アメリカ合衆国における死刑囚アメリカ合衆国における死刑囚(アメリカがっしゅうこくにおけるしけいしゅう)では、アメリカ合衆国の死刑囚に関して記述する。 概要→アメリカの死刑制度の概要については「アメリカ合衆国における死刑」も参照
アメリカ合衆国はいわゆる民主主義国家では世界最大の死刑判決と執行の多い国である。そのため世界最多の未執行死刑囚のいる国である。1972年から1976年まで死刑制度が廃止になっていたが、1977年以降復活しており、2021年6月現在、連邦と軍隊と27州が法律上死刑制度を採用している。 死刑制度がある州の執行状況は州により大きな差異があり、死刑執行が再開された1977年から2019年の間と2023年はテキサス州が最多執行数であった。2020年~2022年と2024年は、2020年は連邦政府、2021年は連邦政府とテキサス州、2022年はオクラホマ州とテキサス州、2024年はアラバマ州が最多執行数であった。現在も全米で最多の未執行死刑囚がいる州はカリフォルニア州である。 死刑判決が確定して死刑囚になっても、冤罪の疑い、逃亡中の共犯者の裁判の証人にするため、心身の病気などの理由で死刑を執行されずに、病気・老衰・自殺・事故などで死亡や、恩赦による減刑により、事実上は仮釈放のない終身刑と同じ処遇になっている死刑囚も多数存在する。たとえばチャールズ・マンソン(1934年生まれ)ら4人の死刑囚はシャロン・テートら4人(胎児を含めると5人)を殺害したが、死刑制度の一時廃止により実務上終身刑(恩赦減刑されたわけではない)となっている実例がある。なお、彼は仮釈放申請を通算12回行ったが、依然として大量殺人者としての危険性があるとして認められないまま、 2017年11月19日に亡くなっている。仮に亡くならずに生きていた場合、次に仮釈放の申請ができる年は2027年になる予定であった。 2022年時点で、人口比でもっとも死刑囚が多いのはアラバマ州(死刑囚166人、人口は約507.4万人)であり、人口約3.1万人に1人おり、州別ではテキサス州に次いで4番目に多い。またこの州は、2019年において殺人の発生率が州別で12番目に多く全米(5.0件/10万人)より約1.46倍多いが、強盗・不同意性交に関しては全米平均並である。 アメリカは日本と同じく死刑制度存置国と主張されるが、州によって司法制度が大きく異なっていることから実際に死刑になる確率も異なる。アメリカの総人口は約3億3328.8万人(2022年7月1日時点)であるが、2024年中に行われた全米の死刑執行の5分の1を占めるテキサス州は、カリフォルニアに次いで全米で2位の人口を有しているとはいえ死刑になる確率は格段に高い。そのため、死刑制度が廃止もしくは事実上停止されている州も多くあることからアメリカ国内でさえ「死刑の格差」がある現実がある。同じ凶悪犯であってもホノルルやボストン、ニューヨークでは逮捕・起訴されても死刑にはならない(ただしボストンマラソン爆弾テロ事件のように連邦裁判所に起訴・移管された場合はその限りではない)が、ダラスではほぼ確実に死刑が執行されるわけである。但し、2005年に絶対的終身刑を導入したことにより、執行数は2016年以降2018年を除いて1桁執行であり、判決に関しては、2008年以降2014年を除いて1桁で推移している。
また、アメリカ合衆国では銃や刃物を携帯している凶悪犯に対する、警察の発砲は正当防衛であり、銃や刃物を携帯している凶悪犯を犯罪現場で射殺する事例はどの州でもありふれていて、裁判によらない事実上の処刑は日常的である。 実情死刑囚の収容先及び執行場所アメリカ合衆国における死刑は、連邦政府の管理下で発生した犯罪に対するものは連邦政府、軍隊内で発生した犯罪に対するものは軍刑務所が執り行うことになっている。またアメリカを構成する州は各々適用される刑法が異なる為、死刑制度も大きく異なる。また全米のうち死刑制度を存置する27州・連邦・軍隊以外では死刑制度そのものが廃止されている。ただし、廃止州であるニューハンプシャー州は後述するように死刑囚が存在しているため、以下のリストは連邦政府と軍隊および存置州とニューハンプシャー州が記載されている。 なお、カリフォニア州[1]・ケンタッキー州[2]、モンタナ州[3]・ペンシルバニア州・オレゴン州・テネシー州[4]は死刑制度を一時停止し、事実上廃止状態となっているため、死刑執行場所リストは有名無実化しているといえる[5]。更に、ノースカロライナ州は2007年1月に医療監察委員会が医師の死刑執行参加に反対し、死刑執行が出来なくなっため、この州も有名無実化している[6]。 他に、軍隊、アイダホ州、カンザス州、ルイジアナ州、ネバダ州、ワイオミング州では、2024年12月時点で10年連続して死刑執行されていない。 なお、ワイオミング州とオレゴン州は2024年1月1日時点で死刑囚はいない(オレゴン州は、2022年12月14日にオレゴン州の死刑囚17人全員に対して仮釈放のない終身刑に減刑している[7])。 ニューハンプシャー州は2019年5月30日に死刑制度を廃止したが、既に死刑が確定している死刑囚に対して適用されなかったため、現在1人の男性死刑囚(罪状:2006年にマンチェスター市の警官マイケル・ブリッグスを銃で殺害)が存在している。但し、執行場所は存在しておらず、2010年にニューハンプシャー州矯正局は死刑執行室の建設に約170万ドルの費用が掛かると見積もったが、州議会は建設資金を承認していないため、2025年3月現在も存在しない[8][9]。
事例
釈放された死刑囚
脚注
関連項目 |
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