トヨタ・コンフォートコンフォート(COMFORT)は、トヨタ自動車が生産していたセダン型の商用車、ならびに香港市場で販売されるワゴン型商用車である。 初代はタクシーや教習車として、2代目はタクシーとして用いることを前提に開発された。 製造は初代および2020年(令和2年)12月までの2代目はトヨタグループのトヨタ自動車東日本東富士工場(旧関東自動車工業東富士工場、静岡県裾野市)、翌年の2021年(令和3年)1月以降の2代目はトヨタ自動車東日本宮城大衡工場(旧セントラル自動車宮城工場、宮城県黒川郡大衡村)。 本項では初代をベースにしたコンプリートモデルの『コンフォート GT-Zスーパーチャージャー』についても記述する。 初代 XS10型(1995年 - 2018年)→「トヨタ・XS10」も参照
概要1995年(平成7年)12月にトヨタ自社ブランドの小型タクシー専用車として、中型タクシー専用車の姉妹車のクラウンコンフォートとともに発売された。クラウンコンフォートはコンフォートよりホイールベースを105mm長くし、中型タクシーの基準に合致させている。 競合となっていた日産・クルーが2009年6月をもって生産終了したため、以降は国内メーカー唯一の小型タクシー専用車となった。また、2014年9月をもって競合となっていた日産・セドリック営業車が生産終了(同年11月販売終了)したため、2017年5月に販売を終了するまで日本国内で新車購入可能なセダンタイプのタクシー専用車はコンフォートとその姉妹車のみとなっていた。 ベースはX80系マークIIセダンであり[注 1]、サスペンションも80系マークIIの下位グレードと共通の、フロント・ストラット、リアリンクリジッドとなっている。 型式は XS11(Y)/TSS11(Y)で、搭載エンジンは、3Y-PE/4S-FE/2L-TE/1TR-FPE、マイナーチェンジ後の XS13Y/TSS13Yでは、3S-FE/1TR-FEとなっているが、クラウンコンフォートとは異なり、直6の1G系の設定はない。教習車は型式の最後にYが付く。FR方式で後席の寸法と後部ラゲージルームの容積を大きくとり、無線機や料金メーターなどのタクシー業務用機器取り付けスペースを設けるなど、完全にタクシー向けに特化された設計である。なお、同社が最初からタクシー専用に開発された車種としては1955年1月から1956年11月まで販売されていたトヨペット・マスター以来、40年ぶりとなる。 日産・クルーとは異なり、Bピラーの位置は左右対称(左右のドアの大きさは同じ)である。 バンパーはフロント・リアとも上下2分割式となっており、修理性に配慮されている。 小型タクシー専用のセダン型商用車として設計・開発された車種ではあるが、ガソリンエンジン、LPGエンジンに関わらず、タクシー、教習車とも一般の個人客でもディーラーで購入が可能であった。 おおむね20年にわたって生産されていたが、平成30年から厳格化される歩行者保護の安全基準に適合しないため、それまでに生産を終了することになった。 トランスミッショントランスミッションはタクシー仕様・教習車仕様ともに5速MTと4速ATを設定。コンフォート、クラウンコンフォート、クラウンセダンシリーズ(XS1x系)の中でガソリンエンジンとMTの組み合わせがあるのは教習車だけである。 グレードグレードは、タクシー仕様が法人タクシー向けのスタンダード、スタンダードデラックスパッケージ、個人タクシー向けのSG、SGエクストラパッケージの四種で、教習車仕様はデラックスのみ。 SGエクストラパッケージはSGに統合される形で2001年に廃止された。 年表
コンフォートGT-Zスーパーチャージャー![]() トヨタテクノクラフト[注 7]がコンフォート教習車(2,000ccガソリン・SXS13Y)[注 8]をベースに製作したコンプリートカー[注 9]で、2002年(平成14年)に先行試作車が1台製造され[注 10]、翌2003年(平成15年)7月から2004年(平成16年)2月にかけて市販車が59台製造された。 2003年(平成15年)の東京オートサロンで「チューニングカー部門 優秀賞」を受賞し、同年6月24日から11月17日まで、東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県のトヨペット店で受注販売された。価格は227.0万円 - 291.8万円。 ベースとなるのは3S-FE型 直列4気筒DOHCエンジン(ハイメカツインカム)で、これに小倉クラッチ製ルーツブロワー式スーパーチャージャーTX07を組み合わせ、使用燃料をプレミアムガソリンとすることにより、最大0.3kgf/cm2の過給圧で実出力118kW(160PS)/6,100rpm、トルク221Nm(22.5kgm)/3,300rpmを得ている。 これはノーマル比26%のパワーアップ(ノーマルはカタログ上96kW〈130PS〉/5,600rpm、181Nm〈18.5kgm〉/4,400rpm)で、3S-GE型エンジンを縦置き搭載するアルテッツァRS(SXE10)(カタログ上 154.4kW〈210PS〉/7,600rpm、215.7Nm〈22.0kgm〉/6,400rpm)よりも低速側にトルクバンドを広げ、エンジンよりシャシ性能がはるかに勝っている標準車に対し、トータルでの扱いやすさと、モアパワーを狙ったチューニングとなっている。車両重量は1,300kg(総重量1,575kg)、パワーウエイトレシオは 8.13(9.84)kg/PSである。スピードリミッターを無効にしたサーキット走行で、204km/hという最高速度を記録している。 その他、専用のブレーキパッド(フロント)&ブレーキシュー(リア)、フロントスポイラー、ブラックアウトされたウレタン風FRP製リアスポイラー、専用マフラーが奢られているほか、標準でRSワタナベ製のエイトスポークアルミホイールとブリヂストン製「POTENZA GIII」(前:205/60R15、後:215/60R15)が装備されている。全体的にクロームを廃した外観[注 11]や トランクリッド左についているエンブレム[注 12] も1980年代のスポーツセダンテイストを醸し出している。車高は純正比マイナス30mmとし、日常での使い勝手も考慮したダウン量となっている。 メーカーオプションとして、大森計器製の電気式3連メーター(過給圧・油圧・油温)、TRD製強化クラッチ、LSD(TRDまたはゼクセル製)、前席TRDセミバケットシート、TRDエアバッグ付ステアリング・シフトノブなどの装備があった。 ハザードスイッチは本来教習車仕様に装備される位置に3連メーターが装備されるため、タクシー仕様同様ウインカーレバー先端に装備される。 D1仕様2004年チューニングショップOKUYAMAの手によって、トヨタテクノクラフトが調達した3台の中古1800教習車(SXS11Y)をうち2台を使用して製作(残り1台は部品取り)、エンジンを3S-GTEに換装、Do-Luckのエアロパーツにガルウィングドア装着のドリフト仕様のコンフォートが登場し、各イベントで走行された。その後D1グランプリに出る機会を逃したままガレージに眠っていたところ、2006年D1グランプリ参戦中のAPPレーシングの2号車としてOKUYAMAにて再度大改造ののち2006D1グランプリの国内ラウンドに参戦することになった。その際にオーバーフェンダー装着、規定に合わせてガルウィングを撤去。同年第3戦富士では追走ベスト16進出を果たした。
2代目 NTP10R型(2018年- )→「トヨタ・ジャパンタクシー」も参照
トヨタ・ジャパンタクシーの香港・マカオ向け仕様として、「コンフォート」の名が継承されることになった。 外装の仕様はジャパンタクシーの「和(なごみ)」グレード(標準グレード)、内装の仕様は同「匠(たくみ)」グレード(上級グレード)にほぼ準拠するが、エンブレムが「JPN TAXI」から「COMFORT」に差し替えられることはもとより、ステアリングホイールにシルバー加飾がない、アウトサイド/インサイドドアハンドルとフェンダーミラー、リヤゲートフィニッシャーがめっきである等、ジャパンタクシーとは細かい部分が異なる。また、コンフォートは「匠」にオプション設定される15インチアルミホイールを標準装備する反面、Bi-BEAM LEDヘッドライトはオプションでも設定されない。 尚、フェンダーミラーについては、ジャパンタクシーと同様、この2代目コンフォートにおいてもそのまま採用されている。 2024年3月現在では車名が『TAXI』に変更されており、『コンフォート』の車名は使用されていない。 取扱ディーラー初代T140系コロナセダン(タクシー仕様)、X80系マークIIセダン(タクシー及び教習車仕様)の後継車種として発売された名残でトヨペット店での取扱である。ただし大阪地区では2006年8月7日まで、旧・大阪トヨタ(現・大阪トヨペット)での取扱い、また東京地区では、教習車仕様に限り東京トヨタ・東京トヨペットにて併売されている。 2004年4月以前は教習車仕様に限り、ネッツ店、ビスタ店(チェイサー/クレスタ両車の教習車仕様取扱いの名残)でも取扱されていたが、両店の統合に伴いネッツ店での教習車仕様の取扱が廃止されている。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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