空港![]() ![]() ![]() ![]() 空港(くうこう、英: Airport)とは、公共の用に供する飛行場のことである[1]。一般的な実態は主に旅客機・貨物機などの民間航空機の離着陸に用いる飛行場内の施設である。その名のとおり、海運における港のような機能をもつ施設であり、空港という日本語自体が英語 Airport(空の港)の直訳である。 2009年時点でアメリカ中央情報局がまとめた報告によると、「上空から確認できる空港あるいは飛行場」は、全世界に約44000箇所あり、その内の15095箇所は米国内にあり、米国が世界でもっとも多い[2][3]。 空港の役割空港には、下記のような機能が要求される。
空港の設備空港にはさまざまな設備が設置されている。ただし空港によっては一部の設備がない場合もある。 離着陸に必要な設備![]() ![]() ![]() 離着陸に必要な設備として、着陸誘導設備などの無線関係施設、滑走路、着陸帯、誘導路、管制塔などがある。また目に見える設備ではないが、離陸着陸時に航空機が安全に飛行できる標準計器出発方式・標準計器到着方式・空域も不可欠である。
旅客や荷物の積み降ろし設備![]() →詳細は「空港ターミナルビル」を参照
空港のターミナルビルでは、旅客への搭乗券の発行、手荷物の受け渡し、搭乗前の航空保安検査などの業務を行っている。ターミナルビルと滑走路の間には駐機場が並ぶエプロンがある。ターミナルビルと航空機の間は、専用の橋状構造物(ボーディング・ブリッジ)またはタラップを利用する。大型旅客機や貨物機の場合、荷物はほとんど専用コンテナに収められ専用の車両によって積み降ろしが行われる。 付属する施設としては、出発便待ち客や乗り継ぎ客、見送り客が快適に過ごせるような待合室・ロビー・VIP用空港ラウンジがあり、レストラン・売店などが併設されている。これに加えて国際空港には税関、出入国管理、検疫に関する設備が必要となる。 空港の一角には、航空貨物の積み下ろしのための施設が集まる貨物地区も設けられている。トラックなどで届く農産品や機械部品などの貨物を荷下ろしし、保管し、航空コンテナに詰め替えるための上屋などが集積している。さらに倉庫と航空機の間の荷役を行うグランドハンドリングなどの運送業者、輸出入を請け負う貨物代理店、エア・フレイト・フォワーダー、通関業者などの事務所や税関・検疫などの庁舎も集まっている。 整備・補給能力→「格納庫」も参照
![]() 大きな空港には航空機整備のための設備と人員が配置されており、定期点検や日常点検が行われている。また、燃料や旅客のための水・食料を補給し、トイレを含む客室内を整理・清掃する設備・人員が配置される。 航空機が安全に飛行できる周辺空域→「制限表面」も参照
航空機が発着するために、一般に空港周辺には標準計器出発方式・標準計器到着方式といった離着陸コースやトラフィックパターンが設定されている。そのため、空港周辺には障害物が何もない空域が必要である。 各国の規定によって、空港を中心とする円柱状の空域、滑走路から直線状に伸びる空域、特に離着陸機が多く通過する専用の空域が設定されており、これらの空域では地上の建造物・設置物に高さの制限がある場合が多い。日本では、これらの空域は管制圏あるいは特別管制区と呼ばれる。 市街中心部との連絡→「空港連絡鉄道」も参照
空港は、航空機の発着のための広い敷地と、さらに広大な空域を必要とし、騒音問題もある[6][7]ことから、大都市から少し離れた郊外や海上に設置されることがある。そこで空港と市街中心部を結ぶ道路・鉄道・モノレール・橋梁・航路が同時に計画・建設されることが多い。 空港の経営主体設置者と運営者はそれぞれの空港により異なる。例えば、国、空港公団などの公共法人、地方公共団体、第三セクター(半官半民会社)、民間会社などである。また、空港の運営者とターミナルビルの運営者とは異なる場合もある。空港の運営は主に空港使用料によって行われるが、航空機燃料税などの歳入や国や自治体による補助金で賄われる場合もある。 国際航空運送協会の調査では2018年現在、世界全体で約14%が民営とされる[8]。 日本では、2010年代にはいってからコンセッション方式により空港の運営権を民間へ売却する取り組みが進められ、2016年には仙台空港が民営化された。 日本の空港の経営を行う主な会社は以下のとおり。
計画空港を新しく設置する際は航空旅客の需要予測を行い、次に対応する航空機を選定してから空港の規模や容量を決定する[9]。 需要予測にあたっては自動車や鉄道など他の交通手段で用いられる交通計画の手法が適用できる[10]。需要予測の方法は時系列による分析や、回帰分析や四段階推定法が用いられる[11]。 航空機の選定にあたっては、空域の制限や空港の容量、発生する騒音の面からなるべく大型化した方が望ましい[12]。 ここまでで決定された情報を基に滑走路の延長や本数、保安無線施設の種類、誘導路の形状、エプロンに駐機できる数、ターミナル地区の広さなどの空港の規模や容量が定まる[13]。ただし、十分な容量を持たすためには横風・雲高・視程などの気象条件が良好でなければならない[13]。 歴史
空港の分類場所による分類
日本の分類→詳細は「日本の空港」を参照
空港法による分類日本においては空港法により、大きく4つに分類され、拠点空港はさらに3つに分類される[14]。
関税法による分類航空貨物の扱いに関し、関税法により、空港は税関空港とそれ以外の不開港に分かれる。 →詳細は「開港」を参照
管制サービスによる分類日本の空港における航空交通管制業務の提供方法には、次の3つの形態がある。 アメリカでの分類連邦航空局によって以下のような分類の仕方がある。
空港の職員役割の近い役所の職員が対応しているが、近年では一部業務を民間企業に委託している国もある。( )内には日本における職員の所属を示した。国際線の本数の少ない地方の空港では、最寄の地方出入国在留管理局や税関などから職員が出張して対応することになる。 自衛隊が管理する飛行場では自衛官が業務を行っている。
環境問題空港周辺では騒音、排気ガスによる大気汚染や悪臭、振動、電波障害などが生じる[15]。騒音問題は、日本国内では第二次世界大戦後の軍用基地周辺でまず発生し、その後は東京国際空港や大阪国際空港では発着規制が行われるなどしている[15]。 脚注出典
参考文献
関連項目
一覧
外部リンク
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