博士の愛した数式
『博士の愛した数式』(はかせのあいしたすうしき)は、小川洋子による日本の小説。 美しい数式の世界を織り交ぜ、記憶が80分しか持続しない数学者と母子の交流を描く。第1回本屋大賞受賞作品。 概要交通事故による脳の損傷で記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」とその息子「ルート」の心のふれあいを、美しい数式と共に描いた作品である。数学者エルデシュを描いた『放浪の天才数学者エルデシュ』[1](原題は「数字だけを愛した男」[2])が参考文献として挙げられており[3]、エルデシュは「博士」のモデルと言われることもある。 初出は『新潮』2003年7月号[4]。同年8月29日、新潮社より刊行された[5]。装画は戸田ノブコ。第50回青少年読書感想文全国コンクール高等学校部門課題図書[6]。 2004年2月1日、第55回読売文学賞を受賞。同年4月15日、第1回本屋大賞を受賞[7]。大賞受賞時の得点は202点。2005年12月1日、新潮文庫として文庫化される(ISBN 978-4-10-121523-5)[8]。なお本書の新潮文庫版は発売2か月で100万部を突破。新潮文庫では史上最速を記録した[9]。2006年1月の映画化という販売促進策が決定的に奏功した。 2009年2月3日、スティーヴン・スナイダーによる英訳版『The Housekeeper and the Professor』が刊行された[10]。2010年8月1日、電子書籍版が新潮社より配信開始された[11]。 あらすじ家政婦紹介組合から「私」が派遣された先は、80分しか記憶が持たない元数学者「博士」の家だった。こよなく数学を愛し、他に全く興味を示さない博士に、「私」は少なからず困惑する。ある日、「私」に10歳の息子がいることを知った博士は、幼い子供が独りぼっちで母親の帰りを待っていることを居たたまれなく思い、次の日からは息子を連れてくるようにと言う。次の日連れてきた「私」の息子の頭を撫でながら、博士は彼を「ルート」と名付け、その日から3人の日々は温かさに満ちたものに変わってゆく。 登場人物
作中に登場する数学用語
映画
2006年1月21日公開。第18回東京国際映画祭特別招待作品、芸術文化振興基金助成事業作品。[13] 「私」の視点で描かれた原作に対し、映画では中学校の数学教師になった29歳のルート(原作に準ずれば教員生活7年目)が、クラスでの最初の授業で博士との思い出を語るというものになっている。また、原作では深く描かれなかった博士と未亡人の関係についても触れている(2人が不義の関係にあったことをうかがわせる)などの違いはあるが、原作をほぼ忠実に映画化している。 キャスト
スタッフ
受賞
ソフト化
コミック映画公開に合わせて、講談社発行の漫画雑誌『BE・LOVE』に2005年12月から全4回で連載された。作画はくりた陸。2006年2月には、講談社コミックスDXとしてまとめられ、出版されている(ISBN 978-4-06-372130-0)。 ラジオドラマ毎日放送の開局55周年記念企画として、MBSラジオで2006年3月19日 19:30 - 21:00にラジオドラマとして放送された。脚色は倉持裕、出演は柄本明、中嶋朋子、武井証ほか。ラジオドラマ版では、ドラマの鍵となる阪神タイガースのエピソードも織り交ぜる。1992年9月11日の阪神対ヤクルト戦で、直後に二塁打と判定された「代打の神様」こと八木裕選手の「幻の本塁打」のシーン(MBS制作の音源を使用)も登場する。なお、このドラマはTBSラジオでも同年3月25日の19:00 - 20:30に放送された。また、同年6月30日、ラジオドラマCDとして新潮社から発売されている(ISBN 978-4-10-830183-2)[15]。 舞台青年劇場公演2006年8月に秋田雨雀・土方与志記念青年劇場(青年劇場)公演として同名タイトルで舞台化作品が青年劇場スタジオ結で上演され[16]、巡演、2006年度の児童福祉文化賞(厚生労働大臣賞)を受賞した[17]。 2007年には文化庁の事業に採択され、全国巡演が主にこども劇場や演劇鑑賞会、実行委員会によって2010年まで行われた[18]。 2013年[19]からは外部演出家を起用し[18]、同じように2017年にかけて巡演が行われた[20]。 スタッフ(青年劇場)
劇団た組公演2015年12月に劇団た組公演として、同名タイトルで舞台化作品がウエストエンドスタジオで上演された[21]。 キャスト(劇団た組)
スタッフ(劇団た組)2023年版一般財団法人松本市芸術文化振興財団の主催で、2023年2月11日から16日にかけてまつもと市民芸術館 小ホール、同年2月19日から26日にかけて東京芸術劇場 シアターウエストで上演された[22][23]。上述の劇団た組の加藤拓也の脚本・演出である[22]。 キャスト(2023年)スタッフ(2023年)
脚注出典
外部リンク |
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