保つためにつながりメンバーを全員不問にした要因とされている。ただし山口のことを快く思っていないメンバーがうそを言っている可能性もないとは言い切れない[21]。報告書は「回答が記載された書面及び記名、無記名の者が特定できる資料は、AKSを含め本委員会以外には一切開示しない」としている[22]。 早川支配人(当時)は、報告書で言及されたつながりについて、○○がつながっていると人から聞いた。○○っぽい子が男の人といるのを見た。○○はつながっていると思う。○○が人目を避けるように歩いていた。という曖昧な話ばかりで処分のしようがなく、つながりを申告してきたメンバーについても、DMを2回返信してしまったが私的に会った事はない。また、取材先の飲食店の方が偶然ファンで、クレープをサービスしてくれて、来店のお礼のDMについ返信をしてしまった。といった程度の内容だったとしている[23]。 事件発覚直後のワイドショー番組で、立川志らくは「暴行に関与した男3人は山口の熱狂的ファンではなく、とあるメンバーのファンで山口が風紀の乱れを運営側に報告し溝ができた」という一部報道を受けて、「これが本当なら対立しているメンバーが山口さんがチクったことに対して、自分のファンに襲撃に行ってこいと。事実だとしたら、反社会勢力とやっていることが一緒」と語ったが[24][25]、その後複数の報道や裁判の陳述書で犯人の一人が山口の熱狂的なファンの太客で、握手会等で山口と何度も面識があったことや[5][6][26]、当初から暴行を否定し、「(山口と)話がしたかった。大ごとになるとは思わなかった」と供述していたことが判明している[1][27]。ネット上ではメンバー間の対立構造が飛び交っていたが、事件に関して警察の事情聴取を受けた西潟茉莉奈、荻野由佳らが反・山口派とされていた[28]。 事件発生後の経緯山口による告発この事件は、当初マスメディアによって報道されることはなく、当時の運営会社である株式会社AKSは事件を公表しなかったため、暴行被害が公になることはなかった。それについて犯人の一人が山口に多額の投資をしていた太客で、犯人が山口と接触してから110番通報されるまで1時間の空白があり、新潟署の捜査員が駆けつけたとき、山口は犯人達と公園で話をしていたため、事件性はないと判断したためとされている[26]。 AKSは後の会見において、事件を公表しなかった理由について「メンバー保護と、オープンになった時に二次的、三次的被害が及ぶのではないかと私の方で考えた。結果的にああいうことになって大変申し訳ない」と説明し、運営側から事案を公表する予定はなかったことを明らかにした[29]。ところが、2018年12月8日から翌9日朝にかけて、山口がリアルタイム動画配信サービスSHOWROOMで涙ながらに暴行被害を告発した。「私とまた同じ目に遭う人がいるのに、1カ月待っても、何も対処してくれなくて」、「真面目にやってる子達が、私と同じ怖い目にするのは、もう耐えられない」、「今回私は助かったから良かったけど、殺されてたらどうするんだろうって思う」と話した[3]。また自身のTwitter(現在はX)でも「私は先月公演終わり帰宅時に男2人に襲われました。あるメンバーに公演の帰宅時間を教えられ、またあるメンバーに家、部屋を教えられ、またあるメンバーは私の家に行けと犯人をそそめかしていました(原文ママ・そそのかすの意と思われる)」、と投稿し、さらにこの件へのNGTメンバーの関与を告発していた(該当ツイートはすでに削除されている)[30][3]。 マスメディアの報道2019年1月10日、山口による告発を受けて、NHKが主要メディアとして初めて事件を報道した[注釈 2]。他社もこれに追随し、報道番組やワイドショーで連日に渡り報道されるようになった[31]。 AKSの声明2019年1月10日、AKSは「山口真帆に関わる一連の騒動についてのご報告[32]」という文章を公式サイト上に公開した。2人の男による山口の暴行被害を認め、「そのほかに、実行犯ではありませんが、この事件に関与していたファンの男1名も確認されました」と報告した[3]。その声明においては、他のNGTメンバーから山口の住所や帰宅時間などの個人情報が漏れたかについての山口の告発に言及しており「メンバーの関連性においては、メンバーの1名が男から道で声をかけられ、山口真帆の自宅は知らないものの、推測できるような帰宅時間を伝えてしまったことを確認しました」と男に山口の帰宅時間を伝えたメンバーがいたことのみ認めた。ただしその「男」が事件の関係者であるかどうかは定かではない。なお山口は、NGTのメンバーが男に自宅に押しかけるようそそのかしたとも告発していたが、その点についての言及はなかった。また山口は男が「メンバーが住んでいた向かいの部屋から男が出てきた」と主張したが、[33]後にNGTの早川支配人(当時)は、メンバーは昨年(事件の前年)7月に不動産屋立ち会いの元で退去し、鍵も全て不動産屋に返却していると述べ、メンバーの退去後にウィークリーマンションの会社が向かいの部屋を借り上げていたと警察が言っていたと、聞いたと述べている[34]。またAKSは「今後はこのようなことがないよう、全グループメンバーへの防犯ベルの支給、各自宅への巡回等の対策を徹底する」とし、再発防止のための手段を講じることを表明した。また、AKSは声明においてファンの男性3人の公演、握手会、イベント等への参加を禁止したほか、声明とは別のページで同月11日、14日に予定していた劇場公演を中止することも発表した[30]。 山口真帆による謝罪2019年1月10日、山口はNGT48劇場で開催された同グループ3周年記念公演に出演した。事件について「この度は、たくさんお騒がせしてしまって、誠に申し訳ありません」と声を詰まらせながら謝罪する一幕があった。このことがネット上で報じられ、運営の責任者(例えば、支配人の今村悦朗)よりも先に被害者である山口が謝罪したことに疑問の声が殺到した。 ニューズウィークは、海外ネットユーザーの声を挙げながら、なぜ犯罪の被害者が謝罪に追い込まれたのかという点に疑問を呈し、そのような謝罪が無意味かつ非常識な「日本の゙謝罪文化」の好例であるとした[35]。 この件につきAKSは「本人が1曲出演するということもあり、結果的にああいう形になってしまったのは、本当に私の考えが非常に浅はかだった。至らなかった。結果的に本人の口から、被害者が謝罪となってしまったことは深く深く反省している」と述べている[29]。 人事異動2019年1月14日未明、AKSは代表取締役・吉成夏子と運営責任者兼取締役・松村匠の連名で声明を発表し、支配人の今村悦朗を異動させ、早川麻依子[注釈 3]を新支配人、岡田剛を新副支配人とする人事を発表した[36][注釈 4]。 AKSの記者会見(2019年1月14日)同日、AKSは初めて記者会見を開き、一連の問題を陳謝し[注釈 5]、公表が遅れた理由を「警察の捜査状況を鑑みていたというのが、一番の理由。昨日、警察の方から公表できる情報が出ましたので、このような場を設けさせていただきました」と説明した[29][37]。AKSは第三者委員会を設置する予定があることを明かし、事件の詳細は第三者委員会で調査することとし、「警察の捜査内容に関わることなのでコメントは差し控えさせていただきたい」との理由で、事件の詳細に言及することはなかった[29]。事件への他のメンバーの関与については、メンバーの行動が刑事事件として立件されていないことを挙げ、「当社としては、メンバーの中に違法な行為をした者はいない、と考えております」との認識を示した[29]。もっとも「違法ではないものの、メンバーとして不適切な言動」の有無は第三者委員会の真相究明を待つとした[29]。 リクアワ欠席NGT48は、1月18日、19日に『AKB48グループ リクエストアワー セットリストベスト100 2019』(通称:リクアワ)を開催したが、山口は欠席した。リクアワで、騒動に言及されることはなかった[38]。山口はその後も公の場でのグループ活動に参加することはなく、Xでの「いいね」を除いて発信のない状況が続いた。 第三者委員会の設置2019年2月1日、AKSは第三者委員会を設置した。第三者委員会は「事件に関連する事実関係の調査及び原因の究明(直接的な原因のみならず、背景となる要因等を含む)」を目的とし、委員長(弁護士の岩崎晃)と2名の委員(2名とも弁護士の木内雅也、高山梢)を選任した。人選については「日本弁護士連合会による『第三者委員会ガイドライン』に沿って選定しており、各委員は当社との利害関係を有しておらず、本委員会の独立性を阻害する要因はありません」と説明した。調査期間は「1カ月半を目途」とした[39]。 第三者委員会による調査報告書公表2019年3月21日、NGT48は、第三者委員会による調査報告書全文をNGT48公式ウェブサイト上に公表した。2019年3月18日付で作成され、全34ページからなる報告書は、PDFファイルではなく、画像(JPEGファイル)形式で公表された[40]。 あわせてNGT48運営は、報告書において、今回の事件に関する事実関係の認定がなされ、その中で、事件そのものにNGT48のメンバーが関与した事実はなかったとの判断と、運営上の不備が指摘されたことに触れ、不備を改善することに全力で取り組みたいとした。また、二度とこのような事件が起きないように、暴行を行ったとされる人物に民事上の法的措置を検討するとし、その後民事訴訟が提起された(後述)。今回の事件とは直接関係ないとしながらも、私的領域におけるメンバーとファンとのつながりは不適切との認識を示し、今回は不問にするとしながらも、今後は厳正な処分を検討することを明かした。改めて、メンバーの安全のため、防犯体制の強化等の対策や組織運営の強化、メンバー、スタッフへの教育を徹底し、NGT48をもう一度応援していただけるよう、健全な運営に取り組むことを明言した[40]。 AKSの記者会見(2019年3月22日)2019年3月22日午後、AKSは第三者委員会による調査報告書公表を受け、新潟市内で説明会を開催した[注釈 6]。この会見に対して山口はTwitterで5度にわたりリアルタイムで反論の投稿を行い、山口と第三者委員会との溝が浮き彫りとなった[42]。説明会の会場で山口の「私や警察に事実関係を確認もせずに(運営側がメディアやスポンサーなどに対して)私の思い込みのように虚偽の説明をしていました」などのツイートを確認した記者が、その場でAKSに説明を求めるという異例の展開もあり、しどろもどろの会見でAKSは失笑を買うなどした[43][44][45]。 AKSによる訴訟2019年4月26日、AKSは山口に対する暴行容疑で逮捕された男性ファン2人を相手取り、「事件によりNGT48の芸能活動が休止した」として、3000万円(被害額およそ1億円のうち)の損害賠償を求めて新潟地方裁判所に提訴。7月10日には第1回口頭弁論が新潟地裁で開かれた[46]。 陳述書によると山口の太客であった犯人の一人は、事件の3年前の握手会で直接プレゼントを贈りたいと伝えて(高額なプレゼントを贈る場合は本来運営を通すルールがある)山口本人からマンションの住所と部屋番号を教えてもらい、衣服やアクセサリー等のプレゼントを郵送するようになり、2018年4月に同じマンションの別の階に部屋を借りてからはSNSで連絡を取りながらマンションの共用スペースなどでプレゼントを手渡していたが、山口がDMに返信をくれなくなったため、事件当日はそのことを問いただしに行っただけで暴行は無かったと争う構えを見せていた。ほかにも向かいの部屋は事件の5日前の12月3日に契約したと述べているほか[47][48]、つながりの証拠として山口本人の携帯番号を提示している[49]。 このため報道陣からはNGT側の弁護士に対して裁判の争点は山口と被告とのつながりになるのではないかという質問も出ていたが[50]、AKS側は山口の証人申請を検討したものの、「本人の立場やプライバシーの問題、負担」などを考慮したうえで断念し[51]、2020年4月8日に被告側と和解した。 被告側は事件当時山口の承諾を得ずに自宅を訪問し、少なくともドアを引っ張り合うという形で暴行したということ(不起訴になっていた暴行を事実だと認めること)、暴行事件直後に山口らから問い詰められた際、他のメンバーから山口の部屋番号を聞いたり、そそのかされて部屋に行ったなどと事実に反する発言をし、そうした録音テープが流出して誤解を招く結果になったこと、NGT48の他のメンバーは本件に一切関与していなかったということ、本件事件に関して帰宅時間を推測できるような発言をしたメンバーに対し、自宅に行くということを告げずにバスに乗っているか聞いただけで、当該メンバーは事件について何も知らなかったということの4点を認めたうえで、運営に支障をきたしたことを原告側に謝罪している[52]。 山口のNGT48卒業卒業発表2019年4月21日、劇場公演で山口真帆は「ちょっと待ってください。私、山口真帆はNGT48を卒業します」と涙ながらに話し、NGT48からの卒業を発表した[53][54]。 卒業発表にあたり、短いスピーチをしており「私はアイドル、そしてこのグループが大好きでした。だからこそ、このグループに変わってほしかったし、自分がつらかったからこそ、大切な仲間たちに同じ思いをしてほしくないと、すべてを捨てる覚悟で取った行動でした」と、告発に踏み切った覚悟を話した。社長に「不起訴になったことで事件じゃない」「会社を攻撃する加害者」といわれ「ただメンバーを守りたい、真面目に活動したい、健全なアイドル活動ができる場所であってほしかっただけで、何をしても不問なこのグループに、もうここには私がアイドルをできる居場所はなくなってしまいました」「今の私にNGT48のためにできることは、卒業しかありません」と卒業という決断がやむにやまれぬものであったことを明かした[53]。山口は、ファンをはじめ今まで支えてくれた人たちへの謝罪と感謝を口にするとともに「私がこれからできることは、今の苦しい姿ではなくて、笑顔で幸せな姿を見せて、皆さんに元気を与えることだと思います」と今後の芸能活動への決意表明を行い、「残り1ケ月もありませんが、最後まで一人の人として、NGT48として、みなさんに今度は笑顔でまたお会いできたらうれしいなと思っています。あと少しの間ですが、どうぞよろしくお願いいたします。」との言葉でスピーチを結んだ[53]。 同日、菅原りこと長谷川玲奈が卒業することが発表され、山口と同じ5月18日の卒業公演が最後の活動となることが告知された。山口は二人と村雲颯香に対して「私がこうして世間に発信してからも、寄り添ってくれた」と感謝の意を示した[53]。 山口は、チームGにとって初めての劇場公演となる「逆上がり」公演の初日に、チームGの副キャプテンに就任しており、卒業を発表した4月21日の公演は、同公演の千秋楽であった[55][56]。 最後の握手会上述の劇場公演で言及された通り、パシフィコ横浜で5月5日、6日に行われる握手会が、最後の握手会となった[56]。 卒業公演2019年5月18日、山口の卒業公演が開催された。通常、メンバーの卒業公演は16人前後のメンバーで構成されるチーム別劇場公演に卒業セレモニーを追加する形で行われるが、山口の卒業公演は1日限りの特別公演として実施され、総合プロデューサーの秋元康が書き下ろした新曲のタイトルから「太陽は何度でも」公演と銘打たれた[57]。出演メンバーは同日をもって卒業する山口真帆、菅原りこ、長谷川玲奈の3人であり、異例づくめの劇場公演となった[57]。セットリストはこの日のために組まれたオリジナルのものであり、スポニチは「王道アイドルソングがズラリと並んだセットリスト」と報じた[58]。また、サプライズゲストとして同期の1期生から日下部愛菜、小熊倫実、角ゆりあ、後輩の2期生から高沢朋花、ドラフト3期生から高橋七実が招き入れられた。スポニチは、この人選を「山口がファンとのつながりを疑っていない“山口真帆選抜”」、「まほほん(山口のニックネーム)派」と表現した[58][59]。本編最後の曲は、サプライズゲストと共に8人での欅坂46の「黒い羊」で、スポニチはこの選曲を「1曲だけ異質」と表現し、その狙いについて、歌詞に登場する「黒い羊」は追い出されるようにして卒業する山口のことであり、「『黒い羊』がいなくなれば、また『白い羊』だけでやり直せる」という意味で「山口が抱える思いをそのまま表現したように聞こえる詞」、「運営側へ向けた究極の皮肉」であると説明した[59]。最後の曲はAKB48グループの卒業曲「桜の花びらたち」で、桜吹雪が舞い落ちる中、涙ながらに歌い、アイドルとしてのパフォーマンスを終えた[58]。最後のあいさつで運営を批判することはなく、ファンへ感謝するとともに「これからの夢に向かって力強く歩んでいきたい。またみなさんとお会いできるように頑張ります」と決意を表明し、3年半のアイドル人生にピリオドを打った[59]。 卒業後の芸能活動山口は卒業後の2019年5月25日、芸能事務所・研音に所属し、舞台やテレビドラマ、映画に出演したり、ソロ写真集を発売するなどした。それと同時に、今回の事件に関するものを含め、SNSへの過去の投稿を全て削除した[60]。山口は、2023年9月末をもって研音を退所し、現在はフリーランスとして芸能活動を行っている。 事件の余波スポンサーの撤退一連の騒動を受け、スポンサーの一正蒲鉾が、2019年1月14日からCMの放映を中止し、公式サイトから動画を削除した。新潟商工会議所も同15日、公式サイトにアップしていたNGT出演の「新潟開港150周年記念スペシャルムービー」を非公開とした[61]。また、JR東日本新潟支社は3月末の期限をもって、CM契約を終了した。その理由については、「元々3月いっぱいで終了する契約だった。騒動を受けて終了するということではない」と説明した[62]。新潟県知事の花角英世は、同年6月5日の定例記者会見で、「県民から歓迎される状態になったとは思えない」と述べ、保留としていたNGTとの契約を更新しないことを明らかにした[63]。 冠番組終了・総選挙不実施NGT48の全ての冠番組が3月いっぱいで終了・放送休止となった[64]。
また、姉妹グループであるAKB48の冠番組『AKB48 SHOW!』(NHK)が2019年3月いっぱいで終了し、2009年から10年連続で開催されてきたAKB48選抜総選挙が、2019年は実施されず、その後一度も開催されていない。松村はこの件につき「一切、関係ございません。総選挙は昨年で10回目を迎えて一定の役割を終えました」と強調している[65]。 なお、2025年2月現在、グループとしてのレギュラー番組は、FM-NIIGATAの『NGT48のえっさこいさRADIO』1本にとどまっている。 脚注注釈
出典
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